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39 ケーン、聖神女をあきらめる
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ケーンは一週間かけ、現聖神女の情報を収集しまくった。
おかしい。うわさ程度の情報さえ漏れてこない。
どうして?
その理由は簡単だ。前聖神女の急死に伴い、帝国首脳や光の神殿幹部は、密かに聖神女引き継ぎの儀式を執り行った。
現聖神女が満十二歳(※地球人と比べ、成長はやや遅く、老化はかなり遅い。地球人で言えば八歳程度にあたる)の女の子だと魔王に知れたら、その隙を狙って攻め込んでくるかもしれない。
聖神女が聖神女にふさわしい力を持つまで、極秘扱いとなっている。
「なあ、ケーン。あきらめた方がええで。
言うてなかったけど、夜の女王様は、ケーンが気にいるわけがない。
そんなことキキョウに漏らしたそうや。
ひどいブスかもしれんで?」
ユリは焦りまくっているケーンを見かね、そう言った。
「なわけないじゃん!
光の女神は、聖神女の資質を持った女子を、皇帝の血筋に授け、自分の力と姿を写すと聞いてる」
「単なる噂やろ?
それに、聖神女は一般人に素顔を見せんし、声も直接かけん。
直接会えるんは、国と神殿の要人。
それに、真の勇者と認められた者だけや。
絶対あきらめた方がええて」
「まあ、それはそうだけど……」
ケーンは、しょんぼりとうなだれた。確かに聖神女に会うことすら困難であることはわかる。
「僭越ですかケーン様。
我々は政府ににらまれているようです。
この国の諜報部をなめてはいけません」
ブラックは伏せ目で言う。聖神女の情報をかき集めているのだ。当局が敏感になるのも当然だ。
「夫の言うとおりです。
今のところ、はっきりとした証拠はないはずですから、情報部も尾行を付けているだけですが、ケーン様の目的は聖神女をさらうことです。
この国と直接対決することになりかねません。
いえ、必ず戦うことになります」
普段口を挟まないホワイトも説得する。
ホワイトは思う。女王様もお人が悪い。もちろん、何か意図があるのだろうが。
ホワイトだけは聞いていた。聖神女も魔王の娘も、幼女だということを。
「この国は強いで。
魔王への防御壁なんやから。
今のウチらでは絶対勝てんで」
ユリのその言葉は正しい。
テリーヌに光の女神の神殿が設けられているのは、位置的に魔王領と一番近いからだ。
つまり、テリーヌ帝国は、対魔王軍への最初の防波堤として、光の女神も特別にえこひいきしている国だ。
様々な資源に恵まれ、政治機構もがっちり整っている。
この国の騎士隊、軍隊、諜報部隊、神殿の聖騎士隊。どの組織も他国のそれと比べ、世界最強を誇る。
「わかったよ。
だけど、せっかくテリーヌまで来たんだ。
魔王領との国境沿いは、フィールドでも強い魔物がいるそうだ。
狩りをしようか?」
ケーンも真性のバカではない。このまま意地を張りとおすのは、愚かであることを思い知った。
「了解や! 張り切っていこか!」
ユリはほっとしてケーンの肩を抱いた。
それから二日後。神聖テリーヌ帝国、ラミラス伯爵邸。
ラミラス伯は、テリーヌ帝国諜報部を統括している帝国要人の一人だ。
執務室で書類に目を通す彼に、念話が届いた。
『例の冒険者についてご報告いたします。
やはりただの冒険者ではありませんでした。
従者三人のうち、二人、と申しますか、二頭はペガサスでした。
よって、魔王の息がかかる者ではありません。
ペガサス、しかも人間に変身できる神馬を従者にできるとなれば、あの噂は本当かと思われます』
『うむ……。
夜の女王と、元勇者ケンイチの息子ということか。
なんの目的で、聖神女様をさぐっているのやら……』
『全くわかりません。
現在は魔王領との国境沿いで、狩りをしております。
いかがいたしましょう?』
『手を出してはならぬ。
ただし、厳重に監視は続けろ』
『承知いたしました』
念話を終え、伯爵は考え込んだ。
聖神女様が幼女であること、夜の女王が知らないわけがない。
あの女王の息子が変態だったとしても、その変態ぶりを許すとも思えない。
だとしたら、なんのためだ?
わからん!
ケンイチの影響で、ちゃめっ気アビリティーを覚えた女王の気まぐれは、伯爵の頭脳をかき乱していた。
おかしい。うわさ程度の情報さえ漏れてこない。
どうして?
その理由は簡単だ。前聖神女の急死に伴い、帝国首脳や光の神殿幹部は、密かに聖神女引き継ぎの儀式を執り行った。
現聖神女が満十二歳(※地球人と比べ、成長はやや遅く、老化はかなり遅い。地球人で言えば八歳程度にあたる)の女の子だと魔王に知れたら、その隙を狙って攻め込んでくるかもしれない。
聖神女が聖神女にふさわしい力を持つまで、極秘扱いとなっている。
「なあ、ケーン。あきらめた方がええで。
言うてなかったけど、夜の女王様は、ケーンが気にいるわけがない。
そんなことキキョウに漏らしたそうや。
ひどいブスかもしれんで?」
ユリは焦りまくっているケーンを見かね、そう言った。
「なわけないじゃん!
光の女神は、聖神女の資質を持った女子を、皇帝の血筋に授け、自分の力と姿を写すと聞いてる」
「単なる噂やろ?
それに、聖神女は一般人に素顔を見せんし、声も直接かけん。
直接会えるんは、国と神殿の要人。
それに、真の勇者と認められた者だけや。
絶対あきらめた方がええて」
「まあ、それはそうだけど……」
ケーンは、しょんぼりとうなだれた。確かに聖神女に会うことすら困難であることはわかる。
「僭越ですかケーン様。
我々は政府ににらまれているようです。
この国の諜報部をなめてはいけません」
ブラックは伏せ目で言う。聖神女の情報をかき集めているのだ。当局が敏感になるのも当然だ。
「夫の言うとおりです。
今のところ、はっきりとした証拠はないはずですから、情報部も尾行を付けているだけですが、ケーン様の目的は聖神女をさらうことです。
この国と直接対決することになりかねません。
いえ、必ず戦うことになります」
普段口を挟まないホワイトも説得する。
ホワイトは思う。女王様もお人が悪い。もちろん、何か意図があるのだろうが。
ホワイトだけは聞いていた。聖神女も魔王の娘も、幼女だということを。
「この国は強いで。
魔王への防御壁なんやから。
今のウチらでは絶対勝てんで」
ユリのその言葉は正しい。
テリーヌに光の女神の神殿が設けられているのは、位置的に魔王領と一番近いからだ。
つまり、テリーヌ帝国は、対魔王軍への最初の防波堤として、光の女神も特別にえこひいきしている国だ。
様々な資源に恵まれ、政治機構もがっちり整っている。
この国の騎士隊、軍隊、諜報部隊、神殿の聖騎士隊。どの組織も他国のそれと比べ、世界最強を誇る。
「わかったよ。
だけど、せっかくテリーヌまで来たんだ。
魔王領との国境沿いは、フィールドでも強い魔物がいるそうだ。
狩りをしようか?」
ケーンも真性のバカではない。このまま意地を張りとおすのは、愚かであることを思い知った。
「了解や! 張り切っていこか!」
ユリはほっとしてケーンの肩を抱いた。
それから二日後。神聖テリーヌ帝国、ラミラス伯爵邸。
ラミラス伯は、テリーヌ帝国諜報部を統括している帝国要人の一人だ。
執務室で書類に目を通す彼に、念話が届いた。
『例の冒険者についてご報告いたします。
やはりただの冒険者ではありませんでした。
従者三人のうち、二人、と申しますか、二頭はペガサスでした。
よって、魔王の息がかかる者ではありません。
ペガサス、しかも人間に変身できる神馬を従者にできるとなれば、あの噂は本当かと思われます』
『うむ……。
夜の女王と、元勇者ケンイチの息子ということか。
なんの目的で、聖神女様をさぐっているのやら……』
『全くわかりません。
現在は魔王領との国境沿いで、狩りをしております。
いかがいたしましょう?』
『手を出してはならぬ。
ただし、厳重に監視は続けろ』
『承知いたしました』
念話を終え、伯爵は考え込んだ。
聖神女様が幼女であること、夜の女王が知らないわけがない。
あの女王の息子が変態だったとしても、その変態ぶりを許すとも思えない。
だとしたら、なんのためだ?
わからん!
ケンイチの影響で、ちゃめっ気アビリティーを覚えた女王の気まぐれは、伯爵の頭脳をかき乱していた。
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