上 下
204 / 230

204 仙境の果実?

しおりを挟む
 翌朝、カナ以外の嫁がリビングに全員集合。

アルス王国王女、エリーナとの顔合わせと、俊也が彼女を受け入れた場合の、作戦会議を開くためだ。

エリーナと彼女付きの侍女、カエデ・アキヤマは嫁の数と、なんとなく感じる、能力的な質に圧倒されていた。
噂に聞く超大魔導師、俊也の普通さ加減には、なんとなく安心できたけど。

とりあえずの自己紹介を終え、ルラが口を開く。

「俊也、エリーナさんはもちろん抱きたいだろうけど、ややっこしい条件があるの。
俊也はイスタルトより東の情勢は、よく知らないと思う。
エレン、地図で説明して」

「了解。エリーナさんは、自己紹介にあったとおり、イスタルトの南東側に隣接する、アルス王国の王女……」
 エレンは、地図を携帯用魔法ステッキで、指し示しながら説明する。

イスタルト東部で、国境を接している国は三つ。

北からロキア、タクト、アルス。
その三国の、さらに東に位置するのはサミア王国。北から南に細長い国土を有する。

サミア王国の中央部には、ガネル砂漠が、東西にだ円形で、国土を分断する形に広がっている。

そのため、サミア王国は、実質北サミア、南サミアの二つの国だと考えていい。

サミアのさらに東側にある国が、問題のカムハン帝国だ。

カムハンの牙は、食料調達がたやすい南サミアに向けられ、ほぼ占領されていると言っていい。


「なるほど……。あちらの歴史でいう『元』みたいなものか。
元は遊牧民族だった、という共通点もある。
文化のカム民族と、武力のハン民族の集合体国家。
それも共通してるかな。
たしかに厄介な国だ」
 俊也はつぶやくように言う。

「南サミアが落ち着いたら、次はタクトかアルス。国力から考えて、タクトの方が侵略しやすいだろうけど、あまりうまみはない。
だから、アルス王国は、戦々恐々というわけ」
 エレンは、そう説明を締めくくる。

俊也は悲痛な表情のエリーナを見つめる。

彼女は黄色人種と、白人種の混血といった印象だ。目と髪の色は黒。顔のつくりや肌の色は白人種寄り。深く整った容貌に涼やかな目が印象的。

「エリーナさん。あなたと、あなたの国の立場はわかりました。
率直にあなたの本音を聞かせて下さい。
王女ではなく一人の女性として。
俺たちはイスタルトに属する人間です。
アルスが併合され、カムハンという物騒な国と、隣同士になる事態は絶対避けたい。
だから、カムハンを牽制することは約束します。
つまり、俺の嫁になるかどうかは、あなたの気持ち次第です」

 俊也の言葉に、エリーナは、しばらく考えた。

「俊也様のお気持ち次第だとお答えします。
美しくてお強い奥様方の、末席に加えていただけたら、女として至高の喜びです」

 力は正義。その発想は弱肉強食のこの世界に、大なり小なり共通する価値観だった。
エリーナは、俊也と嫁たちの力を、三首脳からいやというほど刷り込まれていた。

「決まりだね。俊也、新妻を二階へエスコートしなさい」
 ルラが優しく微笑んで俊也を促す。

「その前に。
ローランやエンランの先祖は、カム王朝に滅ぼされたリャンネイ王朝だと聞いたけど、お付きの方は?」
 俊也はエリーナの後ろに控える、侍女に視線を向けた。
見た目年齢は四十前後か。完全な黄色人種だ。

「紹介が遅れました。
カエデ・アキヤマと申します。
出身はヤーポン。
リャンネイ半島の、さらに東に位置する島国です」
 カエデは恭しく応えた。

「俺の祖国は聞いてますか?」
 俊也の問いに、「うかがっております」と、エリーナは応えた。

「不思議なほどこの世界と、俺の生まれた世界は似ている。
カエデさんには、なんか親近感を感じちゃうな。
姓のアキヤマは秋の山の意味ですね? 
カエデはメイプル?」

「さようでございます」
 カエデは驚いた顔で答えた。

「カエデの顔立ちと、俊也様の顔立ちは、どこか共通します。
わたくしが一目見て俊也様に好感を抱いたのは、そのせいかもしれません。
カエデはわたくしが生まれてすぐから、世話をしてくれた最も近しい存在です。
カエデともども、一生お可愛がり下さいませ」
 エリーナのこわばっていた笑顔が自然になった。

「カエデさんも、可愛がっていいの?」
 俊也はニヤリと笑う。俊也は熟女もおいしく頂いている。

カエデは容貌も体も、江戸時代の美人画を思わせる。現代的な美人ではないが、この世界で初めて出会った「日本的」な女性。親近感がわいちゃう。

そして、エリーナにくっついて、館に居座ることは明らか。俊也はいただいていい女性は、頂いちゃおうの方針だった。

「わたくしも、ですか? 
もう歳ですよ? 
皆様のような美人でもないし」
 カエデは大いにとまどう。見た目年齢四十前後、実年齢六十歳少々。カエデはその歳にしてバリバリの処女だった。

「まとめてかわいがっちゃえ。
フミちゃん、興津根様の意向は?」
 フラワーが振る。

「憑依する気満々です」
 フミが苦笑して応える。

エリーナとカエデの処女主従は、どんぎつね方式の洗礼を受ける運びとなった。

興津根様は、多くの依り代に憑依し、俊也とセックスを重ねるたび霊力を増している。往年の力を取り戻す日は近い。

まだ試してないが、多分実体化も可能だろう。俊也との直接セックスも是非味わいたい。野性的なレジとも。

興津根様は、ルンルン気分でエリーナに憑依した。


 エリーナは、なにかふわふわした状態で俊也の後に続いた。

 白い煙のようなものが、口から体内に侵入した。と思ったら、意識があいまいになった。自我があるようでないような……。
 これが「興津根様」の憑依した状態か、と漠然と感じる。

ただし、感覚は間違いなく敏感になっている。だって…、おっぱいのさきっちょが、服にこすれて……、びんびんになってるぅ~~~!
歩くたび、あそこも……。一応嫁たちから、「狐憑き」状態の説明は受けていた。「全身が性感帯になる」。まさしく。

 エリーナは、王族や貴族のたしなみとして、性教育をばっちり受けている。女子の場合実践は伴わないが、図説付きで懇切丁寧に、その道のベテランから。
 木製の張形で、殿方のシンボルをどう扱うかも、相当以上露骨に。

 なにせ嫁ぎ先の男性の寵を得ることは、彼女たちにとって死活問題なのだ。王族の娘エリーナの場合は、個人の問題だけではない。
 特にエリーナは、故国の運命を背負って集中講義を受けてきた。なんとしてでも、イスタルト王を骨抜きにする! 周囲にそう発破をかけられ、彼女は必死で学んだ。

 ところが、イスタルト王は……、さすがにコメントできない。

 ならば、ということで、次期王攻略に意欲を燃やしたところ、全く意外な提案。
 噂に聞く大魔導師を頼るよう勧められた。厄介払いをされた感は否めないが、イスタルト三大貴族の話を聞けば聞くほど、俊也はとんでもない男に違いないと確信を持った。話八分であるにしろ、常識外の存在であること、間違いない。
 亡きイスタルト王や貴族、軍の前で披露した大魔法。一瞬でナームの魔導師部隊を殲滅したこと。戦乱で無人化した荒野を、たった一年で沃野に開墾したこと。飢えで苦しむナームの民を、ほぼ個人の財で潤したこと。
 どれをとっても人間業ではない。

 その意味で、自分の働き、つまり閨房での努力次第で、アルスは大きな後ろ盾を得られる。

 つまり、エリーナは故国の運命を双肩に背負い、決死の覚悟で館に来た。

 ところが、その超人はいたって穏やかで、優しそうな男性。

エリーナはある意味拍子抜けした。恐ろしい「魔王」は、フツーの男性だった、って感じ?
 もちろん、変身することは全然普通ではないが。

 なんか超安心……。俊也さん、すべてお任せします。アルスも、私も……。

 エリーナは、ふわふわしたままでベッドに横たわった。

 俊也が覆いかぶさり、ちゅっ、ちゅっ……。軽いキスをくれた。ぎゅっ……。乱暴でない程度の力で抱きしめられる。
 エリーナのふわふわ状態は、いっそうふわふわに。ここは天国?

『もっと天国になるよ。すぐに』

 頭の中から、声が響いた。

 大きく開いたドレスの胸元が…、広げられた。

 ああ、おっぱいが包まれた。俊也さんの手のひらで……。温かい。ああ、じんじんする……。あそこが……。

 俊也の手のひらは、おっぱいでうごめく。あふ~ん……。軽く乳首がはじかれた。
 手を働かせながら、あつ~~~いキス。唇を割られ、舌が……。勉強はしてます! 舌をからめて、唾液を吸うんだよね? ちゅく、ちゅく……。
 ふわ~~~! 甘いよ……。すっごく甘い! よく熟れた水蜜桃の果汁?
 カムハンの伝説にある仙境の果実。それはこんなお味?

 最強の処女卒業システム、興津根様憑依は、着々と成果を上げた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

クラス転移したところで

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:0

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:45

【R18】スキ美味⁉︎ 〜美味しくいただきました〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:114

便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,184pt お気に入り:4,483

クラス転移したけど能力が低いのでリセマラされる前にバックレる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:539

(R18) 悪役令嬢なんて御免です!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:291pt お気に入り:4,109

召喚されない神子と不機嫌な騎士

BL / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:465

処理中です...