シンジュウ

阿綱黒胡

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第1章

<20話>夕日新聞・5月4日・朝刊

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昨日の19時ごろ、
天原市内の路上にて、
市立天原中学校の
女子中学生が変質者に襲われる、
という事件が発生し、
警察は現場付近で気絶し、
体に全治1ヶ月の
火傷を負って倒れていた
有原六太容疑者(36)を、
強姦未遂の疑いで逮捕した。

容疑者の自白により、
被害者の女子生徒は、
学校から徒歩での
帰宅途中だったところを、
暗闇になっていた脇道で
待ち伏せしていた、
通学路に隣接する住宅に住んでいる
六太容疑者に突如として口を塞がれ、
街灯の無い小道に引きずり込んで
暴行を行おうとした
ということがわかっている。

しかし、六太容疑者はその寸前に
何者かに頭を殴打され気絶し、
女子中学生はその隙に逃走した模様。

そのまま目撃者の1人と思しき
人物の通報により、
駆けつけた警官に逮捕された。

六太容疑者は逮捕後、
酷く怯えており、
尋問の際に
「暗闇で顔はよく見えなかったが、
引きずり込んだ子供が抵抗し、
大声をあげたので、
誰かに聞かれていないか
確認のために周囲を見回し、
その後視線を戻したら
140くらいの身長しか無かった子供が、
赤い鎧を着た騎士に変わっていた。

驚いている暇もなく、
その後頭を殴られて気絶し、
気がついたら警察が来ていた。」
などと意味不明な供述をしている。

しかし、
この事件は被害者が何故か
未だに名乗り出てきておらず、
通報がボイスチェンジャーを
使用して行われたりと、
色々と不明な点が多く、
警察は被害者と通報した目撃者、
両方の特定を急いでいる。

また、
「中世の騎士の様な鎧を着た不審者」の
目撃情報は天原市内で相次いでいる他、
1週間前に、
天原市に拠点を築こうとしていた
暴力団の本部を襲撃・壊滅させて、
構成員7人、幹部2人に
重度の凍傷を負わせ、
脱法の証拠品を匿名で警察に送り、
暴力団組員の逮捕に貢献した人物とも、
見た目の証言が酷似しており、
警察はこれらの事件が
同一人物によるものと見て、
捜査を進めているとコメントしている。














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