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第8章 アカデミー?天国じゃん!

02 天才魔法使いあらわる?

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    愛斗に魔力を底上げされた彼女はアカデミーで並ぶ者がいない程に優秀な魔法使いになっていた。上級魔法の無詠唱は勿論、身体能力も格段に成長していた。

「あ、マナト様ぁ!見て下さいっ。私、上級魔法も無詠唱で使える様になりましたよっ♪」

「おお、先日の。頑張っているみたいだな。」

「はいっ!いつかマナト様の下で働きたいので!その時はあの…。」

「ああ、待ってるよ。慢心せず頑張れよ。」

「はいっ!」

    愛斗は彼女と別れ、再びアカデミーを歩いて回った。アカデミー内を歩いていると、ふと気になる部屋を見つけた。そこにはこう書かれていた。

「ん?何だここ…。何々…魔法研究室?」

    愛斗は扉を開いて中に入った。

「うわ…足の踏み場もねぇ…。これは…。散らかり過ぎだろ…。研究者ってのは皆こうなのか?」

    愛斗は紙を1枚拾い上げて目を通した。

「何々…。魔法の相性と合成について。ほ~。これに気付く生徒がいるのか。将来有望だな。」

    そう呟いた瞬間、奥で何かがもぞもぞと動いた。

「それ…わたしの。返して?」

「おぉ、すまんな…って、何故パン1?」

    部屋の奥にはパン1姿の女の子が1人立っていた。

「…あつい…から?」

「そりゃあ…こんだけ閉めきってりゃな。で、お前は何者?アカデミー生で此処に到達するなんて、天才?」

「私は…【リム・フェルト】。皆リムって呼んでる。天才かどうかは分からない。貴方は…?」

「俺は魔法国家グリモア国王、マナト・シーナだ。今はアカデミーの視察中って事にしといてくれ。」

「グリモア…?マイン…は?」

「え?お前…引きこもり過ぎだろ!?マインは無くなった。もしかして…戦があったのも知らない…とか?」

「…知らない。どうやら…長い時間眠っていた様だ…。くぅ~…。」

    リムは立ったまま眠りに就いた。

「寝るなや!?」

「んう~…。何か用…?リムは…眠い。」

「ん~、お前、これって独学?もう使えるの?」

    リムは眠そうに答えた。 

「独学…。まだ…完成していない。」

「ほ~。なら、【アイス】!」

    愛斗は水と風を合成させて魔法を発現させた。  

「そ、それ!合成…魔法!?」

    眠そうにしていた彼女は目をパッと開いて愛斗に近寄ってきた。

「ど、どう…やったの?教えて…?」

「良いのか?自分で辿り着かなくて?」

「うっ…。そう…だった。でも…希望は見えた!魔法は合成…出来る!それだけ、分かっただけでも…大収穫!でも…使える人が居たなんて…驚いた。」

「多分他にも居るぞ。有名かどうかは知らないが、バーミラって名は知ってるか?」

    女の子は愛斗に飛び付いた。

「お姉ちゃん!…どこ…!?」

「お、お姉ちゃん?お前、バーミラの妹か?そういや何か似てる様な…。」

    愛斗はじっくりとリムを見た。確かにどこかバーミラに似ていた。

「お姉ちゃんは…魔法を作る天才だった。だけど…いくら作っても国に成果を奪われ…やがて姿を消した。」

「知ってるよ。バーミラは今、ガラテアにいる。幸せに暮らしてるよ。」

「そう…お姉ちゃん…良かった…!」

    リムは愛斗にぽふっと頭を添えた。

「お姉ちゃん…今も可愛い?」

「勿論だ。」

「魔族に…したの?」

「分かるのか?」

「一応…。魔力の質が人間と違うから。」

    愛斗はリムに言った。

「俺は魔族だ。バーミラはそれを知ってて受け入れた。因みに魔族が悪ってのは…。」

「知ってる。嘘…なんでしょ?」

「知ってたのか。」

「うん。歴史を見ると…急に魔族が悪になった時期がある。それで、嘘じゃないかと…思ってた。人間界が…発展したのもそれ以降…、しかも…急激に。 」

「はは、とんでもない天才だ。」

「そうでも…ない。魔法の腕…お姉ちゃんに比べたらまだまだ未熟。」

「ま、バーミラは勇者パーティーに入る位だしなぁ。体力0だけど。」

「それは…生まれつき。小さい頃から…本ばかり読んでた。」

「まぁ、想像つくわ。活発だったバーミラとか想像つかねぇし。っと、邪魔したな。バーミラに会いたいならガラテアの城に来な。」

「完成したら…行く。待ってて?」

「おう、頑張れよ。」

    愛斗は部屋を出た。

「いや~。驚いた。まさかバーミラの妹とはなぁ。世間は狭いぜ。さてと、探索探索…。」

    愛斗は再びアカデミー内を見て回る。そして、可愛い女の子を見掛けては空き教室に連れ込み、魔力を注いでいった。

「あの…マナト様。そろそろアカデミーが閉まりますので…続きは女子寮でお願い出来ますか?」

「女子…寮だと!?そんなモノがあるのか!?」

「は、はい。敷地内に建ってますよ。」

「よし、直ぐに行こう!あ、俺は目立つといけないから姿を消して行くわ。先に行っててくれ。」

「は、はい♪お待ちしております♪」

    女の子は愛斗の上から降り、制服を着直してから部屋を出ていった。

「女子寮とか…行くしかねーだろ!いざ…!」

    愛斗は魔法で姿を消し、女子寮へと向かった。

「ほ~。これはこれは…。魔法無効結界ね。ま、俺には効かないがな。」

    真夏は消えた姿の上から遮断結界を張り、女子寮へと突入するのであった。
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