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44 え~~~!

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 その夕方、ケーン達がとった宿。
テントのソファーで、メンバーはほっと一息。

テレサは昼間の成果に興奮していた。
「私一人で、ワインバーン十匹も倒せるなんて、想像もできませんでした。
ホワイトさんと装備のおかげだとは、わかってるんですけど」
 戦闘と、その成果の余熱冷めやらぬテレサは、漆黒のローブを脱いでいた。
 テレサの生足や腕は、うっすらピンク色を帯びている。

 残念なことに、ユリはスケベサングラスを外している。まあ、ケーンが楽しめているから、よしとしよう。

「あんまり調子に乗らん方がええで。
あんたの言うとおり、ホワイトと装備がほとんどすべてや」
 ユリは先輩として、心からのアドバイスを与える。

「そうでもないよ。大賢者の杖が自由に使えるということは、魔玉の指輪の補正があってもただ事ではない。
テレサにはそれだけの資質があるんだ。
テレサはどんな家系なの?」
ケーンが漆黒のローブを脱いだテレサを、チラ見しながら聞く。

まともに見たら、光のレオタード効果無効がばれるから。また、テレサの清潔感あふれるセクシースタイルは、チラ見程度の方が趣三倍増。

「よくわからないんです。
神聖魔法が使えるということは、何代か前に、光の神殿で神官を務めていた女性がいるはずですが」
 神聖魔法は、光の女神ゆかりの血筋にしか使えない、ことになっている。ケーンは例外中の例外。
神聖魔法は、治癒系と、魔族特効の光系攻撃魔法に、大きな特色がある。したがって、勇者のパーティには、必ず神聖魔法を使える女性が加わる。
聖神女自らがパーティに加わったのは、ミレーユだけだが。

「両親は?」
 ユリが聞く。

「名前も顔も知りません。赤ん坊のころ、ラミー母さんに拾われたんです。
魔王軍の侵攻で壊滅した町の教会で。
ラミー母さんは、A級の冒険者でした。
私を育てるために、比較的安全な仕事しかしませんでした。
それでも冒険者は冒険者です。
半年前瀕死の重傷を負って、一週間後なくなりました。
ラミー母さんは、私に戦い方を教えませんでした。
私に平凡な生き方をしてほしかったからです。
だけど、私は母さんを救えなかったことが悔しかった。
私のヒールでは、治せなかったんです。
何度も重ねがけして、気絶しちゃって…、
出血が多すぎたんでしょうね。
気が付いたら……。
だから私は、帝国の魔導師養成学校に入学しようと思いました。
その面接で、ある貴族の目にとまって、シャドーにスカウトされました。
シャドーの養成所に入ってすぐ、急に今回の任務を命じられました。
訓練をほとんど受けてない素人同然だから、逆に怪しまれない。
そう判断したんでしょうね。
シャドーのこともほとんど知らないから、ばれて拷問されても実害はないし」
 ケーンとユリは、深くうなずく。それで今の実力なんだ?

「テレサの資質があったら、装備が君の力を、ごく短期間で、ありえないほど引き上げると思う。
ただの装備じゃないからね。
改めて聞く。
どうする?」
 ケーンは真顔でテレサを見つめる。

「このままいさせてください。
私は強くなりたいんです!」

「よっし、認めよう。
俺の嫁になるかどうかは、じっくり考えるといい」
 ケーンは右手を伸ばした。テレサはがっちりと握手に応じる。

テレサはふと気づいた。私をまともに見てる?

「あの~……、一つ聞いていいですか?」

「いいよ。何?」

「もしかして、光のレオタードの効果が無効だとか? 
ケーンさんには」

「夜の女王様とケンイチ様の息子や。
一般人とは、基本スペックが根本的に違う」
 ごめんな、ケーン。ばれたらしゃ~ないやろ、とユリは開き直る。

「え~~~!」
 テント内にテレサの絶叫が響いた。
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