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第02章 エンドーサ王国編
10 どう出る、バハロス帝国
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蓮太に煽られ自爆した兵士が連行されてから一週間後、バハロス帝国皇帝のもとにエンドーサ王国国王から書筒が届いていた。
「……」
「陛下、いかがいたしましょうか」
皇帝は開いた手紙を魔法で炭に変えた。
「捨ておけ。このような愚か者は我が国に必要ない。剣も盗まれた物とし、身柄は好きにしろと記してやれ」
「はっ」
皇帝は玉座に座り苛立っていた。大臣が謁見の間を出たとたんに叫び狂った。
「まったく使えぬゴミクズどもがぁぁぁぁぁぁぁっ! 調略の一つも満足にできんのかっ!!」
皇帝は玉座を蹴り倒した。そして剣を抜きズタズタに引き裂いていく。
「はぁっ……はぁっ……! く……くくくっ。まぁまだ手はある。ひとまず我が国から獣の臭いが消えただけでも良しとしよう……。エンドーサめ……今に見ておれよっ! その次はノイシュタットだ! 獣を庇護する国など滅ぼしてやるわっ!! ははっ……ははははははははっ!」
そう笑い、皇帝は次の一手を考えるのだった。
一方、全ての獣人を受けた蓮太は自国エルフィリアへと戻り、先に連れてきていた獣人達と新しく連れてきた獣人達のために本格的に暮らせる居住区を造り終え、エルフィリアのルールを教えていた。
「──って事でよろしくな」
「「「「はっ、主様っ!」」」」
全ての獣人は蓮太の前に跪き、頭を下げていた。割合としては男四割、女四割、子どもが二割だ。
「レンタ様。この命、全てレンタ様に捧げましょう。戦をしろと言うなれば先頭に立ち、死ねと言われれば笑って死にましょう!」
「いやいや、そんな気はないからな!?」
「「「「え?」」」」
獣人達は自分達を救った理由を戦の駒にするからだとばかり思っていたようだ。
「あの……私達を拾った理由は戦をするからではないのですか?」
「違うよ。だいたいまだこの国の事は誰にも言ってないし誰も知らない。それにな、戦なんて俺一人で十分なんだよ。お前達はここで好きに暮らしてくれて構わないから。数を増やしたいなら増やせば良いし、ルールさえ守ってくれるなら何でもしてくれて良いから」
「ひ、一人で? 失礼ですが……一人は流石に無茶では……?」
「なら模擬戦でもしてみる? 俺一人対男全員で」
「……怪我をしますぞ?」
「やってみな」
一時間後、男全員が息を切らしながら地面に這いつくばっていた。
「バ、バカな……。獣人の体力は人間より優れているのに……!」
「手も足も出なかった……」
「つ、強すぎる……」
「化け物だ……」
蓮太は息一つ切らさずに全員圧倒して見せた。しかも全員が体力切れで倒れており、怪我をした者は誰もいない。
「本気でやれば数秒で消し炭だ。今は怪我させないようにかな~り手を抜いて戦ったんだぜ? 力の差はわかった?」
「はい。悔しいですが私共では何一つ勝てませんでした」
「うん。だからさ、少し戦から離れて楽しく暮らせよ。獣人の国ってのは見た事ないから何とも言えないんだけどさ、お前達の悔しい気持ちは俺が晴らしてやるよ。バハロス帝国だっけ? あいつらは必ずエンドーサを侵略しに来るはずだ。だが、その時があいつらの最後だ。俺があいつらをぶっ潰す。そしたら獣人の土地は返すからさ」
だが獣人の男は首を横に振った。
「いえ、私共の地は今よりこの地です。例え奪い返したとしてもレンタ様の側を離れる事などありません。エルフと共にこの地を盛り上げていきます!」
「……まぁ、好きにしてくれ。何か困った事があったら俺の屋敷に来てくれ」
「ははっ!」
こうしてエルフィリアに獣人達が加わり国が少しだけ力を増した。
「ところでレンタ様」
「ん?」
「本当に私共は数を増やしても良いのですか?」
「ああ、全然構わないよ」
「私共の繁殖力は人間よりかなり早いですよ?」
「へぇ~」
そこに一ヶ月前茂みに連れ込んだ猫が姿を見せた。
「あれ? お前……それ!」
「レンタ様のニャン」
「「「「「な、なんですって!?」」」」」
少し腹が大きくなった猫の姿がそこにあった。そして相手が蓮太だと知ったメスの獣人達が急に殺気だった。
「嘘だろ!? まだ一ヶ月しか……」
「私達は三ヶ月で産むニャン。しかも猫科は百発百中ニャン」
「マジかぁ~……」
「ご主人の赤ちゃん楽しみニャア~」
すると一気にメスの獣人達が蓮太に群がってきた。
「レンタ様っ! 是非私とも交尾をっ!」
「私ともお願いしますっ! 私上手いですよっ!」
「まさか主様は獣人を抱ける人間だったなんて……。それならそうと言って下されば……」
「こ、こらっ! お前達はオスの獣人としろよなっ!」
「いいえっ! 主様一人に負ける男衆に私達を抱く権利などありませんっ! 獣人は強さが全て! ここで一番強いオスは主様です! ならば私達の相手はレンタ様をおいて他にありませんわっ」
「ちょっ、止めっ!」
「「「「よろしくお願いいたしますっ!」」」」
「う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
沢山のもふもふが蓮太を誘惑する。前にも言ったが蓮太は動物に弱い。加えてコミュニケーションがとれる獣人など無下にできるはずもなかった。
男達はその光景を見て涙していた。
「はははっ、レンタ様ならば仕方ないな。俺達はメスが産んだレンタ様の子を育てていこう。再び獣人の国をつくろうではないか!」
「そうだな。しかし……レンタ様に愛していただけているメスが羨ましいぞ……」
「さあ、後はメス達に任せて俺達は畑仕事にでも行こう。メス達には立派な子を産んでもらわないとな」
「よっしゃ行くか!」
男達は蓮太を見捨て畑の方へと向かうのだった。
「あ、ちょ、そこダメだって! あ──」
この後蓮太は一週間近くメス達にもみくちゃにされ続けたのだった。
そして一週間後、蓮太は再びイシュガルの町に顔を出した。
「ん? おお、少年! ……少しやつれたか?」
「は、はは……。い、色々ありまして……」
「そうか。まぁ何があったかは知らないが元気出せよ」
「あ、ありがとうございます。ところで……」
蓮太は兵士に捕まった帝国兵がどうなったか尋ねた。
「え? 引き渡したんじゃないんですか?」
「ああ。帝国はやつらの事など知らんと言ってきたらしい」
「なるほど。トカゲの尻尾切りですか」
「ああ。身柄を引き受けたら非を認めた事になるからな。あいつらは殺人未遂と違法売買の罪で裁かれたのさ」
「そうですか。それから帝国は何かしてきました?」
「さぁな。首都に行けば何かわかるだろうが……ここは首都からだいぶ離れているしな。情報も少し遅れて入るんだよ」
「不便ですね。でも……何もないなら良かった」
そうして一件が片付き安堵していると兵士の男が問い掛けてきた。
「少年はまたイシュガルで活動していくのかい?」
「いえ、なんか悪目立ちしたせいかギルドでの印象が悪くて……。せっかくなので首都にでも行こうかなと」
「そうか。寂しくなるが仕事がないのでは少年も困るだろうしな。ではしばらくお別れだな。首都に行ってもあまり無茶はするんじゃないぞ?」
「あはは、はい。今度は大人しくしようかと思います」
「ははっ、それが良い。ではな少年。また会おう」
「はいっ」
こうして蓮太はいよいよエンドーサ王国の首都へと向かうのだった。
「……」
「陛下、いかがいたしましょうか」
皇帝は開いた手紙を魔法で炭に変えた。
「捨ておけ。このような愚か者は我が国に必要ない。剣も盗まれた物とし、身柄は好きにしろと記してやれ」
「はっ」
皇帝は玉座に座り苛立っていた。大臣が謁見の間を出たとたんに叫び狂った。
「まったく使えぬゴミクズどもがぁぁぁぁぁぁぁっ! 調略の一つも満足にできんのかっ!!」
皇帝は玉座を蹴り倒した。そして剣を抜きズタズタに引き裂いていく。
「はぁっ……はぁっ……! く……くくくっ。まぁまだ手はある。ひとまず我が国から獣の臭いが消えただけでも良しとしよう……。エンドーサめ……今に見ておれよっ! その次はノイシュタットだ! 獣を庇護する国など滅ぼしてやるわっ!! ははっ……ははははははははっ!」
そう笑い、皇帝は次の一手を考えるのだった。
一方、全ての獣人を受けた蓮太は自国エルフィリアへと戻り、先に連れてきていた獣人達と新しく連れてきた獣人達のために本格的に暮らせる居住区を造り終え、エルフィリアのルールを教えていた。
「──って事でよろしくな」
「「「「はっ、主様っ!」」」」
全ての獣人は蓮太の前に跪き、頭を下げていた。割合としては男四割、女四割、子どもが二割だ。
「レンタ様。この命、全てレンタ様に捧げましょう。戦をしろと言うなれば先頭に立ち、死ねと言われれば笑って死にましょう!」
「いやいや、そんな気はないからな!?」
「「「「え?」」」」
獣人達は自分達を救った理由を戦の駒にするからだとばかり思っていたようだ。
「あの……私達を拾った理由は戦をするからではないのですか?」
「違うよ。だいたいまだこの国の事は誰にも言ってないし誰も知らない。それにな、戦なんて俺一人で十分なんだよ。お前達はここで好きに暮らしてくれて構わないから。数を増やしたいなら増やせば良いし、ルールさえ守ってくれるなら何でもしてくれて良いから」
「ひ、一人で? 失礼ですが……一人は流石に無茶では……?」
「なら模擬戦でもしてみる? 俺一人対男全員で」
「……怪我をしますぞ?」
「やってみな」
一時間後、男全員が息を切らしながら地面に這いつくばっていた。
「バ、バカな……。獣人の体力は人間より優れているのに……!」
「手も足も出なかった……」
「つ、強すぎる……」
「化け物だ……」
蓮太は息一つ切らさずに全員圧倒して見せた。しかも全員が体力切れで倒れており、怪我をした者は誰もいない。
「本気でやれば数秒で消し炭だ。今は怪我させないようにかな~り手を抜いて戦ったんだぜ? 力の差はわかった?」
「はい。悔しいですが私共では何一つ勝てませんでした」
「うん。だからさ、少し戦から離れて楽しく暮らせよ。獣人の国ってのは見た事ないから何とも言えないんだけどさ、お前達の悔しい気持ちは俺が晴らしてやるよ。バハロス帝国だっけ? あいつらは必ずエンドーサを侵略しに来るはずだ。だが、その時があいつらの最後だ。俺があいつらをぶっ潰す。そしたら獣人の土地は返すからさ」
だが獣人の男は首を横に振った。
「いえ、私共の地は今よりこの地です。例え奪い返したとしてもレンタ様の側を離れる事などありません。エルフと共にこの地を盛り上げていきます!」
「……まぁ、好きにしてくれ。何か困った事があったら俺の屋敷に来てくれ」
「ははっ!」
こうしてエルフィリアに獣人達が加わり国が少しだけ力を増した。
「ところでレンタ様」
「ん?」
「本当に私共は数を増やしても良いのですか?」
「ああ、全然構わないよ」
「私共の繁殖力は人間よりかなり早いですよ?」
「へぇ~」
そこに一ヶ月前茂みに連れ込んだ猫が姿を見せた。
「あれ? お前……それ!」
「レンタ様のニャン」
「「「「「な、なんですって!?」」」」」
少し腹が大きくなった猫の姿がそこにあった。そして相手が蓮太だと知ったメスの獣人達が急に殺気だった。
「嘘だろ!? まだ一ヶ月しか……」
「私達は三ヶ月で産むニャン。しかも猫科は百発百中ニャン」
「マジかぁ~……」
「ご主人の赤ちゃん楽しみニャア~」
すると一気にメスの獣人達が蓮太に群がってきた。
「レンタ様っ! 是非私とも交尾をっ!」
「私ともお願いしますっ! 私上手いですよっ!」
「まさか主様は獣人を抱ける人間だったなんて……。それならそうと言って下されば……」
「こ、こらっ! お前達はオスの獣人としろよなっ!」
「いいえっ! 主様一人に負ける男衆に私達を抱く権利などありませんっ! 獣人は強さが全て! ここで一番強いオスは主様です! ならば私達の相手はレンタ様をおいて他にありませんわっ」
「ちょっ、止めっ!」
「「「「よろしくお願いいたしますっ!」」」」
「う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
沢山のもふもふが蓮太を誘惑する。前にも言ったが蓮太は動物に弱い。加えてコミュニケーションがとれる獣人など無下にできるはずもなかった。
男達はその光景を見て涙していた。
「はははっ、レンタ様ならば仕方ないな。俺達はメスが産んだレンタ様の子を育てていこう。再び獣人の国をつくろうではないか!」
「そうだな。しかし……レンタ様に愛していただけているメスが羨ましいぞ……」
「さあ、後はメス達に任せて俺達は畑仕事にでも行こう。メス達には立派な子を産んでもらわないとな」
「よっしゃ行くか!」
男達は蓮太を見捨て畑の方へと向かうのだった。
「あ、ちょ、そこダメだって! あ──」
この後蓮太は一週間近くメス達にもみくちゃにされ続けたのだった。
そして一週間後、蓮太は再びイシュガルの町に顔を出した。
「ん? おお、少年! ……少しやつれたか?」
「は、はは……。い、色々ありまして……」
「そうか。まぁ何があったかは知らないが元気出せよ」
「あ、ありがとうございます。ところで……」
蓮太は兵士に捕まった帝国兵がどうなったか尋ねた。
「え? 引き渡したんじゃないんですか?」
「ああ。帝国はやつらの事など知らんと言ってきたらしい」
「なるほど。トカゲの尻尾切りですか」
「ああ。身柄を引き受けたら非を認めた事になるからな。あいつらは殺人未遂と違法売買の罪で裁かれたのさ」
「そうですか。それから帝国は何かしてきました?」
「さぁな。首都に行けば何かわかるだろうが……ここは首都からだいぶ離れているしな。情報も少し遅れて入るんだよ」
「不便ですね。でも……何もないなら良かった」
そうして一件が片付き安堵していると兵士の男が問い掛けてきた。
「少年はまたイシュガルで活動していくのかい?」
「いえ、なんか悪目立ちしたせいかギルドでの印象が悪くて……。せっかくなので首都にでも行こうかなと」
「そうか。寂しくなるが仕事がないのでは少年も困るだろうしな。ではしばらくお別れだな。首都に行ってもあまり無茶はするんじゃないぞ?」
「あはは、はい。今度は大人しくしようかと思います」
「ははっ、それが良い。ではな少年。また会おう」
「はいっ」
こうして蓮太はいよいよエンドーサ王国の首都へと向かうのだった。
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