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116 ケモナーの皆様、猫娘です
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ケーンは嬉々として、ローレンはしぶしぶ王国夜の街に出た。
「で、どんな店で飲みたいんだ?」
ケーンは一応国のVIP。礼をはなはだしく失した自覚は、ローレンにもある。
「耳寄りな話聞いちゃった! ケモミミ希望!」
ケーンは、永遠の少年の目で応える。
「はあ?」
「だから! 獣人族の女の子!
いやね、不思議に獣人族と出会わなかったんだ」
ケーンの言っていることは事実だった。
ただし、正確に言えば、永遠の少年の心、つまり中二心をくすぐる獣人族の女、であるが。
獣人族は、抜群の身体能力を持っている反面、人族に比べ寿命が短い。平均寿命は、おおよそ五十年。
冒険者として活躍できる期間は短い。
さらに言えば、獣人族冒険者は、ケモノ寄りの身体を持つ者が絶対的に多い。
早い話、ケーンが出会った獣人族の女は、オバサンマッチョでケモケモすぎって感じ。
人寄りの獣人族は、はっきり言って弱い。それらの大多数は、田舎でひっそり暮らしている者が、ほとんどだと想像される。
そんなわけで、これまでケーンの(いい女)レーダーに、反応はなかった。
ところが! メイサからの超耳より情報!
お色気の店で務める獣人なら、中二心をそそる女の子がいる、可能性きわめて高し!
ローレンは思う。メイサ様、どうしてこんな男を夫に選んだ?
ローレンは、高級に属するクラブを選んだ。その名もピンククラブ。
ピンクとは、ピンサロ的にエロいの意味ではない。「若々しい」「フレッシュ」のイメージ。その点誤解なきよう。
VIPに対する体面もあるし、なにより、エチエチ即OKの店なんかへ連れて行ったら、メイサが超怖い。
「あら、ローさん、お久しぶり」
白のロングドレスをまとった、女性が即お出迎え。
「ママ、こいつ…この方は、メイサ様の夫だ。
失礼のないように頼む」
ママからロー様と呼ばれたことが、若干気まずかったが、ローレンは釘をさした。
その心は、過度の接待を慎むように、ということ。
メイサを本気で怒らせたら、マジで命が危ない。
「あらあら……。あのメイサ様がね。
なんでも、人族の勇者に、ご執心だったとか」
さすが高級クラブのママ。情報には敏感だ。
「ママ、俺はその勇者の息子だよ。
だけどさ、今の言葉、水商売では禁句じゃない?
妻に思い人がいたなんて、普通の夫は聞きたくないよ」
ケーンは、ぴしりと意見する。
「人族の方は、そうだったですね。失礼しました。
ですが、あなた本当に人族なんですか?
なんか不思議な気を感じます」
「それも余計な詮索じゃない?」
ケーンは、さらに意見する。
「あら、ごめんなさいね。
竜族はデリカシーがないって言われそう。
うんとサービスしますから、お許しください」
ママはケーンの腕をとって、ボックスシートに導いた。
この店のママは、水商売には珍しい、竜族の女だった。
竜族は思ったことをすぐ口にしてしまう。世慣れたはずの彼女も、例外ではなかった。
「ママ、こいつ…この方は、獣人族の娘がご所望だ。
ミーちゃん、つけてくれ」
ローレンは仕方なくそう依頼した。
ミーちゃんなら安全だ。この男は多分とびっきりの面食い。嫁のラインナップを見たら、容易に想像できる。
「あらあら……。珍しい。
ミーちゃん、御指名よ」
ママは奥に向かって言う。
「はい……」
薄暗い隅の方で、ひっそり座っていた女の子が席を立った。
猫耳、猫しっぽ!
だけど……。見るからに陰キャ?
いや、かわいいちゃ、かわいいんだけどね……。
大いに気がそがれたケーンだった。
「いらっしゃいませ。ミーです」
ミーちゃんは、ケーンの隣に侍って、そう言った。うつむきがちで、蚊の鳴くような声。
「ママ! この子改造していい?
今のままじゃ、絶対売れないでしょ!」
ケモナーケーンは、メラメラとファイトが湧いた。
「改造?」
ママはドン引きしながら言った。
「もちろん、体をいじろうなんて思ってない。
かわいい子を、よりかわいく変身させる。
俺に任せなさい!」
ケーンは、胸を張って応えた。
「で、どんな店で飲みたいんだ?」
ケーンは一応国のVIP。礼をはなはだしく失した自覚は、ローレンにもある。
「耳寄りな話聞いちゃった! ケモミミ希望!」
ケーンは、永遠の少年の目で応える。
「はあ?」
「だから! 獣人族の女の子!
いやね、不思議に獣人族と出会わなかったんだ」
ケーンの言っていることは事実だった。
ただし、正確に言えば、永遠の少年の心、つまり中二心をくすぐる獣人族の女、であるが。
獣人族は、抜群の身体能力を持っている反面、人族に比べ寿命が短い。平均寿命は、おおよそ五十年。
冒険者として活躍できる期間は短い。
さらに言えば、獣人族冒険者は、ケモノ寄りの身体を持つ者が絶対的に多い。
早い話、ケーンが出会った獣人族の女は、オバサンマッチョでケモケモすぎって感じ。
人寄りの獣人族は、はっきり言って弱い。それらの大多数は、田舎でひっそり暮らしている者が、ほとんどだと想像される。
そんなわけで、これまでケーンの(いい女)レーダーに、反応はなかった。
ところが! メイサからの超耳より情報!
お色気の店で務める獣人なら、中二心をそそる女の子がいる、可能性きわめて高し!
ローレンは思う。メイサ様、どうしてこんな男を夫に選んだ?
ローレンは、高級に属するクラブを選んだ。その名もピンククラブ。
ピンクとは、ピンサロ的にエロいの意味ではない。「若々しい」「フレッシュ」のイメージ。その点誤解なきよう。
VIPに対する体面もあるし、なにより、エチエチ即OKの店なんかへ連れて行ったら、メイサが超怖い。
「あら、ローさん、お久しぶり」
白のロングドレスをまとった、女性が即お出迎え。
「ママ、こいつ…この方は、メイサ様の夫だ。
失礼のないように頼む」
ママからロー様と呼ばれたことが、若干気まずかったが、ローレンは釘をさした。
その心は、過度の接待を慎むように、ということ。
メイサを本気で怒らせたら、マジで命が危ない。
「あらあら……。あのメイサ様がね。
なんでも、人族の勇者に、ご執心だったとか」
さすが高級クラブのママ。情報には敏感だ。
「ママ、俺はその勇者の息子だよ。
だけどさ、今の言葉、水商売では禁句じゃない?
妻に思い人がいたなんて、普通の夫は聞きたくないよ」
ケーンは、ぴしりと意見する。
「人族の方は、そうだったですね。失礼しました。
ですが、あなた本当に人族なんですか?
なんか不思議な気を感じます」
「それも余計な詮索じゃない?」
ケーンは、さらに意見する。
「あら、ごめんなさいね。
竜族はデリカシーがないって言われそう。
うんとサービスしますから、お許しください」
ママはケーンの腕をとって、ボックスシートに導いた。
この店のママは、水商売には珍しい、竜族の女だった。
竜族は思ったことをすぐ口にしてしまう。世慣れたはずの彼女も、例外ではなかった。
「ママ、こいつ…この方は、獣人族の娘がご所望だ。
ミーちゃん、つけてくれ」
ローレンは仕方なくそう依頼した。
ミーちゃんなら安全だ。この男は多分とびっきりの面食い。嫁のラインナップを見たら、容易に想像できる。
「あらあら……。珍しい。
ミーちゃん、御指名よ」
ママは奥に向かって言う。
「はい……」
薄暗い隅の方で、ひっそり座っていた女の子が席を立った。
猫耳、猫しっぽ!
だけど……。見るからに陰キャ?
いや、かわいいちゃ、かわいいんだけどね……。
大いに気がそがれたケーンだった。
「いらっしゃいませ。ミーです」
ミーちゃんは、ケーンの隣に侍って、そう言った。うつむきがちで、蚊の鳴くような声。
「ママ! この子改造していい?
今のままじゃ、絶対売れないでしょ!」
ケモナーケーンは、メラメラとファイトが湧いた。
「改造?」
ママはドン引きしながら言った。
「もちろん、体をいじろうなんて思ってない。
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俺に任せなさい!」
ケーンは、胸を張って応えた。
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