改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

文字の大きさ
154 / 170

154 のじゃロリはいじってこそ価値がある

しおりを挟む
 ケーンは、ミーちゃんと、のじゃロリ魔法少女を伴い、「長い長いダンジョン」に転移した。


「どうして転移魔法が使える!
おぬしは聖神女か!」
 のじゃロリ少女は興奮して叫んだ。

「聖神女の転移魔法とは違ってるよ。
一度行った所にしか転移できない」
 ケーンが残念そうに答える。

「そうか…それは不便じゃ…なわけあるか!」
見事なノリツッコミで、マリアは地団太踏む。王立魔法学校屈指の秀才であった彼女ですら、転移魔法は、挑戦するという発想すらなかった。

一般的な魔法使いにとって、転移魔法は禁呪に近い魔法なのだ。

かわいくいじける彼女の名前は、マリア・クリスティ。王立魔法学校を中退し、冒険者登録をしたばかりだった。

 当然Fランクだが、魔法学校でも一二を争う秀才。プライドだけは天井知らずに高い。

 そこで、いきなり赤の森にチャレンジ。強いモンスターに遭遇し、中位魔法を撃ちまくった。当然のごとくあえなく魔力切れ。

さすがにまずいと気づき、助けられたアリスのパーティに加わろうと勝手に決めた。

アリスのパーティは、現在Dランクだ。新人の自分が加わっても、あまり無理はないだろう。
それに、なんといっても、ベテラン冒険者ジャスミンの存在が心強い。


少し落ち着いたマリアは、ミーちゃんの装備に気づく。いつの間にか、変わっていた。

「ケーン、なんなのじゃ!
猫娘のその装備!」
 マリアは肩を震わせて抗議。

 ピンクのフリフリミニメイド服。胸元きっちりの白のブラウスに、ピンクの大きなリボンネクタイがアクセント。すそに黒猫の刺繡が入った、白のエプロンがかわいい。
白のニーハイソックス。茶色のハーフブーツには、白い羽が一対生えている。おなじみの天使の羽ブーツだ。
超かわいいだけに、余計に腹が立つ。

ダンジョンに挑む装備じゃない!

「一見紙装甲?
だけど、実は神装甲!
うそだと思うなら、御自慢の魔法で攻撃してみろよ」
 ケーンは、のじゃロリ少女をあおる。

「わらわはこう見えても、魔法学校一の攻撃魔法使いじゃぞ!
ホントに攻撃するぞ!」
 マリアは、怒りで顔を真っ赤にして言った。

「どうぞ」
 ケーンは涼しい顔で応える。

 ミーちゃんは、顔を引きつらせる。

ケーンさん、信じていいんだよね?
 
「マジでやるからな?」
 のじゃロリは、少し腰が引けた。人間に…獣人だけど…、魔法攻撃をぶつけた経験がなかったから。

「フッ、だからやってみろよ」
 ケーンは鼻で笑った。

「どうなっても知らんぞ!
アイスジャベリン!」
 マリアは、やけくそで中級魔法を放つ。長さ約二メートル、一握りもありそうな太さの、氷の槍がミーちゃんを目掛け……、体にあたる寸前で消失した。

「うそ~~~!」
 マリアとミーちゃんは、思わずそう叫んだ。

「イージスの指輪だけでも、やわな攻撃は通らない。
後は推して知るべし?」

「イージスの指輪!
イージスシリーズは、国宝…いや、神話級のアーティファクトではないか!
どこで手に入れた!」
 マリアは、小さな体を震わせて叫んだ。聖神女だけが光の女神に授けられると、風の噂で聞いている。

「ないしょ。
さあ、行こうか!」
 ケーンは、あっけに取られていたミーちゃんの肩を抱いて、ダンジョンに入った。

 あやつ、何者だ? 

マリアは、頭の上にハテナマークをいくつも飛ばし、ケーンの後を追った。


「このダンジョンは、名前の通り超長い。
出てくる魔物は大したことないけど、時間はかかる。
つまり、耐久力勝負のダンジョンだ。
魔力の配分、間違えるな」
 ケーンは、マリアに注意を与える。

「ケーンさん、こんなスティックで戦えるものなんですか?」
 ミーちゃんが、恐る恐る聞く。

ケーンから与えられた武器?は、長さ四十センチ、親指の太さほどの、スティックだった。
頭に猫の手の飾りがついている。肉球がふにゅふにゅで気持ちいい。

「ここのダンジョンボス、オークキング程度なら、一撃で倒せる。
敵の頭をめがけて振ってみろよ。
当てる必要はない。
有効射程五メートルだ。
マリアに当たらないように。
おっと、多分オークかな?
一体だからミーちゃんに任せる」
 ケーンがあっさり応える。


 ズン、ズン、ズン。重量感ある足音が迫る。

 マジでオークだ!

 ミーちゃんは、体をこわばらせながらも身構える。

 こ、怖いんですけど!

 ケーンさん、信じていいんですよね?

 オークがいっそう迫る。射程五メートルとケーンさんは言った。もう少し……。

 今だ! 
 ミーちゃんは、目を固く閉じてスティックを振った。

 シャー! 

 スティックから、黒い光の爪が三本伸びて……、オークの頭は三等分された。総子のフレア斬に、インスパイアされた武器。闇魔法でアレンジしてみました。
 もちろん、フレア斬と比較したら話にならない威力だが、このダンジョンに出てくる魔物の装甲程度なら、十分以上話になる。

「うそ~~~!」
 ミーちゃんとマリアは、思わず叫んだ。

「その武器、名前はまだない。
ちょっとしたものだろ?」
 ケーンが趣味で作ったその武器は、国宝級の代物。魔力や攻撃力に乏しい者でも、きわめて扱いやすい。
 素人さんの護身用武器としては、最高峰と評していい。

 イージスの指輪は、ミレーユに作ってもらったけど。神話級の装備は、まだケーンに作れなかった。


「えい! えい! え~~~い!」
 調子に乗り切ったミーちゃんは、出てくる魔物をもれなく葬っていく。
 ダンジョンの魔物は、それほど血が飛び散らないし、内臓・脳みそぐじゅ、なんてことにはならない。戦闘超初心者であるミーちゃんも、ほとんど抵抗を感じなかった。

 もちろん、フィールドでは、全然話は違うのだが、ミーちゃんは戦闘タイプの嫁でない。
 レベリングの目的は、基礎体力の充実と、一人のときでも身の安全を最低限?守れることだ。

 獣人はとにかく蔑まれやすい。それに、なんといっても超かわいいしね!

「なあ、ケーンよ。
わらわのレベリングでは、なかったのか?」
 マリアがジト目でケーンをにらむ。なにせ、魔法を準備する前に、ミーちゃんが全部倒してしまうのだ。

「さっきから思ってたんだけど、魔法学校の秀才って、その程度なの?」
 ケーンは、やれやれ、という顔で応える。

「その程度とは、どういうことじゃ!」
 マリアは、また興奮して地団太踏む。ケーンがわざとあおっているのは、その様子が、なんともかわいいからだ。

「こういうことなんだけど」
 ケーンが、ミスリルの剣を一振り。光の矢、炎の矢、氷の矢、雷の矢。四本の矢が、文字通り矢継ぎ早に放たれた。
四体のリザードマンの硬い装甲を、矢は突き破った。

「無詠唱で…四属性を……。しかも、猫娘をよけた……。
お主、なにものじゃ~~~!」
 マリアは、小さな体全体で叫んだ。

「ボクはケーン。犬じゃないやい!
知らなかった?」
 ケーンは、マリアいじりを、やめられそうになかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...