改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
103 / 170

103 ケーン、愚痴る

しおりを挟む
 ライラック、光の神殿分院。分院最高責任者ミハエル・オドヌス大司教は頭を抱えていた。

二週間前、光の女神から神託があった。

『分院に冒険者志望者のための寺小屋を作りなさい』

なんでやねん、と心の中で愚痴るものの、女神の神託は絶対だ。
取り急ぎ聖騎士訓練施設の一部を改装し、宿泊施設兼教室は確保している。


「オドヌス大司教。
元勇者パーティのメアリー様と、リンダ様が面会を求めておられます」
 彼の秘書を務める神官が、ドアの外でそう告げた。

「お通ししろ」
 アポはあったので、司教は面会を許可した。

ほどなくメアリーとリンダが、大司教の執務室を訪ねた。

「お久しぶりです。長らくのお勤め、ごくろうさまでした」
 大司教は如才のない笑顔で、二人の労をねぎらう。

「お久しぶりでございます。
これといった功績は挙げられませんでしたが、期間だけは長く勤めました。
そろそろ後進を育てる年かとも思います。
なにより、光の女神様のお導き。
精一杯努めますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします」
 メアリーは当たり障りなく応える。

「もちろんです。
もちろんですが、なにゆえ女神様は、ライラックをお選びになったのか……」

「ご存じだとは思いますが、わたくしの力では、詳しい神託を受けられません。
多分、ライラック城外に、初心者向けの森があって、そこにチュートリアルダンジョンが生まれたからでしょう。
貴族や富裕階層の教育は充実しておりますが、成り上がりたい一般庶民にも、対魔王戦への機会を与える。
女神様の意気込みがうかがえます」

「ですか……」
 大司教はあきらめ顔で言う。

「ですね。さっそく寺小屋入門生募集の手筈(てはず)のほど、よろしくお願いします」

 メンドクセー、と思いながらも、大司教は「お任せ下さい」と、メアリーに応えるしかなかった。


☆ ☆ ☆

 ケーンは不機嫌な表情で、装備を身につけた。

一見超カッコよく見える。

だが、すべて呪いの魔道具で固められている。

堕落の革鎧・虚飾の革兜・こてこてギャグの小手・運動オンチのブーツ・博愛の剣。

トータルで筋力・体力・魔力・敏捷性・知力・精神力九割削減のバッドステータスをもたらす。

現状維持は器用さだけだ。もっとも、それらは自らが選んだ装備であり、不機嫌の原因ではない。


「美女美少女限定って、注文付けたのに……、ぶつぶつ、ぶつぶつ……」

「まあそう言いなや。
考えてみたらあんた、男友達、一人もおらんやろ? 
男の友情も青春やで」
 ユリが半笑いでケーンを慰める。

「現実問題として、入門希望者の八割が男性だったですから。
これでも頑張って、半分は女性をねじこみました。
容姿は……磨けば光る可能性も、なきにしもあらず…かもしれません」
 入門者選考委員の責任者、キキョウがケーンから目をそらして言う。

「ごめんなさい。
美女美少女限定の条件、教会側はどうしても納得してくれませんでした」
 テレサは一応教会側に主張してみた。

「女性比率が極端に高いこの世界において、女性の働き方改革は、ぜひとも必要です」

一応筋は通っているので、教会はしぶしぶ男女比率均等を認めた。

「わかってますぅ~。
継続的に有能な若者を効率よく集めるには、教会の信用に頼るのが一番。
いってくるか~!」
 言い出しっぺは自分。

半年はヤローどもと青春する!…しかない。 

気分を改め、入寺子屋式に向かうケーンだった。

ちなみに、美女美少女と青春しようプランは、写真付き合格者名簿を一瞥してあきらめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...