37 / 66
本拠地
しおりを挟む仲間が倒されたことにより、ゴブリンが俺の存在に気付き各々の武器を持ち俺に襲いかかってくる。
ゴブリン3体、ホブゴブリン2体、計五体対俺。相手の弱さは違うが攻城戦でも想定できる状況だ。
「【雷球】!」
俺は雷球を使用し、空中に雷の球を5つほど浮かび上がらせる。
この雷球は触れた敵を麻痺させる魔法だ。
空中にそんな不気味な球が浮いていたら思うように攻撃できないはずだ。
「グギャ?」
ゴブリンは見たことがないものに少し疑問に思い、雷球の直前で勢いを落とし、停止する。
しかし雷球がその場から移動しないことを確認すると持っていた武器をもう一度握りしめ戦闘態勢にはいる。
「グギャギャ!!」
ゴブリンは雷球を一つ一つ避け俺に向かい突撃してくる。
しかし、自分の体の大きさはわかってるようだが持っている武器の大きさは考えてい無かったようで、持っている武器が雷球に直撃する。やはり知能はかなり低いようだ。
「グギャ、グギャギャギャギャ!」
雷球に武器が直撃したことにより武器を伝い、ゴブリンに電流が流れる。
ゴブリンは体をビクビクとさせながら倒れこむ。そして体からはプスプスと黒い煙が立ち上る。しかし経験値獲得のアナウンスがないため、絶命はしていないようだ。
だが、雷球に直撃したゴブリンは雷球が消えた後もビリビリと雷が体にまとわりついている。どうやらこれが[麻痺]のようだ。
それにしても麻痺だけかと思ったがかなり威力もあるようだ。
攻城戦でもかなり使えるはずだ。
「【蓄雷】!」
俺は次に蓄雷を使用する。これは攻撃技ではないが、どうせ今回は雷魔法の練習だ。MPをいくら雷魔法に変えといても問題ないだろう。
そういえば雷球は自分が当たったらどうなるのだろうか。
基本魔法は他の力が干渉しない限りは自分にはダメージはないが、普通の攻撃魔法とは違うこの魔法はどうなるのだろうか。
少しリスキーだが少しだけ雷球に触ってみようと思う。
「お、やっぱり俺には効果はないのか。」
やはり魔法を発動したものには力が作用しないようだ。
これで相手は雷球を避けながら戦わなくてはいけないが、俺は気にせずに戦える圧倒的に俺に優位なステージが出来上がる。
俺は麻痺して動けないでいるゴブリンに近づき、手を当て【雷撃】を食らわす。
今回も魔法そのものの力を試すために勢いをつけた掌底などはしていない。
「グギャギャギャ…!」
俺の魔法に直撃したゴブリンは体をビクンッとさせ、力無くそのまま後ろへ倒れこむ。魔法が食らった場所にはくっきりと俺の掌の跡が残され、そこからは煙が出ている。
「意外と強いな…次は【雷纏】か。」
俺が一番期待しているのはこの雷纏だ。
自身に雷を纏わせ、素早さを爆上げする魔法だ。
雷を纏って駆け抜ける…想像するだけでかっこよすぎて興奮してくる。
確か火魔法にも火纏というのがあったがあれは確か攻撃力を上げる魔法だ。いつか使う機会があったら使おうと思う。
「行くぞ!【雷纏】!」
俺が魔法を発動させると、体から小さな雷がパチパチと音を立てながら発生する。
思ったよりもしょぼいな…と思っていたが、次第にその音と雷は大きくなっていく。
「おぉ!!」
発生した雷はバリバリと音を立て、俺の体にまとわりつく。体の変化は髪が逆立ち、体は雷により活性化され、軽く感じる。
「グギャァァァ!!」
俺が新たな力に感動しているのにも関わらず、ホブゴブリンが剣を持ち突進してくる。
しかし雷球を避けるために時間がかかる。
…と思ったが怒りで我を忘れそのまま突っ込んでくる。
ホブゴブリンが雷球にぶつかるとバチッと大きな音を立てる。
雷球に直撃すると同時に一瞬体がビクッとなり動きが止まりそのまま前に倒れそうになる。
しかし足を前に出し踏ん張り、持ちこたえ、そのまま俺に向かって突進してくる。
ゴブリンには効果があったがホブゴブリンになると大した効果は見込めないようだ。だが一つで隙を作れると考えれば大量に出せばかなりのものになる。
「グギャァァァァ!」
雷球を抜け、ホブゴブリンが持っている剣を俺に向かい振り下ろす。
やはりレベルアップや装備により俺の素早さが上がったためかかなり敵の動きが鈍く感じる。
俺は当たる寸前に剣を避け、ホブゴブリンの後ろへ回り込み、剣を首に押し付け、そのまま首を切り裂く。
「グギャッ…」
今までも剣を避け後ろへ回り込み攻撃するという流れはかなりあったが今回はいつもよりもかなりスムーズにできた。
それもこの雷纏で素早さが上がっているためだろう。
俺がホブゴブリンを殺したことにより残りのゴブリンたちの動きが止まり、後ずさりを始める。
俺との力の差を目の当たりにしたからだろう。
俺がギロリとゴブリンたちを睨むとゴブリンたちが一斉に走って逃げていく。
一定条件をクリアしたためスキル【威圧】を獲得しました。
お、久しぶりのスキルをゲットだ。
【威圧】か。これで弱い敵に邪魔されることがなくなりそうだ。ゴブリンたちは逃げているが、そう簡単に逃がすわけがない。
地面を強く踏み込み、ゴブリンたちに向かって走り出す。
最初のターゲットはホブゴブリンだ。
「グギャ!?」
俺の雷纏によりあげられた素早さは凄まじく、一瞬でホブゴブリンに接近する。
「【雷撃】!」
そのままホブゴブリンの体に雷撃を食らわす。今度はLV.3の雷撃だ。
先ほどと違いバチンッ!と大きな音を立てる。ホブゴブリンの体はビクンッと体を硬直させ、そのまま前に倒れこむ。
40EXPを獲得しました。
どうやら一撃で絶命したようだ。
倒れたホブゴブリンの体からは全体的に煙が立ち上る。手の当たった箇所は黒く焦げている。LV.3にもなるとかなりの威力になるようだ。
残りのゴブリンは二体。
同じように地面を踏みこむ。
「あれ…」
しかし飛び出そうとした途端、雷纏の勢いがなくなり、雷纏が解除されてしまう。
どうやらMP切れのようだ。
「このまま逃して本拠地を探すか。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,522
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる