無双転生~チートスキルで自由気ままに異世界を生きる~

夜夢

文字の大きさ
78 / 85
第06章 竜界編

11 天神竜

しおりを挟む
 神竜たる蓮太と天竜の子は全て天神竜といわれる新しい種族だ。その力は凄まじく、瞬く間に竜界に散らばっていた亜竜を駆逐し、全竜の蒔いた種を根絶やしにしてしまった。

《パパ~、あの竜達は良いの?》
《まさかの俺らまで!? ア、アニキ~!》

 子ども達は火竜達をも駆逐しようとしていた。

「あれらは良いんだ。ちゃんと言葉が通じてお互いを理解し合えているだろ? これまでに駆逐した奴らは意思の疎通ができなく、己の欲望に従い暴れまわるだけの害獣だったから駆除したんだ」
《わかった~。じゃあ生かしておくね》
「そうしてやってくれ」


 火竜、地竜、風竜はホッと胸を撫で下ろしていたが、無竜を始め、女性陣からは不満が募っていた。

《ちょっとレンタ。あんたの子生意気すぎじゃない?》
《そうですわ。私達の方が年上ですのに……まったく敬う心を感じられませんわ》
《あの子ども達さ、私達の事完全に下に見てるよね。ダーリン、なんとかならない?》
《天竜様には失礼ですが、私達も属性竜の端くれ。舐められたままでは気分が悪いですわ》

 そんな女性陣達に蓮太はこう言った。 

「仕方ないだろう。そもそも一番上が産まれてまだ十年しか経ってないんだ。自分達が十歳の頃を思い出してみ?」

 女性陣は自分が十歳の頃を思い浮かべる。

《わ、私はもっとおしとやかだったし!》
《私は……もっと賢かったですね》
《私はぁ~……あはは》

 すると無竜が蓮太にこう告げた。

《確かに若さ故の過ちと言われればそれまでです。それでも……》
「わかったわかった。ちょっと待ってろ。おい、全員集合!」
《《》》

 蓮太の前に二十人の子と天竜が並んだ。

《なに、パパ?》
「お前らさ、もう少し年上を敬えよ。生意気だって苦情が寄せられてんぞ」
《生意気~? どこが? 私達何もしてないよね?》
《《》》 
「何もしてないから舐めてると同じだって言ってんだよ」
《《》》

 蓮太は子ども達に対し威圧を放った。蓮太の威圧を受けた子ども達は一斉に大人しくなった。

「いいか、無竜達の事は天竜と同等に思え。あいつらも天竜と同じく俺の妻だ。この世は力が全てではない。そう何度も教えてやったよな? あ?」
《あ、あなた? い、威圧が強すぎでは……?》
「強すぎ? これでも一割程度だ。世の中はなぁ、力が全てではないが、力が必要になる時がある。それは相手が間違っていた時だ。相手を正しい道に戻すために俺達は強くあらねばならない。仲間すら敬えないようなガキは必要ない。そんなに暴れてぇなら俺が相手になってやっからよ。俺の言葉が理解できない奴はいつでもかかってこいよ。俺がこの手で厳しく躾てやっからよぉぉ……わぁったか?」
《《》》

 子ども達は大号泣した。それはつまり無竜達を舐めていたといっているのと同義だった。

「泣くな。泣く前にするべき事があるだろう。全員心から謝り、これから舐めた態度はとらないと誓え」
《《》》

 すると無竜が子ども達に向けこう言った。

《わかってくれれば良いのよ? 私達はレンタ様で繋がった家族なんだから。いずれ私達にも子が産まれ、あなた達の弟か妹になるの。そしたら私達の子どもが間違いそうになったら今言われた事を教えてあげてね?》
《う、うん……。ごめんなさいっ》
《《《》》》
《確かに。じゃあみんなでご飯にしましょ? レンタ様が振る舞ってくれるそうよ?》
《《《 》》》

 それから全員で食卓を囲み、仲直りとなった。代わりに全員分の食事を用意させられたが、これでお互いにわだかまりがなくなるなら安いものだ。

 そして蓮太はその場でこれからの事について皆と話し合った。

「さて天竜」
《はい?》
「これで俺達はこの竜界を支配したわけだが……。これから何かする事あるか? 正直地上世界とか今さら戻りたくないんだけど」
《そうですね。まだ竜界の支配は終わっていないように思えますが》
「なに?」

 天竜は東の空を見上げこう言った。

《ここにいる属性竜は水竜、火竜、風竜、地竜、光竜に闇竜。そして無竜のみです。全竜は消滅しましたが、他にもまだ属性竜は存在しています》
「無竜、そうなのか?」

 すると無竜はこくりと頷き、残る属性竜の名を口にし始めた。

《確かに属性竜はまだおります。地上世界で失われた属性を司る竜、氷竜、雷竜、邪竜。そして全竜の双子の弟である金竜がこの竜界に存在しております》
「双子の弟? あのクズにそんなのがいたのか」
《金竜は全竜とは真逆の性格をしており、害は……多少ありますが問題はないかと》
「多少はあんのな」
《まぁ……会えばわかります。それより、氷竜と雷竜、そして邪竜が厄介です》
「……ふむ」

 無竜は三体の竜について語り始めた。

《まず氷竜はここより北にある氷の洞窟にて一人で暮らしております》
「なんでまた」
《氷竜はいち早く全竜のクズさに気付き、一人全竜に挑みました。ですが敵うはずもなく、今では誰も信じられなくなっているようです》
「なるほど。こっぴどくやられたみたいだな。雷竜は?」
《雷竜は西にある竜界で一番高い山を棲み家にし、自由気ままに暮らしております。全竜が氷竜を瀕死にしたタイミングで姿を消しました》
「ふ~ん。自由気ままってのは気が合いそうだ。じゃあ……邪竜は?」

 そう尋ねるが無竜はなかなか口を開かない。しばらく待ち、ようやく口を開いた。

《邪竜は……私の妹です》
「妹……か」
《はい。邪竜はその性質故か、世界の悪意を一身に集めてしまうのです。そのため、今は東の地にある神殿に封印しています》
「そうか。全竜と亜竜は悪意の塊そのものだったからな。封印は妹を邪竜から守るためか」
《はい。ですが……おそらく私の心は理解してもらえてはいないでしょう》
「なぜだ?」
《……全竜はすでに邪竜を洗脳していたのです。無理矢理身を汚され、何度も何度も悪意を植え付けられていきました。やがて邪竜の中で悪意が芽吹き、全竜以外の命を奪おうと暴れまわったのです》

 胸糞悪くなる話だ。 

《ですから……邪竜は自分と全竜を引き離した私を恨んでいると……》
「わかった、もう良い。邪竜は俺が何とかしよう」
《あ、ありがとうございますっ!》

 氷竜、雷竜、邪竜、金竜。聞いた話ではこの中で一番の問題は邪竜にある。全竜と亜竜が消え、悪意が消え去ったとしても、すでに植え付けられた悪意はまだ残っている。

「じゃあ邪竜から何とかしに行ってみっか。無竜、案内してくれ」
《は、はいっ!》

 こうして竜界に残る問題を解決するため、蓮太は無竜を従え、一路東へと向かうのだった。 
しおりを挟む
感想 76

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 会社員の俺が交通事故に遭いました。二か月後、病院で目覚めた時、ほぼ全身不随。瞼と瞳が動かせるものの、手足も首も動かない。でも、病院で寝ると異世界の別人の身体で憑依し、五体満足で生活している。また、異世界で寝ると現代世界に目が覚めるが体の自由は利かない。  睡眠の度に異世界と現代世界を行ったり来たり、果たして、現代社会の俺は、元の身体に戻れる方法があるのだろうか?  そんな男の二重生活の冒険譚です。  毎週水曜日午後8時に投稿予定です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...