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4 ルカの嫁入り
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三日後、エリナが乗る艦から汎用輸送艇二隻が出発。一隻はルカをコダカーラに送り届け、そのまま残す。もう一隻はエリオスの娘たちを迎える。百年前の前線基地は、まだ利用可能だそうだ。
前線基地から発信された電波に誘導され、二隻は開閉機能を持ったドーム型の離着陸施設に着陸。百年以上前に作られたとはいえ、随分堅牢にできているものだとルカは感心した。
「ようこそ。ルカさん。エリオス・マッキンレーです」
精悍でがっしりした体躯の男性が、握手を求めた。
「ルカです。センキューの姓はもう捨てました。
ふつつかな者ですが、よろしくおね……」
「わ~お! かわゆい! さすが元名門貴族の……」
ボコッ! エリオスがジャックと思われる少年にグーパンチ。あの勢いなら吹っ飛んでもおかしくはないのだが……。
少年は殴られた頬を押え、平然と満面の笑顔。
少年は十五、六歳? 軍服に包まれた体は、父親に劣らないほどがっしりしている。短く刈り込んだ髪は茶色。体つきは大人のそれだが完璧に童顔だ。
長いまつ毛の茶色の目が……、少女みたいにくりっとして……、かわいい!
唇も女の子みたいに、ぷっくらとちっちゃっ!
顔だけクローズアップしたら、まるで女の子だ。
ルカおねえさん、一目で気に入っちゃいました!
少年の年齢は聞いてないが、ルカは十九の乙女。
どんな人かと思ってたけど、この子なら……。ルカはほっと胸をなでおろす。
「ジャック! ルカさんをちゃんとかわいがるのよ」
「じゃね~!」
「お父さん、お母さん、できたらたまに里帰りしますので。
お元気で」
エリオスは『おう』と答え、妻は『元気でね』、と軽く手を振る。ジャックはうっとりした目で、ルカを見つめたまま。
でかいケースを押しながら、ジャックの姉妹三人が、迎えの船に乗り込んだ。
ずいぶんあっさりした、出会いと別れの一シーンでした。
ルカは船の格納庫から、リモコンで自走コンテナを下ろした。彼女の衣服や生活必需品を収納したものだ。
幸いなことに、長旅に備え、着替えはたくさん用意していた。
「ルカちゃんと呼んでいい?」
少年によく似た、中年女性がにこやかに言う。ジャックの母親も、女性のわりにしっかりとした体格だ。おっぱいやお尻、でかっ!
さすがこの星で生き延びた人たち。見るからにたくましい。
「はい!」
ルカは元気よく答える。想像していたより、ずっと親しみが持てそうな家族だ。
「じゃあ、俺たち家族のねぐらに案内する」
エリオスは、まぶしそうにルカから目を逸らし、歩き出した。
あの娘、バカ息子には、どう見てももったいないんじゃね?
前線基地から出て、エリオスは不意に立ち止まる。
そして、空間に手をかざした。空間が……開いた!
「ようこそ、ルカちゃん。これが俺たちの棲み家だ」
「これって……」
「光学迷彩って知ってるだろ?
これは迷彩機能が施された、でかいトレーラーハウスって感じ?
中に入ったら普通だよ」
ジャックの説明に、カクカクとうなずくルカだった。全然見えなくなる迷彩なんて、帝国の技術にはない。……多分。
ジャックの説明、実は正しくない。光学迷彩機能が備わった乗り物がハウスに存在するので、彼は勝手にそう解釈していた。
ルカの持ってきた、軽トラサイズ自走コンテナも楽々入った。見えないけど「でかいトレーラーハウス」は、どれほど「でかい」のだろうとルカは思う。
とりあえずコンテナは、入ったすぐのところへ置いた。ルカは殺風景すぎる通路を呆然と見る。五メートル幅はある通路の奥行きは、百メートルほどありそう。
両側にドアらしき四角い切れ目がある。赤と青の小さなランプが点いている。現在はほとんど赤が光っている。赤は多分ロックされているのだと、ルカは見当をつけた。
「帝国にも魔力認証システムあったよね?
この動く家は、もうルカちゃんの魔力を認証した。
とりあえずリビングで話をしよう?」
エリオスの妻カリンに軽く背中を押され、ルカはリビングに案内された。
カリンの『動く家』という説明も、実は正しくない。異世界もののファンなら、もうお分かりかもしれない。
ハウスは別の空間に、存在しているわけなのですよ。カリンや家族は、ハウスが動いていると解釈していたのです。最初このハウスに入れた場所で、普段は出入りしているから。
リビング内は広々と機能的に作られていた。もっと正直に言えば、病院なんかのロビーって感じ。装飾の意図が全く感じられない。
「お茶、淹れるわね」
カリンはカウンターで仕切られた向こうへ。キッチンがあるようだ。
「さて、ルカちゃん。最初に謝っておく。
君や皇女さんに一つだけウソをついた。
俺の本当の名前はマック・マッキンレー。
百年前、俺と妻だけが生き残ったんだ」
エリオスの口から、驚くべき事実が告げられた。
前線基地から発信された電波に誘導され、二隻は開閉機能を持ったドーム型の離着陸施設に着陸。百年以上前に作られたとはいえ、随分堅牢にできているものだとルカは感心した。
「ようこそ。ルカさん。エリオス・マッキンレーです」
精悍でがっしりした体躯の男性が、握手を求めた。
「ルカです。センキューの姓はもう捨てました。
ふつつかな者ですが、よろしくおね……」
「わ~お! かわゆい! さすが元名門貴族の……」
ボコッ! エリオスがジャックと思われる少年にグーパンチ。あの勢いなら吹っ飛んでもおかしくはないのだが……。
少年は殴られた頬を押え、平然と満面の笑顔。
少年は十五、六歳? 軍服に包まれた体は、父親に劣らないほどがっしりしている。短く刈り込んだ髪は茶色。体つきは大人のそれだが完璧に童顔だ。
長いまつ毛の茶色の目が……、少女みたいにくりっとして……、かわいい!
唇も女の子みたいに、ぷっくらとちっちゃっ!
顔だけクローズアップしたら、まるで女の子だ。
ルカおねえさん、一目で気に入っちゃいました!
少年の年齢は聞いてないが、ルカは十九の乙女。
どんな人かと思ってたけど、この子なら……。ルカはほっと胸をなでおろす。
「ジャック! ルカさんをちゃんとかわいがるのよ」
「じゃね~!」
「お父さん、お母さん、できたらたまに里帰りしますので。
お元気で」
エリオスは『おう』と答え、妻は『元気でね』、と軽く手を振る。ジャックはうっとりした目で、ルカを見つめたまま。
でかいケースを押しながら、ジャックの姉妹三人が、迎えの船に乗り込んだ。
ずいぶんあっさりした、出会いと別れの一シーンでした。
ルカは船の格納庫から、リモコンで自走コンテナを下ろした。彼女の衣服や生活必需品を収納したものだ。
幸いなことに、長旅に備え、着替えはたくさん用意していた。
「ルカちゃんと呼んでいい?」
少年によく似た、中年女性がにこやかに言う。ジャックの母親も、女性のわりにしっかりとした体格だ。おっぱいやお尻、でかっ!
さすがこの星で生き延びた人たち。見るからにたくましい。
「はい!」
ルカは元気よく答える。想像していたより、ずっと親しみが持てそうな家族だ。
「じゃあ、俺たち家族のねぐらに案内する」
エリオスは、まぶしそうにルカから目を逸らし、歩き出した。
あの娘、バカ息子には、どう見てももったいないんじゃね?
前線基地から出て、エリオスは不意に立ち止まる。
そして、空間に手をかざした。空間が……開いた!
「ようこそ、ルカちゃん。これが俺たちの棲み家だ」
「これって……」
「光学迷彩って知ってるだろ?
これは迷彩機能が施された、でかいトレーラーハウスって感じ?
中に入ったら普通だよ」
ジャックの説明に、カクカクとうなずくルカだった。全然見えなくなる迷彩なんて、帝国の技術にはない。……多分。
ジャックの説明、実は正しくない。光学迷彩機能が備わった乗り物がハウスに存在するので、彼は勝手にそう解釈していた。
ルカの持ってきた、軽トラサイズ自走コンテナも楽々入った。見えないけど「でかいトレーラーハウス」は、どれほど「でかい」のだろうとルカは思う。
とりあえずコンテナは、入ったすぐのところへ置いた。ルカは殺風景すぎる通路を呆然と見る。五メートル幅はある通路の奥行きは、百メートルほどありそう。
両側にドアらしき四角い切れ目がある。赤と青の小さなランプが点いている。現在はほとんど赤が光っている。赤は多分ロックされているのだと、ルカは見当をつけた。
「帝国にも魔力認証システムあったよね?
この動く家は、もうルカちゃんの魔力を認証した。
とりあえずリビングで話をしよう?」
エリオスの妻カリンに軽く背中を押され、ルカはリビングに案内された。
カリンの『動く家』という説明も、実は正しくない。異世界もののファンなら、もうお分かりかもしれない。
ハウスは別の空間に、存在しているわけなのですよ。カリンや家族は、ハウスが動いていると解釈していたのです。最初このハウスに入れた場所で、普段は出入りしているから。
リビング内は広々と機能的に作られていた。もっと正直に言えば、病院なんかのロビーって感じ。装飾の意図が全く感じられない。
「お茶、淹れるわね」
カリンはカウンターで仕切られた向こうへ。キッチンがあるようだ。
「さて、ルカちゃん。最初に謝っておく。
君や皇女さんに一つだけウソをついた。
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