現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第5章 グラディオン大陸編

26 平和

 町を眺めながら俺は思い付いた。大切な一番盛り上がるだろうゲームの存在を。そのゲームは遊ぶために二人~四人。これを忘れたら賭博師とは呼べないゲーム。そう、麻雀だ。

 ノートメア王国だけにゲームを贈るのもなと思った俺は早速シュトラーゼ王国の商人を探しだし麻雀を売り込んでみた。

「……悪いな、その牌……当たりだ」
「な、何ですとっ!?」

 俺の前にあった牌がパタパタと倒れ衆目にさらされる。

「国士無双、十三面待ち。俺の勝ちだな」
「「「なにぃぃぃぃっ!? また役満っ!?」」」

 集まったメンバーがガタッと席を立ち倒れた牌を確認する。

「くぅぅぅぅっ! 強いっ! また負けかっ! いや、しかし面白いなこのゲーム!」
「ああ。自分の手を作りつつ相手の待ちを読まなければならない奥深さ……」
「そして牌が揃った時の爽快感!」
「これは間違いなく売れる……! こんなゲームを作り出すなんて……あんた天才か!?」

 卓上でジャラジャラと牌が舞う。

「まさか。俺は将棋や囲碁に負けない遊びをと思ったまで。で、どうします? 買います?」
「「「是非ともウチで扱いたいっ!」」」
「ありがとうございます。素材に拘らなければ安価で出せますし、逆に高級にする方法もありますからね。取り敢えずリーズナブルな物を一人につき千セットお渡ししましょう」

 俺は【創造】で創り出した一般的な物を三人の商人に千セットずつ渡した。

「ち、ちなみにこれはいくらなのだ?」
「そうですね。安価な物は千ゴールドくらいですかね。後はこの消音マットがあればテーブルさえあればどこでも遊べます。マットとセットで千五百ゴールド。どうでしょう?」
「「「や、安いっ! 買うぞっ! マットも込みで全部買うっ!」」」
「契約成立ですね」

 物は【創造】で創り出すだけ。それだけでボロ儲けだ。こんなチョロい稼ぎ方があって良いのか。笑いが止まらんな。

 商人達は即金でマット込み千セットを購入し翌日市場に流した。売値は二千ゴールド。庶民でも普通に手が届く価格帯だ。

 そして王都に麻雀ブームが巻き起こった。

「チー!」
「いただきっ! それロンだ!」
「なぁっ!? チキショー!」
「「「はははははっ!」」」

 民は町の至る所で様々なゲームに興じていた。この世界ではこういった娯楽らしい娯楽がなかった。玩具を手に入れた人々は争う事も忘れ競う事に熱を入れていった。この麻雀はシュトラーゼ王国が発祥の地となり、世界に出回る事になる。

 後でシーメルの代表にこう言われた。

「これ仕掛けたんジェイドはんやろっ!? なんでワイらに売ってくれんかったんやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 それほどまでに俺の流した様々なゲームは世界中で大ヒットした。ノートメアもシュトラーゼも玩具を量産するために沢山の新規雇用が生まれた。

 こうしてただ品を仕入れるだけの二つの国は世界に類をみない程の大国へとのしあがっていった。シュトラーゼの王は俺が仕掛人だと気付き、また頭を下げてきた。

「さすがジェイド殿だ! まさか我が国がこれほど笑顔の絶えない国になるとは……!」
「同盟国だからな。気にしなくても良いぞ?」
「……ありがとう。もうジェイド殿には足を向けて寝られんな。感謝してもしきれんわい」
「ははは、いえいえ。ところで……跡継ぎはどうなりましたか?」

 王は笑顔でこう言った。

「ははははっ、そちらも問題なしだ。まだどちらかはわからんが取り敢えず仕込むものは仕込んだからの」
「それはなによりです。これからも末永くお付き合いしていきましょう」
「それはこちらの言葉だ。こうして平和になったのもジェイド殿のお陰……。改めて礼を」

 王は深々と頭を下げた。そんな王に俺は問い掛ける。

「王よ、他の大陸について何か知っている事はありますかな?」
「他?」
「はい。俺は今イージス大陸、シーガロン大陸、そしてこのグラディオン大陸を平和に導きました。ですが世界にはまだ問題を抱えている国もあるでしょう。そんな大陸がないか気になってましてね」
「ふぅむ……」

 俺はまだ世界の三割しか知らなかった。この世界に十ある大陸の内ようやく三つを手にしたのである。

「西にある大陸、【ドラグナー大陸】は人が住める環境にはないからのう……」
「ドラグナー大陸?」
「うむ。大地は地面から沸く毒で腐り、山は毒性のガスを絶え間なく噴出するそうだ。腐った卵のような匂いがするらしい」
「腐った卵の匂い?」

 それは火山があると言う事か。

「そこには人は住んでおらぬから……向かうなら東だな。なんでもそこには亜人が迫害されておる大陸らしい」
「亜人が……ですか」
「うむ。東にある【ナルニーア大陸】。陸地面積はここグラディオン大陸の東側くらいだな。国は二つ。人間の国【バロン帝国】に亜人の国【ブライト王国】。国力はバロン帝国が圧倒しており、ブライト王国は日々苦しめられておるそうだ」

 亜人の国か。邪神教徒には亜人も多い。どうやらこの世界では亜人の扱いはあまり良くないらしい。イージス大陸では差別を禁じ、今でこそ亜人も普通に暮らしてはいるが、以前は貧しい暮らしを強いられていた。

「それは許せんな。王よ、俺はそこに向かおうと思う。行く手段はあるかな?」
「うむ。港からナルニーア大陸行きの船が出ておる。行き先はバロン帝国の港町【マーロウ】だ。そこから南下すると亜人国に入る為の国境がある。だが……亜人は人間を嫌っていて国境は現在閉鎖されておるのだ。行っても入れないと思うぞ?」
「なるほど。そこはまぁ何とかしてみる。この情報、ありがたくいただくよ」
「なに、これくらいはな。ではジェイド殿。また会おうぞ」
「ええ、ではお元気で」

 こうしてグラディオン大陸を平和にし、ある程度働いた俺は次なる大陸、ナルニーア大陸へと向かうのであった。



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