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第29話 リクトの領地
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リクトには家名がない。流れで公爵にはなったものの、色々な式は戦のせいで延期されていたのだった。
リンカネット帝国へと遷都を終え、色々と落ち着いた頃、バロン国王はリクトを城へと呼び出した。
「リクト殿。この度の働き、誠に大儀であった。そこで一つリクト殿に家名を与えようかと思っての。家名がないと領地に名もつけられぬでな。希望はあるかの? ないならばこちらで付けさせてもらうが」
「ないですね。こだわりは」
「そうか。ならば今からお主を【リクト・マイスター】とし、あの地をマイスター領としよう。救国の英雄にあの地では足りぬとは思うが……」
「いえ、十分です。娘さんたちだけでも十分だってのにさ」
「ほっほ。娘たちは元気かな?」
「ええ。孕める奴らは全員孕み、それ以外とも毎日」
「これはすぐに孫が見れそうじゃな。リクトよ、これからも何かあったら力を貸して欲しい」
「ええ。ではまた」
リクトは謁見の間を後にした。
「王よ、あの者……力を持たせ過ぎでは?」
「良い。リクトは野心家ではないからの。人を見る目くらいはあるわ」
「そうですか」
「あれは……希望じゃ。何としても手放すわけにはいかぬ……な」
「はぁ……」
その頃リクトは……。
「良いんですか、皆さん?」
「良いのっ! 娘ばかりこんな良い男と毎晩なんてズルいわっ!」
バロン国王の妻らに捕まり奉仕させられていた。もちろん避妊はちゃんとしている。
「ね、一人くらいなら産んであげましょっか?」
「冗談言わないで下さいよ。本当はこうしてるのだって不味いんですからね?」
「ふふっ、その割には外に出さないのね?」
「それはまぁ……」
リクトがそう言うと、彼女達は揃いの腕輪を掲げて見せた。もう嫌な予感しかしない。
「……なんです……それ……」
「ふふっ、マジックキャンセラー。あなたの避妊魔法は残念ながら無効でした~」
「ちょっ、何してくれてんですか!?」
「あ~あ、やっちゃったね? あの人にバレたら大変ね~?」
なんて奴らだ。
「……お、脅す気ですか?」
「脅すだなんて酷いわ。そうねぇ……。私達こう見えて暇でね?」
見ればわかるわ。羨ましい。
「たま~に会って抱いてくれれば良いのよ。妊娠したら娘に会いに行くって呈でそっちで産むからね?」
「あなた方は国王の妻でしょ? 愛してないんですか?」
「勃たない旦那に愛なんてないわっ! 私達は今が一番したい時期なのっ! 抱いたからわかるでしょ? 疼いて仕方ないのよっ!」
確かに、全員色香が半端ない。
「ば、バレても知りませんよ?」
「大丈夫よ、あの人新しい国造りで多忙だし気付かないわ。さ、続きしましょ?」
この後散々搾られた。ちなみに抜こうとしたら別の側室が抜けないように身体を押し付け腰を引かせないようにしていた。酷すぎる。
「じゃあありがとね~。あ、もしそっちに行ったら察してね? あと……したくなったらいつでも来てね?」
「……はい」
リクトは自分の領地へと帰るのであった。
「あらあらリクト、どうしたの? 随分疲れてない?」
「……母さん……。あいつら怖すぎるよぉぉぉっ!」
「えぇっ!? ど、どうしたのリクト!?」
その日リクトは一晩中母親と過ごした。
「もう……。疲れてたんじゃないの?」
「……母さんは特別だよ。なんかこう……落ち着くんだよね……」
「そ。なら……今夜は久しぶりに二人で寝よっか、リクト」
「うん、母さん……」
その日母親からリクトが離れる事はなく、母親は二人目を妊娠するのだった。
今回の働きで与えられたのは領地と城だった。今までバロン国王が使っていた城がそのままリクトの家になる。
「はぁ……」
「どうしたの? リクト?」
「広すぎて落ち着かない」
「「「ああ、分かる……」」」
屋敷はそれなりにでかかったが部屋は少し狭めに作っていた。広い方がいいのではと思うだろう。だが広すぎても逆に落ち着かないと言うのが一般的だ。
母親がリクトに問い掛ける。
「それでリクト、これからどうするの? この領地を経営していかなきゃならないんでしょ? できるの?」
できるわけがない。そもそもこの旧バロン王国にだって空を飛んできたのだ。他にいくつ町があるとか領民が何人いて産業は何があるのかなど全くこれっぽっちもわからない。
そしてそれは王女たちも同じだった。文官は全てリンカネット帝国人。だれ一人この地の現状を把握していなかった。
「……無理。情報が足りなすぎる。……ちょっと考えてみる」
そして考えた結果向かった先は……。
「ふむ、マイスター領の税を免除して欲しいとな?」
「はい。俺はあの領地の事を何一つ知らないし、他に知ってる人もいません。永久に免除しろとは言いません。少し落ち着くまで待って欲しいのです」
「ふむ。話はわかった。確かにいきなり治めろと言われても無理な話じゃったな。ならば三年やろう。その三年であの地の全てを把握しより良い土地にしてくれい。こちらも同じ状況でな。国庫に金はあるが未だ把握しきれておらぬのじゃ」
「なるほど。国を治めるのも大変なのですね」
「うむ。広さが広さだけにのう……」
とりあえず三年の猶予は出来た。領主となったがために全く怠惰な生活とかけ離れるリクトなのであった。
リンカネット帝国へと遷都を終え、色々と落ち着いた頃、バロン国王はリクトを城へと呼び出した。
「リクト殿。この度の働き、誠に大儀であった。そこで一つリクト殿に家名を与えようかと思っての。家名がないと領地に名もつけられぬでな。希望はあるかの? ないならばこちらで付けさせてもらうが」
「ないですね。こだわりは」
「そうか。ならば今からお主を【リクト・マイスター】とし、あの地をマイスター領としよう。救国の英雄にあの地では足りぬとは思うが……」
「いえ、十分です。娘さんたちだけでも十分だってのにさ」
「ほっほ。娘たちは元気かな?」
「ええ。孕める奴らは全員孕み、それ以外とも毎日」
「これはすぐに孫が見れそうじゃな。リクトよ、これからも何かあったら力を貸して欲しい」
「ええ。ではまた」
リクトは謁見の間を後にした。
「王よ、あの者……力を持たせ過ぎでは?」
「良い。リクトは野心家ではないからの。人を見る目くらいはあるわ」
「そうですか」
「あれは……希望じゃ。何としても手放すわけにはいかぬ……な」
「はぁ……」
その頃リクトは……。
「良いんですか、皆さん?」
「良いのっ! 娘ばかりこんな良い男と毎晩なんてズルいわっ!」
バロン国王の妻らに捕まり奉仕させられていた。もちろん避妊はちゃんとしている。
「ね、一人くらいなら産んであげましょっか?」
「冗談言わないで下さいよ。本当はこうしてるのだって不味いんですからね?」
「ふふっ、その割には外に出さないのね?」
「それはまぁ……」
リクトがそう言うと、彼女達は揃いの腕輪を掲げて見せた。もう嫌な予感しかしない。
「……なんです……それ……」
「ふふっ、マジックキャンセラー。あなたの避妊魔法は残念ながら無効でした~」
「ちょっ、何してくれてんですか!?」
「あ~あ、やっちゃったね? あの人にバレたら大変ね~?」
なんて奴らだ。
「……お、脅す気ですか?」
「脅すだなんて酷いわ。そうねぇ……。私達こう見えて暇でね?」
見ればわかるわ。羨ましい。
「たま~に会って抱いてくれれば良いのよ。妊娠したら娘に会いに行くって呈でそっちで産むからね?」
「あなた方は国王の妻でしょ? 愛してないんですか?」
「勃たない旦那に愛なんてないわっ! 私達は今が一番したい時期なのっ! 抱いたからわかるでしょ? 疼いて仕方ないのよっ!」
確かに、全員色香が半端ない。
「ば、バレても知りませんよ?」
「大丈夫よ、あの人新しい国造りで多忙だし気付かないわ。さ、続きしましょ?」
この後散々搾られた。ちなみに抜こうとしたら別の側室が抜けないように身体を押し付け腰を引かせないようにしていた。酷すぎる。
「じゃあありがとね~。あ、もしそっちに行ったら察してね? あと……したくなったらいつでも来てね?」
「……はい」
リクトは自分の領地へと帰るのであった。
「あらあらリクト、どうしたの? 随分疲れてない?」
「……母さん……。あいつら怖すぎるよぉぉぉっ!」
「えぇっ!? ど、どうしたのリクト!?」
その日リクトは一晩中母親と過ごした。
「もう……。疲れてたんじゃないの?」
「……母さんは特別だよ。なんかこう……落ち着くんだよね……」
「そ。なら……今夜は久しぶりに二人で寝よっか、リクト」
「うん、母さん……」
その日母親からリクトが離れる事はなく、母親は二人目を妊娠するのだった。
今回の働きで与えられたのは領地と城だった。今までバロン国王が使っていた城がそのままリクトの家になる。
「はぁ……」
「どうしたの? リクト?」
「広すぎて落ち着かない」
「「「ああ、分かる……」」」
屋敷はそれなりにでかかったが部屋は少し狭めに作っていた。広い方がいいのではと思うだろう。だが広すぎても逆に落ち着かないと言うのが一般的だ。
母親がリクトに問い掛ける。
「それでリクト、これからどうするの? この領地を経営していかなきゃならないんでしょ? できるの?」
できるわけがない。そもそもこの旧バロン王国にだって空を飛んできたのだ。他にいくつ町があるとか領民が何人いて産業は何があるのかなど全くこれっぽっちもわからない。
そしてそれは王女たちも同じだった。文官は全てリンカネット帝国人。だれ一人この地の現状を把握していなかった。
「……無理。情報が足りなすぎる。……ちょっと考えてみる」
そして考えた結果向かった先は……。
「ふむ、マイスター領の税を免除して欲しいとな?」
「はい。俺はあの領地の事を何一つ知らないし、他に知ってる人もいません。永久に免除しろとは言いません。少し落ち着くまで待って欲しいのです」
「ふむ。話はわかった。確かにいきなり治めろと言われても無理な話じゃったな。ならば三年やろう。その三年であの地の全てを把握しより良い土地にしてくれい。こちらも同じ状況でな。国庫に金はあるが未だ把握しきれておらぬのじゃ」
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