変態が異世界に召喚されました

ららあ

文字の大きさ
1 / 3

1話 日高澪とニューハーフ風俗店

しおりを挟む
 俺の人生は一体、何処で間違えたんだろうか……?

 そんな事を考えながら、俺はスマホを弄っていた。この前、二十歳の誕生日を迎えて成人する事になった。

 酒も煙草も飲み放題だ。
 最近は十八歳から成人だとか何だとか聞くが、世の中の事も法律の事さえもよく分からない俺は、とにかく酒を堂々と飲めるのが嬉しかった。酒でも飲みたい気分だったからだ。

 コンビニでありったけの酒を購入し、一人夜道を歩く。もうすぐ季節も夏に差し掛かるせいか虫達の音色が心地良く感じる。

 自宅の無駄にデカいドアを開け、虚しい気持ちで帰宅する。

 誰もいない……。
 女っ気一つ無い。こんな時彼女でもいたらと思うと悲しくなる。賃金の低い工場労働でのフリーターに彼女がいるはずもない。
 こんな人生がずっと、続くのかと思うと憂鬱になる……。
 玄関を開けて部屋へと向かう。

「ただいまー」
「おかえりなさい」

 母親が夕飯の支度をしており、俺にそっけない声で返事をする。
 母親は俺の方を見向きもしない。
 家の二階に俺の自室はあるのだが、隣は中学一年生の妹の部屋がある。妹は最近、俺の方を見ようともしない。思春期の少女というものは父親を一番毛嫌いするという話を聞いた事があるが、夜遅くまで働いている父親よりも、こころなしか妹は俺の方を嫌っているような節を感じた。

 ……どうしようもないほどに、俺は家の中で居心地の悪さを感じていた。

「はあ…………」

 イカ臭いティッシュの塊が乱雑している部屋の中に入ると、より一層大きな溜め息が出た。

 何気なくTVを点けると、サッカーの試合が映っていた。俺は嫌な気分になりながら、画面の中にいる選手達を羨望の眼差しで観ていた。

 今日、何度目かの人生の分岐点が何だったのかのかという、思考のループが再び繰り返される。やはり、思い返せば、高校時代に遡る。

 高校時代、俺はサッカー部のエースだった。
 俺は幾度となく、試合中に華麗なシュートを決めて、試合を勝利に導いてきた。県大会なんかも重要な処でシュートを決めて、俺のお陰で優勝した。高校三年になる頃は、俺はプロから複数のチームからスカウトが来ていた。
 だが、その事を妬んでいた同じチームのメンバー達から、度重なる嫌がらせが続いた……。
 物を隠されたり、ユニフォームを破られたり、女子マネージャーの前でオナニーの強要など陰湿なものばかりだった。だが、女子の前で堂々とシコれるのは快感でもあった。
 腹に据えかねていた俺は、女々しいチームメイト全員が集まっている時に、片っ端から彼らを殴り飛ばしてしまった。……その結果、どうなるかその時は知るよしもしなかった。

 結果、俺が振るった暴力行為は部活の顧問どころか、プロ契約予定のチームにも知れ渡った。
チームメイトの親が地方議員をやっていたせいもあるだろう、俺は退部するハメになり、高校もしばらく停学処分を食らった。
内申書自体も良く推薦で大学進学という道もあると担任から話はあったが、今回の一件で推薦という手も無くなった。
更に俺の暴力事件が地方紙にも載った。俺に嫌がらせをしていた奴らは、何もお咎め無しだった……。

 俺の人生は、あっという間に坂を落とされるような転落人生になった。

 ……あの時、嫌がらせに屈せず、腹立つ連中を殴らなければ、俺は今やTV画面の向こうの選手達みたいに、輝かしい人生を歩んでいただろう……。

 ……今や、完全な負け犬人生だ……。

 子供の頃から抱いていた夢を壊されて、底辺労働のフリーターへと成り果てたことに自分自身酷い憤りを感じる。
 それに加えて彼女もいない。
 いた事もない……。同じ会社で働く男達と同じく素人童貞なのだ。

 高校時代の俺は真剣にプロになることを考え、女子と付き合うということも頭になかった。顔自体もよく女に間違われ、挙げ句の果てに寄ってくる女共を片っ端からフッていた。俺がサッカー部を追い出された後は、悪い噂が一人歩きして女共は誰一人寄ってこなくなっていた。

 高校を卒業した後は、やる事が無くて、適当にフリーターになったのだが気付けば、ひたすらに自分が人生の負け組なのだと思う事が多くなった。

 そんな俺は、今や二十歳を過ぎても彼女の一人もいない素人童貞だった。

 最近では高校の時と違って、打ち込むものが無くなっていた為に、男子特有の性欲が強くなっていた。
 夜になると、毎日エッチな妄想をしては成人指定のサイトをスマホで見て、自分で処理している。自分だけで性処理をする事に我慢が出来なくなると、工場労働のバイトで貯めていた金で安い風俗に行く毎日を送っていた。

 風俗で童貞を捨てて以来、俺は素人童貞という肩書を背負う事になった。
 
 サッカー部のエースだった頃、女の一人や二人くらい抱いておくべきだったっ!

 毎日のように、そんな後悔が頭を過ぎる。
 街を歩いている若くて綺麗な女を見ると、心なしか軽蔑されているようないたたまれない感情になる。この素人童貞のクズだ。女と付き合った事もない癖に、風俗の知識だけはやたらとある気持ち悪い男が、と、そんな風に思われているんじゃないのかという被害妄想に陥ってしまう。

 ああ……どうしようもなく、惨めだ……。
 今の自分は何も無い……。
 毎日が、気が狂いそうにだった……。

「……あー。家は何か居心地が悪いし、今日も風俗に行くかな……。今回は制服モノとかいいよな……。まてよ、メイド服風俗とかないかな?」

 そんな事を考えながら、俺は近くの風俗店を検索する事にした。
 自宅付近の名前と、風俗をキーワードにして画像検索を行ってみる。

 可愛らしい女の子の画像が並んでいる。

 俺はある子に眼が釘付けになった。
 ルイという子で、メイド服風のランジェリーを付けていた。

 可愛らしい顔だ。
 腕と太腿が愛らしい……。

 俺はルイに、一目惚れしてしまった。

 店の地図を調べてみると、どうやら歩いて数十分の場所にあった。

 今から行くか……。

 俺はサイトを調べて即予約の電話を入れた。予約を終えてお店の情報を何気なく見ていると、ある事に気付いて愕然とした。

 どうやら、そのサイトは「ニューハーフ専門店」の風俗みたいだった。

 ……馬鹿なのか? ……俺は? 女の子の画像を見る際に、何故、ニューハーフ専門店だと気付かなかった……?

 俺はネットのサーチ機能と自分自身の愚かさを同時に呪った。

 だが、ルイを見ていると、愛らしくて仕方が無かった。
 
ルイは彼なのか、いや、彼女、なのか?

 今すぐ、ルイに会いたくて仕方が無かった。

 どうせなら、落ちぶれる処まで落ちぶれてやろう。素人童貞の中でも、更におかしい変態になってやろう。男とだってやってやるのだ。

 俺はヤケクソ気味に、覚悟を決めて途中のコンビニで貯金を下ろす事に決めた。ルイのケツマンコに俺のデカマラフル勃起チンコ挿れてやる。

 俺はTVを消して外へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...