改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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92 いわゆる一つの定番 露天風呂回

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「あの~……。私はどうすればいいのでしょう?」
 エミリーは、ラブラブオーラを振りまきながら、ケーンに抱きつく主に聞いた。
『子作りは代役でもいいんだ?』 
という感想を持ちながら。

 まあ、脳筋主人は、何十年もの間、恋に恋し続けた。ずっと温め続けた幻の恋人。
 現実のそっくりさんに、恋に落ちても仕方ないか。

「あんたはセックスに興味ないんでしょ? 
いちゃいちゃや、あえぎ声が気にならないなら、付いてきてもいいけど」
 メイサはあっさり答える。

「今さら放り出されても困ります! 
どんどんさかって下さい!」
 憐れな従者は、初めて表情を変え、主人の背後から抱きついた。

 それでもメイサは、ケーンから離れない。三個の磁石が、ベッドでくっついたまま、って感じ?

 それにしてもメイサのハグ、強烈すぎ。今は人間形態だから、力はがくっと落ちているはずだけど。

 俺、よく生きてたな……。半年前なら、きっと圧殺されていただろう。
 心して挑戦しよう! エッチと摸擬戦。

ふつふつとファイティングスピリットが湧いてくるケーンだった。


 ケーンとメイサは、ゆったりと露天風呂につかっている。

メイサがこの地に別荘を建てたのは、この露天風呂があるからだ。メイサは大の温泉好きだった。

ちなみに、人化可能な竜族は、燃費が極端に優れた人化形態で、小さな独立国家を形成している。

食料が豊富な人間界や魔界で生活する竜は、追放された不良ドラゴンや、変身不能竜や幼竜、もしくは人族のつがいを探す王族竜に限られる。

「ん、くちゅ…ちゅっ、ちゅっ……」
 メイサは大柄で豊満な体を、ぴったりケーンにくっつけ、ケーンの唇をむさぼっていた。六十年貯めこんだ思いをこめて。

「メイサ様、長風呂は今のケーン様によろしくないかと」
 エミリーが、こちらを見ないようにして声をかける。

「そうだった。あ~ん、まだるっこしい! 
ケーンと早くまぐわいたい!」
 メイサは不承不承体を離す。

「もうちょっと見てていい? メイサの裸。
お湯からは上がるから」

「あ~ん、もちろんよ! 見て見て!」
 メイサはケーンの前で立ち上がり、なまめかしくおっぱいを持ち上げる。

ケーンは風呂からあがり、イスに腰掛けてメイサを鑑賞。

なんというか、ダイナミックボディー。身長はケーンより十センチほど高く、しなやかな筋肉がラインを引き締めている。

 そして、なんということでしょう!
 
 筋肉にそびえたつ双峰! 服の上からでもわかっていたが、雄渾と形容するしかない。
 
 嫁の中で、最高峰はレミだった。ただし、うつむきなら。彼女のおっぱいは、大胸筋で支えきれない。つまり、服や下着で支えなければ重力に負けてしまう。
 その点、レミよりやや小さいユリのおっぱいは、重力に逆らって形が崩れない。
 
 うつむきのレミπを二回り大きくし、ユリπの緊張を保って「女」を強く主張する!

 直ちに食いつきたいところだが、収まりがつきそうにない。エミリーの目があることだし……。
 さすがに第三者の前で始めるのは憚られる。

「エミリーもおいでよ」
 メイサは手招きする。ドラゴンの彼女は、裸の方が自然だ。竜鱗は体の一部だし。
 その習慣から、人間体のときも、裸で日常生活を送っている。仕方ないので、裸でいられる気温ならエミリーも付き合っている。

「私の貧相な体など、ケーン様のお目汚しかと」
 エミリーはためらう。男に裸を見られても、どうってことはないのだが。

彼女は長命のエルフ族の業として、セックスには極めて淡白だ。エルフ族は子孫を設けること以外、セックスに意味を認めない。

「まあそう言わずに。私の体洗ってよ」
 超ご機嫌なメイサは、なおも誘う。

器用なエミリーのボディー洗いは、欲求不満だったメイサの大きなお楽しみだった。

「では……」
 エミリーは、きわめて機械的に服を脱ぐ。

うん、全然色っぽくないけど、なんだかいい。ケーンは、その過程を凝視。フィギュアの服を脱がせる感覚に近いかも。
あれ、不思議に萌えるんだよね。

「ケーン様、楽しいのですか? 
メイサ様の体なら話はわかりますが」
 エミリーは、きょとんとして聞く。

ケーンの熱い視線、が自分の体に向けられていたから。

「ごめん! 気に障った? もう見ないから」
 ケーンは慌てて視線をはがす。

「別にいいのですが」
 エミリーはメイサに歩み寄り、お湯につかる。

「ケーンはどうして旅に出たの? 
しかもわざわざ馬車に乗って。
あの二頭の馬、ペガサスでしょ?」
 メイサは何気なく聞く。

「ん? そうね……。単なる趣味?」
 ケーンは返事に困る。まさかエルフとの紆余曲折恋を味わう目的で、なんて言えない。

「ケーン様、奥様はあの方々だけなのでしょうか?」
 エミリーは主人のために聞く。彼女は全くと言っていいほどケーンに関心はないが、メイサ様にとっては重大なことだ。

「後二人いるよ。レミとメイ。
二人は戦闘が苦手だから置いてきた」

「寂しくはないのでしょうか? 
その残された奥様は」
 エミリーは、さらに突っ込んで聞く。もちろん主人のために。

「転移魔法でテントに通ってくるから、特に問題はないよ。
一晩に三人程度は楽勝だし。
嫁たちもお互い慰め合ってる。
関西弁の女の子がいただろ? 
ユリは女の子が大好きなんだ。
そのユリの影響。
メイサが嫌なら、マンツーマンでお相手するけど」

「光の女神様、確か『立派な側室』だとおっしゃってたよね?
やっぱりお相手してるの?」
 メイサは、気になっていたことを聞く。光の女神には大いに敬意を払っていたから。

「ジャンヌは元聖神女なんだ。
テレサは聖神女候補だった女神官の娘。
二人はいわば光の女神の眷族なんだ。
ヒカリちゃん…光の女神は、二人の体に降臨して、俺とのセックスを味わってる。
ジャンヌやテレサに言わせたら、倍ぐらいいいそうだよ。
光の女神もすっかりやみつきだって」

「そうなんだ? 
考えてみたらすごいよね? 
夜の女王の息子で光の女神の夫」
 メイサはしみじみと言う。嫉妬を抱く余地なし。

「メイサ様だって竜王のご息女です! 
引け目に感じることはありません!」
 エミリーはムキになって言う。

うふ……。案外かわいいところもあるんだ? なんとなくケーンは胸キュン。

「夜の女王と光の女神。お母様とは全然格が違う。
後は魔王の娘ぐらい?」
 メイサは冗談交じりに言う。

「魔王の娘、実は狙ってたんだよね。
だけど、まだ幼女だって。
残念ながら対象外。俺が地上でいられるのは、後二年半ぐらいだから」
 ケーンは悲しそうな顔で言う。グランドスラム、達成不可能ってとこ?

まさかマジで狙ってた? 魔王の娘を。

メイサとエミリーは、あっけにとられ、顔を見合せた。

くくく、とメイサは忍び笑いする。

エミリーもかすかに表情を緩めた。

こいつ、とんでもない男だ。


「ケーン、一つ聞きたいんだけど。
あなた、どうしてそんなに弱いの? 
装備だって貧弱だし。
私が軽くつかんだだけで、あんな怪我をするなんて想像もつかなかった」
 メイサが聞く。

「軽く、ね……。
まあ、俺はSランクに昇ったばかりだし。
装備は俺の趣味? 
このあたりのフィールドで、俺を傷つける魔物なんてそうそういないし」
 ケーンは苦笑して答える。

「メイサ様、ケーン様は何者かに力が封じられています。
相当難しいと思いますが、解呪を試してみましょうか?」
 エミリーは、ケーンを見ないようにして言う。

なんかでかくなってるし……。私の体は関係ないだろうけど。

「あ~、それね……。
事情があって、母ちゃんが封じたんだ。
だけど、弱い体でぎりぎりの戦いをしたら、楽しいことに気づいた。
はるかに格下の相手と戦っても、つまんないだろ?」

「あ~、わかる。
ケンイチとバディー組んでた時は、けっこうぎりぎりの戦いも多かった。
あのころは楽しかった~!」

「だろ~!」

「だよね~!」
 バトルジャンキーカップルは、すっかり意気投合してしまった。
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