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第1章
<64話>dead or alive
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彼女が僕をここに呼び出したのは、
確実に殺すためなんだろうか。
彼女が僕に親しくしてくれたのは、
油断させるための、
演技だったんだろうか。
けれど、
「・・・今、は、考えな、い。」
僕は痛みを堪えて、
『世離』を握りしめる。
幸い、この辺一帯に人はおらず、
辺りは水を打ったように静かだ。
音がすれば、すぐにわかる。
落ち着け、我慢しろ。
耳を澄ませ、じゃないと死ぬぞ。
耳を澄ませ、耳を・・・。
さくり。
「そこだ!」
僕は音のした方向に向かって、
思いっきり剣を振る。
「違う、ウマじゃない!
トリでござる!」
しかし、その攻撃は虚しく空を切る。
そして、
中の肉を切る音ともに、
今度は僕の左手から、痛みが走る。
「クソ!」
僕はやけくその声を出すと、
痛みのある場所に、
『世離』を突き刺した。
透過し、下に落ちるメス。
と、同時に激痛。
「解除!」
痛みは消えるが、
これじゃ完全にジリ貧だ。
僕は周りの砂浜を蹴り飛ばす。
もうもうと舞う砂埃に、
上杉のシルエットが映る。
「うぁぁぁぁぁ!!!」
僕が喚きながら突き出す剣を、
上杉は侮蔑の視線で見つめる。
「違う、タツでござる!」
「・・・なんデスカ?ソレ。
殺るキあるんデスカ?」
あっさりと避ける上杉。
突如として、頬に違和感を感じ、
すぐにそれは激痛に変わる。
そして、飛び出してくるメス。
「ぎゃあああああ!!」
激痛に再び悶える。
治癒力の強化のおかげで、
致命傷にはならない。
それ故、
拷問にはうってつけの状況だ。
「ねぇ、赤斗クン。
一緒にクルって、言ってくだサイよ。
そしたら、やめますカラ。」
今すぐ受け入れたい申し出。
だけど、
「・・・嫌だ!」
絶対に受け入れられないのが、
辛いところなんだよなぁ。
上杉は僕の顔を不思議そうに眺め、
「All right.
仕方ありませんネ、続けマショウ。」
その声とともに、
再び姿を消す上杉。
「『加護』の正体が、
全くわからない!
透明になる能力じゃないのか!?
フセ、お前知らないのか!?」
僕の絶叫に、フセが答える。
『私がいた頃は、
あんなシンジュウはいなかった!
多分、どんどん戦力を、
強化しているんだ!』
情報なしか。
ああ、くそ。
友達ができたと、思ったのになぁ・・・。
「ああ、先に言っときますケド。
私、今まで暗殺を生業としてましたカラ、
あの、小早川クン?でしたっけ。
あんなビギナーと、
一緒にしないでクダサイヨ。」
淡々とした上杉のその言葉に、
僕は全身の血の気が引くのを感じた。
三好さんと、
校門で対峙した時のあの感覚。
夏さんに、
攻撃された時のあの感覚。
コイツは、あの人達と同じだ。
多分、コイツは、
小早川のようにただ暴れ回るんじゃない、
あんな大雑把な無差別攻撃じゃない、
言うなれば、洗練された、技術だ。
コイツは、正真正銘、
殺しの、プロだ!
一気に息が荒くなる。
絶望という2文字が、頭をよぎる。
『死』の文字が、頭を埋め尽くす。
「うわぁぁぁああぁぁ!!!」
僕はめったやたらに刀を振り回す。
当然それは空を切り、
「・・・まずは、目、デスネ。」
そして、目に激痛。
・・・まさか!?
「うがぁぁああ!?」
次の瞬間、右の視界が真っ赤に染まった。
目から出てきた何かが、
僕の眼球に穴を開ける。
のたうちまわる僕。
甚右衛門が何か叫んでいるが、
内容を気にしている余裕がない。
「とりあえず、右目潰しマシタ。
次は、そうですネェ、
バランスのいいように左目デスカネ。
あ、安心してクダサイ?
まだまだ殺しマセンシ、
それくらいなら、
治す手段ありますカラ。」
爆音で鳴る心臓、震える身体。
『赤斗!しっかり気を持て!
相手は、
お前の精神を揺さぶってるんだ!』
フセの声が聞こえる。
隣で怒鳴ってるはずなのに、小さく。
怖い。
おかしくなりそうなくらい、怖い。
今ならわかる、あの山での戦闘、
小早川がもし人質をとっていなければ、
夏さんは何の苦もなく、
アイツの首をはねていただろう。
もしくは、
三好さんが間に合っていれば、
小早川はどっちみち、
やられていただろう。
専門家であるあの兄妹が、
こんな奴らを日夜相手取っているなら。
彼女に比べりゃ、
羽柴さんも北畠姉弟も僕も、
赤ん坊みたいなものだ。
・・・死ぬ。
直感でわかる、どう転んだって、
今の僕は彼女に勝てない。
僕個人の力では、
多分戦ったって、間違いなく負ける。
吐きそうになるのもなんとか堪えて、
僕は耳を澄ます、
焦点の定まらない目を、
安定させようと必死になりながら。
『赤斗、逃げるぞ!』
フセがそう吠える。
しかし、逃げるわけにはいかない。
「『真打』を上杉が持ってる以上、
そういうわけにもいかないだろうが!」
圧倒的に戦力で
優っているはずの相手が、
なんで強硬手段を取らないのか。
多分、理由は2つ。
三好兄妹、そして、『真打』。
今の僕達のアドバンテージなんて、
相手への抑止力なんて、
逆に言えばコレくらいしかない。
そこまで慎重になるくらい、
相手にとって怖いカードのはずの
この2つがどちらかでも欠けたら、
おそらく総攻撃されて、
僕達は終わりだ。
それに、例え逃げたところで、
いつかはまた攻撃されるのが、
目に見えている。
戦わなくちゃ、戦わなくちゃ!
付け入る隙は!?
一撃でも入れられれば・・・。
涙で滲む目を凝らして、
僕は上杉を探す。
「赤斗殿・・・!」
「うるざい、黙っで・・・!」
そこまで言って、
左目に違和感を感じ、
僕は思わず目を押さえる。
激痛と同時に、
とうとう両の視界が真っ赤に染まる。
「痛っ、ああぁぁぁぁ!!!」
やっぱりダメだ。
戦うとかそういう次元じゃない、
完全な嬲り殺しだ!
見えない見えない見えない!
赤い世界で、
僕は半狂乱になりながら刀を振る。
場所、せめて上杉が、
どこにいるのかわかれば・・・!
「・・・トラ!
赤斗殿、フセ殿、トラに5寸でござる!」
突如として、甚右衛門が叫んだ。
・・・トラ?
だけど、すぐにその言葉は、
恐怖に塗りつぶされて消えてしまった。
その疑問を浮かべている間に、
額が盛り上がり始めた。
「・・・!」
激痛に備えて、思わず目を瞑る。
額を突き破って飛び出してくる、
大量の釘。
「ぐぅうううう!!」
歯を食いしばって耐えるが、
発狂するのも時間の問題かもしれない。
「ミ、3寸先でござる、赤斗殿!」
出血が多いせいか、
意識が朦朧としてくる、頭が回らない。
今度は首に違和感。
あの時と一緒だ。
このままじゃ、
気管を裂かれてあの世行きだ。
呼吸が荒くなる。
怖い、嫌だ、死にたくない。
どうしようどうしようどうしよう。
そもそも、
単身で上杉に立ち向かおうなんてのが、
お門違いだったんだ。
勝てるはずもないのに、自惚れた罰。
「・・・でも、
やらなくちゃいけないんだよ!」
そう叫んだ瞬間、
何故か、僕の思考が弾け飛んだ。
緊張も、恐怖も、なにもかも。
「ウマ、5寸先!」
甚右衛門が叫ぶ。
トラ、ミ、ウマ・・・。
「見つけたぁぁぁぁ!!」
僕は激痛に顔を歪ませながら、
咆哮と共に後方へ剣を突き出す。
しっかりとした手応え、そして、
手を押さえた、
苦悶の表情の上杉が、そこに現れる。
「な、ナンデ・・・!?
気配は完璧に・・・?」
「感謝するよ、甚右衛門!
なんで場所がわかったのかは、
わかんないけどな!」
錯乱していて、
気づくのに時間がかかったが、
あの時、
一瞬だけ頭が冴えて理解できた。
さっきからの、甚右衛門の
トラやらミやらの謎の言葉は、
方角を表していたのだ。
息を止め、首を一瞬だけ非物質化し、
メスを取り出す。
非物質化された手を押さえながら、
上杉は僕を見る。
「・・・舐めすぎてた、
みたいデスネ。
でも、私が有利なことに、
変わりはないデスヨ?」
そうすごむ上杉は、
なぜか、少し嬉しそうだった。
「・・・お前。」
「油断してる余裕、あるんデスカ?」
じわじわと上杉が消えていく。
口の中に何かの存在を感じる。
「猿、2寸!」
「うおおおおお!!」
自身の頬を突き破って、
鋭利な刃物が出てくる痛みを、
涙を流し、
歯を食いしばって堪えながら、
僕は甚右衛門に指示された方向に、
思い切り刀を突き出す。
しかし、虚しくも刀は空を切った。
だけど、まだだ!
「ねじれろ!」
僕が叫ぶと同時に、
前方から血飛沫が飛ぶ。
「うおりゃぁぁぁ!!!」
僕はその血飛沫の方向に向けて、
地面を蹴り飛ばし、ダイブした。
虚空で何かにぶつかり、
僕はそれに抱きついたまま、
地面に倒れ込む。
砂を吸い込んだためか、
姿を現し、咳き込む上杉。
「終わりだ!
例え姿を消そうとも、
こっちには、
君の位置がわかる方法がある!
お前の力も見切った!
多分、『磁力を操作する』ことだろ!
それで空気中や体内の鉄分を操って、
ナイフや針を作ってたんだ!
このままじゃ、
君が不利になるだけだぞ!」
のしかかるようにしつつ、
僕は『世離』の切っ先を、
彼女に向ける。
「そのようデスネ。」
上杉はにっこりと微笑む。
「おっしゃる通り、
終わりにしまショウ、赤斗クン。
私も、あなたも。」
何を言ってるんだ?
僕がそう思った時、
突如、
どこからか拍手の音が聞こえてきた。
「いいわぁ、いいわぁ。
ここまでやれるなんて!
流石、父さんの邪魔者の、
孫なだけはあるわね!」
僕が声を上げると、
そこには、スーツを着た、
茶髪の女性が立っていた。
年はわからないが、
おそらく三好さんくらいだろう。
その横には、魚のようなものが、
虚空を、泳ぐように浮遊している。
・・・なんだろう、この人、
なんか、見たことあるような・・・。
「初めまして、私はアカネ。
いつも世話になってるわね、
娘と妹が。」
娘?妹?
疑問を浮かべつつ、
僕はふとフセの方をみて、絶句した。
柴犬であるフセは、
表情からは、
若干感情がよみとりにくいのだけれど、
それでも、今回は、
はっきりとそれが見てとれた。
あの女性に対して、彼が明らかに、
憤怒の感情をむけているということが。
『・・・私達を、
抹殺でもしにきたのか?』
「違うわ、おじ様。
今回は、いわば視察よ。
おじ様の、新しい宿り主の力が、
一体どれほどなのかのね。
だから、『暗殺者』なんていう、
ミスマッチな駒を、
あえてぶつけたのよ。
冷静に考えたらわかるでしょ?
驚異的な回復力を持つシンジュウ使いに、
こんなチマチマした攻撃しか
できないやつ、
どう考えても相性最悪じゃない。」
言われてみれば、確かにそうだ。
強力な治癒能力を持つ
シンジュウ使いに、
上杉の戦い方は、明らかに非効率的だ。
「失望したわ、エリナ。
道具のくせに、
本気であいつを殺そうとしなかった。
そんな貴方なんていらないわ。
汚れた人殺しの貴方に、
『創造主』の力を与えてくださった、
お父様のために、
少しは役にたちなさい。」
次の瞬間、
『ぐ、あ、あああ・・・!!』
上杉に張り付いていた百足が、
呻き声を上げながら、
取り込まれるようにして、
上杉の中に沈んでいく。
上杉のポーカーフェイスが、
一瞬、驚愕の表情に変わり、
「ぎゃあああああああ!!!」
胸をかきむしり、
苦悶の表情を浮かべながら、
猛烈な勢いで暴れ出した。
僕達は弾き飛ばされ、海に落下する。
ずぶ濡れの顔を上げると、
そこには、
「・・・上杉?」
充血し、見開き切った目。
黒い鎧のようになった肌に、
異様に発達し、牙のようになった歯。
額から伸びる角。
そして極め付けは、
彼女の胸から突き出した、
黒い水晶のようなソレ。
当の本人は虚な目で、
虚空を見つめながら、涎を垂らしている。
その様子に、
理性とか意識とかいうやつは、
一切感じられなかった。
「・・・なんだよ、あれ・・・。
・・・憑依か?」
僕の問いに、フセは首を振る。
『・・・違う。
そんな単純なもんじゃない・・・。』
女性の方を見ると、
怪物のようになった上杉を、
恍惚の表情で眺めていた。
「あああ、やはり、美しいわ、
『創造主』の力で、
強化された人間は・・・。
シンジュウと融合させて、
何十倍にも強化して、
汚れた宿り主の意思を無くす、
なんて素敵な力なの・・・。
さあ、エリナ。
そのお父様の素晴らしき力で、
あいつを、殺しなさい?」
「・・・あー・・・。」
上杉が僕を指差す。
そこで僕は、
腹に、ナイフが刺さっていることに気づいた。
「・・・へ?」
遅れて、激痛が僕を襲う。
「・・・いってぇえええええ!!!」
膝をつく僕。
視界が暗くなり、
次の瞬間、鳩尾への凄まじい衝撃と共に、
僕は上へと吹っ飛んだ。
高速で距離を詰めた上杉が、
僕を蹴り上げたのだ。
衝撃で骨が折れ、呻き声をあげる。
「・・・かはっ!」
ありえない、こんな身体能力!
能力の速度も精度も、
さっきまでと比較にならない。
倒れている僕の周りで、
砂が動くような音がする。
僕が顔を上げると、
目の前に迫る、鋭利なメスの切っ先。
「『世離』!」
僕はすんでのところで、
それを弾き飛ばす。
「・・・あー。」
上杉は、血涙を滴らせながら、
本当に僕を認識しているのか
わからないほど、
虚な目で僕を見つめると、
やおら手を僕に向けて突き出した。
上杉の周りに、
何十本ものメスが生成される。
それと同時に、
上杉の全身からは、血が吹き出す。
「やめろ!」
向かってくるメス。
僕は思わず回避行動をとるが、
当然間に合うわけもなく、
十数本もの刃物が、
僕の身体につきささる。
「・・・!!」
悲鳴すら上げられず、
僕は砂浜に倒れ込む。
激痛を我慢しながら、僕は前を見て、
「・・・う!!」
その光景に、
思わず嗚咽の声を漏らした。
シンジュウの力を使いすぎると、
身体に負担がかかる。
攻撃をした張本人は、
目から血涙を流し、
全身の血管は切れ、
皮膚からは噴水のように血が吹き出し、
意味不明な譫言を呟き続ける口からは、
絶え間なく、
血の泡が吹き出し続けている。
誰がどう見ても、
そこに上杉エリナの意思は無かった。
「・・・やめろ、やめろ!」
この攻撃は、上杉の意思じゃない。
今の彼女は、
まるでゾンビだ、操り人形だ。
なんとかして止めないと。
彼女にかけられた、能力を解かないと!
「多分あの水晶・・・!」
突然、
砂浜から何本もの鎖が飛び出してきた。
避けるまもなく、全身に突き刺さる。
頭がねじれそうなほどの激痛。
飛びそうになる意識。
「ギャァアアアアア!!」
完全に拘束され、
身動きが取れなくなった僕に向けて、
上杉は次の攻撃の準備をする。
自身の手元に鉄球を作り出し、
それを僕に突きつける。
・・・砲丸ほどの大きさのあれが、
メスと同じ速度で飛んできたら、
僕の身体なんて易々と木っ端微塵だ。
「・・・あー。」
上杉の手元から、
猛スピードで発射される鉄球。
僕は思わず目を瞑った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「『・・・花鳥流・藤。』」
次の瞬間、僕が聞いたのは、
自身の肉体が粉砕される音ではなく、
金属と金属が、
ぶつかり合う音だった。
「『・・・もう大丈夫でござる、
赤斗殿、フセ殿。』」
聞き覚えのある声に、
恐る恐る目を開けると、
そこには、
両断された砲丸、
そして、その近くに立つ、
目の周りに狸のような模様のある男。
「『火急の事態でした故、
『真打』をお借りいたしました。
さあ、反撃ですぞ、赤斗殿。』」
平五郎を宿した甚右衛門は、
そう言って、僕に手を差し伸べた。
確実に殺すためなんだろうか。
彼女が僕に親しくしてくれたのは、
油断させるための、
演技だったんだろうか。
けれど、
「・・・今、は、考えな、い。」
僕は痛みを堪えて、
『世離』を握りしめる。
幸い、この辺一帯に人はおらず、
辺りは水を打ったように静かだ。
音がすれば、すぐにわかる。
落ち着け、我慢しろ。
耳を澄ませ、じゃないと死ぬぞ。
耳を澄ませ、耳を・・・。
さくり。
「そこだ!」
僕は音のした方向に向かって、
思いっきり剣を振る。
「違う、ウマじゃない!
トリでござる!」
しかし、その攻撃は虚しく空を切る。
そして、
中の肉を切る音ともに、
今度は僕の左手から、痛みが走る。
「クソ!」
僕はやけくその声を出すと、
痛みのある場所に、
『世離』を突き刺した。
透過し、下に落ちるメス。
と、同時に激痛。
「解除!」
痛みは消えるが、
これじゃ完全にジリ貧だ。
僕は周りの砂浜を蹴り飛ばす。
もうもうと舞う砂埃に、
上杉のシルエットが映る。
「うぁぁぁぁぁ!!!」
僕が喚きながら突き出す剣を、
上杉は侮蔑の視線で見つめる。
「違う、タツでござる!」
「・・・なんデスカ?ソレ。
殺るキあるんデスカ?」
あっさりと避ける上杉。
突如として、頬に違和感を感じ、
すぐにそれは激痛に変わる。
そして、飛び出してくるメス。
「ぎゃあああああ!!」
激痛に再び悶える。
治癒力の強化のおかげで、
致命傷にはならない。
それ故、
拷問にはうってつけの状況だ。
「ねぇ、赤斗クン。
一緒にクルって、言ってくだサイよ。
そしたら、やめますカラ。」
今すぐ受け入れたい申し出。
だけど、
「・・・嫌だ!」
絶対に受け入れられないのが、
辛いところなんだよなぁ。
上杉は僕の顔を不思議そうに眺め、
「All right.
仕方ありませんネ、続けマショウ。」
その声とともに、
再び姿を消す上杉。
「『加護』の正体が、
全くわからない!
透明になる能力じゃないのか!?
フセ、お前知らないのか!?」
僕の絶叫に、フセが答える。
『私がいた頃は、
あんなシンジュウはいなかった!
多分、どんどん戦力を、
強化しているんだ!』
情報なしか。
ああ、くそ。
友達ができたと、思ったのになぁ・・・。
「ああ、先に言っときますケド。
私、今まで暗殺を生業としてましたカラ、
あの、小早川クン?でしたっけ。
あんなビギナーと、
一緒にしないでクダサイヨ。」
淡々とした上杉のその言葉に、
僕は全身の血の気が引くのを感じた。
三好さんと、
校門で対峙した時のあの感覚。
夏さんに、
攻撃された時のあの感覚。
コイツは、あの人達と同じだ。
多分、コイツは、
小早川のようにただ暴れ回るんじゃない、
あんな大雑把な無差別攻撃じゃない、
言うなれば、洗練された、技術だ。
コイツは、正真正銘、
殺しの、プロだ!
一気に息が荒くなる。
絶望という2文字が、頭をよぎる。
『死』の文字が、頭を埋め尽くす。
「うわぁぁぁああぁぁ!!!」
僕はめったやたらに刀を振り回す。
当然それは空を切り、
「・・・まずは、目、デスネ。」
そして、目に激痛。
・・・まさか!?
「うがぁぁああ!?」
次の瞬間、右の視界が真っ赤に染まった。
目から出てきた何かが、
僕の眼球に穴を開ける。
のたうちまわる僕。
甚右衛門が何か叫んでいるが、
内容を気にしている余裕がない。
「とりあえず、右目潰しマシタ。
次は、そうですネェ、
バランスのいいように左目デスカネ。
あ、安心してクダサイ?
まだまだ殺しマセンシ、
それくらいなら、
治す手段ありますカラ。」
爆音で鳴る心臓、震える身体。
『赤斗!しっかり気を持て!
相手は、
お前の精神を揺さぶってるんだ!』
フセの声が聞こえる。
隣で怒鳴ってるはずなのに、小さく。
怖い。
おかしくなりそうなくらい、怖い。
今ならわかる、あの山での戦闘、
小早川がもし人質をとっていなければ、
夏さんは何の苦もなく、
アイツの首をはねていただろう。
もしくは、
三好さんが間に合っていれば、
小早川はどっちみち、
やられていただろう。
専門家であるあの兄妹が、
こんな奴らを日夜相手取っているなら。
彼女に比べりゃ、
羽柴さんも北畠姉弟も僕も、
赤ん坊みたいなものだ。
・・・死ぬ。
直感でわかる、どう転んだって、
今の僕は彼女に勝てない。
僕個人の力では、
多分戦ったって、間違いなく負ける。
吐きそうになるのもなんとか堪えて、
僕は耳を澄ます、
焦点の定まらない目を、
安定させようと必死になりながら。
『赤斗、逃げるぞ!』
フセがそう吠える。
しかし、逃げるわけにはいかない。
「『真打』を上杉が持ってる以上、
そういうわけにもいかないだろうが!」
圧倒的に戦力で
優っているはずの相手が、
なんで強硬手段を取らないのか。
多分、理由は2つ。
三好兄妹、そして、『真打』。
今の僕達のアドバンテージなんて、
相手への抑止力なんて、
逆に言えばコレくらいしかない。
そこまで慎重になるくらい、
相手にとって怖いカードのはずの
この2つがどちらかでも欠けたら、
おそらく総攻撃されて、
僕達は終わりだ。
それに、例え逃げたところで、
いつかはまた攻撃されるのが、
目に見えている。
戦わなくちゃ、戦わなくちゃ!
付け入る隙は!?
一撃でも入れられれば・・・。
涙で滲む目を凝らして、
僕は上杉を探す。
「赤斗殿・・・!」
「うるざい、黙っで・・・!」
そこまで言って、
左目に違和感を感じ、
僕は思わず目を押さえる。
激痛と同時に、
とうとう両の視界が真っ赤に染まる。
「痛っ、ああぁぁぁぁ!!!」
やっぱりダメだ。
戦うとかそういう次元じゃない、
完全な嬲り殺しだ!
見えない見えない見えない!
赤い世界で、
僕は半狂乱になりながら刀を振る。
場所、せめて上杉が、
どこにいるのかわかれば・・・!
「・・・トラ!
赤斗殿、フセ殿、トラに5寸でござる!」
突如として、甚右衛門が叫んだ。
・・・トラ?
だけど、すぐにその言葉は、
恐怖に塗りつぶされて消えてしまった。
その疑問を浮かべている間に、
額が盛り上がり始めた。
「・・・!」
激痛に備えて、思わず目を瞑る。
額を突き破って飛び出してくる、
大量の釘。
「ぐぅうううう!!」
歯を食いしばって耐えるが、
発狂するのも時間の問題かもしれない。
「ミ、3寸先でござる、赤斗殿!」
出血が多いせいか、
意識が朦朧としてくる、頭が回らない。
今度は首に違和感。
あの時と一緒だ。
このままじゃ、
気管を裂かれてあの世行きだ。
呼吸が荒くなる。
怖い、嫌だ、死にたくない。
どうしようどうしようどうしよう。
そもそも、
単身で上杉に立ち向かおうなんてのが、
お門違いだったんだ。
勝てるはずもないのに、自惚れた罰。
「・・・でも、
やらなくちゃいけないんだよ!」
そう叫んだ瞬間、
何故か、僕の思考が弾け飛んだ。
緊張も、恐怖も、なにもかも。
「ウマ、5寸先!」
甚右衛門が叫ぶ。
トラ、ミ、ウマ・・・。
「見つけたぁぁぁぁ!!」
僕は激痛に顔を歪ませながら、
咆哮と共に後方へ剣を突き出す。
しっかりとした手応え、そして、
手を押さえた、
苦悶の表情の上杉が、そこに現れる。
「な、ナンデ・・・!?
気配は完璧に・・・?」
「感謝するよ、甚右衛門!
なんで場所がわかったのかは、
わかんないけどな!」
錯乱していて、
気づくのに時間がかかったが、
あの時、
一瞬だけ頭が冴えて理解できた。
さっきからの、甚右衛門の
トラやらミやらの謎の言葉は、
方角を表していたのだ。
息を止め、首を一瞬だけ非物質化し、
メスを取り出す。
非物質化された手を押さえながら、
上杉は僕を見る。
「・・・舐めすぎてた、
みたいデスネ。
でも、私が有利なことに、
変わりはないデスヨ?」
そうすごむ上杉は、
なぜか、少し嬉しそうだった。
「・・・お前。」
「油断してる余裕、あるんデスカ?」
じわじわと上杉が消えていく。
口の中に何かの存在を感じる。
「猿、2寸!」
「うおおおおお!!」
自身の頬を突き破って、
鋭利な刃物が出てくる痛みを、
涙を流し、
歯を食いしばって堪えながら、
僕は甚右衛門に指示された方向に、
思い切り刀を突き出す。
しかし、虚しくも刀は空を切った。
だけど、まだだ!
「ねじれろ!」
僕が叫ぶと同時に、
前方から血飛沫が飛ぶ。
「うおりゃぁぁぁ!!!」
僕はその血飛沫の方向に向けて、
地面を蹴り飛ばし、ダイブした。
虚空で何かにぶつかり、
僕はそれに抱きついたまま、
地面に倒れ込む。
砂を吸い込んだためか、
姿を現し、咳き込む上杉。
「終わりだ!
例え姿を消そうとも、
こっちには、
君の位置がわかる方法がある!
お前の力も見切った!
多分、『磁力を操作する』ことだろ!
それで空気中や体内の鉄分を操って、
ナイフや針を作ってたんだ!
このままじゃ、
君が不利になるだけだぞ!」
のしかかるようにしつつ、
僕は『世離』の切っ先を、
彼女に向ける。
「そのようデスネ。」
上杉はにっこりと微笑む。
「おっしゃる通り、
終わりにしまショウ、赤斗クン。
私も、あなたも。」
何を言ってるんだ?
僕がそう思った時、
突如、
どこからか拍手の音が聞こえてきた。
「いいわぁ、いいわぁ。
ここまでやれるなんて!
流石、父さんの邪魔者の、
孫なだけはあるわね!」
僕が声を上げると、
そこには、スーツを着た、
茶髪の女性が立っていた。
年はわからないが、
おそらく三好さんくらいだろう。
その横には、魚のようなものが、
虚空を、泳ぐように浮遊している。
・・・なんだろう、この人、
なんか、見たことあるような・・・。
「初めまして、私はアカネ。
いつも世話になってるわね、
娘と妹が。」
娘?妹?
疑問を浮かべつつ、
僕はふとフセの方をみて、絶句した。
柴犬であるフセは、
表情からは、
若干感情がよみとりにくいのだけれど、
それでも、今回は、
はっきりとそれが見てとれた。
あの女性に対して、彼が明らかに、
憤怒の感情をむけているということが。
『・・・私達を、
抹殺でもしにきたのか?』
「違うわ、おじ様。
今回は、いわば視察よ。
おじ様の、新しい宿り主の力が、
一体どれほどなのかのね。
だから、『暗殺者』なんていう、
ミスマッチな駒を、
あえてぶつけたのよ。
冷静に考えたらわかるでしょ?
驚異的な回復力を持つシンジュウ使いに、
こんなチマチマした攻撃しか
できないやつ、
どう考えても相性最悪じゃない。」
言われてみれば、確かにそうだ。
強力な治癒能力を持つ
シンジュウ使いに、
上杉の戦い方は、明らかに非効率的だ。
「失望したわ、エリナ。
道具のくせに、
本気であいつを殺そうとしなかった。
そんな貴方なんていらないわ。
汚れた人殺しの貴方に、
『創造主』の力を与えてくださった、
お父様のために、
少しは役にたちなさい。」
次の瞬間、
『ぐ、あ、あああ・・・!!』
上杉に張り付いていた百足が、
呻き声を上げながら、
取り込まれるようにして、
上杉の中に沈んでいく。
上杉のポーカーフェイスが、
一瞬、驚愕の表情に変わり、
「ぎゃあああああああ!!!」
胸をかきむしり、
苦悶の表情を浮かべながら、
猛烈な勢いで暴れ出した。
僕達は弾き飛ばされ、海に落下する。
ずぶ濡れの顔を上げると、
そこには、
「・・・上杉?」
充血し、見開き切った目。
黒い鎧のようになった肌に、
異様に発達し、牙のようになった歯。
額から伸びる角。
そして極め付けは、
彼女の胸から突き出した、
黒い水晶のようなソレ。
当の本人は虚な目で、
虚空を見つめながら、涎を垂らしている。
その様子に、
理性とか意識とかいうやつは、
一切感じられなかった。
「・・・なんだよ、あれ・・・。
・・・憑依か?」
僕の問いに、フセは首を振る。
『・・・違う。
そんな単純なもんじゃない・・・。』
女性の方を見ると、
怪物のようになった上杉を、
恍惚の表情で眺めていた。
「あああ、やはり、美しいわ、
『創造主』の力で、
強化された人間は・・・。
シンジュウと融合させて、
何十倍にも強化して、
汚れた宿り主の意思を無くす、
なんて素敵な力なの・・・。
さあ、エリナ。
そのお父様の素晴らしき力で、
あいつを、殺しなさい?」
「・・・あー・・・。」
上杉が僕を指差す。
そこで僕は、
腹に、ナイフが刺さっていることに気づいた。
「・・・へ?」
遅れて、激痛が僕を襲う。
「・・・いってぇえええええ!!!」
膝をつく僕。
視界が暗くなり、
次の瞬間、鳩尾への凄まじい衝撃と共に、
僕は上へと吹っ飛んだ。
高速で距離を詰めた上杉が、
僕を蹴り上げたのだ。
衝撃で骨が折れ、呻き声をあげる。
「・・・かはっ!」
ありえない、こんな身体能力!
能力の速度も精度も、
さっきまでと比較にならない。
倒れている僕の周りで、
砂が動くような音がする。
僕が顔を上げると、
目の前に迫る、鋭利なメスの切っ先。
「『世離』!」
僕はすんでのところで、
それを弾き飛ばす。
「・・・あー。」
上杉は、血涙を滴らせながら、
本当に僕を認識しているのか
わからないほど、
虚な目で僕を見つめると、
やおら手を僕に向けて突き出した。
上杉の周りに、
何十本ものメスが生成される。
それと同時に、
上杉の全身からは、血が吹き出す。
「やめろ!」
向かってくるメス。
僕は思わず回避行動をとるが、
当然間に合うわけもなく、
十数本もの刃物が、
僕の身体につきささる。
「・・・!!」
悲鳴すら上げられず、
僕は砂浜に倒れ込む。
激痛を我慢しながら、僕は前を見て、
「・・・う!!」
その光景に、
思わず嗚咽の声を漏らした。
シンジュウの力を使いすぎると、
身体に負担がかかる。
攻撃をした張本人は、
目から血涙を流し、
全身の血管は切れ、
皮膚からは噴水のように血が吹き出し、
意味不明な譫言を呟き続ける口からは、
絶え間なく、
血の泡が吹き出し続けている。
誰がどう見ても、
そこに上杉エリナの意思は無かった。
「・・・やめろ、やめろ!」
この攻撃は、上杉の意思じゃない。
今の彼女は、
まるでゾンビだ、操り人形だ。
なんとかして止めないと。
彼女にかけられた、能力を解かないと!
「多分あの水晶・・・!」
突然、
砂浜から何本もの鎖が飛び出してきた。
避けるまもなく、全身に突き刺さる。
頭がねじれそうなほどの激痛。
飛びそうになる意識。
「ギャァアアアアア!!」
完全に拘束され、
身動きが取れなくなった僕に向けて、
上杉は次の攻撃の準備をする。
自身の手元に鉄球を作り出し、
それを僕に突きつける。
・・・砲丸ほどの大きさのあれが、
メスと同じ速度で飛んできたら、
僕の身体なんて易々と木っ端微塵だ。
「・・・あー。」
上杉の手元から、
猛スピードで発射される鉄球。
僕は思わず目を瞑った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「『・・・花鳥流・藤。』」
次の瞬間、僕が聞いたのは、
自身の肉体が粉砕される音ではなく、
金属と金属が、
ぶつかり合う音だった。
「『・・・もう大丈夫でござる、
赤斗殿、フセ殿。』」
聞き覚えのある声に、
恐る恐る目を開けると、
そこには、
両断された砲丸、
そして、その近くに立つ、
目の周りに狸のような模様のある男。
「『火急の事態でした故、
『真打』をお借りいたしました。
さあ、反撃ですぞ、赤斗殿。』」
平五郎を宿した甚右衛門は、
そう言って、僕に手を差し伸べた。
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