シンジュウ

阿綱黒胡

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第1章

<49話>発生(side葉月 前編)

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キャンプ当日、私は予定通り、
集合時間30分前の朝7時30分に、
集合場所の駐車場に到着していました。

この前
義経君との待ち合わせに
遅れているので、同じ失敗を
2度繰り返すわけにはいきません。

まあ、朝起きたら叔父さんがいなくて、
たんたんと朝の行事が済んだ、
ということもあるのですが。

田沼先輩は遅れるらしいけど、
流石にみーちゃんもタクミくんも、
まだきてないかぁ。

『こんなに早く来なくてもい~じゃん。
ふわぁぁぁぁ、ねみぃ・・・。』
横でピノが、
欠伸のように口を大きく開けました。
「遅刻するよりマシだよ。
早朝に出て行くっていうのも、
清々しくていいじゃん。」
『布団の温もりの方がいい。』
「ゴチャゴチャ言わない!
あ、もう行くから、
ごめんちょっと帽子になって!

あらぬ方向向いて虚空と会話してたら、
流石に怪しまれるから!」
『へいへい・・・。』

ピノの鹿撃帽を被り、
(コレもちょっとあれですけれど、
虚言者として見られるよりマシです)
私はバスに近づきました。
スタッフらしき人達が、
荷物の積み込みを始めています。
私の乗るバスでは、
背の高い男の子が、せっせとバッグを
荷台に放り込んでいました。

「すみません、お願いします。」
私が後ろから声をかけると、
「うぇい!?」という声と共に、
一瞬ビクッと肩を震わせたあと、
男の子はゆっくりと振り返りました。

「おはようございます、
社中学生2年の、斯波葉月と言います。

今日から3日間、
どうぞよろしくお願いします。」
私が頭を下げると、
「え、あ、あの、
スタッフの、ええと、
天原中1年の、き、北畠隼人デス!

よ、よろしくお願いします!」
かなり言葉に詰まりながら、
男の子、隼人君は挨拶を返し、
さらに右手まで差し出してきました。

『キョドりすぎだろ・・・。』
「黙ってなさい。」
『申し訳ありません、
坊っちゃまは、初対面の女性と話すのが
些か不得手でして、
どうかご容赦を・・・。』
「あ、全然大丈夫で・・・。
・・・え?」
「・・・え?」

よく見ると、隼人君の頭の上に、
変わった色合いの甲虫が
乗っていました。

(シンジュウ使いだ・・・。
こんなにしれっと出会うなんて・・・。)

「あ、あの、
よろしくお願いします・・・。」
「あ、あははは、よろしくね・・・。」
私はそう言いながら彼の手を握ります。

「ええと、仲良くやろうよ、
おんなじ境遇同士さ。」

私はこんなことを言いましたが、
驚かされっぱなしじゃ、
ちょっとやだなぁ。

と、思ったので、
私は突然自身の顔を、
隼人君の耳のそばに近づけて、
囁きました。

「おねいちゃん、強かったでしょ?
。」

それだけ言うと、
私はUターンしてバスから離れました。

何か叫び声が聞こえた気がしますが、
まあ、気のせいでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ、葉月、おはよう!」

ピノに鹿撃帽状態を解いてもらって、
一度集合場所に戻ると、
そこには半袖短パンという、
一昔前のジャリっ子のような格好の、
みーちゃんが待っていました。

「・・・みーちゃん、山だよ?
わかってんの?
近所の空き地で野球する
わけじゃないんだよ?」
「え、だってほら、
『動きやすい服装で』って
書いてあったからさ。

葉月だって、
シャツにジーパンじゃん。』
「そういう問題じゃないの!!」

この子、
本当に14歳の女の子なんでしょうか?

まあ、
水着じゃなかっただけマシか・・・。

「斯波さん、最上さん、おはよう。」
声の方に向くと、
白のパーカーにジーパン姿の、
タクミ君が立っていました。

「おはよー!タッくん!」
「おはよう、タクミくん。
どうしたの?」
「あ、ええと、その、
バス、アレであってるっけ?」

タクミ君は私たちの乗るバスを
指差しました。

なるほど、
バスがわからなかったみたいです。
「うん、あってるよ。」
「あ、よ、よかった。」

タクミ君は早々とバスに
乗り込んでしまいました。

私も腕時計を確認します。
そろそろ出発時間です。

「私達も行こう!」
みーちゃんのその声と共に、
私達もバスの階段に足をかけました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さあさあ、皆さん、
お~はよ~うございま~す!!

今年も始まりました、
みんな大好き験山キャンプ!

今年初めてのちびっ子も、
毎年参加してるベテランも、
みんなが協力して、
最高の思い出をつっくりましょ~う!

皆さんのバスを
担当いたしますのは、この私!

天原中学校3年生、
本多沙羅で~ございます!」

出発したバスで、
バスガイドらしき女の子の、
義太夫節の如きクセのある前説が
響き渡ります。

「こ・・・コレは・・・。」
「・・・すごい、ね。」

目の前で繰り広げられている大演説に、
思わず圧倒されます。

「ていうか、確か本多沙羅ってさ、
例のあの人じゃなかった?

ほら、『サイキョウの中学生』。」
興奮気味に語りかけてくるみーちゃんに
私は苦笑いを返します。

「そんなの眉唾じゃ・・・。」
「いやー、すいませんねー、
このバスの担当は、
私の他にボサボサ髪の
義経赤斗っーやつがいたんですが、
なぜか来なくてねぇ。

大方風邪でも引いて、休み連絡入れて、まだアタシ達に連絡がきてないだけだと思うんですけど。

ま、張り切っていきましょう!

それじゃーまずは、
ここ2つの学校合同なので、
自己紹介から行きましょうか!

まずは例の風邪スタッフ、
義経君の知り合い、斯波さん!
お願いします!」
「え!?」

私は思わず本多さんの方を見ます。
「え、やだやだ、誰その子!?
ひょっとして、彼氏!?
ヒュー!!」
「ちょっとみーちゃん黙って!

あの、どうしてわかったんですか?」
本多さんはこともなげに、
「ああ、
さっき『赤斗』って名前を出した時に、
あなただけが、
ピクッと反応したじゃないですか。

他の人は『休み』とかそんなんで
反応してたのに。」

私の足元でピノも呆然としています。
理屈はわかるんですけど、
このバス、30人乗ってるんですよ?
しかも私は真ん中くらいの席だし。
もし本当なら、恐ろしい観察眼です。

・・・なるほど、『サイキョウ』かあ。
私は手渡されたマイクを
握り締めました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後は、
特筆すべき点は無く順調に
プログラムをこなしていきました。

キャンプ場について、
開会式をして、宿舎に荷物を置いて、
お昼ご飯を食べたら、
時計は2時を回っていました。

「さあ皆さんお待ちかね!
次はレクリエーションです!

今年のレクリエーションは、
スタンプラリーゲーム!

制限時間以内に
各々指定されたポイントを回って、
そのタイムを競います!

ポイントにはスタッフがいますから、
謎を解いて、
ポイントまでたどり着き、
スタッフにハンコをもらって下さい!

優勝者には景品もありますから、
皆さん、頑張ってくださいね~!

では、チーム分けをしますので、
並んでクジを引いてください!」

運営のおねいさん(今度は大人です)が、
そう高らかに宣言したのを皮切りに、
みんなが続々とクジが入っている箱に
並び始めます。

私の前に並んでいた、
みーちゃんがクジを引きます。

みーちゃんはC班でした。
「それじゃあ、お先に♪。」
みーちゃんは仲間を探すべく
広場に戻って行きました。

なんか嬌声が聞こえてきた気がしますが
多分気のせいでしょう。

私もクジを引きます。
アルファベットは、F。

『おいおい、
だいぶ後ろの方じゃんか。』
「仕方ないよ・・・。

すみません、
Fの方、いらっしゃいませんか?」

私が声を上げると、
「あ、はい私です。」
「俺ですね。」
「僕ですー。」

私の近くに、
年上らしき
女子生徒と男子生徒が1人ずつ、
そして、
「あ、今朝の・・・。」
「はい、このイベント、
ボランティアも参加できるんです。」

あの甲虫の男の子、
隼人君が、一緒の班でした。
「あ、スタッフの子か、よろしくね。」
「どうぞよろしく。」
「よろしくお願いします。」
他の2人が各々隼人君と
言葉を交わします。

「朝は荷物をありがとう、
よろしくね。」
『足ひっぱんじゃねーぞ。』

私は足元のピノを足で小突きながら、
笑顔で挨拶をします。

ここで私はあることに気がつき、
こっそりと彼に耳打ちしました。

「・・・あれ、シンジュウは?」
「ああ、あの、
オウミは双子の姉の、
凛の方に行ってるんです。」
「・・・え?
まさかとは思うけど、
?」
「そのまさかです・・・。」
「『・・・マジデスカ。』」

私とピノは、
同時に声を出してしまいました。

かなり驚きましたが、
まあ、シンジュウの存在自体、
自然の摂理とかいうやつを
完全に逸脱しているので、
そういうタイプのシンジュウがいたって
決して不思議ではありません
(と、無理やり納得しました)。

ここで私は、
あることに気がつきました。

「あの、ひょっとして、
あなたのおねいさん、あの陸上の子?」

隼人君は頷きました。

「本当に!?凄いじゃん!」

そう、この子は、
あの超有名陸上選手の、
北畠凛さんと苗字が一緒だったのです。

確か、陸上部に入部早々、
県代表に躍り出た子だったっけ。

みーちゃんはバスケ部だけど、
陸上競技もかなり好きだと
いつだったか言っていました。

成る程、そんなスター選手がいれば、
そりゃ嬌声上げるわけです・・・。

「それでは、A班から、スタート!」
おねいさんの掛け声と共に、
Aの名札をつけたグループが、
森の中に入って行きました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
20分経ちました。
まだ、A班は戻ってきません。

「おやおや、どうやら今回の謎は、
相当に難しいようですね~。

では、20分経ちましたので、
規定通り、B班の方、
出発して下さ~い。

A班の方、聞こえてますか~?
タイムアップです、
広場にお戻りくださ~い。」

襟につけたピンマイクに
おねいさんが話しかけている横を
(各チームには、タイムアップ宣告用、
及び緊急連絡用の、
トランシーバーが渡されています。)
走り抜けるようにして、B班の子達が
(今回は社中も混じっていますが、
面識はありません)
森に入って行きました。

そして、また20分経ちました。
A班とB班は、まだ帰ってきません。

「で、では、20分経ちましたので、
C班の方、スタートして下さい!

・・・ごめん、ちょっと見てきて。
なんかトラブったのかも。

位置は第2チェックポイントの近く。」

B班が出発します。
私とみーちゃんは、
笑顔で手を振り合いました。

おねいさんはスタートの合図と同時に、
横にいた男子大学生らしき2人組に、
ヒソヒソと囁き、
その人達も、B班の後を追うように、
森の中へと入って行きました。

隼人君が心配そうに言います。
「あ、あの、なんであの人たち、
人が行方不明になってるのに、
あんなに冷静なんですか・・・。」
私は苦笑いをして、
「ああ、あれね、
トランシーバーには、
GPSが埋め込まれてるんだよ。

だからいざというときには、
場所が一目で丸わかりってわけ。

リーダーの腰に
こうやってフックで繋ぐから、
落とすことはないしね。」
と返しました。

「なんだ、そうなんですか。
まあ、凛はオウミもついてるし、
多分大丈夫だと思います。」
隼人君は安心したように
ホッと溜息をつきました。

あ、そっか、さっき出発した中には、
隼人君のおねいさんがいたのか。

そこから、10分程経ちました。
未だに誰も帰ってきません。

流石におねいさんも
気味が悪くなったらしく、
「すみません、
A班が帰ってくるまで
出発は中止します!」
と言い放ちました。

私も、
流石におかしいと感じていました。

「これ、何かヤバイんじゃ・・・。」
そう呟いたその時、
横でバタッと音がしました。

横を見ると、
その音の正体がわかりました。



一瞬の間を置いて、
どよめきが起きます。

そしてその数秒後、
森の中から、凄まじい轟音が
鳴り響き始めました。

メキメキと音を立てて
木が倒れていくのが、
遠目からでも見てとれます。

「なんなんだよ、これ!?」
「一体どうなってんの!?」
それによって、
広場にいた参加者達が、
一斉に騒ぎ始めます。

「隼人君!?隼人君!?
しっかりして!」
私が声をかけますが、
勿論彼が起きることはありません。
しかし、その声のおかげで、
事態に気づいた本多さんが、
駆けつけてきてくれました。

「よし、脈も息もあるな。

おい、超常現象研集合!
武蔵、
隼人を宿舎まで運んでやってくれ。
新井、お前人工呼吸できるか?」
新井さんは泣きそうな顔で、
「わかりません、
やったことないです!」

「私、やったことあります!」

私は気づいたら叫んでいました。

本多さんは私の方を見て、
「じゃあ悪いが、
付き添ってやってくれ!

アタシは、ちょっと用事をすます!」

本多さんがそう言って、
駆けて行こうとした時、

隼人君が、


「良かった、気がついた・・・。」
武蔵さんと言われる
大柄な男の人が、
ほっとしたようにそう言いかけた時、

突然、隼人君が、
本多さんにすがりつきました。

「先輩!お願いしますお願いですから、
みんなを宿舎の方へ逃して下さい!!

アイツが、アイツが来る!!
先行してた人達は、
みんなアイツに喰われてて!!
戦ったんですけど勝てなくて!
腹を食い破られて変身解かれて、
それでそれでそれでそれで!!

僕の身代わりに凛が!!
凛が凛が凛が凛が凛が!!

もうすぐアイツが来る!!
お願いします宿舎に逃げて下さいアイツが来るアイツが来る!

このままじゃ
こんな開けた場所にいたんじゃ、
みんな食い殺される!」

本多さんにすがりつき、
人目も一切気にせずに
半狂乱で泣き叫ぶ隼人君を、
私達は呆然と、
見つめるしかありませんでした。

けど、2つだけはわかりました。

1つは、行方不明になった人達が、
何者かに、こと。


そしてもう1つは、
















このままここにいたら、
辿







































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