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91 穏健?交渉路線で
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高原に到着。岩石がところどころにあるが、全体としては草原だ。
あちこちに坑道の入口が見られ、掘立小屋も数軒建てられている。テントは多数張られている。
仕事にならない冬に備え、気候も悪くないし、書き入れ時、といったところか。
坑道から出入りする抗夫の姿が、かなり多く見られる。
山道ですれ違う者はいなかったから、ある程度魔石が集まるまでためているのだろう。
ブレイブに教えられたポイントに向かう。一行に気づいた者は、手と足をとめてこちらを見ている。
そのうちの一人が、掘立小屋を目指し、小走りで駆けていった。ボスに知らせるためだ。
俊也はその坑夫の後を追い、ゆっくり歩いていく。
小屋から五人の男が出てきた。槍や弓の得物を持っている。いきなり襲うことはないだろう。まずは穏健路線で。
「お疲れ様で~す! 雷の魔石さがしてま~す。どの辺が穴場ですか?」
俊也は手を上げて、大声で呼びかけた。男たちは応えず、黙って歩み寄る。
「鑑札札は持ってるのか?」
ボスらしき男が聞く。
「持ってますよ。これ、この通り」
俊也は鑑札札を示す。採掘権があることを証明する木札だ。
「物好きだな。雷の魔石なんてどうする?」
男が聞く。
「もちろんコレクションですよ。魔石庭園、とでも言えばいいのかな。
魔石ってきれいじゃないですか?
全属性の魔石で、きれいな庭を……」
「お前、バカか?」
ボスはあきれて言う。
「ですよね~。だけど、本当に雷の魔石が欲しいんです。掘りますよ」
「別にいいが、女ばかりだな。よくここまで来られた。
オオカミは大丈夫だったのか?」
俊也は一瞬案外話せる? と思ったが、すぐ気付いた。女ばかりだからか。
「俺の女はみんな強いですよ。おとといダークウルフの群れ、ふもとで一挙に退治しました。
もうぐちゃぐちゃで、数は数えられませんでした」
五人の男は腹を抱えて笑った。
「なかなか笑えるジョークだ。魔導師か?
そうだな、誰かあの大岩に魔法ぶっ飛ばしてみろ。邪魔でしかたなかったんだ」
「マサラ、滅多に使えないから、インプロージョンでぶっ飛ばせ」
「はい! ダーリン」
マサラはちゃめっ気を出して、一歩前に出る。
「インプロージョン、威力五倍マシマシ!」
ど、か~ん! 五十メートルほど先の大岩が半分吹き飛んだ。ここまで小石が飛んできた。
「退避できる場所があったら、一発で大丈夫ですが、岩が邪魔ならもう一度やりましょうか?」
マサラは澄ましてボスに言う。
「い、いや。十分です。他の方も?」
ボスは態度を一変した。心持ち、髭だらけの日焼け顔がひきつっているような。
「極太アイスランス、威力マシマシ!」
ズ、シーン! ユーノが魔法を放った。一抱えもありそうな氷の槍が、垂直で大岩に命中。残りの岩が割れた。
坑道から男たちが、地響きに驚いてぞろぞろ飛び出してくる。マサラの魔法でびっくりしたのだろう。そしてユーノの魔法がとどめを刺した。男たちは大パニック。
「ガント、この方々を、雷魔石の穴場にご案内しろ」
ボスはそう言って、小屋へ逃げ帰った。
あちこちに坑道の入口が見られ、掘立小屋も数軒建てられている。テントは多数張られている。
仕事にならない冬に備え、気候も悪くないし、書き入れ時、といったところか。
坑道から出入りする抗夫の姿が、かなり多く見られる。
山道ですれ違う者はいなかったから、ある程度魔石が集まるまでためているのだろう。
ブレイブに教えられたポイントに向かう。一行に気づいた者は、手と足をとめてこちらを見ている。
そのうちの一人が、掘立小屋を目指し、小走りで駆けていった。ボスに知らせるためだ。
俊也はその坑夫の後を追い、ゆっくり歩いていく。
小屋から五人の男が出てきた。槍や弓の得物を持っている。いきなり襲うことはないだろう。まずは穏健路線で。
「お疲れ様で~す! 雷の魔石さがしてま~す。どの辺が穴場ですか?」
俊也は手を上げて、大声で呼びかけた。男たちは応えず、黙って歩み寄る。
「鑑札札は持ってるのか?」
ボスらしき男が聞く。
「持ってますよ。これ、この通り」
俊也は鑑札札を示す。採掘権があることを証明する木札だ。
「物好きだな。雷の魔石なんてどうする?」
男が聞く。
「もちろんコレクションですよ。魔石庭園、とでも言えばいいのかな。
魔石ってきれいじゃないですか?
全属性の魔石で、きれいな庭を……」
「お前、バカか?」
ボスはあきれて言う。
「ですよね~。だけど、本当に雷の魔石が欲しいんです。掘りますよ」
「別にいいが、女ばかりだな。よくここまで来られた。
オオカミは大丈夫だったのか?」
俊也は一瞬案外話せる? と思ったが、すぐ気付いた。女ばかりだからか。
「俺の女はみんな強いですよ。おとといダークウルフの群れ、ふもとで一挙に退治しました。
もうぐちゃぐちゃで、数は数えられませんでした」
五人の男は腹を抱えて笑った。
「なかなか笑えるジョークだ。魔導師か?
そうだな、誰かあの大岩に魔法ぶっ飛ばしてみろ。邪魔でしかたなかったんだ」
「マサラ、滅多に使えないから、インプロージョンでぶっ飛ばせ」
「はい! ダーリン」
マサラはちゃめっ気を出して、一歩前に出る。
「インプロージョン、威力五倍マシマシ!」
ど、か~ん! 五十メートルほど先の大岩が半分吹き飛んだ。ここまで小石が飛んできた。
「退避できる場所があったら、一発で大丈夫ですが、岩が邪魔ならもう一度やりましょうか?」
マサラは澄ましてボスに言う。
「い、いや。十分です。他の方も?」
ボスは態度を一変した。心持ち、髭だらけの日焼け顔がひきつっているような。
「極太アイスランス、威力マシマシ!」
ズ、シーン! ユーノが魔法を放った。一抱えもありそうな氷の槍が、垂直で大岩に命中。残りの岩が割れた。
坑道から男たちが、地響きに驚いてぞろぞろ飛び出してくる。マサラの魔法でびっくりしたのだろう。そしてユーノの魔法がとどめを刺した。男たちは大パニック。
「ガント、この方々を、雷魔石の穴場にご案内しろ」
ボスはそう言って、小屋へ逃げ帰った。
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