【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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77 セレブお嬢様の部屋

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「え~っと、ナイト君に変身後、元に還るには鼻ツンすればいいのね?」
静香は上機嫌で、自室に招き入れた俊也を振り返る。

「まあ、そうなんですが……。くどいようですけど、まっぱになりますから」
俊也は不審の思いを抱きつつ応える。

俊也はセレブハウスに慣れている。だが、静香の部屋は、一味違ったセレブ感がある。

港区のタワマン? 

どんなセレブが住んでいるのかと思っていたが、こんなセレブが住んでいた。

この人、信頼しきっていいものだろうか? 

銀座の画廊って、そんなに儲かるのかよ!

「何か不満そうに見えるんだけど。ひょっとしてこの部屋? 
中間マージンぼったくりすぎだって? 
ここの部屋代は、全部店長の懐から出てる。
愛人だったのかよ? 
まあ、私を愛してくれるのは確かね。
そんなに儲かりもしない画廊なんて、任せてくれてるし。
店長は私の父親。ある企業の取締役と兼任。
これで不満解消された?」

 疑いは晴れたが、やっぱりドン引き。ハイソな趣味の一環だったのか……。
まあ、俺もハイソな嫁たちの、ヒモのようなものだ。
俊也は気を取り直す。

「さっそく行きますよ。ニャンニャン!」
俊也にとって、永遠の恥辱変身ポーズ。

「わ~! 微妙」
 静香はそう言いながらも、猫又ナイトを抱き上げ、ほおずりした。

「魔法が見たいのか?」
 猫又ナイトは、内心ラッキー! と思いながら、威厳を取り繕う。

 猫形態は、相変わらず逆セクハラ受け放題。こんな美人から受けるセクハラならもちろん大歓迎!
 
 ほらね! おっぱいだってすりすり……。少し弾力的に寂しいけど……。
 まあ、贅沢を言ってはいけない。美女のおっぱい、それだけでも大満足。すりすり、すりすり……。


「も~……。くすぐったいじゃない。魔法、超見たい!」
 静香は歳を忘れてはしゃぐ。

「この部屋でか……。風呂へ入るか?」

「うん。混浴したいの? 私はいいよ」

 いいのかよ! 
ナイトの中の俊也は思わず叫ぶ。心の中だけで。

普通猫は風呂をいやがる。ナイトは普通猫、猫又形態、どちらでも嫁との混浴なら大好き。だけど、そういうわけにいかないよね?

ナイトの中の俊也は、嫁たちに心中立てすることにした。

わかってるね? ナイト君。魔法を実証するだけだよ。

 ナイトは俊也のやせ我慢に苦笑しながら、彼の意思を汲むことにした。


「一瞬でバスタブに湯を張る。魔法の被害はないだろう。案内しろ」

「へ~、私、男に偉そうに指示されるの大嫌い。だけど、ナイト君なら許せる。こっちよ」
 静香は、ナイトを抱いたまま、セレブお嬢様の浴室へ案内した。しっぽは二本あるが、見た目は猫そのもの。
尊大な言葉遣いも、かわいく感じられた。

なんというか……、神経の太い女だ。魔法や妖怪猫という超現実に、これっぽっちもびびらない。
もっとも、俺が戦闘形態に変身したら、確実に腰を抜かすだろうが。

ナイトはそんな静香も、見てみたい気がしたが、その変身方法は、エッチ完了時に限られている。

以前は強敵に遭遇した時、高ぶる闘争本能によって、変身した気がする。

オスの本能が満たされた時、変身するのは、逆のような気もするのだが……。

わからん! まあ、いいか。

ナイトは尻尾で円を描く。
「四十二度のお湯!」
 魔法発動。一瞬でバスタブにお湯が張られた。

わ~~! 湯気が出てる! マジで魔法だ!

魔法の結果を目の当たりにし、静香は興奮した。酔いと衝撃で、若干思考力がマヒした静香は、スカートをめくり上げて、ストッキングを下ろす。

わお! ナイトの中の俊也が、快哉を叫ぶ。さっき見た通りのエロパンだった。

当たり前だけど。

「マジでちょうどいい湯加減だ。早速入る。一緒にどう?」
 お湯に手を入れ、温度を確かめた静香が言う。

「俊也のためには、同意したいところだが、遠慮しておく。酒が入ってることは忘れるな」
 
えっ、と静香はドン引き。
「もしかして、俊也君にも見えてるの?」

「あたりまえだろうが。俊也殿と俺は、まさに一心同体だ。
やつの目にもしっかり焼き付いているぞ。そなたのヒモパン。
リビングで寝てる」
 ナイトは、とことことこ、と走り、リビングのソファーで眠りはじめた。


「ま、いいか。場合によっては、マジで誘惑する気だったし。
十三人ね。しかもあのモデルが全員嫁? とんでもない男だ」
 そう一人ごとを漏らしながら、静香は服を脱いだ。


 湯船につかった静香はぼんやり考える。
これで疑いようがなくなっちゃったよ。

あ~ん、欲しい! 

ナイト君。

だけど、俊也君も、もれなく付いてくる? それもいいかも。

鼻ツンのとき、どんな顔をするだろう? ひょっとして……。何かが起こっちゃうかも!

なんだか一層楽しくなってきたぞ~! 

超ご機嫌な静香だった。


 静香は風呂から上がった。少し迷ったが、バスローブだけをまとって。

 こんなシチュエーション、超久しぶり。
静香は大学時代、三度だけ経験した。
 何事も経験しなければわからない、ということで。好感が持てる人畜無害という感じの男を選んだ。

 それほど感慨はなかった。こんなものなのか、という程度。もう少し熟練者を選んでいたら、違った感想があったかもしれないが。

 とある事情により、彼女は男との深みにはまることを避けてきた。

大学を卒業し、念願の画廊を開いた。
画廊の経営者としては若すぎる。父親に名目上の店長になってもらい、実質的に店をとりしきった。

職業柄、彼女にふさわしい男と知り合う機会は激減。
絵を買えるのは、社会的な地位のあるオジサン、オジイサンがほとんど。そして彼らの多くは妻帯者。
不倫は避けたい。

若い画家とも何人か知り合った。彼らは例外なく貧乏。心惹かれる者もいたが、貧乏男を選ぶのもまずい。

そんなこんなで、気づけば三十路。だが、静香はこれでいいと思っていた。私の恋人は絵。男なんて要らない。
 
 ナイトはソファーの上でへそ天。かわいいニャン玉が無防備にさらされている。

 男のあれ、美的じゃないけど……。静香はそっと鼻ツン。

 ボフン! あまり美的ではない、あれを付けた俊也が。だが、引き締まった体をしている。あれと顔を除いたら美的と評せる。

「俊也君、どうする?」
 静香は大人の女笑顔で聞いた。

「失礼しました~~~!」
 酔いもあり、熟睡していた俊也は飛び起きた。

 両手であれを隠す。静香に背を向け、脱げていた衣服を身につける。

「服、着るんだ?」

「はい。一応……」

「で?」

「大変残念ですが、帰らせていただきます」

「そうなんだ?」

「はい……。そうなんです」
 遺憾なことに、俊也の貞節は、かろうじて守られた。
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