【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
62 / 230

62 俊也の作戦えげつな~

しおりを挟む
 式を大量に準備するため、嫁たちは白い廃魔石顔料につけて乾かした紙を、左のおっぱいにあてて毎日を過ごした。

実験の結果、式の活動時間は、当てている時間と正比例していることがわかった。一時間に対して一分。

邪魔な時、つまり入浴やエッチ遂行時は、外していても、あてていた時間自体が、問題であることも分かった。

猫又式魔法術は言いにくいので、嫁たちはみなイメージ魔法、ナイト(俊也形態含む)の姿が見えないときには、ネコマと呼ぶようになっている。

オリジナルである猫又ナイトは、『猫まんまみたいでヤダ』と、正式名にこだわっているが。

式の効果、つまり、発動できる魔法の威力は、魔力量とネコマ…イメージ魔法の習熟度によって大きく違う。

たとえば、攻撃魔法限定で免許皆伝のルラタイプ式が、アイスアローを込めた場合、中クラスの威力を持った魔法までが、一度だけ発動できる。

炎系統の魔法は、燃え広がる可能性があるので、使用禁止としたが、みんな思い思いの魔法を込めている。

したがって威力も魔法も、様々な式が生産されている。これは敵の能力確認だけではなく、十分なかく乱戦術となる。

式の面が割れないよう、どの嫁もキャップをかぶり、濃いサングラスをかけ、顔半分を隠すマスクを着けて、鏡を見ながら作業を進めている。

一種異様な光景だ。おそらく日本では、見慣れた光景だろうが。


「猫又大先生、この式、どのように使うのですか? 敵に魔法を使わせる。それはわかりますが、具体的には?」
 ローランが聞く。

「そんなこと俊也に聞け」
 
頭脳を使うのは俊也、ナイトはそう決めている。自分で下手に考えるより、ずっと効果的だとわかっていた。

「俊也さ~ん。いつ、どこで使います?」
 ローランは猫又ナイトを抱き上げ、頬ずりしながら聞く。

『コホン、いい質問だ。
エンラン、少人数の敵を攻撃するとき、最も効果的なのは?』
 ナイトの中の俊也が聞く。

「中規模魔法、威力数倍マシマシの……」

『そうできたらいいね。
町中では絶対無理。
移動中でも、確実に道を壊す。それに目立ち過ぎる。
わかるね?』

「なるほど、それはそうだ。じゃ、親玉をピンポイントで狙う」

『そうできたらいいね。
だけど、親玉は腐っても大魔導師。一筋縄ではいかない。
式の攻撃力では到底無理』

「なるほど…。じゃ、どうします?」

『交替で見張りは立てるだろう。
毎晩式が出て、王都に帰れ~、このまま進んだら、のろわれるぞ~、と言い続けたら?
式の姿は、キャップをかぶったサングラス&マスクの女。
怖くない?』

「怖いかもです……」
 エンランは想像してぞっとする。

『確実に神経はすり減らされる。
しかも、式はいろいろな魔法を放ち、すぐ消えてしまう。
怖いだろ?』

「超怖いかもです……」
 エンランは想像して、もっとぞっとした。
夜にトイレ行けなくなるよ~。

『うろたえて、きっと魔法を放つ。
式も炎属性以外の魔法を放つ。
それが宿屋ならどうなる?』

「追い出されます。きっと賠償金も取られます」

『だよね~。親玉は有名人だから、請求を無視できない。
何度も続けば、相当な額になるだろうし、噂はきっと広まる。
そうなったら、野宿するしかないよね。
大チャンスだろ?
式が夜中に大挙襲撃する。それが毎晩続く。
ある程度理性を持った部下なら、きっと逃げ出す。
何人かは確実だと思う。
それでも親玉は来るかもだけど、戦いはずっと楽になる。
魔法で重要なのは集中力だろ? 
残った部下も相当病んでるはずだ。
ここでアンの精神魔法、そして別荘につながる山道に、数々のトラップ。
この別荘に被害は出したくない。
ここで五か所に設けた転移魔法拠点。
遠距離魔法は、小規模威力中の魔法が使いやすい。
道のことを考えても、威力大は避けたい。
猫又大先生の言葉のとおり、魔力は属性効果と合わさって、物理的な力に変換される。
反属性の初等魔法を当てて、相殺するしかないんだ。
間断なく四方から発射される魔法。たとえ大魔導師でも防ぎきれないと思う。
それでも生き残ったら、猫又ナイト2が確実に親玉を始末する。
雑魚は君たちでなんとかなるだろ?
多分いやがらせ工作で、諦めると思ってるけど』

「見事な作戦だが、めんどくさい。俺と親玉が決闘すればいいのだ」
 猫又ナイトが反論する。

なぜかと言えば、毎晩嫌がらせするのは、式が使える自分だけだ。嫁たちはあの映画(※日本で見た『陰陽師』という作品を指す)を見てないし、おそらく式は使えないだろう。


ルラやエレン、フラワーなら可能かもしれないが、妊婦を夜中に働かせたくない。
 
ここで魔導師同士の、タイマンを説明しよう。実力者同士の一対一なら、発動速度で勝負はほぼ決まる。

待機魔法は普通一発が限界。猫又ナイトは二つの魔法陣を待機させることが可能だ。

もちろん、前もって魔法陣を描き、時限式で発動させることも可能だが、決闘場所を調査したら、簡単に消せる。


大魔導師クラスの長距離せん滅魔法とは、以前述べた通り、核ミサイルのようなもの。
打ち合ったら双方が滅ぶ。したがって、抑止力としてか意味を持たない。

かつて猫又ナイト2が恐れられたのは、瞬間移動と核ミサイルのような魔法を連発したからだ。


『ナイト、重要なことを見落としてるぞ。
相手がタイマン勝負なんか、するわけない。
数は向こうが多いだろう。姿は絶対見せてはいけない』
 俊也が頭の中で反論する。

そういえば、親玉は暗殺大好きの腹黒いやつだった。

俊也の言う通りだ。ナイトはそう納得するも…、

「昼寝は譲れないぞ!」

『もちろん。美女・美少女の添い寝付きだ。やるだろ?』

「うん。やる」
 ナイトはすぐさま承諾した。

だが、内心思っていた。腹黒大魔導師でも、こいつには勝てない。味方や民間人を傷つけたくない。それはわかる。

それにしても、こいつ以上に、えげつない作戦を思いつくやつはいない。
その作戦、客観的に考えたら相当あこぎだろ?

ナイトはポナンと手下たちが、少しばかり気の毒に思えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...