ハウス  転生チートヲタの遺産  

nekomata-nyan

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21 脂肪の行方は?

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 ジャックの部屋には、エルフィアが押しかけていた。彼女は圧倒的な力の差を見せつけられ、ジャックに心酔していた。
 それに、ジャックのそばにいるだけで、なんとなく胸が弾むのだ。

エルフィアの凍っていた乙女心は、徐々に解凍されている模様。

「ジャックさん、私、いつから魔物と戦えるのでしょう!」
 エルフィアは対面に座るジャックの方へ身を乗り出す。エルフィアには、実戦経験がない。ジャックの話を聞いていると、案外簡単に魔物は狩れるようだ。

「いつでも。逆に聞きたい。他の惑星に住む魔物、全知らないけどどんな感じ?」
 ジャックはコダカーラでの生活がすべてなのだ。AIに聞いたら答えは返ってくるだろうが、他の惑星の魔物事情など、知る必要はなかった。

「魔物と呼ぶ物は、魔石を持った生物と定義されてますよね?
ダンジョン以外出てこないと聞いてます。
家から出たら魔物がうようよしてるなんて、コダカーラが異常なんです。
ジャックさんでも勝てない魔物、いるんですか?」

「そりゃいるさ。たとえば、ドラゴンとは戦ったことがないけど、多分勝てないね。
向こうから襲ってくることはない。
手を出さなきゃ、結構あいつら平和主義なんだ」

「ドラゴンが襲わない?
ダンジョンのドラゴンは狂暴だと聞きますけど?」

「一応ヤバい敵と、認めてるんじゃないかな?
ドラゴンは頭がいい。
あえて危険を冒すのは、愚かだと知っていると思う。
そんなにうまそうには、見えないからかもな?」

「へ~、グルメなんですね?
たしかに人間は筋張ってそうです。
武器を持ってるし」

「うん、グルメなのは間違いない。
牛とか羊とかイノシシとか、そういうおいしい系を捕食してる」

「本当に私でも狩はできますか?」
 エルフィアは、若干不安になってきた。グルメで賢いドラゴンは別として、他にも超やばいのがいそう。

「少し鍛えたら確実に。ハウスの武器や防具があるし、レベルが上がるまで必ず誰かが付き添う」

「楽しみです!」

 全然お色気抜きの会話で申し訳ない!

「そういえばルカさんが十体魔物倒したと言ってました。
私ならどれぐらい可能でしょう?」
 エルフィアがいっそう身を乗り出す。

「近場は魔物密度が薄くなってるからね。
なんとも言えない。出くわす魔物にもよると思うし」

「美容に効果的と聞きましたが……、脂肪はどうなるんでしょう?」
 エルフィアの表情がふとかげる。

「バンバン代謝されると思うよ。ルカちゃん、一日でウエストが五センチ減ったとか」
 ニブオ君には、エルフィアが何を案じているのかわからない。

「バストはそんなに変わって見えないんですが……」
 そうなんです! エルフィアが心配しているのは、お胸の事情なのです。これ以上お胸の脂肪が代謝されたら……。

まずくない?

「ああ、母ちゃんのおっぱいやお尻見たらわかるだろ?」
 ジャックは上着を脱いだ。肌シャツだけとなり、大胸筋をひくひく動かした。
「男はマッチョになるみたいだけど、女は大丈夫みたい。
姉ちゃん二人もそこそこある。エルについてはノーコメント」
 ジャックは安心明快な回答を与えた。

「そうなんですか! よかった」
 ほっとするエルフィアだった。

 ふとエルフィアは思う。あれ? 私、どうしておっぱいのことなんて気になるんだろう?
 そんなの気にしたことないのに。

 解凍はいよいよ進行している模様。



 元捕虜主従は、オリビアの部屋でほっと一息。

「お嬢様、ずいぶんよさそうな人たちばかりで、よかったですね」
 セレナは淹れたお茶をオリビアの前に。

「私、どう報いたらいいのかな?
やりたいことやればいい。みんなそう言うけど」
 オリビアは切れ長の黒い目を、伏せがちにお茶を一口。彼女の鬱の要素はなくなった。だが、長年の習慣で人をまっすぐ見られない。

「そうですね……。お金、この星じゃ使い道がないでしょうね。
第一お金ないし。
私たちにあるのは体だけ?
私の体じゃ、ありがた迷惑でしょうけど?」
 セレナはおどけて言う。

「体をほしがる人かな?
ジャックさん」
 オリビアは、セレナのジョークに乗る。ルカさんはジャックさんのお嫁さんだそうだ。貧弱な私の体もありがた迷惑だろう。

「私の勘では、大いにほしがる人じゃないでしょうか?
だけど、強引に求める人でもない。
とりあえず、身の振り方を決めるまで甘えますか?」

「そうね、それしかないかな」
 セレナは「身の振り方」とはいうものの、どう振ればよいのやら。オリビアはあきらめることに慣れていた。何をあきらめる必要もない現状。その完全な自由を前に、オリビアは戸惑ってさえいた。
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