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第04章 魔族殲滅編
03 残り五つ
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魔族との戦いは戦いと呼べるものではなかった。これは一方的な蹂躙だ。
「しっかし弱いな。神聖魔法を加えた火魔法で壊滅とか……。本当に勇者しか倒せないのか怪しいな。よっと」
蓮太は城の入り口を爆裂魔法で吹き飛ばし中へと進んだ。外にはもう魔族は残っていない。残す魔族は城内にいる五体のみ。その内の一体が入り口の大ホールに立っていた。
《……きたか。貴様が外で爆発を起こしていた奴だな?》
「あぁん? えーっと……一、二……七つかよ。なんだ、魔王じゃないのか」
蓮太は遭遇するなり魔族の星を確認した。魔族の星は七つ、つまり魔王ではない。
「今さら雑魚に用はねぇんだよ。魔王出せ魔王」
《雑魚だと? ハハハハッ、貴様……まさか今外に出ていった魔族と俺を一緒と考えているんじゃないだろうな?》
「は? 同じだろ」
《ふんっ、これだから人間は……。どうやら魔族について何も知らんらしい。何も知らんまま死ぬのは可哀想だからここは優しい俺が一つレクチャーしてやろう》
蓮太は正直どうでも良いと思いつつ、目の前の魔族の遺言に付き合ってやった。
《良いか、星の数は同じでもその力には大きな差がある。全てはスキルで決まるのだ》
「へぇ~」
《外に行った魔族は俺と同じ星七つだったが……あいつにはクソみたいなスキルしかない。だが俺は違う。そして魔王様の他城内にいる俺と同じ四天王もな》
「ぶふっ!? し、四天王~? うはははは」
《……何が可笑しい》
蓮太の笑いに対し魔族が苛つきを見せた。
「いやいや。四天王とか何言っちゃってんの? ぶはっ、頭悪そ~」
《なんだと?》
「はぁ~……。笑った笑った。魔族の相手なんぞクソつまんねぇと思ってたけど……こんな笑えんならちゃんと話聞いてからぶち殺せば良かったわ。そこは反省しよう」
《貴様……魔族を舐めているのかぁっ!!》
「舐めてる? ははっ、舐めてるわけねぇだろ。舐めてるイコール少しは意識してるって事だろ? あいにくだが、俺は魔族を敵として見た事なんか一度もねぇ。お前らはただの害虫。オーケー?」
《き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!! 魔族を虫扱いしおって!! 許さんっ!! 貴様は絶対に殺すっ!!》
「はいはい。んじゃヤろうか。最初から全力出す事をオススメするぜ」
《ぬぅおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!》
魔族が戦闘モードに入る。魔族は怒声をあげ気合いを込め魔力をどんどん上げていく。
《いくぞ虫けら!! スキル【分身】ッ!!》
「はぁ?」
魔族が二つに分かれ、その二つがさらに二つに分かれる。
《これで貴様は終わりだ!! 俺のスキル分身は能力をそのままに、俺を四つに分けるスキルだっ!! 四天王最弱ではあるが貴様など俺で十分……ぬはっ!?》
「クソ雑魚じゃん」
蓮太は魔族が話している間に三匹の駆除を終えていた。何の事はない、ホーリーレイで核を貫いて終了だ。
《な、なにをした! 気が付いたら核が……》
「お、どうやら感覚は共有してるようだな。しかし……三回もチャンスがあって何をされたかもわからないとはな。やっぱ雑魚じゃん」
《おのれぇぇぇぇぇっ!! 四つで足りぬなら八つ、それでも足りぬなら十六に分かれ貴様の弱点を見つけてやるわっ!! この戦いは他の三体も見ているからなっ!! いずれにしても貴様は魔王様の下まで辿り着けんのだっ!!》
「はいはい、早く分身しろよ」
《今やるから待ってろ!》
まさかの待て宣言が飛び出してきた。ここまでアホだともはや笑いしか起きない。
「いやぁ~……魔族のギャグセンパネェな。それ、次が32でその次は64なんだろ?」
《……それがどうした》
「……虫じゃん?」
《貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!》
今日も蓮太の煽りは絶好調だ。どうせ戦い自体はつまらないのだ。煽りで盛り上げでもしないと正直やっていられなかった。
《絶対に殺す!! 貴様はなぶり殺しだぁぁぁっ!!》
「わかったから早くしてくれ。もう飽きてきたわ」
《あぁぁぁぁぁぁぁっ!! 分身んんんんっ!!》
どうやらあの魔族の分身は力を減らさずに分身するため、数が増えれば増えるほど時間がかかるらしい。
《フハハハハッ!! さあ、十八に増えてやったぞ!! いざ勝負だっ!!》
「やれやれ、んじゃちょっとだけ相手してやりますか」
《むっ!?》
蓮太は久しぶりに腰に下げた刀を抜いた。
《な、なんだその武器は……。ま、禍々しいにも程があるぞ……!?》
「あ? 禍々しいとか失礼だろ。こいつは魔刀【黒麒麟】だ。見ろよこの刀身、真っ黒で綺麗だろう?」
《あ……うぁ……》
蓮太の刀からは強烈な魔力が駄々漏れになっていた。黒麒麟から溢れ出す魔力は可視化され、わずかに空間を歪めていた。
《あ、あり得ん……! その武器から漂う魔力は魔王様より上ではないかっ!!》
「は? マジかよ。こりゃ魔王も雑魚確定じゃん。つまんねぇ~……」
《くっ! 作成変更だっ!! 分身よ、奴の腕を落とせっ!! あの武器を何としても奪うのだっ!!》
《《オラァァァァァァァァァッ!!》》
蓮太は呆れていた。
「狙いを口にしてどうすんだバカが。一撃で終わらせる」
蓮太は一度納刀し、居合いの構えをとる。そして魔族が一つに固まった瞬間を狙い、刀を抜き去った。
「古流剣術千葉流抜刀術【飛燕】」
《《《ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?》》》
一瞬空間に光の糸が走り、蓮太が再び納刀すると十六体いた魔族は全てコアを半分に切り裂かれ上下に分かれて地面に崩れ落ちた。
「おぉ……。まさかこんな事になるとは……」
《か、身体が崩……》
魔族は砂となり消えた。そして蓮太は思いの外自分の力に驚いていた。
「いやぁ……まさか爺ちゃん家でガキの頃にちょっと習った技がこんな感じになるとは……。こりゃあ一からちゃんと学ぶべきだったかもなぁ~」
剣術自体はそれほど強いものではない。強いのは蓮太の創造した魔刀黒麒麟だ。聖なる武具でしか倒せない魔族を蓮太は一瞬で切り伏せてしまった。
「お、またレベルアップだな。虫でも役に立つじゃねぇか。これと同じ奴があと三つだろ? 旨いな」
四天王最弱だった魔族を倒した蓮太はホールから伸びる階段は上がり二階へと向かった。二階にはいくつもの扉があるだけで階段は見当たらなかった。
「ふむ、つまりどこかの部屋に階段があるって事か。んなもんサーチで一発よ。どうせ二匹目の魔族が守ってんだろ。サーチ!」
蓮太はサーチを使い魔族の生体反応を調べた。だが、不思議な事に全ての部屋に生体反応が表示された。
「はぁ? なんだこれ? 魔王を除けば残り三匹じゃなかったのか? 十くらい反応あんぞ……」
再びサーチを使い階段を探そうとしたが、全ての部屋に階段が表示された。
「……なるほど。これが二匹目のスキルか。幻術か空間系か……。空間系ならちょっと厄介だなぁ。その空間に入ったら制限かかる事もあるし」
蓮太も空間系のスキルは持っている。空間系スキル使いはその空間内で自分が有利になるルールを設定する事ができる。さすがに入った瞬間絶命するなどというルールは自分にも効果が出るため不可能だが、スキル禁止や魔法禁止、打撃無効といったルールを設定する事ができるのである。
「……まいったな。入らなきゃ魔族を倒せねぇし。上に進むだけなら無視すれば良いが……こいつらは根絶やしにしないと悪さしかしないからな。面倒だがやるしかないか。おそらく全ての部屋のルールが違うんだろうな。まったく……、とりあえず真ん中に入ってみるか」
蓮太はいくつも並ぶ部屋から真ん中を選択し、ドアノブを回すのだった。
「しっかし弱いな。神聖魔法を加えた火魔法で壊滅とか……。本当に勇者しか倒せないのか怪しいな。よっと」
蓮太は城の入り口を爆裂魔法で吹き飛ばし中へと進んだ。外にはもう魔族は残っていない。残す魔族は城内にいる五体のみ。その内の一体が入り口の大ホールに立っていた。
《……きたか。貴様が外で爆発を起こしていた奴だな?》
「あぁん? えーっと……一、二……七つかよ。なんだ、魔王じゃないのか」
蓮太は遭遇するなり魔族の星を確認した。魔族の星は七つ、つまり魔王ではない。
「今さら雑魚に用はねぇんだよ。魔王出せ魔王」
《雑魚だと? ハハハハッ、貴様……まさか今外に出ていった魔族と俺を一緒と考えているんじゃないだろうな?》
「は? 同じだろ」
《ふんっ、これだから人間は……。どうやら魔族について何も知らんらしい。何も知らんまま死ぬのは可哀想だからここは優しい俺が一つレクチャーしてやろう》
蓮太は正直どうでも良いと思いつつ、目の前の魔族の遺言に付き合ってやった。
《良いか、星の数は同じでもその力には大きな差がある。全てはスキルで決まるのだ》
「へぇ~」
《外に行った魔族は俺と同じ星七つだったが……あいつにはクソみたいなスキルしかない。だが俺は違う。そして魔王様の他城内にいる俺と同じ四天王もな》
「ぶふっ!? し、四天王~? うはははは」
《……何が可笑しい》
蓮太の笑いに対し魔族が苛つきを見せた。
「いやいや。四天王とか何言っちゃってんの? ぶはっ、頭悪そ~」
《なんだと?》
「はぁ~……。笑った笑った。魔族の相手なんぞクソつまんねぇと思ってたけど……こんな笑えんならちゃんと話聞いてからぶち殺せば良かったわ。そこは反省しよう」
《貴様……魔族を舐めているのかぁっ!!》
「舐めてる? ははっ、舐めてるわけねぇだろ。舐めてるイコール少しは意識してるって事だろ? あいにくだが、俺は魔族を敵として見た事なんか一度もねぇ。お前らはただの害虫。オーケー?」
《き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!! 魔族を虫扱いしおって!! 許さんっ!! 貴様は絶対に殺すっ!!》
「はいはい。んじゃヤろうか。最初から全力出す事をオススメするぜ」
《ぬぅおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!》
魔族が戦闘モードに入る。魔族は怒声をあげ気合いを込め魔力をどんどん上げていく。
《いくぞ虫けら!! スキル【分身】ッ!!》
「はぁ?」
魔族が二つに分かれ、その二つがさらに二つに分かれる。
《これで貴様は終わりだ!! 俺のスキル分身は能力をそのままに、俺を四つに分けるスキルだっ!! 四天王最弱ではあるが貴様など俺で十分……ぬはっ!?》
「クソ雑魚じゃん」
蓮太は魔族が話している間に三匹の駆除を終えていた。何の事はない、ホーリーレイで核を貫いて終了だ。
《な、なにをした! 気が付いたら核が……》
「お、どうやら感覚は共有してるようだな。しかし……三回もチャンスがあって何をされたかもわからないとはな。やっぱ雑魚じゃん」
《おのれぇぇぇぇぇっ!! 四つで足りぬなら八つ、それでも足りぬなら十六に分かれ貴様の弱点を見つけてやるわっ!! この戦いは他の三体も見ているからなっ!! いずれにしても貴様は魔王様の下まで辿り着けんのだっ!!》
「はいはい、早く分身しろよ」
《今やるから待ってろ!》
まさかの待て宣言が飛び出してきた。ここまでアホだともはや笑いしか起きない。
「いやぁ~……魔族のギャグセンパネェな。それ、次が32でその次は64なんだろ?」
《……それがどうした》
「……虫じゃん?」
《貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!》
今日も蓮太の煽りは絶好調だ。どうせ戦い自体はつまらないのだ。煽りで盛り上げでもしないと正直やっていられなかった。
《絶対に殺す!! 貴様はなぶり殺しだぁぁぁっ!!》
「わかったから早くしてくれ。もう飽きてきたわ」
《あぁぁぁぁぁぁぁっ!! 分身んんんんっ!!》
どうやらあの魔族の分身は力を減らさずに分身するため、数が増えれば増えるほど時間がかかるらしい。
《フハハハハッ!! さあ、十八に増えてやったぞ!! いざ勝負だっ!!》
「やれやれ、んじゃちょっとだけ相手してやりますか」
《むっ!?》
蓮太は久しぶりに腰に下げた刀を抜いた。
《な、なんだその武器は……。ま、禍々しいにも程があるぞ……!?》
「あ? 禍々しいとか失礼だろ。こいつは魔刀【黒麒麟】だ。見ろよこの刀身、真っ黒で綺麗だろう?」
《あ……うぁ……》
蓮太の刀からは強烈な魔力が駄々漏れになっていた。黒麒麟から溢れ出す魔力は可視化され、わずかに空間を歪めていた。
《あ、あり得ん……! その武器から漂う魔力は魔王様より上ではないかっ!!》
「は? マジかよ。こりゃ魔王も雑魚確定じゃん。つまんねぇ~……」
《くっ! 作成変更だっ!! 分身よ、奴の腕を落とせっ!! あの武器を何としても奪うのだっ!!》
《《オラァァァァァァァァァッ!!》》
蓮太は呆れていた。
「狙いを口にしてどうすんだバカが。一撃で終わらせる」
蓮太は一度納刀し、居合いの構えをとる。そして魔族が一つに固まった瞬間を狙い、刀を抜き去った。
「古流剣術千葉流抜刀術【飛燕】」
《《《ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?》》》
一瞬空間に光の糸が走り、蓮太が再び納刀すると十六体いた魔族は全てコアを半分に切り裂かれ上下に分かれて地面に崩れ落ちた。
「おぉ……。まさかこんな事になるとは……」
《か、身体が崩……》
魔族は砂となり消えた。そして蓮太は思いの外自分の力に驚いていた。
「いやぁ……まさか爺ちゃん家でガキの頃にちょっと習った技がこんな感じになるとは……。こりゃあ一からちゃんと学ぶべきだったかもなぁ~」
剣術自体はそれほど強いものではない。強いのは蓮太の創造した魔刀黒麒麟だ。聖なる武具でしか倒せない魔族を蓮太は一瞬で切り伏せてしまった。
「お、またレベルアップだな。虫でも役に立つじゃねぇか。これと同じ奴があと三つだろ? 旨いな」
四天王最弱だった魔族を倒した蓮太はホールから伸びる階段は上がり二階へと向かった。二階にはいくつもの扉があるだけで階段は見当たらなかった。
「ふむ、つまりどこかの部屋に階段があるって事か。んなもんサーチで一発よ。どうせ二匹目の魔族が守ってんだろ。サーチ!」
蓮太はサーチを使い魔族の生体反応を調べた。だが、不思議な事に全ての部屋に生体反応が表示された。
「はぁ? なんだこれ? 魔王を除けば残り三匹じゃなかったのか? 十くらい反応あんぞ……」
再びサーチを使い階段を探そうとしたが、全ての部屋に階段が表示された。
「……なるほど。これが二匹目のスキルか。幻術か空間系か……。空間系ならちょっと厄介だなぁ。その空間に入ったら制限かかる事もあるし」
蓮太も空間系のスキルは持っている。空間系スキル使いはその空間内で自分が有利になるルールを設定する事ができる。さすがに入った瞬間絶命するなどというルールは自分にも効果が出るため不可能だが、スキル禁止や魔法禁止、打撃無効といったルールを設定する事ができるのである。
「……まいったな。入らなきゃ魔族を倒せねぇし。上に進むだけなら無視すれば良いが……こいつらは根絶やしにしないと悪さしかしないからな。面倒だがやるしかないか。おそらく全ての部屋のルールが違うんだろうな。まったく……、とりあえず真ん中に入ってみるか」
蓮太はいくつも並ぶ部屋から真ん中を選択し、ドアノブを回すのだった。
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