改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
133 / 170

133 落としどころ?

しおりを挟む
 ケーンはキキョウを始め、ユリ、総子、メイサ、テレサを引き連れ、リッテン伯爵邸の正門前に。

「ケーン、ほんまにやる気か?」
 ユリが苦笑して言う。ケーンの気持ちはわかるが、正面切って軍の最高幹部に挑んだら、大事になるのは避けられない。

「もちろん!
リゾット王がぐだぐだ言うようなら、騎士団も壊滅させる」

 実はリッテン伯爵、監獄島送りぎりぎりで、目こぼししていた貴族だった。大国リゾット軍部の実権を握る存在を、お縄にするのもどうかと思い見送った。

 体を張って国を支える冒険者をぞんざいに扱う、その思いあがった貴族根性、断じて許しがたし。

「冒険者のケーンだ!
リッテン伯爵に面会を乞う!」
 ケーンは守衛にそう言い放った。

 守衛は、びっくりして邸内に駆け込んだ。

 数分後、門が開いた。数十名の槍を構えた騎士たちが、槍衾を作る。

「無礼者め!
ギルドでのいきさつ、聞いておる!
伯爵に楯突く者は反逆者とみなす!」
 少し偉そうなおっさんが、槍衾の向こうで叫んだ。

「おもしろい! ドンパチ、やってやろうじゃん!」
 ケーンは、「宍道湖」と彫ってある木刀を構える。「洞爺湖」ではないからね!
 それに、着流しの片肌の脱ぎ方も、逆の方だからね!
 髪も銀色じゃないからね!
 なんのこっちゃ? よくわからない方は流してください。

 ある作品に、インスパイアーされていることは事実だと付記する。

 ドカッ! ガスッ! ボコッ!

 ケーンは木刀で騎士たちを叩きのめす。不意のカチコミに、騎士たちは鎧を着用してなかったが、瞬く間に戦闘不能。

「おのれ~~~!」
 偉そうなおっさんは、剣を構えた。

 おっ、意外と根性あるじゃん。ケーンはおっさんをちょっぴり見直した。

 じりっ、じりっ……。おっさんは剣を構えたまま後ずさる。

 そして……、きびすを返し、邸内に駆け込もうとする。

 やっぱり根性なかった!

 タタタタタ! ヒュッ! シュタッ! 

キキョウがおっさんを飛び越え、行く手を遮る。

「ケーン様の正妻キキョウ!
これを伯爵に見せるがよい!」
 キキョウは、ノリノリ。伯爵の不正の証拠書類を突きつける。

その内容は、収賄と息子たちの非行のもみ消し。
 少なくとも、公になれば、総督の地位は危うくなる。

 おっさんは、キキョウからひったくるように書類をつかみ、邸内へ駆け込んだ。

「ケーン、なんなら竜の姿に還ろうか?」
 メイサがケーンに腕を組んで言う。

「その必要はない」
 ケーンは空を仰いだ。大型船並みの飛空艇が、影を落とした。夜空城の宙船(そらぶね)だ。

 あれが来たということは、父ちゃんのオートマタたちが、ごっそり乗っているはず。宙船の火力は伯爵邸に過剰だが、自分たちとオートマタがちょっぴり暴れたら粉々にできる。

 母ちゃん、過保護なんだから……。今なら俺一人でも、伯爵の私兵なんてボコれるのに。
 気合入れたら、四つの騎士団を壊滅させることも可能だろう。

 まあ、そんな事態を恐れての介入だろう。

 圧倒的な力で、戦う前にねじ伏せる。一番穏当な収拾のつけ方だ。

 そう思うものの、ケーンは若干不完全燃焼だった。

 叩いて埃が出ない貴族なんて、ほぼほぼいない。問題は「誰が」「どのような埃」を出したかだ。

 伯爵は宙船を一目見て、己の運命を悟った。つまり、ジエンド。

 夜の女王の眷属が収集し、光の女神の神託によって裏付けられた不正の証拠。リゾット王国としても、握りつぶせる余地はなかった。

 リッテン伯爵の運命は、言うまでもないだろう。男爵に降格され、一地方領主として余生を送ることとなった。

 ケーン的には、軽すぎるだろ、という心境。だが、ど派手な手段を選んだのは自分だ。
 これまで腐敗貴族たちの粛清は、隠密裏に粛々と遂行した。リゾット王国の体面を考慮したら、このへんが落としどころだろうと、納得するしかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...