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121 ミーちゃんと里帰り
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ミーちゃんのふるさと、獣人族のワイルド村は竜王国内の外れにあった。
それというのも、人間形体に近い獣人族は前述のように弱い。竜王国なら治安はばっちり。
安心して生活できる。
ケーンとミーちゃんは、ブラックに二人乗り。空を飛んだ方が早いが、ミーちゃんは、高所恐怖症だという。
それに、ペガサスに乗って、故郷に錦を飾るのもいいと思うが、やっかまれても困る。
夜の女王様と、元勇者ケンイチ様のご子息。これ以上は考えられない玉の輿だ。
「ケーン様、このじーんずっていうズボン、はきやすいですね」
会話に困ったミーちゃんが、体を包み込むようなケーンに言った。ミーちゃんは、なるべく質素な服を注文した。村の娘たちにねたまれるという心配があったから。
ケーンから与えられたのは、ジーンズに白Tだった。
ケーン的には、アキバ系メイドファッションが希望だったのだが、仕方がなかった。
「もともとは作業着なんだ。
丈夫さだけが取り柄?
だけど、とうちゃんが暮らしてた世界では、ポピュラーなんだ」
「ちきゅう、ですね……。
行ったことあるんですか?」
「情報は得られるけど、行ったことないよ。
ヒカリちゃんの言うことには、無理なんだって」
「そうなんですか?
ちきゅうって、どんな世界ですか?」
「どんな世界と言われてもね……。
魔力が極端に薄くて、魔法が使えないらしいよ。
そのため、科学技術と呼ばれる、魔法みたいな技が発展した」
「ふ~ん……。魔法がなければ、ないなりに、なんとかできるものなんですね?」
ケーンは、ミーちゃんの素朴な感想に、少し笑った。
ケーンは、母親に能力を下げられ、魔法を十分に使えなくなった。
少ない力をどう生かすか。それをテーマに魔物や魔族と戦ってきた。
すると、以前より研ぎすまされる自分を感じた。
まさに「なんとかできる」ものだった。
「そうかもしれないね。ミーちゃんは魔法使える?」
「生活魔法ならちょっぴり?
戦闘には全然役立ちませんけど。
ワイルド村で暮らしてる獣人族は、みんな中途半端なんですよね。
身体能力は人種よりちょっぴり高いけど、魔力は全然かなわない。
すぐに老けちゃうし。
ほんとに私で、いいんですか?」
ミーちゃんは視線を落として聞く。
「だから! 何度も言ってるだろ?
君は超個性的でかわいい!」
ケーンは、左手の手綱を離し、ミーちゃんの腰をぐっと抱きしめた。
「ありがとうございます。
嬉しいです、ご主人さまぁ~ん、にゃんにゃん!」
少しはにかみながら、招き猫ポーズをとるミーちゃんだった。
山の裾にあるワイルド村が見えてきた。
まずい! ヘルコンドルだ!
遠視が利くケーンの目には、村の上で旋回するヘルコンドルが見えた。
ヘルコンドルはCクラスの魔物だが、村人に高い対空戦闘能力があるとは思えない。
「ミーちゃん、魔物が村を狙ってる!
空を飛ぶよ!
ブラック!」
「承知!」
ブラックは羽根をはやし、ふわりと飛び上がった。
「あわわわわ……」
ふっ、カクン。
高所恐怖症のミーちゃんは、ブラックの飛行速度も相まって気絶した。
ミーちゃんは目を開けた。
見知っている天井だ……、って、ウチのあばら家だ……。
ミーちゃんは体を起こした。気づいたら、両親と兄弟たちが、心配そうな顔で自分を取り巻いていた。
「ミー、大丈夫?
ケーンさんは、気絶してるだけだと言ってたけど」
母親のマーが、声をかけてきた。
「大丈夫……。そうだ! ケガしてない?」
ミーちゃんは、顔ぶれを見渡す。
家族十人、みんな元気そうだ。ほっとしてミーちゃんは脱力した。
「ケーンさんが、一撃でやっつけてくれたの!」
ミーちゃんの二つ下の妹ムーが、興奮気味に言った。
「そりゃそうよ!
ケーン様はSクラスの冒険者なんだから!」
ミーちゃんは、超どや顔で言う。
「そうだ! ケーンさんは?」
ケーンの姿が見えないことに気づき、ミーちゃんは焦った。
まさか怪我でもした?
「ヘルコンドルを、解体してくれてるの!
今晩はごちそうだ!」
ムーは片手を突き上げる。
わ~! と歓声があがる。
ミーちゃんは思った。ヘルコンドルって、おいしいのだろうか?
ミーちゃん一家、ケーン歓迎の宴。
もっとも、食材は、すべてケーンが提供した。
ミーちゃんがケーンを連れてきたのは、ノーアポだったし、連絡していたとしても、宴会できるほど生活にゆとりはない。
「さささ、お父さん、ぐっといってください!」
ケーンはミーちゃんパパに、ワインを勧める。
「ありがとうございます!
べらぼうにうまいですね!」
ミーちゃんパパは、ぐいっとグラスを空ける。
この家に、ワイングラスなど、あるはずもない。もちろんワインも。
すべて出所は、ケーンのアイテムボックス。
「お父さん、そのワイン、ビンテージだよ。お店で頼んだら、一本金貨五枚はする」
ミーちゃんは、ハラハラしながらそう言った。
彼女は職業柄、そのワインの銘柄を知っていた。竜王国一の豪商が、得意そうにオーダーしていたのを、覚えていたのだ。
ヘルプのミーちゃんは、においをかいだだけだが。獣人のスキルで、鼻だけはよく利くミーちゃんは、その芳香も覚えていた。
においだけでも、銅貨一枚ぐらい?
「金貨五枚!」
全員ひっくり返りそうになった。
「まあ、まあ、まあ。
気にしないでいっちゃってください!」
夜空城産のワイン、そんなにするんだと、ケーンは思ったが、ノープロブレム。
「気になります!」
ミーちゃん一家のほとんどは、声をそろえて叫んだ。
「ふぎゃ~~~!」
眠っていた一番下の弟が、泣き叫んだ。
「S級冒険者って、そんなに儲かるのでしょうか?」
ミーちゃんパパは、恐る恐る聞いた。
「まあまあ儲かるみたいですね。
そういえば、しばらくギルドで素材売却してないな。
ブラック、あのバッグ、あげちゃって」
ケーンは、背後で控えるブラックに命じた。
「承知。私がざっと計算したところ、金貨五百枚はあるはずです」
ブラックは、新ブラックバッグを床に置いた。
以前のブラックバッグより、上質で大容量のお品。ソート機能はついていないが、時間停止の機能はついている。
一々ギルドで換金するのは面倒だから。
なにせケーンの嫁は増えている。ブラックは、ケーンや嫁たちが倒した魔物は、欠かさず回収していた。
以前のバッグでは容量が、あっという間に不足してしまう。
「金貨五百枚……、う~ん……」
バタン! ミーちゃんパパは、後ろにひっくり返ってしまった。
「ふぎゃ~~~!」
泣き止んでいた弟は、再び泣き叫んだ。
家族一同、心境は「ふぎゃ~~~!」だった。
その夜。ミーちゃんの家の庭に、ケーンはいつものテントを張った。
「ケーン様、とんでもない田舎ものばかりでごめんなさい」
ベッドでミーちゃんはしょんぼり。
「貧しさは恥じゃない。
裕福さが誇りじゃないようにね」
ケーンは気取って言う。
決まった?
「あのバッグ、ほんとにいいんですか?
中身以上に、バッグの方が……」
お値段を想像するだに空恐ろしい。
「気にしないで。
俺が五、六年前、練習で作ったやつだから。
ミレーユなら、もっと立派なやつ、作れるんだけど」
「はあ……」
ミーちゃんは思う。私、とんでもない人の嫁になっちゃった……。
「あのさ、一つ聞きたいんだけど」
ケーンが好奇心丸出しの目で聞く。
「なんでしょう?」
ミーちゃんは聞きかえす。
「兄弟、たくさんいたよね?
どうやって子供つくったの?
あの家で」
「そ、そんなこと知りません!」
ミーちゃんは、言われてから気づいた。定員オーバーすぎるあの家でも、子作りはできるんだ?
ケーンさんとお嫁さん達基準プレイでは、絶対無理だけど。
「なんならこのテント、お父さんとお母さんに……」
「絶対やめてください!
これ以上兄弟、欲しくないです!」
そう言って、ケーンにむしゃぶりつくミーちゃんだった。
私が子作りするのは、いいよね?
「いらっしゃいませ、御主人さまぁ~ん」
ネコミミメイド嫁にふさわしく、ご奉仕を始めるミーちゃんだった。
にゃん、にゃん!
それというのも、人間形体に近い獣人族は前述のように弱い。竜王国なら治安はばっちり。
安心して生活できる。
ケーンとミーちゃんは、ブラックに二人乗り。空を飛んだ方が早いが、ミーちゃんは、高所恐怖症だという。
それに、ペガサスに乗って、故郷に錦を飾るのもいいと思うが、やっかまれても困る。
夜の女王様と、元勇者ケンイチ様のご子息。これ以上は考えられない玉の輿だ。
「ケーン様、このじーんずっていうズボン、はきやすいですね」
会話に困ったミーちゃんが、体を包み込むようなケーンに言った。ミーちゃんは、なるべく質素な服を注文した。村の娘たちにねたまれるという心配があったから。
ケーンから与えられたのは、ジーンズに白Tだった。
ケーン的には、アキバ系メイドファッションが希望だったのだが、仕方がなかった。
「もともとは作業着なんだ。
丈夫さだけが取り柄?
だけど、とうちゃんが暮らしてた世界では、ポピュラーなんだ」
「ちきゅう、ですね……。
行ったことあるんですか?」
「情報は得られるけど、行ったことないよ。
ヒカリちゃんの言うことには、無理なんだって」
「そうなんですか?
ちきゅうって、どんな世界ですか?」
「どんな世界と言われてもね……。
魔力が極端に薄くて、魔法が使えないらしいよ。
そのため、科学技術と呼ばれる、魔法みたいな技が発展した」
「ふ~ん……。魔法がなければ、ないなりに、なんとかできるものなんですね?」
ケーンは、ミーちゃんの素朴な感想に、少し笑った。
ケーンは、母親に能力を下げられ、魔法を十分に使えなくなった。
少ない力をどう生かすか。それをテーマに魔物や魔族と戦ってきた。
すると、以前より研ぎすまされる自分を感じた。
まさに「なんとかできる」ものだった。
「そうかもしれないね。ミーちゃんは魔法使える?」
「生活魔法ならちょっぴり?
戦闘には全然役立ちませんけど。
ワイルド村で暮らしてる獣人族は、みんな中途半端なんですよね。
身体能力は人種よりちょっぴり高いけど、魔力は全然かなわない。
すぐに老けちゃうし。
ほんとに私で、いいんですか?」
ミーちゃんは視線を落として聞く。
「だから! 何度も言ってるだろ?
君は超個性的でかわいい!」
ケーンは、左手の手綱を離し、ミーちゃんの腰をぐっと抱きしめた。
「ありがとうございます。
嬉しいです、ご主人さまぁ~ん、にゃんにゃん!」
少しはにかみながら、招き猫ポーズをとるミーちゃんだった。
山の裾にあるワイルド村が見えてきた。
まずい! ヘルコンドルだ!
遠視が利くケーンの目には、村の上で旋回するヘルコンドルが見えた。
ヘルコンドルはCクラスの魔物だが、村人に高い対空戦闘能力があるとは思えない。
「ミーちゃん、魔物が村を狙ってる!
空を飛ぶよ!
ブラック!」
「承知!」
ブラックは羽根をはやし、ふわりと飛び上がった。
「あわわわわ……」
ふっ、カクン。
高所恐怖症のミーちゃんは、ブラックの飛行速度も相まって気絶した。
ミーちゃんは目を開けた。
見知っている天井だ……、って、ウチのあばら家だ……。
ミーちゃんは体を起こした。気づいたら、両親と兄弟たちが、心配そうな顔で自分を取り巻いていた。
「ミー、大丈夫?
ケーンさんは、気絶してるだけだと言ってたけど」
母親のマーが、声をかけてきた。
「大丈夫……。そうだ! ケガしてない?」
ミーちゃんは、顔ぶれを見渡す。
家族十人、みんな元気そうだ。ほっとしてミーちゃんは脱力した。
「ケーンさんが、一撃でやっつけてくれたの!」
ミーちゃんの二つ下の妹ムーが、興奮気味に言った。
「そりゃそうよ!
ケーン様はSクラスの冒険者なんだから!」
ミーちゃんは、超どや顔で言う。
「そうだ! ケーンさんは?」
ケーンの姿が見えないことに気づき、ミーちゃんは焦った。
まさか怪我でもした?
「ヘルコンドルを、解体してくれてるの!
今晩はごちそうだ!」
ムーは片手を突き上げる。
わ~! と歓声があがる。
ミーちゃんは思った。ヘルコンドルって、おいしいのだろうか?
ミーちゃん一家、ケーン歓迎の宴。
もっとも、食材は、すべてケーンが提供した。
ミーちゃんがケーンを連れてきたのは、ノーアポだったし、連絡していたとしても、宴会できるほど生活にゆとりはない。
「さささ、お父さん、ぐっといってください!」
ケーンはミーちゃんパパに、ワインを勧める。
「ありがとうございます!
べらぼうにうまいですね!」
ミーちゃんパパは、ぐいっとグラスを空ける。
この家に、ワイングラスなど、あるはずもない。もちろんワインも。
すべて出所は、ケーンのアイテムボックス。
「お父さん、そのワイン、ビンテージだよ。お店で頼んだら、一本金貨五枚はする」
ミーちゃんは、ハラハラしながらそう言った。
彼女は職業柄、そのワインの銘柄を知っていた。竜王国一の豪商が、得意そうにオーダーしていたのを、覚えていたのだ。
ヘルプのミーちゃんは、においをかいだだけだが。獣人のスキルで、鼻だけはよく利くミーちゃんは、その芳香も覚えていた。
においだけでも、銅貨一枚ぐらい?
「金貨五枚!」
全員ひっくり返りそうになった。
「まあ、まあ、まあ。
気にしないでいっちゃってください!」
夜空城産のワイン、そんなにするんだと、ケーンは思ったが、ノープロブレム。
「気になります!」
ミーちゃん一家のほとんどは、声をそろえて叫んだ。
「ふぎゃ~~~!」
眠っていた一番下の弟が、泣き叫んだ。
「S級冒険者って、そんなに儲かるのでしょうか?」
ミーちゃんパパは、恐る恐る聞いた。
「まあまあ儲かるみたいですね。
そういえば、しばらくギルドで素材売却してないな。
ブラック、あのバッグ、あげちゃって」
ケーンは、背後で控えるブラックに命じた。
「承知。私がざっと計算したところ、金貨五百枚はあるはずです」
ブラックは、新ブラックバッグを床に置いた。
以前のブラックバッグより、上質で大容量のお品。ソート機能はついていないが、時間停止の機能はついている。
一々ギルドで換金するのは面倒だから。
なにせケーンの嫁は増えている。ブラックは、ケーンや嫁たちが倒した魔物は、欠かさず回収していた。
以前のバッグでは容量が、あっという間に不足してしまう。
「金貨五百枚……、う~ん……」
バタン! ミーちゃんパパは、後ろにひっくり返ってしまった。
「ふぎゃ~~~!」
泣き止んでいた弟は、再び泣き叫んだ。
家族一同、心境は「ふぎゃ~~~!」だった。
その夜。ミーちゃんの家の庭に、ケーンはいつものテントを張った。
「ケーン様、とんでもない田舎ものばかりでごめんなさい」
ベッドでミーちゃんはしょんぼり。
「貧しさは恥じゃない。
裕福さが誇りじゃないようにね」
ケーンは気取って言う。
決まった?
「あのバッグ、ほんとにいいんですか?
中身以上に、バッグの方が……」
お値段を想像するだに空恐ろしい。
「気にしないで。
俺が五、六年前、練習で作ったやつだから。
ミレーユなら、もっと立派なやつ、作れるんだけど」
「はあ……」
ミーちゃんは思う。私、とんでもない人の嫁になっちゃった……。
「あのさ、一つ聞きたいんだけど」
ケーンが好奇心丸出しの目で聞く。
「なんでしょう?」
ミーちゃんは聞きかえす。
「兄弟、たくさんいたよね?
どうやって子供つくったの?
あの家で」
「そ、そんなこと知りません!」
ミーちゃんは、言われてから気づいた。定員オーバーすぎるあの家でも、子作りはできるんだ?
ケーンさんとお嫁さん達基準プレイでは、絶対無理だけど。
「なんならこのテント、お父さんとお母さんに……」
「絶対やめてください!
これ以上兄弟、欲しくないです!」
そう言って、ケーンにむしゃぶりつくミーちゃんだった。
私が子作りするのは、いいよね?
「いらっしゃいませ、御主人さまぁ~ん」
ネコミミメイド嫁にふさわしく、ご奉仕を始めるミーちゃんだった。
にゃん、にゃん!
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