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35 信じてもらえた?
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「伯母さん、ただいま」
レミは自宅に帰り、元気よく挨拶。伯母にはたきつけられたものの、「昼帰り」は、ちょっぴりてれくさい。
「お帰り!
この時間に帰ってきたということは、うまくいったんだね?」
伯母は、にやにやしながらそう言った。
「側室になっちゃった。聞いて驚いて。
ケーンさんはね、なんと夜の女王様と、元勇者ケンイチ様のご子息。
とんでもない人の、嫁になっちゃった」
レミは胸を張って応える。
「また~……。フフフ、でもよかった。
レミがそんな大ボラ吹けるようになった。
私も安心してあの世へ行けるよ」
伯母は目じりを濡らして、レミを見つめる。
レミは小さいころ、両親を亡くした。レミの家族は、隣町で暮らしていた。
父親は行商に出かけ、帰ってこなかった。おそらくモンスターか、盗賊にやられたのだろう。
気落ちした母親は、はやり病にかかり、あっけなく夫の後を追った。
そんなレミを伯母は引き取り、一生懸命育てた。
不幸にもめげず、レミは明るく素直な娘に育ってくれた。
そして、中堅冒険者だった夫と巡り合い、結ばれて幸せの絶頂だった。
その幸福は、三か月程度しか続かなかった。
レミ、今度こそ幸福を逃がすんじゃないよ。伯母は心の中で、そう伝えた。
「伯母さん、私の言ったこと、ホラじゃないんだけど……。
私、夜の王宮でミレーユ様の弟子になる。
あの伝説の元聖神女様よ!」
「はいはい。よかったね」
まるで信じない伯母だった。
レミは、まあいいか、と思い直した。たしかにホラとしか聞こえないだろう。そのうち、いやでも本当だとわかるはず。
その楽天は、レミ最大の美点だった。
レミは自分の部屋で荷物をまとめていた。
「レミ、さっそく嫁入りの支度かい?」
伯母がドアを開け、ニコニコ顔でそういった。
「裸で来ても大丈夫と言われたけど……。
大した荷物もないし。
週に二三回しか帰れなくなると思う。
伯母さん、大丈夫?」
「私のことなんて、気にするんじゃないよ」
「しばらく夜の王宮で、ほとんど暮らすことになると思う」
まだそんなこと言ってる? 伯母は少々不審に感じた。レミはジョークを飛ばすが、ちょっとくどくない?
「伯母さん、まだ信じてない?」
レミは苦笑してそう言った。無理もないけど。私だって、いまだに信じられない気分だから。
「本当に、…本当なの?
「本当に、本当よ。伯母さん、嫁入りの支度金、たんまりもらったから。
不用心だから、とりあえず金貨三枚と、結界石置いておく。
結界石は…店に置いたら商売にならないか。
寝室に置いておけば?」
「結界石!
そんな貴重な物、誰にもらったの!」
伯母は目ん玉をひん剥いてそう言った。結界石のお値段なんて知らないが、とんでもなくお高いことは知っている。
「だから、ケーンさんよ。
夜の女王様と、ケンイチ様のご子息の」
伯母は金貨と結界石を受け取り、口をパクパク。
「信じてもらえた?」
コクコクと首肯する伯母だった。
レミは自宅に帰り、元気よく挨拶。伯母にはたきつけられたものの、「昼帰り」は、ちょっぴりてれくさい。
「お帰り!
この時間に帰ってきたということは、うまくいったんだね?」
伯母は、にやにやしながらそう言った。
「側室になっちゃった。聞いて驚いて。
ケーンさんはね、なんと夜の女王様と、元勇者ケンイチ様のご子息。
とんでもない人の、嫁になっちゃった」
レミは胸を張って応える。
「また~……。フフフ、でもよかった。
レミがそんな大ボラ吹けるようになった。
私も安心してあの世へ行けるよ」
伯母は目じりを濡らして、レミを見つめる。
レミは小さいころ、両親を亡くした。レミの家族は、隣町で暮らしていた。
父親は行商に出かけ、帰ってこなかった。おそらくモンスターか、盗賊にやられたのだろう。
気落ちした母親は、はやり病にかかり、あっけなく夫の後を追った。
そんなレミを伯母は引き取り、一生懸命育てた。
不幸にもめげず、レミは明るく素直な娘に育ってくれた。
そして、中堅冒険者だった夫と巡り合い、結ばれて幸せの絶頂だった。
その幸福は、三か月程度しか続かなかった。
レミ、今度こそ幸福を逃がすんじゃないよ。伯母は心の中で、そう伝えた。
「伯母さん、私の言ったこと、ホラじゃないんだけど……。
私、夜の王宮でミレーユ様の弟子になる。
あの伝説の元聖神女様よ!」
「はいはい。よかったね」
まるで信じない伯母だった。
レミは、まあいいか、と思い直した。たしかにホラとしか聞こえないだろう。そのうち、いやでも本当だとわかるはず。
その楽天は、レミ最大の美点だった。
レミは自分の部屋で荷物をまとめていた。
「レミ、さっそく嫁入りの支度かい?」
伯母がドアを開け、ニコニコ顔でそういった。
「裸で来ても大丈夫と言われたけど……。
大した荷物もないし。
週に二三回しか帰れなくなると思う。
伯母さん、大丈夫?」
「私のことなんて、気にするんじゃないよ」
「しばらく夜の王宮で、ほとんど暮らすことになると思う」
まだそんなこと言ってる? 伯母は少々不審に感じた。レミはジョークを飛ばすが、ちょっとくどくない?
「伯母さん、まだ信じてない?」
レミは苦笑してそう言った。無理もないけど。私だって、いまだに信じられない気分だから。
「本当に、…本当なの?
「本当に、本当よ。伯母さん、嫁入りの支度金、たんまりもらったから。
不用心だから、とりあえず金貨三枚と、結界石置いておく。
結界石は…店に置いたら商売にならないか。
寝室に置いておけば?」
「結界石!
そんな貴重な物、誰にもらったの!」
伯母は目ん玉をひん剥いてそう言った。結界石のお値段なんて知らないが、とんでもなくお高いことは知っている。
「だから、ケーンさんよ。
夜の女王様と、ケンイチ様のご子息の」
伯母は金貨と結界石を受け取り、口をパクパク。
「信じてもらえた?」
コクコクと首肯する伯母だった。
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