改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
140 / 170

140 とてつもなく変なやつ

しおりを挟む
 翌朝。

 正義はケーンが取った、最高級の宿で目を覚ました。

 ダブルベッドの上では、二人の女冒険者が、まだ眠っている。隣のセミダブルにも二人。

もちろん皆さん裸だ。

 正義は、ぼ~っとした頭で思う。どうしてこうなった?

 ご想像通り、正義は四人の女冒険者に筆おろしされた。腰が抜けるほど筆おろしされた。筆が折れるのではないかと思うほど、おろされた。

 正義は、ケーンが四人のうちの誰かを、お持ち帰りすると想像していた。

 正義が、四人にお持ち帰りされた。

 抵抗できなかった。

 よかった……。死ぬほどよかった。

 正義は思う。俺の人生、あいつに変えられちゃったかな?

 少なくとも、これだけは身に染みてわかった。女は決して弱い生き物じゃない。


 正義は四人の女冒険者と共に、一階へ降りた。

正義が、若干落胆したのは、彼女たちが実にケロッとしていることだった。

 ゆうべはあんなに燃えたのに……。

「セイギ、ゆうべは楽しかった。
またな」
 リーダーが、正義のほっぺたにちゅっ!

「気が向いたら、エッチしよう」
 ちゅっと、おっぱいはワリンちゃんのマリンちゃん。

「あのさ、俺を君たちのパーティに……」
 正義がそう言いかけたところ、リーダーは首を振ってこう答えた。

「ケーンが教えてくれた。
あんた、勇者なんだろ?
私たちは勇者と、パーティを組める器じゃない。
じゃ!」
 リーダーはメンバーを促し、宿を出て行った。


 正義が呆然と見送っていると……、背後から肩を叩かれた。

「正義、ダンジョンへ行くぞ。
クオークは、まだお前には早い」
 正義はうなずいた。一週間、こいつのペースに巻き込まれてみるか。


 ケーンと正義は、ダンジョン入り口に跳んだ。

 ゴブリンダンジョン。通称ゴブダン。初心者から一人前の冒険者へ卒業するため、ちょうどいい感じに、ヒカリちゃんが調整している。

 名前の通り、そのダンジョンは、ゴブリンしか出てこない。

 一階層は、単独のゴブリンで肩慣らし。

ただし、出現頻度は超高い。もたもたしていたら、わんこそばのように、お代わりが次々と。

 二階層は、二、三頭のゴブリンが、およそ五分間隔で出現する。

 三階層は、ゴブリンソルジャーに、メイジやアーチャーが混じる。

 四階層は、ゴブリンジェネラルが率いる、各種ゴブリンが五、六頭。

 各種ゴブリンの群れが出現する、最下層五階。最奥部には、ゴブリンキングが待ち受けている。

「……という感じ。
さあ、張り切って参りましょう!」
 ケーンの説明を受け、正義はためらう。

「このダンジョン、二人でこなせるものなのか?」
 正義は、素朴な疑問をぶつけてみた。

「何をバカなこと言ってる!」

「そうか、二、三頭なら自信はあるんだが、ダンジョンのゴブリンは弱いのか」

「ソロでこなすんだよ! 
死んだら任せておけ。
ちなみに、ダンジョンのゴブリンは、フィールドより強い」

 そんなアホな……。正義は逃げ出したくなった。このダンジョンがどの辺に位置するのか、知らないから多分無理だけど。


 ヒー、ヒー、ヒー……。正義は肩で息をする。やっと一階層のセーフティーゾーンに到達。

 最初は余裕で、次々とゴブリンをなぎ倒した。二十頭ほど倒したら、ほとんど無意識で剣を振るえた。

 ところが、次第に疲労が蓄積する。刃筋が乱れ始め、一撃では倒せなくなった。お代わりが次々と押し寄せ……。
 
 やられた! いてぇ~! 

あれっ? 回復してる?

 多分、ケーンが回復魔法をかけてくれたのだろう。痛い、という感覚だけが残り、傷は直ちに治っていた。

 ついでに、体力も回復してくれたらいいのに、と正義は心の中でブーイング。
女神官の回復魔法はそうだった。

 体力はそのままで、傷だけを治す。多分、そちらの方が高度だ。

 本当にこの男、何者なんだ?

 正義は恨みの籠った目で、ケーンを見上げる。


「ケーン、お前の回復魔法、神聖魔法なのか?」
 正義はそう聞いてみる。

「違うね。闇魔法だ。
一般に知られている回復魔法は三通り。
神聖魔法、水属性の魔法、エルフの回復魔法。
一番強力なのが神聖魔法。
それはおなじみだろ?
聖神女か光の神殿関係者しか、使えないことになってる。
俺は使えるけどね。
水属性やエルフの魔法は、即効性がない。
一部高位魔族や俺が使う闇魔法は、神聖魔法に匹敵する。
少々内臓や脳が傷んで死んでも、お花畑から引きずり返す。
お花畑、すてきなところだぞ。
いっぺん死んでみる?」

 なんだよ! そのサディスティックな微笑!

 お前は地獄少年か!

正義は、がっくりとうなだれた。


神聖魔法も闇魔法も使える? いわば水と油が、きれいに混じっている? 
いや、それはありえない。分離したままで使い分けるんだ?

正義は、いよいよケーンの正体が、わからなくなった。

「ケーン、マジで答えてくれ。
お前、何者なんだ?」

「俺は夜の女王の息子。
父ちゃんは、元勇者のケンイチだ」

 正義は納得した。噂にしか聞かない夜の女王。その息子なら、得体のしれないケーンの能力も納得できる。

「どうして俺に肩入れする?」
 正義は、どうしても納得できない疑問をぶつける。

夜の女王は、人族や魔族も不可侵の存在である反面、永世中立を守っていると聞いている。

「身内へのえこひいきは許される。
ヒカリちゃんが、俺の嫁だからだよ」
 
「ヒカリちゃん? 光の女神様のこと?」
 正義は、以前ケーンが、光の女神に依頼されたと聞いていた。教会かシャドーを通してだろうと、聞き流していた。

 嫁? どういうこと?

 光の女神様は、純精神体のはず。天上界では、まぶしすぎてよく見えなかったけど。

正義には理解不能だった。


とりあえず正義は理解した。

ケーン、とてつもなく変なやつ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...