改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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12 私、入ります⁉

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 ケーン主従は、ギルドを訪れた。

注目度抜群のブラックは、今朝も注目の的となった。

でっかいプラカードを掲げていたから。

プラカードに曰く、

『パーティメンバー募集中。
美人の上級女冒険者熱烈歓迎!』

 ざわ、ざわ、ざわ、と擬音語が聞こえる。

直後大爆笑に包まれる。

「Fランクが、パーティメンバー募集だってさ」

「まあ、荷物持ちには使えるね。
ブラックバッグがあるし」

「だよな~! ブラックバッグなら、俺のパーティに入れてやってもいいぜ」

「坊やなしなら、組んでもいいよ」
 昨日のA級女冒険者が、ブラックににじり寄る。

「坊や? 
もしかして、ケーン様のことか!」
 ブラックは、こめかみに青筋を浮かべた。

「そうだよ。
あんたは強そうだし、噂では大量の素材を持ち込んだそうね? 
あんたが狩ったんでしょ? 
Dクラスの魔物まで、混じってたと聞いた」

「あれは全部ケーン様が狩ったものだ! 
狩るというより、単なる八つ当たりだけど……。
畏れ多くもケーン様は、先の勇者様と夜の女王様の……」

「ストップ!」
 ケーンは、慌ててブラックを止めた。自分の出自がバレてしまったら、玉の輿目当ての女が寄ってくるはず。
 それは避けたい。だって、つまんないんだもん!

一瞬の間。そしてさっき以上の大爆笑。

「先の勇者? 
ケンイチ様のこと? 
夜の女王様? 
マリアンヌ・リッチモンド様のこと? 
そのお二方がどうした?」

「お二方の、子どもだと言いたいの?」

「ば~か! ホラも突き抜けすぎだよ」

 みんな腹を抱えて嘲り、笑う。

 ケーンの心配は杞憂だった。それはそれで、ムカッと来るけど。


「私、入ります! 
ケーン様のパーティに入れて下さい!」
 認識阻害の魔法をかけていたキキョウが、集団の後ろの方から飛び出す。
 キキョウ的には、考えての行動ではなかった。ケーンがバカにされること、とにかくがまんできなかった。

ギルド内が、し~んと静まる。

クノイチ、キキョウが初心者と? 

なんのジョーク? トリプルSの冒険者は、世界に二十人しかいないのだから。

そしてキキョウは、現勇者ムサシの誘いをきっぱりと断っている。「なんだか頼りない」という理由で。

なにゆえ、超頼りなさそうな坊や?

 とりあえず、ケーンに最初の春風が吹いた。

「キキョウさん、あんた、でっかい容量のマジックバッグ、持ってるよね?

顔と鼻の長い人、確かに強そうだけど」
 女冒険者は意味不明、という顔で言う。

「キキョウさんよ、あんたトリプルSなんだからさ、昨日登録したばかりの新人と、どうして?」
 いかつい冒険者が聞く。実は彼、猛烈なキキョウ推しだった。実力に差がありすぎて、モーションを起こす気には、とてもじゃないがなれなかったけど。
 その男の質問に、男性冒険者、ならびに、百合っ気がある受付嬢が、うむうむとうなずく。

「新人だからこそです!
誰とパーティ組もうが、私の勝手です!
文句があるなら、私にかかってきなさい!」
 キキョウは、つい熱くなってしまった。

「おねえさん! 君は俺のおねえさんだ!」
 ケーンは今、猛烈に感動している。自分の方が、多分年上だろうけど、こんなおねえさんがほしかった。

 ケーンは、キキョウの両手を取って、ぶんぶんと振った。

 おねえさん……。おねえさんと呼ばれちゃったよ!
ぽっと頬を赤らめるキキョウだった。

 トリプルSおねえさんは、かくのごとく純情おねえさんだった。
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