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こっちの世界
しおりを挟むずっと寝ていたせいか体が重たい。だが俺はその重い体を起き上がらせヘッドギアを外す。クーラーをつけてはいたがヘッドギア内は蒸れていた為涼しい空気が顔にあたりとても気持ちがいい。
「光ー!ご飯よー!」
下から母さんの呼ぶ声がする。
向こうの世界ではお腹は空いていなかったが現実世界に来るとお腹が空いている。
「今行くね!」
俺はベットから立ち上がり急いで下に向かう。一刻も早くGKMき戻りダンジョンを体験してみたいからだ。
「痛っ!」
右膝に強烈な痛みを感じ部屋に横たわる。向こうの世界ではどれだけ走っても痛みを感じなかったため現実世界の俺の体はボロボロということをすっかり忘れていた。
俺の倒れた音を聞き、母が階段を急いで登ってくる音が聞こえる。
「光!大丈夫!?」
「あはは、怪我してるの忘れててさ。」
「気をつけてね。さ、一緒に下でご飯食べましょう。」
母さんの肩を借りて階段を一段一段ゆっくりと降りる。一段降りるごとに膝だけで無く怪我した箇所に激痛が走るが弱音は上げていられない。
俺はリビングへ着き椅子に座り食事の挨拶をする。
「いただきます。」
「はい、召し上がれ。」
GKMのご飯もものすごく美味しかったけれどやはり母さんの作る飯が一番だ。俺は母さんの作ってくれた料理を口いっぱいに頬張りどんどんと平らげていく。
プルルルル…プルルルル
食事中に誰かから電話がかかってくる。母さんが食べるのをやめ電話に対応するが俺はそんなことを気にせずにばくばくとご飯を食べる。
「光、颯斗から電話よ」
「え?颯斗?代わるよ。」
どうやら颯斗からの電話だったようだ。きっと部活が終わりGKMについて電話をかけてきたに違いない。
「もしもし?」
「光!ついに買ったぞ!やばいぞ!やばいぞ!」
「颯斗、落ち着いてよ…。部活終わり?」
「あぁごめんごめん。そそ、今部活終わりに買ってきたんだよ!一番最初にお前に報告しようと思ってさ!」
「今からやるの?」
「もちろん!ずっとずっと楽しみにしてたんだ!今やらなくていつやるのさ!」
「明日は大会前の大事な試合って言ってなかったっけ…」
「あ、そうだった…で、でもGKMやらなかった方が気が乗らなくて本調子出せそうにない!」
あぁ、もうだめだ。颯斗決めたら曲げない性格が悪い方に出てしまっている。
なんでも真剣に取り組む颯斗のことだ、いつかGKM内最強プレイヤーになっていそうだ。
「ははは、ほどほどにね。」
「あぁ!光も買ったら教えろよ!じゃあな!」
「あ…」
俺がもう買ってると伝える前に颯斗が電話を切ってしまう。
まぁ明日の試合終わったら電話がかかってくるはずだ。その時に伝えるしかない。
「光~颯斗くんなんだって?」
「なんかずっと楽しみにしてたゲームをやっと買ったらしいよ。」
「それって昨日光が買ったやつ?」
「そうそう。大会前なのに今からやるらしいよ。」
「あら、まぁ颯斗くんらしいわね。」
「ははっ!間違いないね。じゃあ食べ終わったから部屋に戻るね。ごちそうさま。」
「あまり夜更かししないようにね。」
「はーい!」
俺は階段の手すりを掴みながら一歩ずつ部屋へ進む。膝に痛みが走るが気にしない。部屋につき、もう一度ヘッドギアを被り、GKMを起動する。先ほど外した時は蒸れていたが、クーラーのおかげがヘッドギアの蒸れはもう全くない。
「スタート!!」
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