下心は恋心なんだ。

Gemini

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第五話

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 俺のとんでもないお願いに薫は相手してやると言った。



 4年、我が家のように来てた薫のマンション。
 その前で俺はウロウロして、オートロックのインターフォンを鳴らせないでいる。



 薫が女の子と一緒なところを初めて見たのはいつだったか。俺は相手の女の子の顔を見てびっくりしたんだ。ついこの間合コンでお持ち帰りした女の子じゃん。

 俺はその夜セックスできる女の子と知り合えればそれでいいし、相手になんの感情もない。これまでもずっとそうだった、恋愛なんて面倒くさい。セックスだけ楽しめるそんな関係が好きだった。

 でも、俺と寝た女の子が薫の横に居て、一緒に歩いてる。薫がその女の子に笑顔で笑いかけてる。

「あんな笑顔すんだ、女の子には」

 あれが薫の男の顔なんだ、俺はそう思った。

 程なくして、また俺は薫と女の子のツーショットを目撃することとなった。しかしこの間の女の子じゃない、でも見覚えがある。俺が寝た女の子だ。

「……なんで、なんで」

 こんな偶然ありかよ。

 もしかして俺を追うように女の子に手を出してる?
 それはちょっと俺の考えすぎなのかな。

 あの子だって俺が本命ってわけじゃない、単に釣れた男と寝てるのかもしれない。



 けど、薫は違うだろ?

 尻軽女とセックスするような男じゃないだろ?
 セックス目的で女の子を選ばないだろ?
 恋愛は慎重にするんだ、って言ってた気がする。

 でも、

 ……………、知らない。

 たぶん俺は薫のなにも知らない。



 でも、いくら何でも好きじゃない奴は抱けないだろ?
 俺だってそうだよ、それなりに好意がなけりゃ勃たない。

 しかも俺とセックスしたって分かってる女の子とするなんて、俺が逆の立場なら、立場なら……



 考えて自分に驚いた。

 薫がどうやってあの女の子を抱くのか。

 どんな目で女の子を見つめるのか、

 あの逞しい腕で、

 あの背中に流れる汗、

 腰つき

 薫のことばっかりが再生されてくんだ。




 たまに俺を触る薫の手がどうしても俺の心を惹くんだ。

 髪を切ると必ず項を触る。

 いつからだろう、髪を切られている時から薫のリアクションを想像してたのは。

 ゴツゴツしてて細くて長い指。

 黒縁メガネにかける手を視線で追いかけてた。




 薫とセックスしたい、いつからかそう思うようになった。
 薫のことが好きなのかな。

 でも薫は友達、こんな俺の友達をずっとしてくれてる。
 友達っていうより、俺の保護者みたいな世話を尽くしてくれる人みたいで、そんな関係でも終わることが怖かった。

 アプリに登録して男の身体に触れてみようと思った。出会った男に口でされて、拒絶感が勝ったのは俺はやっぱり薫がいいんだ、ってそう思った。

 アプリで一覧をなんとなくスクロールしているとあるアイコンが目を引いた。黒縁メガネが机に置かれている写真だ。プロフィールを見ると大学生とある。何故かはわからない、薫だって直感した。



 それで俺は自習室で賭けに出たんだ。

 いつもの、『女の子と遊んでいる海斗』を演じて。




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