11 / 230
11 重要な相談
しおりを挟む
翌朝ルラはエレンに伝書鳩を飛ばした。
内容は『重要な相談がある。できれば今日にでもウチへ来てほしい』だった。
エレンは『諾』の伝書鳩をすぐ返し、一時間後にルラを訪ねた。
ルラとエレンの館は近い。治安のよい両家の付近は、エレンほどの魔法が使えるなら、警護の者も必要ない。
「で、重要な相談ってなんなの?」
エレンは早速そう切り出した。ルラと同じように金髪碧眼を持つ彼女は、ルラよりはるかに肉感的な体を持っている。
俗にいえば、ボン・キュッ・ボン。知性が勝ち、整い過ぎる見た目から、ルラは冷たい印象を与えるが、エレンは万人受けする美貌の持ち主だ。
髪は金髪。目は青。イスタルト王家の濃い血を引いている特徴だ。父親のオスカルト・ダイニー侯爵は、三大貴族の一人。イスタルト王国の経済的実権を牛耳っている。
「一つはルマンダから得た情報なんだけど、魔導戦士や魔法戦士たちの集会が、目立って増えてるそうなの。
貴族出身以外の近衛兵も含めて。
ルマンダはお父様に報告したんだけど、下手に動けば助長することになる。
今しばらく状況を見守ろうということらしい。
貴族が大きな動きを見せたら、かえってまずいという意見もわかる。どう思う?」
ルラはエレンに振る。
「つまり、クーデター?
確かに大きく動くのは、まずいだろうね。
慎重派を急進派に変えかねない」
そう答えてエレンは考え込んだ。
「あってはならないことだけど、あり得る話だ。軍がそろって反旗を翻せば、貴族側に勝算はない。
私兵も何割かは味方するかもしれないけど、情勢が悪くなればこちらに刃を向けそう」
エレンは深刻な表情で応える。
「大魔導師クラスの戦士が、十人程度いたらどうなると思う?」
「いい勝負でしょうね。大型のせん滅魔法を使ったら、一挙に敵の数を減らせる。
その場合は王城外で戦うよう、相手に持ちかけることが必要だ。
敵としても、王城内はできるだけ無傷で置いておきたいはず。
交渉に乗る可能性は高い。
だけど、現役の大魔導師はポナン様だけだよ。
ないものねだりはできないでしょ?」
「私は切り札を手に入れたの。
軍に気づかれない程度の人数で、大魔導師クラスの軍団を、密かに組織できる方法があるといえば?」
「そんなことが可能なの!
そりゃ、あなたなら百歳程度でも、大魔導師になれるかもしれない。
私には絶対無理だと断言できる」
「切り札を手に入れたと言ったでしょ?
私の魔力量、量ってみて」
ルラは髪を両手でかきわけ、おでこを広げた。
「いいけど……」
エレンは、おでこをルラにくっつけた。
女どうしながら、ときめくのはどうしようもない。エレンにとっても、ルラは一種特別な存在だった。
「どうやったの! 前の倍はあるじゃない!」
エレンは興奮して叫んだ。額が熱い。以前はこれほどではなかった。
「そんなに? そうか、やっぱり中に出してもらったら、パワーアップするのか」
ルラは自分の気持ちをふっ切るため、ゆうべ俊也に抱いてもらった。しかも中出しを要求して。
ただし、万一今妊娠したらまずいので、混浴時に相談した。終わった後、ナイト2は局部的「清浄」魔法を使って避妊してくれた。
俊也は「そんなこともできるのかよ!」と悔しがっていた。ルマンダとの初体験が外出しだったから。
まあ、あの巨乳に挟んで発射したのは、それはそれで強烈だったが。
ちなみに、このイスタルトで避妊は、庶民の間にも広く普及している。
猫又の「清浄魔法」と全く違うが、経済的に余裕がない庶民男子は、無料で「子だね遮断」魔法を、診療所の治療魔法士に、かけてもらうことが可能なのだ。
「わけわかんないこと言ってないで教えて!」
じれたエレンは、ルラに詰め寄る。
「教える前に約束して。この秘密は私とあなたが認めた女性以外には、絶対話さない。いい?」
「もちろん。下手したら貴族は皆殺しにされる」
エレンは真剣な目で応えた。
「もう一つ。この方法を使う場合、うれしい試練があるの」
「うれしい試練?」
意味がわからん。試練といえば、苦しいに決まっている。
「最初はびびったけど、慣れたら嬉しいものなの。
超気持ち良かった。
はっきり言えば、セックスすること。
紹介する。
私のベッドで寝ているのはナイトという名前。
ただの猫ではない。人間に変身する。
しかも、その猫は膨大な妖力を持っている。
詳しい事情は後で話す。
とりあえず、ナイトの鼻にあなたの鼻をくっつけて。
ナイトは服を着てない。素っ裸の男性になるから、びっくりして大声は出さないで」
エレンは半信半疑ながらも、ルラのベッドに歩み寄った。ハンサム猫ではないが、ブチャ系の猫でもない。
フフフ、幸せそうな顔しちゃって。癒される~! エレンは猫の鼻に鼻をくっつけた。
「きゃっ!」
悲鳴を上げそうになったが、エレンは口を押さえた。黄色がかった肌と、黒眼黒髪の男が、まだ眠そうな目で起き上がった。
「やあ、君もきれいだね。俺、俊也っていいます。
今後ともよろしくできたら嬉しいです、って裸だ。
失礼しました!」
俊也は慌ててかけ布団で体を隠した。
「要するに、この人とセックスすればいいの?
中に出してもらうって、やっぱりそういうこと?」
「そういうこと。どうする?」
ルラはニヤニヤしながら応えた。
「態度保留。詳しい話、聞かせて」
頭の中が真っ白になったエレンは、ルラに振る。
ルラは転移魔法の実験から詳しく話した。
内容は『重要な相談がある。できれば今日にでもウチへ来てほしい』だった。
エレンは『諾』の伝書鳩をすぐ返し、一時間後にルラを訪ねた。
ルラとエレンの館は近い。治安のよい両家の付近は、エレンほどの魔法が使えるなら、警護の者も必要ない。
「で、重要な相談ってなんなの?」
エレンは早速そう切り出した。ルラと同じように金髪碧眼を持つ彼女は、ルラよりはるかに肉感的な体を持っている。
俗にいえば、ボン・キュッ・ボン。知性が勝ち、整い過ぎる見た目から、ルラは冷たい印象を与えるが、エレンは万人受けする美貌の持ち主だ。
髪は金髪。目は青。イスタルト王家の濃い血を引いている特徴だ。父親のオスカルト・ダイニー侯爵は、三大貴族の一人。イスタルト王国の経済的実権を牛耳っている。
「一つはルマンダから得た情報なんだけど、魔導戦士や魔法戦士たちの集会が、目立って増えてるそうなの。
貴族出身以外の近衛兵も含めて。
ルマンダはお父様に報告したんだけど、下手に動けば助長することになる。
今しばらく状況を見守ろうということらしい。
貴族が大きな動きを見せたら、かえってまずいという意見もわかる。どう思う?」
ルラはエレンに振る。
「つまり、クーデター?
確かに大きく動くのは、まずいだろうね。
慎重派を急進派に変えかねない」
そう答えてエレンは考え込んだ。
「あってはならないことだけど、あり得る話だ。軍がそろって反旗を翻せば、貴族側に勝算はない。
私兵も何割かは味方するかもしれないけど、情勢が悪くなればこちらに刃を向けそう」
エレンは深刻な表情で応える。
「大魔導師クラスの戦士が、十人程度いたらどうなると思う?」
「いい勝負でしょうね。大型のせん滅魔法を使ったら、一挙に敵の数を減らせる。
その場合は王城外で戦うよう、相手に持ちかけることが必要だ。
敵としても、王城内はできるだけ無傷で置いておきたいはず。
交渉に乗る可能性は高い。
だけど、現役の大魔導師はポナン様だけだよ。
ないものねだりはできないでしょ?」
「私は切り札を手に入れたの。
軍に気づかれない程度の人数で、大魔導師クラスの軍団を、密かに組織できる方法があるといえば?」
「そんなことが可能なの!
そりゃ、あなたなら百歳程度でも、大魔導師になれるかもしれない。
私には絶対無理だと断言できる」
「切り札を手に入れたと言ったでしょ?
私の魔力量、量ってみて」
ルラは髪を両手でかきわけ、おでこを広げた。
「いいけど……」
エレンは、おでこをルラにくっつけた。
女どうしながら、ときめくのはどうしようもない。エレンにとっても、ルラは一種特別な存在だった。
「どうやったの! 前の倍はあるじゃない!」
エレンは興奮して叫んだ。額が熱い。以前はこれほどではなかった。
「そんなに? そうか、やっぱり中に出してもらったら、パワーアップするのか」
ルラは自分の気持ちをふっ切るため、ゆうべ俊也に抱いてもらった。しかも中出しを要求して。
ただし、万一今妊娠したらまずいので、混浴時に相談した。終わった後、ナイト2は局部的「清浄」魔法を使って避妊してくれた。
俊也は「そんなこともできるのかよ!」と悔しがっていた。ルマンダとの初体験が外出しだったから。
まあ、あの巨乳に挟んで発射したのは、それはそれで強烈だったが。
ちなみに、このイスタルトで避妊は、庶民の間にも広く普及している。
猫又の「清浄魔法」と全く違うが、経済的に余裕がない庶民男子は、無料で「子だね遮断」魔法を、診療所の治療魔法士に、かけてもらうことが可能なのだ。
「わけわかんないこと言ってないで教えて!」
じれたエレンは、ルラに詰め寄る。
「教える前に約束して。この秘密は私とあなたが認めた女性以外には、絶対話さない。いい?」
「もちろん。下手したら貴族は皆殺しにされる」
エレンは真剣な目で応えた。
「もう一つ。この方法を使う場合、うれしい試練があるの」
「うれしい試練?」
意味がわからん。試練といえば、苦しいに決まっている。
「最初はびびったけど、慣れたら嬉しいものなの。
超気持ち良かった。
はっきり言えば、セックスすること。
紹介する。
私のベッドで寝ているのはナイトという名前。
ただの猫ではない。人間に変身する。
しかも、その猫は膨大な妖力を持っている。
詳しい事情は後で話す。
とりあえず、ナイトの鼻にあなたの鼻をくっつけて。
ナイトは服を着てない。素っ裸の男性になるから、びっくりして大声は出さないで」
エレンは半信半疑ながらも、ルラのベッドに歩み寄った。ハンサム猫ではないが、ブチャ系の猫でもない。
フフフ、幸せそうな顔しちゃって。癒される~! エレンは猫の鼻に鼻をくっつけた。
「きゃっ!」
悲鳴を上げそうになったが、エレンは口を押さえた。黄色がかった肌と、黒眼黒髪の男が、まだ眠そうな目で起き上がった。
「やあ、君もきれいだね。俺、俊也っていいます。
今後ともよろしくできたら嬉しいです、って裸だ。
失礼しました!」
俊也は慌ててかけ布団で体を隠した。
「要するに、この人とセックスすればいいの?
中に出してもらうって、やっぱりそういうこと?」
「そういうこと。どうする?」
ルラはニヤニヤしながら応えた。
「態度保留。詳しい話、聞かせて」
頭の中が真っ白になったエレンは、ルラに振る。
ルラは転移魔法の実験から詳しく話した。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる