改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
93 / 170

93 最高かよ!

しおりを挟む
『ケーン様、よろしいでしょうか?』
 キキョウが念話を送ってきた。

「いいよ。キキョウも温泉に入れば?」
 ケーンが答える。

「失礼します」
 そう声をかけて、キキョウとジャンヌが姿を見せた。

「盗賊団、全員拘束しましたが、処置に困っています。
盗賊団というより、村全体が強盗団だったということです」

「小さな子供もいるし。どうしましょう?」
 キキョウとジャンヌは困惑顔で報告。

強盗村では、同じ手口で、たびたび旅人や商人を襲っていたようだ。

本来ならその筋に連絡し、引き渡すべきだが、きっと村人全員死刑にされてしまう。子どもも含めて。

「それは参ったな……。
キキョウ、禁呪の魔法も習った?」

「闇魔法も一通り。
なるほど、隷属の魔法ですか。
名案だとは思いますが、夜の女王様の許可と、監視者が必要になります。
あれは禁呪ですから」

「俺の名前で許可する。
監視者は…父ちゃんのオートマタ借りよう。
母ちゃん、見てるんだろ?
そうだな……、あの子でいいや。
例の魔法が使えない魔法少女、キキョウが帰ったら、ボンビー村に送って」
 ケーンは、父親でさえ若干持て余しているオートマタを指名した。父親は「ほのか」という名前を付けたのだが、勝手に別の名前を名乗っていることでお察し。

 自律型のアンドロイドは、個性と自我を持っている。その個性と自我が災いし、正式名「ほのか」に、普通の仕事は任せられない。

 魔法が使えない魔法少女? あの子、か……。キキョウは、ちっちゃくてかわいい、オートマタの姿を思い浮かべる。
本来死刑相当の村人たちだ。まあ、いいか……。
「了解しました。
ジャンヌちゃん、転位魔法おねがい」

「ラジャー! 目的地、ボンビー村!」
 ジャンヌはキキョウの手を取り転移した。

「あれが聖神女の転移魔法か……。スゲー便利」
 メイサは感動の目でつぶやいた。目的地を唱えただけで、魔法陣が発動し、あっと言う間に転移していった。

「元聖神女だけどね。
行ったことない場所でも転移できる。
あれだけはまねできない」
 ケーンは胸を張って言う。

エミリーは思っていた。能力をわざわざ下げていることといい、意識的に貧弱な防具をつけていたことといい、そして超便利な嫁の魔法を、旅に使わないことといい。

全く不合理だ。だけど、だからこそ、メイサ様とあっという間に意気投合できたのかもしれない。
まさに超ロマンチストの「似た者夫婦」だ。

「強盗村か……。
きっとそうしなれば仕方なかった理由がある。
放ってはおけないかな」
 ケーンはそうつぶやいた。

エミリーは思った。前言訂正。ケーン様は決して脳筋男ではない。

多分この評価が当たっているだろう。

英知とロマンチシズムが、混沌と同居する男。

「エミリー、これでメイサを洗ってよ!」
 ケーンがどこからか、謎の白い容器を取り出した。

「どこから出したんですか!
それに、それってなんですか!」
 エミリーは、びっくりして聞く。ケーンはもちろん素っ裸だ。ケーンが取りだした細いくちばしが付いたような白い容器は、ずんぐりしたティーポットほどの大きさだ。
素っ裸であれを隠し持つことなど、できるはずがない。

「ミレーユ謹製のアイテムボックス。
ボックスというより、亜空への入り口という方が妥当かな。
不可視のアイテムボックスは、ミレーユにしか作れない。
ヒカリちゃんでも無理だって。
俺が作った近い機能のバッグ、風呂から上がったら二人にやるよ」

「はあ……。その白いティーポットみたいなのは?」
 
「ボディーソープ!
体を洗うセッケンだね。
美肌効果も乗せてるから!」」

「はあ……。どう使えば?」
「頭をキュッキュッて押して。
くちばしみたいな先から、せっけんが出てくる」

 エミリーは、ケーンの指示通り、きゅっ、きゅっ。ぴゅっ、ぴゅっ。白い粘性の液体が出てきた。

「両手をこすり合わせて泡立てる!」

「はい」
 こすこす……。本当だ……。
「メイサ様、背中から」
 エミリーは、メイサの背後に立つ。ゆっくり背中を洗う。たちまちメイサの白い肌が、泡まみれに。
 エミリーは、クリーンの魔法が合理的だと思う。だけど、なんだかメイサ様が……。

「ふ~ん……、くすぐったいような…、だけど、気持ち…いい」
 なまめかしく身もだえるメイサだった。

 計算ドーリ!
 メイサが、エミリーのしなやかな手で、泡だらけになっていく過程!
 フィギャーのようなエミリーの裸体に、泡がちょっぴりつく風情。
 
 俺も洗ってもらおう!

 いや、体が本調子になってからだよね?

 楽しいやら、まだるっこしいやら。

 ケーンは決心した。この露天風呂に、常設転移魔法陣を作ってもらう!
 ジャンヌに頼んだら、ほいほいと引き受けてくれるだろう。あの子は純真だから、疑うことを知らない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...