改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
35 / 170

35 信じてもらえた?

しおりを挟む
「伯母さん、ただいま」
 レミは自宅に帰り、元気よく挨拶。伯母にはたきつけられたものの、「昼帰り」は、ちょっぴりてれくさい。

「お帰り!
この時間に帰ってきたということは、うまくいったんだね?」
 伯母は、にやにやしながらそう言った。

「側室になっちゃった。聞いて驚いて。
ケーンさんはね、なんと夜の女王様と、元勇者ケンイチ様のご子息。
とんでもない人の、嫁になっちゃった」
 レミは胸を張って応える。

「また~……。フフフ、でもよかった。
レミがそんな大ボラ吹けるようになった。
私も安心してあの世へ行けるよ」
 伯母は目じりを濡らして、レミを見つめる。

 レミは小さいころ、両親を亡くした。レミの家族は、隣町で暮らしていた。
父親は行商に出かけ、帰ってこなかった。おそらくモンスターか、盗賊にやられたのだろう。

 気落ちした母親は、はやり病にかかり、あっけなく夫の後を追った。

 そんなレミを伯母は引き取り、一生懸命育てた。

不幸にもめげず、レミは明るく素直な娘に育ってくれた。

 そして、中堅冒険者だった夫と巡り合い、結ばれて幸せの絶頂だった。

 その幸福は、三か月程度しか続かなかった。

 レミ、今度こそ幸福を逃がすんじゃないよ。伯母は心の中で、そう伝えた。

「伯母さん、私の言ったこと、ホラじゃないんだけど……。
私、夜の王宮でミレーユ様の弟子になる。
あの伝説の元聖神女様よ!」

「はいはい。よかったね」
 まるで信じない伯母だった。

レミは、まあいいか、と思い直した。たしかにホラとしか聞こえないだろう。そのうち、いやでも本当だとわかるはず。

 その楽天は、レミ最大の美点だった。


 レミは自分の部屋で荷物をまとめていた。
「レミ、さっそく嫁入りの支度かい?」
 伯母がドアを開け、ニコニコ顔でそういった。
「裸で来ても大丈夫と言われたけど……。
大した荷物もないし。
週に二三回しか帰れなくなると思う。
伯母さん、大丈夫?」
「私のことなんて、気にするんじゃないよ」
「しばらく夜の王宮で、ほとんど暮らすことになると思う」
 
 まだそんなこと言ってる? 伯母は少々不審に感じた。レミはジョークを飛ばすが、ちょっとくどくない?

「伯母さん、まだ信じてない?」
 レミは苦笑してそう言った。無理もないけど。私だって、いまだに信じられない気分だから。

「本当に、…本当なの?
「本当に、本当よ。伯母さん、嫁入りの支度金、たんまりもらったから。
不用心だから、とりあえず金貨三枚と、結界石置いておく。
結界石は…店に置いたら商売にならないか。
寝室に置いておけば?」

「結界石!
そんな貴重な物、誰にもらったの!」
 伯母は目ん玉をひん剥いてそう言った。結界石のお値段なんて知らないが、とんでもなくお高いことは知っている。
「だから、ケーンさんよ。
夜の女王様と、ケンイチ様のご子息の」
 
 伯母は金貨と結界石を受け取り、口をパクパク。

「信じてもらえた?」
 コクコクと首肯する伯母だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...