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休息
第七十一話
「波野さん、昨夜はすいませんでした!」
ロケ先へ出発するためホテルの玄関で集まってるスタッフの中に波野さんを見かけて雪は駆け寄った。
「いいの! いいの! 初日は疲れるものよ、みんなも昨夜は早めに切り上げたのよ、だから気にしないで」
今朝起きてスマホを確認したら波野さんからの着信履歴があって、そこで夕食をすっぽかしたことを思い出したのだった。
「部屋に様子を見に行ったら須賀社長が甲斐甲斐しくお世話してたわよ? うふ」
「えぇーーっ」
昨日のバスルームでの事を思い出すと顔から火が出そうに熱くなる。体が熱くなってボーッとしてきてからはあまり記憶がないのだけど、須賀と気持ちいいことをしたのはちゃんと覚えている。
今朝も起きたらもう須賀は居なかった。だから夢だったのかなと思えてくるのだが、波野さんにそう言われて現実だったのだと思うしかない。
「今日もがんばろ! もしかすると今日で全て撮り終えることができるかもしれないの、モデルが良いとスムーズだわ」
波野さんはいたずらっぽい笑顔を寄越した。そして車に乗り込み出発する。
昨日の余韻か疲れか、身体はだるい。車窓に視線を送ると今日も清々しいほどの青空で。暑い一日が始まる。
お昼の休憩時間に車に戻りスマホを見ると須賀からの着信履歴があった。とりあえず折り返してみると、すぐに須賀が出た。もう近くまで来てるからそのまま待ってろ、とのこと。
しばらくすると一台の車がやってきた。サングラスを掛けた須賀が颯爽と出てくる。気がついたスタッフたちも須賀の姿に目が釘付け。
──やっぱり見惚れてしまうよなぁ……。
須賀の周りにスタッフたちが集まりだすと須賀がサングラスを外してスマイルを作る。『須賀社長』としての営業スマイルだ。
「近くのレストランを予約した、そこで皆で食べよう」
「わあ! うれしいーーっ!」
「ありがとうございます! 社長!」
ガッツポーズまでしてる人も居る。
──須賀さんて近寄りがたいはずなのに、結構慕われてるっていうか、心を掴んでるっていうか……。
近寄りがたいと思っていたのは自分だけなのか、と雪はみんなを少し後ろから見ていた。
「雪も行こう」
須賀に手を取られ、須賀の乗ってきた車まで手をつなぐ。
──え? 俺だけ須賀さんの車でいいのか?
みんなを振り返るとニヤニヤしてる視線とぶつかる。皆で乗る車の前でみんなが俺と須賀さんを見ていたのだった。
──もう! 変な想像しないでよ!
少し睨んでみせるとみんなが大笑いした。波野さんもこちらを見ていて「いいのよ」と言わんばかりに頷いていた。まるで母親が子供に促すような優しい目だった。
みんなから目をそらし握られた手を意識すると、少しの恥ずかしさを覚える。
──今まで手を繋いであるいたことあったかな……。
車に乗り須賀に頬を撫でられて、ドクッと鼓動が跳ねる。
「雪。体調はどうだ?」
このとき自分でもさすがに違和感を覚えた。下腹部の疼きと共に後ろがぎゅっとしたんだ。中の内臓がうねるような。
訳が分からないはずなのに、須賀を求めてるんだってことは直感できた。これがΩだということなのだろうか。
「はい、大丈夫です! 今日はジメっとしてなくてカラッとしてるので気持ちが良いですね」
そう誤魔化した。赤くなる頬を隠したくっても前髪が上げられていていつも隠してる顔が全て顕になっている。隠しようがない。仕方なく俯いて話を続けた。
「大丈夫そうじゃないぞ、昨日無理させたからだな、すまん……」
──へ……?
須賀に謝られて思わず顔をあげると、心配そうに俺の顔を見ていてた。目が合えばまたかぁっと耳まで赤くなる。それに気がついて眉をハの字にして「ぷっ」と須賀が笑った。
「雪は、本当に愛らしいな」
顔を覆ってしまいたいが、メイクが崩れてはいけない。唇を噛んでこの雰囲気に堪えた。
「あぁ、駄目だよ、噛んではいけない」
顎を持たれ、そして唇に親指が触れる。
「波野は本当に雪の美しさを引き出すのがうまいな。キスしたくて堪らなくなるよ」
「須賀さ……ん」
「昨夜の雪も好きだが、こうやって恥ずかしそうに視線を逸らされるのもグッとくるよ」
──昨夜の俺??
「……、やっぱり駄目だ」
そう言って前が少し暗くなる。須賀のビターなフェロモンが近づいて唇がくっついた。
上唇をゆっくりと喰まれると名残惜しいように、何度も軽いキスが続いてようやく離れると、みんなが待ってるから行こうかと須賀が笑った。
──レストランまでに落ち着かせないと!
雪が手で仰ぎながら深呼吸しているのを横目に見て須賀は嬉しそうにしていた。
ロケ先へ出発するためホテルの玄関で集まってるスタッフの中に波野さんを見かけて雪は駆け寄った。
「いいの! いいの! 初日は疲れるものよ、みんなも昨夜は早めに切り上げたのよ、だから気にしないで」
今朝起きてスマホを確認したら波野さんからの着信履歴があって、そこで夕食をすっぽかしたことを思い出したのだった。
「部屋に様子を見に行ったら須賀社長が甲斐甲斐しくお世話してたわよ? うふ」
「えぇーーっ」
昨日のバスルームでの事を思い出すと顔から火が出そうに熱くなる。体が熱くなってボーッとしてきてからはあまり記憶がないのだけど、須賀と気持ちいいことをしたのはちゃんと覚えている。
今朝も起きたらもう須賀は居なかった。だから夢だったのかなと思えてくるのだが、波野さんにそう言われて現実だったのだと思うしかない。
「今日もがんばろ! もしかすると今日で全て撮り終えることができるかもしれないの、モデルが良いとスムーズだわ」
波野さんはいたずらっぽい笑顔を寄越した。そして車に乗り込み出発する。
昨日の余韻か疲れか、身体はだるい。車窓に視線を送ると今日も清々しいほどの青空で。暑い一日が始まる。
お昼の休憩時間に車に戻りスマホを見ると須賀からの着信履歴があった。とりあえず折り返してみると、すぐに須賀が出た。もう近くまで来てるからそのまま待ってろ、とのこと。
しばらくすると一台の車がやってきた。サングラスを掛けた須賀が颯爽と出てくる。気がついたスタッフたちも須賀の姿に目が釘付け。
──やっぱり見惚れてしまうよなぁ……。
須賀の周りにスタッフたちが集まりだすと須賀がサングラスを外してスマイルを作る。『須賀社長』としての営業スマイルだ。
「近くのレストランを予約した、そこで皆で食べよう」
「わあ! うれしいーーっ!」
「ありがとうございます! 社長!」
ガッツポーズまでしてる人も居る。
──須賀さんて近寄りがたいはずなのに、結構慕われてるっていうか、心を掴んでるっていうか……。
近寄りがたいと思っていたのは自分だけなのか、と雪はみんなを少し後ろから見ていた。
「雪も行こう」
須賀に手を取られ、須賀の乗ってきた車まで手をつなぐ。
──え? 俺だけ須賀さんの車でいいのか?
みんなを振り返るとニヤニヤしてる視線とぶつかる。皆で乗る車の前でみんなが俺と須賀さんを見ていたのだった。
──もう! 変な想像しないでよ!
少し睨んでみせるとみんなが大笑いした。波野さんもこちらを見ていて「いいのよ」と言わんばかりに頷いていた。まるで母親が子供に促すような優しい目だった。
みんなから目をそらし握られた手を意識すると、少しの恥ずかしさを覚える。
──今まで手を繋いであるいたことあったかな……。
車に乗り須賀に頬を撫でられて、ドクッと鼓動が跳ねる。
「雪。体調はどうだ?」
このとき自分でもさすがに違和感を覚えた。下腹部の疼きと共に後ろがぎゅっとしたんだ。中の内臓がうねるような。
訳が分からないはずなのに、須賀を求めてるんだってことは直感できた。これがΩだということなのだろうか。
「はい、大丈夫です! 今日はジメっとしてなくてカラッとしてるので気持ちが良いですね」
そう誤魔化した。赤くなる頬を隠したくっても前髪が上げられていていつも隠してる顔が全て顕になっている。隠しようがない。仕方なく俯いて話を続けた。
「大丈夫そうじゃないぞ、昨日無理させたからだな、すまん……」
──へ……?
須賀に謝られて思わず顔をあげると、心配そうに俺の顔を見ていてた。目が合えばまたかぁっと耳まで赤くなる。それに気がついて眉をハの字にして「ぷっ」と須賀が笑った。
「雪は、本当に愛らしいな」
顔を覆ってしまいたいが、メイクが崩れてはいけない。唇を噛んでこの雰囲気に堪えた。
「あぁ、駄目だよ、噛んではいけない」
顎を持たれ、そして唇に親指が触れる。
「波野は本当に雪の美しさを引き出すのがうまいな。キスしたくて堪らなくなるよ」
「須賀さ……ん」
「昨夜の雪も好きだが、こうやって恥ずかしそうに視線を逸らされるのもグッとくるよ」
──昨夜の俺??
「……、やっぱり駄目だ」
そう言って前が少し暗くなる。須賀のビターなフェロモンが近づいて唇がくっついた。
上唇をゆっくりと喰まれると名残惜しいように、何度も軽いキスが続いてようやく離れると、みんなが待ってるから行こうかと須賀が笑った。
──レストランまでに落ち着かせないと!
雪が手で仰ぎながら深呼吸しているのを横目に見て須賀は嬉しそうにしていた。
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