無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

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第06章 竜界編

10 蓮太、地上に戻る

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 天竜の間で暮らす事十年、蓮太は二十歳になった際自らに【不老】を付与し、老化を止めた。加えて妻である天竜を若返らせてやった。若返った天竜はさらに励むようになり、十年で子供の数は二十人、ちょっとした田舎の一学級くらいの数になってしまった。

「天竜さんや、ちょっと産みすぎじゃないかい?」
「あなたが元気すぎるからじゃないですか?」

 蓮太が普段人化しているのに合わせ、若返った天竜も人化はするようになっていた。全てが白い天竜の人化した姿は神々しくもあり、可愛らしかった。

「人化した姿が魅力的すぎるんだよねぇ。こうして腕を組んでるだけでも欲情しちまう」
「ふふふっ、私はいつでも応じますよ?」
「……いや、もう十年経ったからなぁ。言っても外じゃ三日くらいか。途中の迷宮にかけた時間も合わせても……そろそろ地上に戻らなきゃ」

 すると天竜は少し悲しそうな表情を浮かべた。

「……また一人の時間に戻るのですか」
「一緒に来れば良いじゃないか」
「え?」
「神竜になれるのは一人だけ。俺が死ぬ事はないし、ここに挑戦者が来る事もない。だったら天竜がここにいる理由はないじゃないか」
「た、確かに! いえ、でも……私生まれてからここを出たことがありませんし……」
「俺がついてるから大丈夫だろ。子供達と一緒に地上に行くぞ、天竜」
「は、はいっ!」

 蓮太は子供達を集めた。

「どうしたのパパ?」
「また稽古つけてくれるの? お父さんっ」
「違う違う。これから全員で地上に出るぞ」
「「「「地上?」」」」
「そうだ。もはや地上でお前達に勝てる者はいない。力、知恵、魔力、その全てにおいてお前達は俺の次に強くなった。悪人に騙される事もないよう、地上の常識も学ばせた。そろそろ広い世界を実際に体験させてやろう」
「「「「広い世界! 楽しみ~!」」」」

 ここで生まれた天竜と子供達はこの白一色の世界しか知らない。ここを出た皆がどういう反応を示すか楽しみだ。

「よ~し、じゃあみんな手を繋いで一つになってくれ。今から転移で地上に出るぞ」
「「「「は~い!」」」」

 そうして蓮太は天竜と我が子二十人を連れ、地上へと帰還した。

「よし、着いたぞ。ここが迷宮の外だ」
「「「「「ここが……地上! 広いっ!」」」」」

 天竜と子供達は初めて見る色のついた世界に目を輝かせていた。

「これが……これが地上! あなた、凄く綺麗ですわ!」
「はしゃいでるなぁ。そう、これが竜界だ。そしてこれが俺の世界になる。さあ、仲間達の所に行こうか」
「仲間ですか?」
「ああ。仲間達に皆を紹介しなきゃならんからな。竜に戻って行こうか」
「わかりました」

 蓮太と天竜達が竜の姿になり塔へと戻った。この一団は恐ろしいまでの魔力を発しており、亜竜は恐れて近づきもしてこない。

《パパ~、あの竜なに?》
《あれはゴミだな。俺が来る前に挑戦していたクズが繁殖させていた奴らだ》
《ふ~ん……消しちゃう?》
《後でな。その内駆逐するつもりだったし。だが今は家に急ぐ》
《はぁ~い》

 蓮太が転移した先は初めて竜界に到着した場所だった。そのまま塔の中に転移しても良かったのだが、一度皆に世界の姿を見せるために離れた場所に転移していた。

 やがて塔が見えてきた。そして入り口には無竜を始め全員が戦闘態勢に入り身構えていた。

《止まりなさいっ! 何者ですか!》
《俺だよ無竜。今戻った》
《レンタ様!? そ、その姿はいったい……》
《神竜になったんだよ。隣にいるのは天竜、後ろは俺と天竜の子供達だ》
《……え? て、天竜……様? ははぁっ!》

 天竜を見た無竜たちは一斉に頭を下げた。ただ一人を除いて。

《ダーリン……? 浮気……してたの?》
《……ノワールか。ちょっと来い》
《え? わっ!?》

 蓮太は闇竜を自分が作った空間に引きずり込み、そこで一年ほど暮らし、元の空間に戻った。この間わずか一分。元の空間に戻った闇竜の機嫌は戻っており、隣には子供がいた。

《もうっ、ダーリンったら~。私の事好きすぎなんだからぁ~》
《ノワール、わかってるよな? 俺はここの王だ。これから亜竜を駆逐する。そこで減る竜を増やすためにも励まなきゃならんのだ》
《わかってるよぉ……。いっぱい愛してくれたから許しちゃうっ》
《ありがとよ》

 闇竜の嫉妬を取り払い、改めて皆に向かう。

《無竜、お前もだ。後ルーチェもちょっと来い》


 一分後、二人は子供を携え戻ってきた。

《ちょっと! なんで!? 私は!?》
《アクアか。傷はもう良いのか?》
《見たらわかるでしょ》
《身体じゃない。裏切られた心の方だ》
《う……》

 水竜は慕っていた全竜に裏切られ瀕死にさせられている。そこで蓮太は心に深い傷を負っているのではないかと考えていた。

《あ、あんなクズなんてどうでも良いし! その……私はあんたが……》
《そうか。じゃあ来いよアクア》
《あっ、ま、まだ心の準備がっ!》

 それから二分後。

《まさか二人も産ませられるなんてぇっ》
《すまん、やり過ぎたわ》
《べ、別に構わないけど! それより! レンタは神竜になったのよね?》
《ああ》
《これからどうなるの? 役目とかあるんじゃない?》

 蓮太は全員に向かいこう言った。

《神竜の役目は世界を正す事らしいが、今のところ世界は混乱もなく落ち着いている。とりあえずは全竜が量産したゴミを排除し、竜界をあるべき姿に戻す。亜竜狩りを始めるぞ》

 その言葉に火竜が真っ先に立ち上がった。

《亜竜狩りっすかアニキ! それなら俺に任せてくださいよ! アイツら相手の強さも理解できずに喧嘩ふっかけてくるからウザかったんすよ。俺にやらして下さいっ!》
《ふむ。ならバーン、お前に指揮を任せる。アースはバーンの補佐だ。ヴァンは火竜の火力を支援してやってくれ》
《うむ》
《はいは~い》

 そこで無竜達が話し掛けてきた。

《あの……私達は?》
《お前達は……子供の教育係だな。天竜のサポートを頼む》
《はいっ! 天竜様、よろしくお願いいたします!》
《こちらこそ。皆で夫を支えていきましょうね》
《はっ!》

 それから火竜達による亜竜狩りが始まった。

《オラオラ当たると死ぬぜぇっ! 【バーニングフレア】!!》
《わ~……あのオジサン弱~い》
《火力ショボくない?》
《僕のファイアくらいしかないね~》

 蓮太の子供達は火竜の攻撃を見てそう呟いていた。

《……ちくしょう。アニキの子供らはどんだけ強いんだよまったく……》
《年上は威厳すら保てんな……》
《ボク達が勝ってるの年齢しかないよね……》
《アニキに相談してみっか……》

 その後、火竜達は蓮太の子供達が戦う姿を目の当たりにし、さらに自信を失っていくのだった。
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