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第二章 魔族大陸統一編
14 大陸会議?
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リミラから魔族の事情を詳しく聞く事ができた。まとめると魔族について以下のような事が判明した。
まず、この魔族が住む【アガリア大陸】には六つの領地に分かれており、それぞれが独自に領地を統治、運営している。これらは交易はあるが、お互いに不可侵である。まぁ建前らしいがな。
次に、大陸中央に誰も領主がいない【パンデモニウム】と言う中立都市がある。この中立都市はここから馬車を飛ばして五日くらいの距離らしい。そこで三ヶ月に一度、各領主を集めた大陸会議が行われる。その会議で各領地の経済状態や勇者対策の方針等が話し合われるとの事だ。
そして、最後に大陸会議は絶対参加で、もし参加しなかった場合は侵略されても逆らえないらしい。
これを受け枢はリミラに質問した。
「リミラ、次の会議はいつ頃?」
「んと、今日からちょうど二十日デス☆」
二十日か。あまり時間は無いな。移動に5日ほどかかるらしいから後十五日しか無いのか。仕方ないか、とにかく今後の俺の考えをリミラに伝えておこう。その前に……。
「リミラ、その大陸会議とやらに俺も参加できるか?」
「ごめんなさいデス、各領地の代表しか参加出来ないのデス……」
そうか、参加出来ないなら仕方ないな。紙に要点を纏めておこう。先にリミラに説明しなきゃな。
「リミラ、今から大陸会議でリミラに話してもらいたい内容を告げる。後で紙に書いて渡すが、俺の意見を先に聞いてくれ」
リミラは頷いて枢の言葉に耳を傾けた。リミラに語った内容はこうだ。
①まず、魔族領を統一する。これは魔族が一丸とならないと人族からの勇者と言う脅威に抗えないからだ。
②次に統一した後の組織作りだ。各領から実力の有るものを数名ずつ出してもらう。出来たら身軽で何かあった場合直ぐに動ける人材が望ましい。
③ トウティプス大陸について。これが魔族にとって一番の問題だ。これを魔族が解決する事で他種族からかけられている嫌疑を払拭する事が出来る。なので、その調査に向けて各領から実力の有るものを借りたい。もし、大陸に詳しい魔族がいたら是非会いたい。
④最後に、これらの話を聞いても納得出来ない場合は中央都市で魔族代表を決める【統一舞闘会】を開催する。もし、これが開催されるようなら開催日は一ヶ月後とし、今までの意見は全て破棄。そこで決まった代表の意見に従う。
「……とりあえずこんなところか。リミラ把握出来たか?」
リミラは考えた。無理矢理召喚したはずなのに、何故ここまで魔族のコトを考えてくれるのかと。そんな思いからつい聞いてしまった。
「枢お兄ちゃんは何故そこまで魔族のコトを考えてくれるデス? リミラは枢お兄ちゃんを無理矢理召喚したデスよ?」
半分泣きながら問われた。そんなリミラに枢は優しく答える。
「なぁ、リミラ。俺はリミラに召喚されて良かったと思っている。あっちにいてもどうせ俺は糞みたいな人生しか送れなかっただろうからな。なにより……俺はリミラが……いや、魔族が大好きなんだよ。確かに色んな魔族がいるかもしれない。中には悪い奴だってな。でも、それは人間だって同じだ。せっかく喚ばれたんだ、俺はリミラたち魔族が平和に暮らせる世の中を作りたい。俺だけじゃ無理だがな。だから魔族皆の協力が必要なんだよ」
最後は明るく言ったつもりだ。しかし、それを聞いたリミラは号泣してしまった。
「うっ……うぅ~っ! 枢お兄ちゃんっ! あびがど~デズゥゥゥッ……!」
リミラは枢に抱きついてひたすら泣いた。しばらく泣いて……泣きつくしたリミラは涙を拭う。
「ひっく……。リミラ泣くのは今日で最後にするデス! 枢お兄ちゃん……大陸会議リミラ頑張ってくるデスッ!!」
枢は気丈に振る舞うリミラの頭を優しく撫でた。
「おぅ、任せた! もし舞闘会になっても俺と真白でなんとかするから……。だから会議では遠慮なく暴れてこい、ははっ」
リミラは力強く頷き、泣き疲れたのか枢の腕の中で静かに眠りにつくのであった。
「パーラ」
「……はい」
音もなくパーラが現れた。
「リミラを寝かせてやってくれ」
「畏まりました。枢様は?」
「……決まっているだろう。さっきの話を聞いていただろ?」
パーラはリミラを両腕に抱えコクリと頷いた。
「十中八九統一舞闘会が開かれるだろう」
「何故です?」
「あ? そりゃこんな事態になっててもまだ領地が分かれてるんだぜ? 一丸になればもっと楽に勇者や人間にも脅かされないにも関わらずにな。魔族って奴らはどうにも自己中らしい。どうやって不可侵を破ろうか常に考えて機会を狙ってんじゃねぇの?」
パーラはまた頷いた。
「なら確実に魔族の頭になれるこの統一舞闘会は必ず開催される。そこで俺達が勝てば魔族は一丸となれるはずだ」
「簡単に言いますね。私にすら勝てない枢様では難しいのでは?」
「そのための一ヶ月だ。大陸会議が二十日後、約二ヶ月で鍛えられるだけ鍛えぬく。俺が強くなればなるほど真白も強くなるしな。とにかく時間が足りねぇ。俺は今から修行に出る。後は任せたぞ、パーラ」
「あ……」
そう言い、枢はリミラの部屋を後にした。
「枢……お兄ちゃん……。……ふへへ~」
「……リミラ様……」
パーラはリミラをそっとベッドに寝かせ、職務に戻るのであった。
まず、この魔族が住む【アガリア大陸】には六つの領地に分かれており、それぞれが独自に領地を統治、運営している。これらは交易はあるが、お互いに不可侵である。まぁ建前らしいがな。
次に、大陸中央に誰も領主がいない【パンデモニウム】と言う中立都市がある。この中立都市はここから馬車を飛ばして五日くらいの距離らしい。そこで三ヶ月に一度、各領主を集めた大陸会議が行われる。その会議で各領地の経済状態や勇者対策の方針等が話し合われるとの事だ。
そして、最後に大陸会議は絶対参加で、もし参加しなかった場合は侵略されても逆らえないらしい。
これを受け枢はリミラに質問した。
「リミラ、次の会議はいつ頃?」
「んと、今日からちょうど二十日デス☆」
二十日か。あまり時間は無いな。移動に5日ほどかかるらしいから後十五日しか無いのか。仕方ないか、とにかく今後の俺の考えをリミラに伝えておこう。その前に……。
「リミラ、その大陸会議とやらに俺も参加できるか?」
「ごめんなさいデス、各領地の代表しか参加出来ないのデス……」
そうか、参加出来ないなら仕方ないな。紙に要点を纏めておこう。先にリミラに説明しなきゃな。
「リミラ、今から大陸会議でリミラに話してもらいたい内容を告げる。後で紙に書いて渡すが、俺の意見を先に聞いてくれ」
リミラは頷いて枢の言葉に耳を傾けた。リミラに語った内容はこうだ。
①まず、魔族領を統一する。これは魔族が一丸とならないと人族からの勇者と言う脅威に抗えないからだ。
②次に統一した後の組織作りだ。各領から実力の有るものを数名ずつ出してもらう。出来たら身軽で何かあった場合直ぐに動ける人材が望ましい。
③ トウティプス大陸について。これが魔族にとって一番の問題だ。これを魔族が解決する事で他種族からかけられている嫌疑を払拭する事が出来る。なので、その調査に向けて各領から実力の有るものを借りたい。もし、大陸に詳しい魔族がいたら是非会いたい。
④最後に、これらの話を聞いても納得出来ない場合は中央都市で魔族代表を決める【統一舞闘会】を開催する。もし、これが開催されるようなら開催日は一ヶ月後とし、今までの意見は全て破棄。そこで決まった代表の意見に従う。
「……とりあえずこんなところか。リミラ把握出来たか?」
リミラは考えた。無理矢理召喚したはずなのに、何故ここまで魔族のコトを考えてくれるのかと。そんな思いからつい聞いてしまった。
「枢お兄ちゃんは何故そこまで魔族のコトを考えてくれるデス? リミラは枢お兄ちゃんを無理矢理召喚したデスよ?」
半分泣きながら問われた。そんなリミラに枢は優しく答える。
「なぁ、リミラ。俺はリミラに召喚されて良かったと思っている。あっちにいてもどうせ俺は糞みたいな人生しか送れなかっただろうからな。なにより……俺はリミラが……いや、魔族が大好きなんだよ。確かに色んな魔族がいるかもしれない。中には悪い奴だってな。でも、それは人間だって同じだ。せっかく喚ばれたんだ、俺はリミラたち魔族が平和に暮らせる世の中を作りたい。俺だけじゃ無理だがな。だから魔族皆の協力が必要なんだよ」
最後は明るく言ったつもりだ。しかし、それを聞いたリミラは号泣してしまった。
「うっ……うぅ~っ! 枢お兄ちゃんっ! あびがど~デズゥゥゥッ……!」
リミラは枢に抱きついてひたすら泣いた。しばらく泣いて……泣きつくしたリミラは涙を拭う。
「ひっく……。リミラ泣くのは今日で最後にするデス! 枢お兄ちゃん……大陸会議リミラ頑張ってくるデスッ!!」
枢は気丈に振る舞うリミラの頭を優しく撫でた。
「おぅ、任せた! もし舞闘会になっても俺と真白でなんとかするから……。だから会議では遠慮なく暴れてこい、ははっ」
リミラは力強く頷き、泣き疲れたのか枢の腕の中で静かに眠りにつくのであった。
「パーラ」
「……はい」
音もなくパーラが現れた。
「リミラを寝かせてやってくれ」
「畏まりました。枢様は?」
「……決まっているだろう。さっきの話を聞いていただろ?」
パーラはリミラを両腕に抱えコクリと頷いた。
「十中八九統一舞闘会が開かれるだろう」
「何故です?」
「あ? そりゃこんな事態になっててもまだ領地が分かれてるんだぜ? 一丸になればもっと楽に勇者や人間にも脅かされないにも関わらずにな。魔族って奴らはどうにも自己中らしい。どうやって不可侵を破ろうか常に考えて機会を狙ってんじゃねぇの?」
パーラはまた頷いた。
「なら確実に魔族の頭になれるこの統一舞闘会は必ず開催される。そこで俺達が勝てば魔族は一丸となれるはずだ」
「簡単に言いますね。私にすら勝てない枢様では難しいのでは?」
「そのための一ヶ月だ。大陸会議が二十日後、約二ヶ月で鍛えられるだけ鍛えぬく。俺が強くなればなるほど真白も強くなるしな。とにかく時間が足りねぇ。俺は今から修行に出る。後は任せたぞ、パーラ」
「あ……」
そう言い、枢はリミラの部屋を後にした。
「枢……お兄ちゃん……。……ふへへ~」
「……リミラ様……」
パーラはリミラをそっとベッドに寝かせ、職務に戻るのであった。
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