改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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132 カチコミかけるぞ!

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 ケーンは、ポーションを卸すためにギルドへ。ギルド側の受け入れ態勢を確かめる目的もある。

 ちなみに、レミの店は、予告通り一週間後に閉店した。

 ケーンがギルド内に入ると、一か所やけに混雑しているコーナーがあった。

『レミの薬屋直売・予約コーナー』

 その立て看板が置かれていた。ギルド側は、誠実に対策を講じたようだけど……。ちょっと混み過ぎてない?

「何度も言うように、リッテン伯爵の家の者だぞ!
伯爵が一括して購入すると言っておるのだ!
できないとはどういうことだ!」

 ケーンは、はは~んと思った。レミから、貴族のごり押しがうるさいと聞いていた。店は閉じて現在無人だから、ギルドへ押しかけてきたのだろう。

「ちわ~! レミの薬屋です!
ポーション届けに来たよ!」
 ケーンは最前列に割って入った。

「レミの薬屋とな?
ちょうどいい。
急に店が閉められて困っておった。
中級ポーションと下級ポーション百本ずつ……」
 伯爵家の小者だろう。虎の威を借るなんとやらで、やたらふんぞり返った小太り男が言いかけたところ……。

「あんたに売る、ポーションはねえ!
文句があるなら俺に言え!」
 ケーンの啖呵に、ギルド内は拍手喝采。さすがの冒険者たちも、伯爵家の者に、正面切って口出しできなかったのだ。

「ぐぬぬぬ……。無礼者め!」

「冒険者ギルドは冒険者のものだ!
貴族なんてひっこんでろ!」
 ケーンの怪気炎に、冒険者たちは超スッキリ!

「ぐぬぬぬ……。後悔するな!」
 虎の威を借る…タヌキは、頭に湯気を上らせてギルドを去った。彼はケーンがSクラス冒険者であることを知っていた。そしてキキョウをはじめ、超強い嫁がいることも。

「ケーンさん、いいんですか?
リッテン伯爵家は……」
 新設コーナーの受付嬢は、顔を青くして言う。

「知ってるよ。騎士団総督。
ガチガチの武闘派で、ガチ訓練で有名?
ポーションの需要が激しいのはわかるけどね」
 ケーンの言葉に、受付嬢はコクコクとうなずく。騎士団総督は四つの騎士団を取りまとめる最高責任者だ。圧倒的武力を誇る。

「話つけてくる。
あっと、中級ポーション百本、下級ポーション五百本、毒消し百本。
このボックス、劣化抑制機能がついてるから、大切に扱って。
俺からギルドにプレゼント!」
 ケーンはアイテムボックスから、でかいクーラーボックスを出してカウンターの後ろに置いた。ケーンの膂力なら問題ないが、重いので、中クラス以上の魔法のカバンでもなければ運べないだろう。

「ありがとうございます!
本数を確かめさせていただきます。
しばらくお待ちください!」
 受付嬢は嬉々としてクーラーボックスを開けた。

 ケーンは、かがんで本数を確認する受付嬢の、胸の谷間を思う存分鑑賞した。少し残念なことに、おっぱいは並みだった。  
だがしかし! ちらっとだが…ほんのちらっとだが、おかげでラッタッタと、踊りたくなる部分も見えた。

 大儲け!

 ギルド内で、再び拍手が起こった。冒険者たちが忌嫌うのは、貴族の横暴だった。

「伯爵がなんぼのもんじゃい!」
「おとといきやがれ!」
「ケーンの嫁が黙ってないぞ!」

 タヌキがいなくなってから、やたら威勢がよくなった冒険者たちだった。
 
 俺の『嫁』が…ね……。かくんとくるケーンだった。
 

 ケーンはご機嫌でキキョウの家へ転移。
「ユリ、手が空いてる嫁を集合させて。
カチコミかけるぞ!」

「はあ?
カチコミって、相手は誰や?」
 ユリは不審に思って聞く。カチコミ、という以上、対象は人族だろう。現時点で、魔族にカチコミをかける意味は思いつかない。
 ならば、「嫁集合」の意味もわからない。人族が相手なら、ケーン一人でも十分対応が可能だ。
 相手が軍部なら別だが。いや、その気になれば、可能か……。
今のケーンなら。

「リッテン伯爵、ぶっ潰す!」

 おやま、相手はマジで軍のトップですか? ユリは笑うしかなかった。
 いかにも楽しそうな、ケーンの表情を見たら止められない。

 嫁たちはユリの呼びかけに応え集合。ケーンは、ギルドでの出来事を説明する。

「そんなわけで、手下には殺すほどの罪はない。
俺一人でもいいんだけど、さすがに軍相手では、加減が難しい。
博愛の剣でも自信がない。
それと、君たちの力を示したら、国への大きな抑止力となる。
ジャンヌ、君はここで非戦闘嫁を守ってくれ。
行くぞ!」
 ケーンは気合一発、リッテン伯爵邸へ転移した。

「しゃ~ない。行こか?」
「ちょっと待って。証拠書類用意するから」
 キキョウはそう言って、寝室へ入った。
 証拠書類?
 はは~ん。そういうことか……。ユリはケーンの張り切りぶりに納得。
 ケーンは単に、冒険者を代表しているわけではない。ヒカリちゃんの夫として。その意味もでかいのだろう。

ほどなくキキョウは帰り、戦闘嫁一同は、ジャンヌが作った魔法陣へ入った。
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