ハウス  転生チートヲタの遺産  

nekomata-nyan

文字の大きさ
5 / 24

5 マッキンレーファミリーは、かく生き残りき

しおりを挟む
 口下手エリオス(マックという本名は、身バレ防止の意味で封印される)の、まとまらない長話を要約すれば、以下のようになる。

遠征隊は、他の開拓団が全員引き上げたことなど全然知らない。定時に前線基地へ連絡をとっても、『作戦は続行せよ』と、残されたAIが告げるだけ。

戦力はじりじりと消耗。一週間後、遠征隊の約三割が犠牲になった時点で、小隊長マック(=エリオス)の、堪忍袋の緒が切れた。

センキューの命令など、ノーセンキューだ!

事と次第によっては、ブチ殺してやる! 彼の上官は、すでに全員戦死。曹長(傭兵はいくら戦功をあげても下士官どまり)の彼が最上位だった。残存戦力をまとめ、撤退を決断した。

帰りは行き以上の消耗戦となった。装備や物資は不足しがちとなり、負傷者は増える一方。

十日目、残りの交戦可能戦力は百人足らず。周囲を強力な魔物の群れに囲まれた。部隊の最高戦力マックは、自らと小隊の部下が先頭に立ち、血路を切り開こうとした。

結果として、生き延びたのはマックと彼の恋人カリンだけ。後でわかったことだが、守りたかった他の隊員は全員玉砕していた。

傷だらけで、ぼろぼろとなったマックとカリンは追い詰められた。もうどこを歩いているのだかわからない。
急に魔物の襲撃がなくなった。ふらふらになったカリンは、力尽きて前のめりに倒れた。ところが、伸びた手に偶然触れたのが、さっきのドアだった。

この巨大「動く家」のAIは、知的生命体を、ずっと待ち続けていたのだ。

マックはこの「家」のAIから査定を受けた。AIは新たなマスターとして合格と判断した。主を得て、全機能を再開したこの「動く家」の名前は「エリオス」だと、AIは告げた。

ややっこしいので、以下マックはエリオス、「動く家」は単に「ハウス」と呼ぶことにする。


「なんと言えばいいのか……」
 ルカは泣きじゃくった。言葉はつなげられなかった。

「ジャック!」
 カリンは、ぽかんと様子見する息子をきつい目で見た。
 
「はい?」
 ジャックは意味がわからない。俺、なんかヘマした?

「後は任せるから、ルカちゃんをなんとかしなさい!」
 この鈍感息子、と白い目で見ながら、カリンは思う。ジャックが「陽性コミュ障」になるのも仕方ないか。
 家族以外の女性を初めて見るのだから。

「ど、ど、どうすれば?」
 ジャックはとまどう。

「とりあえず、部屋へ案内してあげなさい。
襲ったらダメよ。
わかってるわね?」

「そんなのわかってる!」
 ジャックは、不本意という顔で応えた。彼は「嫁だからちょっとくらいいいかな?」と思っていた。

「ルカちゃんが落ち着いたら、この『ハウス』の諸機能を説明してあげなさい。
それと、この惑星の特長もね。
私たちが百年もの間生き続けた理由、最大の疑問だろうから」

「俺もそう思ってた!」
 虚勢を張る、陽性コミュ障ジャックだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...