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第1章 始まりの章
18 枢、仲間を得る
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町を長に任せ、枢は単身東にあると言われるダンジョンへと向かっていた。最初は少なかったモンスターも、東に向かうにつれ、徐々にその数を増していた。
「やはり…ダンジョンからモンスターが溢れ出している様だな。にしても…どんだけだよ!見渡す限りモンスターじゃねぇか!?」
枢の前にはモンスターの絨毯が出来上がっていた。
「面倒だなぁ…。【ホーミングレイ】。」
ドガガガガガガガガッ!!!!
枢は魔法で一掃していく。が、倒しても倒しても次々と湧いてくる。
「地表でこれなら…ダンジョン内は更におかしい事になってんだろうなぁ…。こんな時仲間が居れば少しは楽出来るんだがなっと!」
ザシュッ!
「居ないモンは仕方無いよなっと。」
ズガガガガガガガガッ!!!
枢は少しずつ少しずつ前進し、数日掛けて漸く地表のモンスターを殲滅、ダンジョンの入り口へと辿り着いた。
「あれか…。えっと…取り敢えず…。」
枢は先ず入り口に結界を張り、中からモンスターが出て来られない様にした。
「これで外は大丈夫だろ。この辺は残らず片付けたしな。少し休むか…。【物質創造】家。」
枢はダンジョンの隣に家を作り一休みする事にした。
「ふぅ…。汗だくになったからな。風呂が気持ちいいぜ。」
枢が風呂に入っていると、不意にドアを叩く音が聞こえた。
ドンドンドンドンドン!
「あん?誰だ!俺の至福の時間を邪魔する奴は!」
枢は風呂からあがり、そのまま玄関に向かう。
「誰だっ!!」
「た、助かっ…きゃあぁぁぁぁぁっ!?」
「あ?…あ。」
ドアを叩いていたのは魔族の女だった。見た所流れの魔族だろうか。あちこちに傷を負っていた。
「何の用だ?」
「か、隠しなさいよ!?恥ずかしくないの!?」
「?見られて困るモノは持っていないんでな。だから、何の用だと聞いている。用が無いなら帰れ。俺は今入浴中だ。じゃあな。」
枢は扉を閉めようとした。
「ま、待って!」
閉まる直前に女の足と手が扉の隙間に入り込んで来た。
「何だよ!?」
「聞いて!?頼むから聞いて!?」
「…手短にな。」
「ち、ちょっと休ませて欲しいんだけど…。」
「あ?そこらで休めば良いだろ。」
「そ、外だと安心して休めないじゃない。いつモンスターが出るか分からないし。」
「安心しろ、ここら一帯のモンスターは全て排除してある。そして、ダンジョンの入り口にも結界が張ってあるから出て来ない。じゃあな。」
「ま、待って~!布団が恋しいのよぉぉぉっ!それから…出来ればお風呂と食事も…。」
「厚かましいにも程があるだろ!?何なんだお前は!?」
「アタシ?アタシは【アイリーン】。見ての通り、魔族よ。モンスター退治を生業にしているの。で、森で迷子になって1ヶ月…、もう限界なのよぉぉぉ…。」
迷子のモンスターハンター?ふ~ん。
「ま、入れよ。どうせ他に行く気は無いんだろ?」
「此処を逃したら私はまた迷う羽目になるわ!死ぬ気でお邪魔しますとも!」
アイリーンはズカズカと入ってきた。
「あ、靴はそこで脱いでな?」
「は?仕方無いわね。」
何様だコイツは…。
「これで良い?」
「ああ…って…泥だらけじゃねぇか…。こっち来いよ。風呂があるからまず身体を洗え。」
「あ、うん。」
枢はアイリーンを連れて脱衣場に入る。
「脱げ。んで、脱いだ服はこっちに寄越せ。洗ってやるよ。」
「こ、此処で脱げって言うの!?見られるじゃないの!?」
「それがどうした?どうせ風呂の使い方も分からないんだろ?最後には見られるんだから良いじゃん。ほら、早く。それとも…脱がせて欲しいのか?」
「うぅ…自分で脱ぐわ。あんまり見ないで。」
アイリーンは顔を真っ赤にしながら着ている物を全て脱ぎ、枢に手渡した。枢はそれを洗濯機に放り込み、スイッチを押した。
「何これ?」
「自動で洗って乾燥までしてくれる便利な道具だ。」
「へぇ~。」
アイリーンは回るドラムを前屈みになりながらずっと見ていた。服の下も小さな傷があちこちにあった。
「【エクストラヒール】。」
「え?あ、傷が…。」
「余計なお世話だったか?」
「ううん、ありがと。意外に優しいんだね?」
「俺の半分は優しさで出来ているからな。」
「残り半分は?」
「嫌いな奴は容赦なくぶっ飛ばす厳しさかな。」
「笑えない…。」
「それよりほら、中に行くぞ?身体も綺麗に洗わないとな。」
「あ、うん。」
それから枢はアイリーンを隅々まで綺麗に洗い、今2人で湯船に浸かっていた。
「あんなとこまで届くなんて…。ちゃんと責任とってよね?」
「ははは、何の事かサッパリだな。」
「あ、悪魔め…。初めてだったのに…!」
「冗談だよ。ダンジョンを攻略したら俺の町に連れてってやるよ。」
「俺の町?アンタ長だったの?」
「まぁそんなもんだ。この大陸にいるほぼ全ての魔族が俺の町に住んでいる。稀にお前みたいなハグレがいるからな。だからほぼだ。」
「ふ~ん…。もしかして…結構強い?」
「誰にも負ける気はしないな。さて、そろそろ上がるか。」
「え~?もう良いの?洗濯機だっけ、まだ回ってるよ?」
「あぁ、服が無いか。つか、あんなボロい服また着るのか?」
「あれしか無いもん。装備も壊れたから捨てちゃったし。」
「下着は大丈夫そうだったから…後で服と装備をやるよ。」
「ありがと。じゃあ…乾くまで…ね?」
「オーケーだ。」
それから2人は服が乾くまで浴室でまったりと過ごした。風呂から上がり、洗濯機から下着を取り出して履いたアイリーンに枢が新しい服を渡した。
「この服どうしたの?」
「今作った。お前、シーフだろ?動きやすい方が良いと思ってな。敏捷上昇を付与してある。」
「へぇ、それで身体が軽く感じるのね。」
アイリーンは服を着て軽く飛び跳ねたりしていた。枢はキッチンに移動し、アイリーンに問い掛けた。
「さて、飯にするか。何か食べたい物は?」
「肉以外で。もう暫く肉しか食べて無かったから…。」
アイリーンは森をさ迷いながらモンスターの肉を食べていたと言う。そりゃ肉は見たくも無くなるわな。
「じゃあ…パスタかな。少し待ってな。」
枢は2人分のパスタとサラダを作りテーブルに置いた。
「何これ?」
「ナポリタンだ。フォークでこう…巻いて食べるんだ。やってみ?」
「ふむふむ…。」
アイリーンは器用にくるくると巻いて口に運んだ。
「何これ!うっまっ!?料理も出来るとかどんなスペックしてんの!?うまうま♪」
「今時料理くらい出来ないとな。食べながらで良いから話をしようか。」
枢はアイリーンに何故モンスターハンターをしているのかを尋ねた。
「理由?そうねぇ、モンスターが私から家族を奪った…からかしら。私の居た集落の周りってさ、此処より遥かに強いモンスターが跋扈しているのね。で、ある日モンスターが集落を襲って住民達を皆殺しにしたのよ…。私はたまたま狩りに出てて助かったけど…家族や集落の人達は…っ!ま、要するに復讐かな。」
「…成る程ねぇ。因みにだ、その復讐に終わりはあるのか?」
アイリーンは下を向きながら拳を握りしめていた。
「あるかもしれないし…無いかもしれない。どうすればこの傷が癒えるのか…アタシには分からないわ。答えがあるなら…是非聞いてみたいわよ。」
どうやら相当モンスターを恨んでいるらしい。枢は食べ終わった皿を下げつつ、これからどうするかを考えていた。すると、今後はアイリーンが枢に質問をした。
「枢はさ、何でモンスターを退治してる訳?」
「俺か?俺は…この大陸を安全な大陸にしたいからかな。折角町も作って魔族も1ヶ所に集めたが…町の外に出られないんじゃ困るだろ?俺の予測だと、モンスターはダンジョンから溢れだしている。収まりきらなくなったのか、最下層に強力なモンスターが現れて縄張りを広げているかは入ってみないと分からないけどな。俺はこの大陸にあるダンジョン全てを破壊するつもりだ。そしたら一応一段落かな。」
「ふ~ん…。ならさ、私を仲間にしない?ダンジョンなら罠とか色々あるでしょ?私こう見えて器用だし役に立つと思うんだけどな~?」
「いや、結構です。」
「何でよ!?そこは、はい!ありがとうございます、でしょ!?」
「たかだか森くらいで迷う様な奴が役に立つか!他を当たれ他を。」
アイリーンはそれでも諦めず、枢に後ろから抱きつきながら言った。
「枢さ、私にあんな事やこんな事…しちゃったよね?」
「…それが何か?」
「連れてってくれたらさ、好きな時に好きな事を好きなだけさせてあげてもいいんだよ?」
「なっ!…だ、だめだ。」
「あ、迷ったでしょ?いいの?一回だけで満足しちゃった?ここはそう言ってないみた…」
「やめろ。やっちまってから言うのも何だがな、あまり安売りすんなよ。ダンジョンは何があるか分からない。地表とは違うんだ。諦めろ。」
「…やだ。一緒に行く。」
「アイリー…」
「行くの!もう決めたの!男ならやった女くらい守りなさいよ!私、戦う事しか出来ないからさ、町に行っても何も出来ないよ。お願い、ちゃんと言う事聞くから!危ない事しないから!お願いよぉ…。」
アイリーンは枢の背に額を擦り付けながら涙を溢していた。枢は涙に弱い。
「あぁっ!もうっ!分かったよ。連れてくよ。ただし、言う事は守れ。勝手に離れるな。守ると誓うか?」
「う、うんっ!誓う!えへへ…♪」
アイリーンは涙を拭き、笑顔を浮かべた。
「明日向かう。今日はゆっくり休め。」
「一緒に寝ないの?」
「休むどころじゃ無くなるからな、却下だ。」
「…ぶぅ。はいはい、休みます~。…ありがとね、お休み、枢。」
「ああ、お休み、アイリーン。」
アイリーンはベッドに横になると直ぐに寝息を立てて深い眠りに入った。
「久しぶりのベッドって言ってたな。ま、ゆっくり休め。じゃあな。」
こうして、枢はアイリーンを仲間に迎え、ダンジョンに向かう事にするのであった。
「やはり…ダンジョンからモンスターが溢れ出している様だな。にしても…どんだけだよ!見渡す限りモンスターじゃねぇか!?」
枢の前にはモンスターの絨毯が出来上がっていた。
「面倒だなぁ…。【ホーミングレイ】。」
ドガガガガガガガガッ!!!!
枢は魔法で一掃していく。が、倒しても倒しても次々と湧いてくる。
「地表でこれなら…ダンジョン内は更におかしい事になってんだろうなぁ…。こんな時仲間が居れば少しは楽出来るんだがなっと!」
ザシュッ!
「居ないモンは仕方無いよなっと。」
ズガガガガガガガガッ!!!
枢は少しずつ少しずつ前進し、数日掛けて漸く地表のモンスターを殲滅、ダンジョンの入り口へと辿り着いた。
「あれか…。えっと…取り敢えず…。」
枢は先ず入り口に結界を張り、中からモンスターが出て来られない様にした。
「これで外は大丈夫だろ。この辺は残らず片付けたしな。少し休むか…。【物質創造】家。」
枢はダンジョンの隣に家を作り一休みする事にした。
「ふぅ…。汗だくになったからな。風呂が気持ちいいぜ。」
枢が風呂に入っていると、不意にドアを叩く音が聞こえた。
ドンドンドンドンドン!
「あん?誰だ!俺の至福の時間を邪魔する奴は!」
枢は風呂からあがり、そのまま玄関に向かう。
「誰だっ!!」
「た、助かっ…きゃあぁぁぁぁぁっ!?」
「あ?…あ。」
ドアを叩いていたのは魔族の女だった。見た所流れの魔族だろうか。あちこちに傷を負っていた。
「何の用だ?」
「か、隠しなさいよ!?恥ずかしくないの!?」
「?見られて困るモノは持っていないんでな。だから、何の用だと聞いている。用が無いなら帰れ。俺は今入浴中だ。じゃあな。」
枢は扉を閉めようとした。
「ま、待って!」
閉まる直前に女の足と手が扉の隙間に入り込んで来た。
「何だよ!?」
「聞いて!?頼むから聞いて!?」
「…手短にな。」
「ち、ちょっと休ませて欲しいんだけど…。」
「あ?そこらで休めば良いだろ。」
「そ、外だと安心して休めないじゃない。いつモンスターが出るか分からないし。」
「安心しろ、ここら一帯のモンスターは全て排除してある。そして、ダンジョンの入り口にも結界が張ってあるから出て来ない。じゃあな。」
「ま、待って~!布団が恋しいのよぉぉぉっ!それから…出来ればお風呂と食事も…。」
「厚かましいにも程があるだろ!?何なんだお前は!?」
「アタシ?アタシは【アイリーン】。見ての通り、魔族よ。モンスター退治を生業にしているの。で、森で迷子になって1ヶ月…、もう限界なのよぉぉぉ…。」
迷子のモンスターハンター?ふ~ん。
「ま、入れよ。どうせ他に行く気は無いんだろ?」
「此処を逃したら私はまた迷う羽目になるわ!死ぬ気でお邪魔しますとも!」
アイリーンはズカズカと入ってきた。
「あ、靴はそこで脱いでな?」
「は?仕方無いわね。」
何様だコイツは…。
「これで良い?」
「ああ…って…泥だらけじゃねぇか…。こっち来いよ。風呂があるからまず身体を洗え。」
「あ、うん。」
枢はアイリーンを連れて脱衣場に入る。
「脱げ。んで、脱いだ服はこっちに寄越せ。洗ってやるよ。」
「こ、此処で脱げって言うの!?見られるじゃないの!?」
「それがどうした?どうせ風呂の使い方も分からないんだろ?最後には見られるんだから良いじゃん。ほら、早く。それとも…脱がせて欲しいのか?」
「うぅ…自分で脱ぐわ。あんまり見ないで。」
アイリーンは顔を真っ赤にしながら着ている物を全て脱ぎ、枢に手渡した。枢はそれを洗濯機に放り込み、スイッチを押した。
「何これ?」
「自動で洗って乾燥までしてくれる便利な道具だ。」
「へぇ~。」
アイリーンは回るドラムを前屈みになりながらずっと見ていた。服の下も小さな傷があちこちにあった。
「【エクストラヒール】。」
「え?あ、傷が…。」
「余計なお世話だったか?」
「ううん、ありがと。意外に優しいんだね?」
「俺の半分は優しさで出来ているからな。」
「残り半分は?」
「嫌いな奴は容赦なくぶっ飛ばす厳しさかな。」
「笑えない…。」
「それよりほら、中に行くぞ?身体も綺麗に洗わないとな。」
「あ、うん。」
それから枢はアイリーンを隅々まで綺麗に洗い、今2人で湯船に浸かっていた。
「あんなとこまで届くなんて…。ちゃんと責任とってよね?」
「ははは、何の事かサッパリだな。」
「あ、悪魔め…。初めてだったのに…!」
「冗談だよ。ダンジョンを攻略したら俺の町に連れてってやるよ。」
「俺の町?アンタ長だったの?」
「まぁそんなもんだ。この大陸にいるほぼ全ての魔族が俺の町に住んでいる。稀にお前みたいなハグレがいるからな。だからほぼだ。」
「ふ~ん…。もしかして…結構強い?」
「誰にも負ける気はしないな。さて、そろそろ上がるか。」
「え~?もう良いの?洗濯機だっけ、まだ回ってるよ?」
「あぁ、服が無いか。つか、あんなボロい服また着るのか?」
「あれしか無いもん。装備も壊れたから捨てちゃったし。」
「下着は大丈夫そうだったから…後で服と装備をやるよ。」
「ありがと。じゃあ…乾くまで…ね?」
「オーケーだ。」
それから2人は服が乾くまで浴室でまったりと過ごした。風呂から上がり、洗濯機から下着を取り出して履いたアイリーンに枢が新しい服を渡した。
「この服どうしたの?」
「今作った。お前、シーフだろ?動きやすい方が良いと思ってな。敏捷上昇を付与してある。」
「へぇ、それで身体が軽く感じるのね。」
アイリーンは服を着て軽く飛び跳ねたりしていた。枢はキッチンに移動し、アイリーンに問い掛けた。
「さて、飯にするか。何か食べたい物は?」
「肉以外で。もう暫く肉しか食べて無かったから…。」
アイリーンは森をさ迷いながらモンスターの肉を食べていたと言う。そりゃ肉は見たくも無くなるわな。
「じゃあ…パスタかな。少し待ってな。」
枢は2人分のパスタとサラダを作りテーブルに置いた。
「何これ?」
「ナポリタンだ。フォークでこう…巻いて食べるんだ。やってみ?」
「ふむふむ…。」
アイリーンは器用にくるくると巻いて口に運んだ。
「何これ!うっまっ!?料理も出来るとかどんなスペックしてんの!?うまうま♪」
「今時料理くらい出来ないとな。食べながらで良いから話をしようか。」
枢はアイリーンに何故モンスターハンターをしているのかを尋ねた。
「理由?そうねぇ、モンスターが私から家族を奪った…からかしら。私の居た集落の周りってさ、此処より遥かに強いモンスターが跋扈しているのね。で、ある日モンスターが集落を襲って住民達を皆殺しにしたのよ…。私はたまたま狩りに出てて助かったけど…家族や集落の人達は…っ!ま、要するに復讐かな。」
「…成る程ねぇ。因みにだ、その復讐に終わりはあるのか?」
アイリーンは下を向きながら拳を握りしめていた。
「あるかもしれないし…無いかもしれない。どうすればこの傷が癒えるのか…アタシには分からないわ。答えがあるなら…是非聞いてみたいわよ。」
どうやら相当モンスターを恨んでいるらしい。枢は食べ終わった皿を下げつつ、これからどうするかを考えていた。すると、今後はアイリーンが枢に質問をした。
「枢はさ、何でモンスターを退治してる訳?」
「俺か?俺は…この大陸を安全な大陸にしたいからかな。折角町も作って魔族も1ヶ所に集めたが…町の外に出られないんじゃ困るだろ?俺の予測だと、モンスターはダンジョンから溢れだしている。収まりきらなくなったのか、最下層に強力なモンスターが現れて縄張りを広げているかは入ってみないと分からないけどな。俺はこの大陸にあるダンジョン全てを破壊するつもりだ。そしたら一応一段落かな。」
「ふ~ん…。ならさ、私を仲間にしない?ダンジョンなら罠とか色々あるでしょ?私こう見えて器用だし役に立つと思うんだけどな~?」
「いや、結構です。」
「何でよ!?そこは、はい!ありがとうございます、でしょ!?」
「たかだか森くらいで迷う様な奴が役に立つか!他を当たれ他を。」
アイリーンはそれでも諦めず、枢に後ろから抱きつきながら言った。
「枢さ、私にあんな事やこんな事…しちゃったよね?」
「…それが何か?」
「連れてってくれたらさ、好きな時に好きな事を好きなだけさせてあげてもいいんだよ?」
「なっ!…だ、だめだ。」
「あ、迷ったでしょ?いいの?一回だけで満足しちゃった?ここはそう言ってないみた…」
「やめろ。やっちまってから言うのも何だがな、あまり安売りすんなよ。ダンジョンは何があるか分からない。地表とは違うんだ。諦めろ。」
「…やだ。一緒に行く。」
「アイリー…」
「行くの!もう決めたの!男ならやった女くらい守りなさいよ!私、戦う事しか出来ないからさ、町に行っても何も出来ないよ。お願い、ちゃんと言う事聞くから!危ない事しないから!お願いよぉ…。」
アイリーンは枢の背に額を擦り付けながら涙を溢していた。枢は涙に弱い。
「あぁっ!もうっ!分かったよ。連れてくよ。ただし、言う事は守れ。勝手に離れるな。守ると誓うか?」
「う、うんっ!誓う!えへへ…♪」
アイリーンは涙を拭き、笑顔を浮かべた。
「明日向かう。今日はゆっくり休め。」
「一緒に寝ないの?」
「休むどころじゃ無くなるからな、却下だ。」
「…ぶぅ。はいはい、休みます~。…ありがとね、お休み、枢。」
「ああ、お休み、アイリーン。」
アイリーンはベッドに横になると直ぐに寝息を立てて深い眠りに入った。
「久しぶりのベッドって言ってたな。ま、ゆっくり休め。じゃあな。」
こうして、枢はアイリーンを仲間に迎え、ダンジョンに向かう事にするのであった。
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