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156 マシュマロとジビエ

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 ケーンと二人は、ダンジョン探索を早めに切り上げた。ケーンはマリアを、できるだけ早くレベリングするつもりだったが、今はゆっくり時間をかける方針に、切り替わっているから。

 二人をまず、キキョウの家へ転移。ミーちゃんを帰し、マリアに家を教えるためだ。

 ついでマリアの借りている宿へ転移。マリアは急いで荷物をまとめ、宿から出てきた。

 さすが落ちぶれても元伯爵令嬢。小さな魔法バッグを、彼女は持っていた。

 そして、アリスと待ち合わせたギルドへ転移。仕事を終えて待っていたアリスを拾い、レミの薬屋へ転移。

 転移魔法は、大きく魔力量を消費するが、今のケーンにとって、お安い御用だ。

「アリス、今はこの薬屋、だれも住んでないんだ。
マリアと暮らさない?」
 ケーンは、そう提案する。冒険者寺子屋を、第一期生はみんな卒業している。第一期生は、安い宿屋で生活していることをケーンは知っている。
 
 ジャイアンのパーティは、どうなっているのかって?
 記者は興味がないので知りません。多分元気なのではないでしょうか?

「ここでマリアさんと?
他のメンバーは?」
 アリスは、もちろん大歓迎なのだが、仲間に対し少し気が引ける。

「アリスは今日から俺の嫁だ。
マリアも実は狙ってる。
嫁やお気に入りをひいきするの、なにか問題ある?」
 さすがケーン。あっけらかんと下心を明かす。

「わらわも狙っていると?」
 マリアはびっくり。もろもろの代償として、体を投げ出すつもりでいたが、ケーンが自分を、本気で嫁にする気だとは思っていなかった。

「ゆっくり時間をかけて、その気にさせてみせる。
覚悟はしておいて。
この家、古いけどリフォームは色々と。
俺と嫁が旅立ったら、キキョウの家に移ってもらう。
その後なら、この家、仲間に貸してもいいよ」
 ケーンは、魔力認証で結界と家の鍵を開けた。

「魔力認証登録。
アリス、マリア、交代でドアノブに手をあてて」
 ケーンの指示にしたがい、二人はドアノブに手をあてる。

「これで普通に結界とカギは開くから。
旅立つ前に、カギは換えておく」
 ケーンは、そう言って家の中へ入った。

「マリアさん、ずっと仲良くしようね」
 アリスは十中八九、嫁仲間になるであろうマリアに、握手を求めた。

「ケーンは超頼りがいがある。
わらわも嫁になると決めたのじゃ!」
 マリアはがっちり握手に応えた。

新たなチョロインが、誕生した瞬間だった。


「さてと、風呂に入るかな?
アリス、マリア、どうする?」
 ケーンが二人に振る。

「お風呂……ですか」
 アリスはもじもじ。

「やった~! 風呂があるのじゃな!
クリーンの魔法だけでは、さっぱりしなかったのじゃ!
ケーン、案内するのじゃ!」
 マリアは、無邪気な表情で、ケーンの手を取る。

 マジでチョロインだったのね……。ケーンはちょっと驚くが、浴室へ連れて行った。


 脱衣室で、マリアは、あっけらかんと服を一枚ずつ脱いでいく。

そういえば、とケーンは思う。

貴族の深窓の御令嬢は、裸になることに、あまり羞恥心を抱かないと、聞いたことがある。
身の周りのことを、ほとんどメイドたちに任せきりだから。

元聖神女のジャンヌや、魔王の娘サーシャも、バリバリの深窓の御令嬢。ご存じの事情で、体は大人、心は幼女。それもあってか、マリアと同様、裸に抵抗は薄かった。

マリアの体は……、童顔チビのわりに、おっぱいとお尻は発達していた。

うまそ~~~!

ケーンは超ご機嫌で、服を急いで脱いだ。


「ふ~……。疲れがとれる。
ケーンよ、許す。
わらわの体を洗うのじゃ」
 マリアは、浴槽で立ち上がった。彼女の体は、色っぽいというよりかわいい。おっぱいとお尻だけに注目したら、ご立派と形容するしかないのだが、アニメの美少女が、三頭身にデフォルメされた感じ?
 フィギャーにして、バッグにつけておきたい!

「光栄でございます。お嬢様」
 ケーンは恭しく、両手をボディーソープで泡立て、マリアの体に手を伸ばした。

 うん! 柔らかくて超いい感じ!

「ケーンさん!
私も入っていいですか!」
 アリスが挑むように声をかけてきた。

「もちろん!
おいでよ!」
 ケーンは、庶民ヌードにも、関心が大ありだった。いわば、わび、さびの美? 多分、整い過ぎない、満たされ過ぎない、そんな感じのお体?

 約一分後、アリスが浴室に入ってきた。

 うん! 想像通り、幽玄の美! 

 見わたせば 乳もお尻も 小さいね 
 でも立つ 俺はあれも大好き

ケーン、心の一首。藤原定家作、有名歌の本歌取り。

幽玄ヌード、後でじっくりいただこう!

「アリス、お主の体、引き締まっておるのう。
まさに女冒険者の体じゃ。
はぁ~…、うらやましい」
 マリアは、自分の体を見おろしてため息をつく。ちんちくりんでふにゅふにゅ。

「全然色っぽくないでしょ?
マリアさんこそ、お乳やお尻が大きくてうらやましいです。
はぁ~……」
 アリスもマリアの体を見て、ため息をつく。

「あのさ、これを食べてみろよ」
 ケーンは、アイテム庫からマシュマロを取り出し、二人の口に入れる。

「柔らかくて不思議な食感」
「うむ。その通りじゃ」
 アリスの食レポにマリアは同意を示す。

「それはマシュマロという地球のスイーツだ。
今は用意できないけど、シカ肉の料理、食べたことがあるだろ?」

 ケーンの言葉に、二人はうなずく。

「どっちが上だと思う?」

「それは好みにもよるであろう?
まあ、どっちが上ともいえぬか」
 マリアの言葉に、アリスはコクコクとうなずく。

「まだ二人を食べてないけど、俺の言いたいことわかるだろ?」

「うむ。ふわふわスイーツとジビエ。
方向は違うが、是非ゆっくりとご賞味あれ」
 マリアの言葉に、頬をそめてうなずくアリスだった。
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