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崩れた役割※微R18
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深夜のシェアハウスに異音が響く。
「あっ……まって、レン……んっ」
「待てないよアキ。……ここ、すきなんだろ。」
聞いてはいけない。聞いたら俺の……理由が……
頭ではわかっていても、体は止まらない。
「まっ、スバルに……聞こえちゃう……っ!」
「大丈夫……だよ……っ……あいつ……眠り深いじゃん……」
わざとなのかもわからない、隙間の空いたドアから見える景色。
———幼馴染二人の体を重ねている光景———
(あいつら……なんで……)
目の前の光景は見たくもない、知りたくない現実を突きつけられているはずなのに、目が離せなかった。
「……ッ!」
レンと、目があった気がした。
(あっ……だめだ……)
衝動的に逃げ出す。慌てているはずなのに足音は立てないように、音も出ないように自室のドアを閉める。そのままの勢いでベッドにもぐりこむ。枕で頭を挟んで耳を強くふさぐ。ふさいでいるはずなのアキとレンの声がする気がする。目は閉じているはずなのに、ずっとあの光景が見える。
(いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。)
あれから、一時間も経っていないだろうか。
いつの間にか隣のレンの部屋から聞こえる音は聞こえなくなっていた。……なのに耳からは離れない。
……ガチャ
扉の空く音が廊下から聞こえた。
……コンコン
扉をたたく音。
いつもならすぐに反応するが、今はベッドから動けない。布がこすれる音も立てない。
……ガチャ
どうやら戻ったらしい。今のがレンのものなのか、アキのものなのかわからない。
どっちだったとしても、出られるわけがない。
(どうして……いつから……)
頭の中は一つの輪っかをぐるぐる回っていた。疑問、悲しみ、怒り。
そうしているうちに外からバイクの音が聞こえてくる。
(……朝……か)
一睡もできず、朝の陽ざしが部屋をいやというほど照らす。今だけは東向きの部屋を選んだ自分が恨めしい。
廊下からドアの開く音と二つの足音がする、一つはリビングに向かいもう一つのは出てきた部屋を挟んだ向かい側の部屋へと消えていく。
(起きたくねぇなぁ)
そんなことを思っても時間は無情にも進むし、大学から都合よく休講の知らせなどは来ない。
頭上スマホからけたたましいアラームが鳴り響く。今日はいつも以上にそのアラームが頭に響く。アラームが鳴った以上、このまま部屋にこもっていては違和感を持たれるだろう。覚悟を決めてリビングへと足を運ぶ。
リビングへのドアを開けるとそこのはいつもと変わらない、幼馴染のレンがキッチンで三人の朝食を作っていた。
「あ!おはよう、スバル。顔色が悪いけど大丈夫かい?」
「あ、あぁ。おはよう。大丈夫、ちょっと……いやな夢見ちまって」
「そっか。それは災難だったね。顔洗ってきて、みんなでご飯をたべよう。あ、カモミールティーでも飲むかい?落ち着くよ。」
「あー、大丈夫。顔洗えば目覚めっから。」
「……そっか、じゃあ顔洗ってくるついでにアキのこと起こしてきてくれる?」
「……わかった。」
レンの対応は驚くほどにいつもと変わらなかった。——怖いほどに。
顔を水で洗い、タオルで吹き、軽くスキンケアをする。いつものルーティーンだ。
……コンコン
「おいアキ、起きろ。朝だぞ。」
「……あぁ?うっさい……」
布団にもぐろうとするアキから毛布を引きはがす。
「早くしないと遅刻するぞ。今日、一限からだろ。……ッ!」
アキのTシャツのめくれた華奢な腰から見える赤い痕。思わず目を逸らす。
「……うっせぇ、今起きるから……」
「……早く来いよ。朝飯冷めるぞ。」
アキの部屋を後にして、リビングにもどる。アキの服の隙間から見えた赤い痕。なにであるか想像するには容易かった。昨日の光景を気のせいではないといわれているようだった。
「アキはまだ起きないの?まったく、アキはいつも最後まで寝てるからなぁ。」
「あ、あぁ。そうだな。」
いつもなら笑いあっているところだが今日はできない、何よりいつもならできる朝の雑談が、今日は全く話題すら頭に出てこない。出てくるのは昨日の光景とさっきの赤い痕。
「あ……あのさ」
「ん?どうしたんだい?スバル」
「……いや、なんでもねぇ」
聞けるわけがなかった。時刻を見るといつもの電車の時間だった。
「あ……じゃあ俺時間だから、先行くわ。」
「え……ご飯全然食べてないじゃないか。そんなんじゃ、授業にちゃんと集中できないんじゃ……」
「だいじょうぶだから!」
思わず語気が強くなる。
「あ、すまん。」
「い、いや、僕は大丈夫だけど。大丈夫?何かあった?相談になら乗るけど……」
「いや、ほんとに大丈夫だから」
そういって逃げるようにシェアハウスを出てくる。義足のはずの右足が痛む。
「……いてぇ」
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「あっ……まって、レン……んっ」
「待てないよアキ。……ここ、すきなんだろ。」
聞いてはいけない。聞いたら俺の……理由が……
頭ではわかっていても、体は止まらない。
「まっ、スバルに……聞こえちゃう……っ!」
「大丈夫……だよ……っ……あいつ……眠り深いじゃん……」
わざとなのかもわからない、隙間の空いたドアから見える景色。
———幼馴染二人の体を重ねている光景———
(あいつら……なんで……)
目の前の光景は見たくもない、知りたくない現実を突きつけられているはずなのに、目が離せなかった。
「……ッ!」
レンと、目があった気がした。
(あっ……だめだ……)
衝動的に逃げ出す。慌てているはずなのに足音は立てないように、音も出ないように自室のドアを閉める。そのままの勢いでベッドにもぐりこむ。枕で頭を挟んで耳を強くふさぐ。ふさいでいるはずなのアキとレンの声がする気がする。目は閉じているはずなのに、ずっとあの光景が見える。
(いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。)
あれから、一時間も経っていないだろうか。
いつの間にか隣のレンの部屋から聞こえる音は聞こえなくなっていた。……なのに耳からは離れない。
……ガチャ
扉の空く音が廊下から聞こえた。
……コンコン
扉をたたく音。
いつもならすぐに反応するが、今はベッドから動けない。布がこすれる音も立てない。
……ガチャ
どうやら戻ったらしい。今のがレンのものなのか、アキのものなのかわからない。
どっちだったとしても、出られるわけがない。
(どうして……いつから……)
頭の中は一つの輪っかをぐるぐる回っていた。疑問、悲しみ、怒り。
そうしているうちに外からバイクの音が聞こえてくる。
(……朝……か)
一睡もできず、朝の陽ざしが部屋をいやというほど照らす。今だけは東向きの部屋を選んだ自分が恨めしい。
廊下からドアの開く音と二つの足音がする、一つはリビングに向かいもう一つのは出てきた部屋を挟んだ向かい側の部屋へと消えていく。
(起きたくねぇなぁ)
そんなことを思っても時間は無情にも進むし、大学から都合よく休講の知らせなどは来ない。
頭上スマホからけたたましいアラームが鳴り響く。今日はいつも以上にそのアラームが頭に響く。アラームが鳴った以上、このまま部屋にこもっていては違和感を持たれるだろう。覚悟を決めてリビングへと足を運ぶ。
リビングへのドアを開けるとそこのはいつもと変わらない、幼馴染のレンがキッチンで三人の朝食を作っていた。
「あ!おはよう、スバル。顔色が悪いけど大丈夫かい?」
「あ、あぁ。おはよう。大丈夫、ちょっと……いやな夢見ちまって」
「そっか。それは災難だったね。顔洗ってきて、みんなでご飯をたべよう。あ、カモミールティーでも飲むかい?落ち着くよ。」
「あー、大丈夫。顔洗えば目覚めっから。」
「……そっか、じゃあ顔洗ってくるついでにアキのこと起こしてきてくれる?」
「……わかった。」
レンの対応は驚くほどにいつもと変わらなかった。——怖いほどに。
顔を水で洗い、タオルで吹き、軽くスキンケアをする。いつものルーティーンだ。
……コンコン
「おいアキ、起きろ。朝だぞ。」
「……あぁ?うっさい……」
布団にもぐろうとするアキから毛布を引きはがす。
「早くしないと遅刻するぞ。今日、一限からだろ。……ッ!」
アキのTシャツのめくれた華奢な腰から見える赤い痕。思わず目を逸らす。
「……うっせぇ、今起きるから……」
「……早く来いよ。朝飯冷めるぞ。」
アキの部屋を後にして、リビングにもどる。アキの服の隙間から見えた赤い痕。なにであるか想像するには容易かった。昨日の光景を気のせいではないといわれているようだった。
「アキはまだ起きないの?まったく、アキはいつも最後まで寝てるからなぁ。」
「あ、あぁ。そうだな。」
いつもなら笑いあっているところだが今日はできない、何よりいつもならできる朝の雑談が、今日は全く話題すら頭に出てこない。出てくるのは昨日の光景とさっきの赤い痕。
「あ……あのさ」
「ん?どうしたんだい?スバル」
「……いや、なんでもねぇ」
聞けるわけがなかった。時刻を見るといつもの電車の時間だった。
「あ……じゃあ俺時間だから、先行くわ。」
「え……ご飯全然食べてないじゃないか。そんなんじゃ、授業にちゃんと集中できないんじゃ……」
「だいじょうぶだから!」
思わず語気が強くなる。
「あ、すまん。」
「い、いや、僕は大丈夫だけど。大丈夫?何かあった?相談になら乗るけど……」
「いや、ほんとに大丈夫だから」
そういって逃げるようにシェアハウスを出てくる。義足のはずの右足が痛む。
「……いてぇ」
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