改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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101 新婚さんのデート

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 夜の王宮。ケーンとメイサは口論していた。

「だから! イージスシリーズを装備することが絶対条件!」
「私が信用できないの!」

「君はホワイトドラゴンだ!
もちろん信用してるさ!」
「ならそんなもの要らない!
そりゃ、人間形体なら防御力は落ちるけど、竜鱗のビキニアーマーが、そんじょそこらの魔物から、傷つけられることはない!」

「今から行くところは、そんじょそこらの所じゃない!
俺が修行時代、何度もお花畑を見たところなんだ!」

「じゃあ聞くけど、今のあなたの装備はなんなのよ!
竜鱗のビキニアーマーで心配なら、それはないでしょ!」
「ぐっ……」
 ケーンは返事に困った。一応キメラスーツに、ミスリルの胸当ては装備している。
 魔防はひどく高いが、物理防御は心もとない。つまり、「今から行くところ」では、物理防御に関してぎりぎりの線だ。

「ケーン、メイサさんの言う通りや。
キメラスーツで、もっこり強調したいのはわかるで。
せやけど、ケーンの生もっこりは、メイサさんも、もうおなじみや。
見栄張ることないって」
 ユリが容赦なく批判する。誰よりも心配性のキキョウはコクコクとうなずく。

「ケーン、お前の負け。
大人しくイージスシリーズと、竜鱗の鎧着ろよ」
 ケンイチが、大人としてアドバイス。

「だって、つまんないんだもん……」
 ケーンはいじける。

 メイサは、さっき夜の女王に初めてあいさつした。隣にいたケンイチは、さすがに少し老けて感じた。
 懐かしくはあったが、自分が心の中で温めていた姿とは違っていた。
 どこか遠く感じられるというか……。むしろ、ケーンが、昔のケンイチそのものだというか……。

 読者の方にも、覚えがあるのではないだろうか?
 高校を卒業して十年、二十年後の同窓会。初恋の君が、既婚者となり遠く感じられる。

 たとえば、お相手が男性なら、

お腹出てるし……。
額が寂しくなってるし……。
社会に覇気が吸い取られてるし……。

たとえば、お相手が女性なら……、
化粧、ケバ過ぎない?
お腹、たるんでる?
子供が三人? 「もうお母ちゃん」の呼称がぴったり?

 同窓会へ出席するときは、覚悟して臨みましょう。


 閑話休題。今ケーンとメイサが口論しているのは、「保護区」で狩りをする装備の問題だ。
 キキョウが主に「保護区」で修行を積んだと聞き、メイサが狩猟デートに行こうと言い出したのだ。

 保護区には、もちろんピンからキリまでの魔物がいるが、メイサが満足できるのは、当然ピンに近い方。

 ケーンは、嫁となったメイサが心配でならない。メイサは、自分の実力が見くびられているようで心外だ。

「メイサ、あなたもちゃんと、イージスシリーズを装備しなさい。
ケーンは嫁のかすり傷でも、我慢できないの」
 ほほえましく新婚夫婦を見守り、折衷案を下す夜の女王だった。


 保護区Sクラスダンジョン、最奥部。ケーンとメイサのバディーは、ヒドラを倒した。

「ケーン、装備固めろと言った意味がわかった。
女王様が、イージスシリーズを、あなたに装備させた意味も。
下手したら死んでたね。お互い」

「前は余裕で倒せたんだけど。
やっぱりキツかった……」
 背中を合わせ、座り込む新婚夫婦だった。

「ほら、上級ポーション」
 ケーンが疲労困憊のメイサの肩越しに、上級ポーションを渡そうとした。
 装備のおかげで、メイサの柔肌が傷つくことはなかった。だが、ここまでのダンジョン道中、そして、ここのラスボスはハンパなかった。

「疲れた!
飲ませて!」
 メイサは、わがままを言ってみる。

指一つ動かしたくないも本当だが、そこは新婚さん。甘えてみたいでしょ!

「しょうがね~な……」
 ぐびっ……。
 ぶちゅっ。
 ごくっ。

「おいしい……。ケーンにも」
 ぐび…。 
 ぶちゅっ。
 ごく。

 落とされたヒドラの頭が、チッっと舌打ちしたとか、しなかったとか。


 ケーンは魔力ポーションを使い、リターンの魔法を唱えた。

「おかえり……。
あらま……」
 ユリがあきれ口調で挨拶。ユリとキキョウ、それにテレサが入り口で待っていた。

 ケーンはメイサをお姫様抱っこして帰還。メイサの方がでかいので、なんとなく滑稽?
 逆の方が様になる?

 男として、カッコつかないだろうけど。

「メイサさん、来たでしょ?」
 テレサが遠慮気味に聞く。

「来た来た!
ダンジョンって、燃えるよね!」
 ダンジョンボスを倒した後、何が「来た」のか、15Rにつき説明できない。

 メイサが狩猟デートをねだったのは、嫁仲間から聞いていたからだ。

 実力以上の敵を倒したケーンの生態。

 保護区の魔物は消滅しない。
だけど、始まったら、でかくてグロい魔物の死体や頭も、気にならなくなっちゃう!

 味をしめたメイサは思う。ダブルS、トリプルSにも挑戦したい!
 二人じゃ無理だろうけど、複数エッチも、もうやみつきだ!

 バトルジャンキー新婚さんは、似た者夫婦かもしれない。


 十分ほど後のこと。

 エミリーは、主と彼女の夫を珍しく笑顔で迎えた。主の表情が輝いて見えた。
 どうやら楽しいデートが過ごせたようだ。

「エミリー、見て見て!」
 メイサはどや顔で言う。そして、今日倒した魔物を、次々とアイテムボックスから取り出していった。
 アイテムボックスは、今日ミレーユからもらったばかり。
 
 エミリーの笑顔が、次第にこわばっていく。

 ゴトッ、ゴトッ……。ヒドラの頭が……。

「これって……。う~~~ん」
 ケーンとメイサが狩った魔物の数々。

 最後に取り出されたヒドラの頭を見て、エミリーは気絶した。

 二人でヒドラ狩りはないでしょ!
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