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初めての旅行
第八十三話
「もう、明日には帰るのかぁ……」
大きなジェットバスを泡だらけにして雪がその中から顔だけ出している。水面に浮かぶ真っ白な泡を撫でて泡の感触を楽しんでる雪がそう呟いた。
「明日は昼には船に乗らないといけないからな」
「あっという間だったなぁ……」
「また、来よう。ここじゃなくともいい。海外もいいな」
身体を洗い終えて雪の居るバスタブへ足を入れた。途端に雪は頬を赤らめて顔を背けた。
「恥ずかしいしのか?」
「だっ、そ、それは……そう……ですよ……」
「私の体で雪の知らないところはないだろう」
「……!!」
余計顔を赤らめ頭からは湯気が出そうだ。
私は横に座りバスタブに首を乗せて寄りかかった。雪は私が座ったのを確認して私の方をようやく向いた。泡が顎先にくっついている。
「明後日からは大学か?」
「はい! もうすぐに新しい課題が出るんです。あと試験の準備しとかないとです……。あぁ、考えてたら憂鬱だなぁ」
初めて雪が勉強の愚痴をこぼした。
「二年になったら急にカリキュラムも詰め詰めになったし。もう、必須科目じゃないのに一限にするのやめてほしい……朝起きれない……」
すっかり肩を落として項垂れてしまった。顎先の泡を指先で撫でて落としてやると、雪が不思議そうな顔をして私を見上げる。そして小さく微笑んだ。
「元親さん。また、笑ってる」
「……笑ってる……?」
「ふふ」
笑っているのは雪の方だ。と、気恥ずかしさに目を逸し、横にある大きな窓を見た。
外は真っ暗でバスルームの明かりで写り込むのは私と雪だった。一緒に写り込む雪は私の顔を見上げながら顎の下で固まったままの私の手を取り、自身の手を添えて頬ずりをした。
──雪はそんな風に私を見ているのか。
外を眺めていると思っているのか、雪は手で湯を掬ってそれを私の肩に掛けた。泡を掬っては私の肩に乗せてそれが肩から滑り落ちるのを何度か繰り返して、くすっと笑っている。
思わず目を閉じて堪えた。
体の内側から湧き出つような強い幸福感が、胸の奥を熱くし、同時に目の奥も熱くなる。
ここがバスルームでよかった。私は咄嗟に濡れた手で顔を強く擦り、それでも収まらずお湯を掬って顔を洗った。
「───っ」
「元親さん、泡が目に入っちゃう──……っ!?」
雪の細い指が私の顔に伸ばされると、雪の首元を鷲掴み強引に引き寄せた。
バクバクと薄い胸から雪の心音が伝わる。
「雪、あいしてる──……」
雪は何も言わないで私の背中に腕を回した。私の背中に湯を掬っては掛けながら、私の気が済むまでそのままでいてくれた。
大きなジェットバスを泡だらけにして雪がその中から顔だけ出している。水面に浮かぶ真っ白な泡を撫でて泡の感触を楽しんでる雪がそう呟いた。
「明日は昼には船に乗らないといけないからな」
「あっという間だったなぁ……」
「また、来よう。ここじゃなくともいい。海外もいいな」
身体を洗い終えて雪の居るバスタブへ足を入れた。途端に雪は頬を赤らめて顔を背けた。
「恥ずかしいしのか?」
「だっ、そ、それは……そう……ですよ……」
「私の体で雪の知らないところはないだろう」
「……!!」
余計顔を赤らめ頭からは湯気が出そうだ。
私は横に座りバスタブに首を乗せて寄りかかった。雪は私が座ったのを確認して私の方をようやく向いた。泡が顎先にくっついている。
「明後日からは大学か?」
「はい! もうすぐに新しい課題が出るんです。あと試験の準備しとかないとです……。あぁ、考えてたら憂鬱だなぁ」
初めて雪が勉強の愚痴をこぼした。
「二年になったら急にカリキュラムも詰め詰めになったし。もう、必須科目じゃないのに一限にするのやめてほしい……朝起きれない……」
すっかり肩を落として項垂れてしまった。顎先の泡を指先で撫でて落としてやると、雪が不思議そうな顔をして私を見上げる。そして小さく微笑んだ。
「元親さん。また、笑ってる」
「……笑ってる……?」
「ふふ」
笑っているのは雪の方だ。と、気恥ずかしさに目を逸し、横にある大きな窓を見た。
外は真っ暗でバスルームの明かりで写り込むのは私と雪だった。一緒に写り込む雪は私の顔を見上げながら顎の下で固まったままの私の手を取り、自身の手を添えて頬ずりをした。
──雪はそんな風に私を見ているのか。
外を眺めていると思っているのか、雪は手で湯を掬ってそれを私の肩に掛けた。泡を掬っては私の肩に乗せてそれが肩から滑り落ちるのを何度か繰り返して、くすっと笑っている。
思わず目を閉じて堪えた。
体の内側から湧き出つような強い幸福感が、胸の奥を熱くし、同時に目の奥も熱くなる。
ここがバスルームでよかった。私は咄嗟に濡れた手で顔を強く擦り、それでも収まらずお湯を掬って顔を洗った。
「───っ」
「元親さん、泡が目に入っちゃう──……っ!?」
雪の細い指が私の顔に伸ばされると、雪の首元を鷲掴み強引に引き寄せた。
バクバクと薄い胸から雪の心音が伝わる。
「雪、あいしてる──……」
雪は何も言わないで私の背中に腕を回した。私の背中に湯を掬っては掛けながら、私の気が済むまでそのままでいてくれた。
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