神在月の忘れ物

すみだし

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5章

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 皆さんは朝目を覚ますと、見たことのない場所に居ることってありますか。私はあります。あるというか、今現在、その状況に陥っています。
 昨晩は嫉妬神様のお家で楽しくお酒を飲んでいた筈なのに、今は硬い地面の上にいます。
 周りに人の姿は無く、まるで私だけしかいないようです。
  
「ようやく起きたか」

 不意に聞こえる声に鳥肌が立つ。
 暗闇の向こうから一人の男性が出てくる。
  
「おはよう、俺のこと覚えてるか?」

 聞きなれない方言にわたしは心当たりがある。
  
「その顔は覚えているようだな」

 不敵に笑う男性に鳥肌は収まらない。逃げたい気持ちで一杯だが、身体が思うように動かない。頭もいつもの倍重たい。
  
「あんまり動かないほうがいいぞ」
「こ、ここは何処?」

 勇気を振り絞って男性に尋ねる。男性は地べたに座りながら答える。
  
「それは秘密だ。強いて言うなら、ここは俺達の愛の花園ということぐらいだ」
「あなたは何者?」
「君と同じ神様。まぁ神様と言っても祟り神だけどな」
「祟り神?」
「そう、もっと詳しく言うと疫病神じゃ。本当はやりたくなかったが、君にも少し力を使っている。どうだ、身体の調子が悪いだろ?」

 言われてみて、確かにこの身体の重さは発熱が出た時のようだ。怖くなって身体が動かなくなっているわたしを見て、疫病神は口を開く。
  
「弥山の山頂でも言ったが、俺はお前を気にいった。だから俺のカミさんにする。そのためにお前を拐ってきた。あの嫉妬神もお前の紳士もどきの人間も酔ってグッスリ寝ていたぞ。まぁそのおかげで容易に拐ってきたけどな」

 そういって、鼻で笑う疫病神。この男は危険だ。早く逃げなきゃ。
 わたしは力を振り絞って、立ち上がる。よろけた足で疫病神から逃げようと試みる。しかし、次の瞬間頭に激痛が走る。立っていることも出来ず、地面に倒れこむ。
  
「何逃げようとしている。お前はもう逃げれないぞ」

 さっきまで笑っていた疫病神に笑顔は一切見えない。額に浮き出た血管は怒っていることを知らしている。
  
「い、嫌です。何であなたと結婚しなきゃいけないんですか」
「嫌とか言える立場じゃないだろう。全部俺が決めたことだ。つべこべ言わずに黙ったまま横にいればいい。まだフェリーが動く時間ではないからな。それまで仲良くお喋りでもしようや」

 疫病神はわたしを連れて宮島から出るようだ。そんなこと絶対に嫌。早くフックさんや公平さん、嫉妬神様のところに帰りたい。
  
「まぁそう悲観するな。これから楽しいことが山ほどあるぞ。昨晩みたいにな」
「昨晩?」
「やっぱり覚えてないか。お前を連れ出した後のことは記憶ないんか?な~んて嘘だけどな!ハハハハッ」

 身体が震える。昨晩のわたしに何があったのだろうか。嫌だ、こんな男と一緒に居たくない。出来ることなら忘れたい。こんな男の存在を何時ものように忘れたい。この男のことも、宮島に来たこと自体も、全てを忘れたい。フックさん、公平さん、嫉妬神様にその紳士さん、それ以外は全部忘れてしまいたい。誰か、助けて…

「見つかりましたか?」

 嫉妬神様の紳士さんは首を横に振る。僕は思わず肩を落とす。神さんがいないことに気付いてから1時間は経っただろうか。早く見つけないと、宮島から出たら探すことは不可能に近い。
  
「公平くーん」

 大きい叫び声と共に、嫉妬神様が走ってくる。その肩にはフックさんの姿が見える。しかし、身体をユラユラとさせて、今にも倒れそうだ。
  
「フックさん!もう大丈夫なんですか?」
「はい、まだ飛べませんが、何とか大丈夫です。寝ている場合では無いので嫉妬神様に無理を言って、公平さんのもとまで連れてきて貰いました」
「フックさん、島中の人達が全員記憶を失っているんですが、これってどういうことですか?」
「はい、私も実際に見てきましたが、こんなこと今まで初めてです。まるで神さんの力が暴走しているとしか、考えられません。きっと何か酷いことでもされているのかもしれません」
「それは大変よ。早く見つけないと!」
「ですが嫉妬神様、何処にいるか検討もつかにないんですよ。嫉妬神様の紳士さんと別れて探しましたが…」
「で、でも!どうにかしないと!」

 嫉妬神様も相当焦っている。そんな様子を見た僕もつい焦りが出てしまう。
  
「フックさん、何か方法は無いんですか?は、早くしないと」
「あるにはあるんですが…」

 フックさんは歯切りの悪い口調で答える。
  
「何ですか?」
「宮島の神様に神さんの場所を尋ねるのです。宮島の神様なら何処に誰がいるか分かっていると思います」
「宮島の神様?それって厳島神社にいる神様ですか?」
「違います。この島の神様です。宮島というのは、その島自体が神様と呼ばれているのです。ただその姿を見た者は誰もいないと聞きます。それに神さんの力で記憶を失っているかもしれません…宮島の神様を探すのは神さんを探すより難しいかもしれません」
「私も宮島に長いこといるけど、見たこと無いわ」
「そんな…」

 唯一の希望は儚くも散る。僕達は黙ったまま俯く。ここにいる全員が諦めたようだ。
  
「すみません」

 悔しさで自分に腹が立っていると、一人の中年男性が話しかけてきた。
  
「すみません、厳島神社って何処ですか?」

 神さんの力で記憶を失っているのだろう。中年男性は目の前にある厳島神社に気づいていない。そういえば、昨日もこんなことがあった。あの時は見えない神様だった筈だ。
  
「あっ!」

 昨日のことを思い出していると、あることに気付く。
  
「どうしたんですか急に?」
「実は昨日宮島の神様に会ったかもしれません」
「本当ですか?どのような人物でしたか?」

 フックさんが僕の肩に飛び乗る。よほど興奮しているのだろう。
  
「それが姿は見てないんですよ」
「見てないって、どういうことかしら?昨日会ったのよね」
「はい、確かに会いました。でも姿を見てません。見てないというより、見えなかったと言ったほうが正しいかもしれません」
「もう駄目だ。さっぱり分からん」

 嫉妬神様の紳士さんには難しい話なのか、頭から煙が出そうだ。
  
「つまり宮島の神様は姿が無いということですね。本当にそうなら見つけることは不可能に近いですね」

 フックさんは僕の肩でため息を吐く。まだ諦めるには早いですよ。
  
「姿が無いというのは、誤解です。フックさんもさっき言ってたじゃないですか。宮島自体が神様だって」
「言いましたけど…」

 フックさんはまだ分かってない様子。こうなったら実際に見せるしかない。僕は地面に片膝を落とし、地面を勢いよく叩く。
  
「宮島の神様!昨日道案内した者です。返事をしてください!」

 僕は何度も地面を叩き叫ぶ。
  
「公平さん、何をやってるんですか?」
「公平君、ついに頭が…」

 嫉妬神様の目に潤いが増す。もう少しだけ待ってください。
  
「誰だ?人がせっかく寝ているのに起こす者は」

 突然、声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。
  これが宮島の神様だ。この島自体が神様の形だったということだ。フックさん達はどこから声が聞こえているのか、と辺りを見渡している。
  
「神様!僕です。昨日道案内した岡村公平です!」
「岡村公平?昨日?あぁ、あの可愛らしいお嬢さんといた」
「大変です。宮島に祟り神が来ました」
「何、本当か!ちょっと待て…本当だ。島が大変なことになっているではないか」

 宮島の神様はようやく緊急事態と気づいた。
  
「そうです。その祟り神にお嬢さん…忘れ神様が拐われてしまったんです。何処にいるか分からなくて困っています。どうか、宮島の神様の力を貸してください」
「それは大変だ。よし分かった。私に任せなさい。すぐに居場所を突き止める」
「ありがとうございます」

 僕がお礼を言うと、宮島の神様は黙ってしまった。きっと神さんの居場所を探しているのだろう。
  
「公平さん、一つ良いですか。どうしてこの島自体が神様だと分かったんですか?」

 フックさんは意味が分かりません、と首を横に振る。僕は説明を始める。
  
「実は昨日、宮島の神様を厳島神社まで案内した時のことです。神様は厳島神社に着くと、『この部分にあったか』と言いました。この部分、とはまるで自分の身体のある場所を指しているみたいだと思ったからです。でも気づいたのはすぐさっきですけどね」
「なるほど~さすが公平さんです」

 フックさんの褒め言葉に「それほどでも~」と返していると、宮島の神様の声が聞こえた。
  
「分かったぞー」

 この緊急事態に穏やかな言葉使いに多少のイラつきはあるが、宮島の神様だから心にしまっておこう。
  
「どこですか?」
「弥山の麓にある洞窟の中だ。そこの鹿がよく知っている場所だ」

 山の洞窟、嫉妬神様の紳士さんが知っている。僕は思い出す。
  
「それって初日に、記憶を失った嫉妬神様の紳士さんを追いかけた、あの洞窟ですか?」
「そうじゃ」

 嫉妬神様の紳士さんは頷く。そんな場所はすっかり忘れていた。まさか、あんな場所に居たとは。
  
「場所が分かりましたら、早速向かいましょう。私は先に飛んでいきます」

 フックさんはそう言って、翼を大きく動かし飛び上がる。しかし、まだ熱の影響か、上昇することが出来ず、ユラユラと落ちる。嫉妬神様が何とかキャッチをして、墜落を免れる。
  
「フックさんは嫉妬神様と来てください。僕達は走って先に行きます」

 僕は嫉妬神様に「フックさんをよろしくお願いします」と言い残し、弥山の洞窟へと向かった。
 何時もと違う雰囲気の商店街を走りながら、神さんの無事を祈る。気持ちは新幹線よりも早く進んでいるが、二日酔いのせいか、先ほど探し回ってか思うように足が動かない。早く洞窟に行かないといけないのに。
  
「公平、乗れ」

 僕の遅さに痺れを切らしたのか、嫉妬神様の紳士さんが命令する。
  
「大丈夫ですか?僕これでも重いですよ」
「大丈夫だから!早く乗れ!」

 僕は頷き、鹿の背中に飛び乗る。嫉妬神様の紳士さんはそれほど大きいわけではなく、普通に跨っていれば、足が地面に着いてしまう。僕は無理に膝を曲げる。
  
「しがみついとけよ!」

 嫉妬神様の紳士さんはそう口にすると、勢い良く走り始める。こんな小さな身体の何処に力があるのか、と思うぐらい嫉妬神様の紳士さんは走る。まるで本物の馬に乗っているようだ。
  
「嫉妬神様の紳士さん!凄いですよ」

 嫉妬神様の紳士さんの首に抱きつきながら叫ぶ。
  
「当たり前じゃだ。時々嫉妬神様を乗せているからな。もっとスピードを上げるぞ!」
「はい!お願いします」

 あっという間に商店街を抜け、山道へと入る。これならすぐに着きそうだ。
 山道に入り、しばらくすると進行方向に大きな倒木が道を塞いでいるのが分かる。
  
「嫉妬神様の紳士さん、どうするんですか?このままじゃ行けないですよ」
「大丈夫じゃ。飛ぶからしっかり掴まっとけよ!」

 嫉妬神様の紳士さんは更に速度を上げる。そして倒木にぶつかるかどうかの瀬戸際で、勢い良くジャンプ、僕は飛ばされないように必死でしがみつく。
 嫉妬神様の紳士さんは華麗に着地、審査委員は全員10点満点を表示している。
  
「公平、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「よっしゃ、もう少しで着くぞ」

 気合を入れなおした嫉妬神様の紳士さんは更にスピードを上げる。

「見えた!公平、見えたぞ!」
「見えてますよ!」
 進行方向にようやく洞窟の入口が見えてきた。初日に来たときと、何も変わっておらず、本当にこの中に神さんがいるのかと不安になるほどだ。
「見えた!中に神さんがいるぞ!」

 洞窟まで20メートルというとこで、嫉妬神様の紳士さんが叫ぶ。僕も目を凝らして見るが、さっぱり見えない。
  
「祟り神は、あいつはいますか?」
「待てよ…いるぞ!神さんに近づいているぞ。まだこっちには気づいていない」
「何ですって…嫉妬神様の紳士さん!このまま洞窟に入って祟り神に体当たりしましょう。先制攻撃です」
「分かった!でもお前はいいのか?このままだと結界にぶつかってしまうぞ」

 嫉妬神様の紳士さんの言葉で僕は思い出す。そうだった、この洞窟には人間が入れないように結界を張ってあるんだった。このままの速度でぶつかれば、僕は大怪我することだろう。しかし一回止まって降りていたら、祟り神に気づかれてしまうかもしれない」
  
「おい!祟り神が神さんに何かしようとしているぞ!」
「本当ですか!うーーー、このまま行きましょう!祟り神が気付いていない今がチャンスです!」
「よっしゃ!お前が死んでも、その勇姿は神さんに伝えてやるぞ」

 嫉妬神様の紳士さんが叫びながら、大きくジャンプ。結界にぶつかる瞬間、僕は辞世の句として、一度言いたかったことを叫ぶ。
  
「行けヤックル!おしとーーーる!」

 叫ぶと同時に嫉妬神様の紳士さんの頭が、結界の中に侵入、僕は衝撃にそなえ目を閉じる。そして大きな衝撃が身体を恐る。
  
「…あれ?」

 衝撃は受けたが、身体に痛みはない。恐る恐る目を開ける。そこは真っ暗で何も見えない世界だった。
  
「これは…もしかして死んだの!」
「公平、何を言っとるんじゃ!」

 嫉妬神様の紳士さんの言葉に気付き、下を見る。そこで僕はまだ嫉妬神様の紳士さんに跨っていることに気付く。周囲を見渡して洞窟の中に入っていると分かる。
  
「あれ?結界は?」
「俺にも分からんが、どうやら中に入れたようだな」

 ならあの衝撃は何だったのか。前方を確認すると、横たわっている祟り神が確認で出来た。あの衝撃音は祟り神に体当たりした時のものだったか。
  
「あっ神さんは!」

 嫉妬神様の紳士さんから降りて、神さんに近寄る。神さんも倒れている。
  
「大丈夫ですか!神さん!」

 神さんの肩を持ち勢いよく揺らす。もしや嫉妬神様の紳士の野郎、神さんにも体当たりしたのではないか。
  
「うーーん」
「大丈夫ですか!」

 神さんはまるで寝起きのように、ゆっくりと目を開ける。焦点が序々に僕へと合うのが分かる。
  
「公平さん?」
「そうです、公平さんですよ。あの男に何かされたんですか?」

 神さんは問いに答えず、僕に抱きつく。よっぽど酷いことをされたのだろう。
  
「もう大丈夫ですよ。安心してください」

 神さんの頭を撫でていると、嫉妬神様の紳士さんが勢いよく倒れる。
  
「お前らよくもやってくれたな」

 祟り神が足をフラつかせながら立ち上がる。頭からは真っ赤な血が流れている。
  
「嫉妬神様の紳士さん!」

 嫉妬神様の紳士さんは大汗を掻きながら魘されている。
  
「俺を置いて…早く逃げろ」

 嫉妬神様の紳士さんはそう言うのが精一杯、そのまま意識を失ってしまった。僕は祟り神の顔を見る。血管が浮き出て、今に切れそうだ。このままでは神さんにも被害が出てしまう。
  
「神さん立てますか?ここから逃げましょう

 神さんは頷く。僕は神さんに肩を貸す。そして早歩きで洞窟の出口目指して走る。
  
「誰が逃げていいと言った!」

 祟り神が大きく手を振り上げる。その瞬間、頭に大きな痛みが走る。立っていることもままならず、神さんを手離して地面に倒れる。頭が千切れるような痛みだ。
  
「公平さん!」

 倒れた僕に駆け寄る神さん、どうやら神さんは無事のようだ。
  
「神さん…は、早く逃げてください」

 きっとフックさん達も近くまで来ているだろう。早く逃げてください。
 神さんの目からは涙が流れている。祟り神の野郎、神さんを泣かすなんて許せない。しかし、身体に力は入らない。ここは悔しいが神さんを逃がすことだけを考えよう。
  
「神さん、逃げてください。フックさんが、そこまで来てます」

 泣いている神さんに優しく伝える。安心させるため、無理に笑顔を見せる。
  
「でも公平さんが」

 涙を流しながら震える神さん。その奥から祟り神が近づいてくるのが見える。
  
「早く、神さん」

 最後の力を振り絞って声を荒げる。神さんは決意したのか、立ちあがる。早く逃げてください。
 立ち上がった神さんは方向を180度変え、僕に背中を見せる。
  
「何でこんな酷いことするの!」

 神さんは祟り神に向かって叫ぶ。倒れている僕から見えるのは、強く握りしめた拳と、震えた足元である。
  
「酷いこと?そんなこしてないぞ。酷いことって、こんなことを言うんだぞ」

 祟り神の足が嫉妬神様の紳士さんの顔を踏みつける。
  
「やめて!どうしてこんなことするの?」

 神さんは更に叫ぶ。神さん、危ないから早く逃げてください。
  
「どうして?俺は祟り神だ。祟り神が人を襲って何が可笑しい!お前に祟り神の気持ちが分かるんか?」
「祟り神の気持ちなんて分かりません!祟り神が人を襲っていいわけないですよ」
「お前に何が分かる!俺だって祟り神になりたくて、なったわけじゃない!俺だって最初はただの疫病神だった。それなのに、人から恐れられ、災いの元として襲われる日々を過ごした。別に悪いことなんてした覚えはない。勝手に力が暴れていたわけなのに、俺は祟り神と噂され、自分の居場所はなくなった。現にお前だって今がそうだ。勝手に力が動き、一般人の記憶を忘れさせているだろう。お前だって祟り神だ。だから、俺はお前の仲間ということだ。仲間が一緒にいたらいいんだ!」
「違う!わたしは祟り神なんかではないわ!」
「今はな!じゃが祟り神になるのも時間の問題だ。いずれ人々はお前を恐れる!現にこの島で話題になっているウイルスのことだ。あれは全部俺の力が原因だ。人々は『祟り神が来た』と騒ぎ立てる。お前も俺みたいになるのも時間の問題じゃ。その前に俺が仲間になってやると言っているんだ!」

 この島で起きているウイルス問題は祟り神のせいだったのか。僕はどうにか身体を起こそうとするが、頭の痛みが酷く、上手く身体を動かすことができない。
  
「違う…わたしは違う」

 神さんは首を横に振りながら後ずさりする。やばい、このままだと神さんの精神が崩壊してしまう。
  
「神さん!大丈夫ですか!」

 叫び声と同時にフックさんと嫉妬神様が洞窟に入ってくる。
  
「公平さん、嫉妬神様の紳士さん!大丈夫ですか?」

 フックさんは横たわっている僕達に気付く。
  
「邪魔だ!」

 祟り神が叫んだ瞬間、フックさんと嫉妬神様が頭を抑えて膝を着く。
  
「フックさん!嫉妬神様!」

 神さんの叫び声が洞窟内に響く。
  
「邪魔者は引っ込んでいろ!分かっただろ忘れ神、お前の力はこうやって他人を不幸にするんだ。分かったら俺に着いてこい。祟り神は祟り神らしく、一緒に暮らそう!」

 祟り神は神さんに歩み寄る。神さん、早く逃げてください。
 神さんは後ずさりをしながら祟り神から距離を取る。
  
「逃げるな!」

 祟り神は勢いよく神さんに飛びつき、手を取る。
  
「やめて!離して!」

 神さんは空いた片手で祟り神の顔を叩く。祟り神は衝撃で神さんの手を離す。
  
「もういい、力ずくでお前を連れて行く」

 祟り神は頬を抑えた手を神さんに向け、握り拳を作る。
 神さんは小さく悲鳴を上げ、その場に倒れた。
  
「か、神さん!」

 僕が声を掛けるが返事はない。
  
「やっと静かになったわ。お前らもよかったな、こんな祟り神のもとで働なくなって」

 僕達を見下ろして、祟り神は声高く笑う。僕は地を這いつくばって、祟り神の足を掴む。
  
「神さんは祟り神なんか…じゃない。お前みたいな奴と…一緒にするな」

 酷く痛む頭痛に耐えながら、祟り神を睨む。しかし、祟り神は顔色一つ変えず、僕の腹部を蹴り上げる。
 あまりの痛さに僕は悲鳴をあげる。頭痛も先ほどより酷くなる。
  
「もういい、お前に何を言っても無駄なようだ。そのままくたばってしまえ」

 祟り神がそう言うと、僕の頭痛は激しくなる。もう意識を保つことも難しくなる。このまま神さんを助けれないなんて、僕は部下として失格だ。
 薄れゆく意識の中、祟り神の後ろに一つの人影が見えるのが分かった。誰かは分からないが、神さんを助けてあげてください。僕はそう願い、意識を失いかけた瞬間、突然頭の痛みが消えた。
 先ほどまでの痛みは無くなり、身体も起き上がるほどに回復した。フックさんたちも、僕と同じように頭痛から解き放たれている。
 一体どうして、僕が祟り神を確認すると、祟り神も驚いた顔で僕達を見ている。
  
「何故だ?どうして起き上がる!俺は力を解いたつもりはないぞ」
「それはわたしが解きました。というよりも、力の使い方を忘れさせました」

 そう言うのは神さんだった。祟り神の後ろにあった姿は神さんだったのか。
  
「何故だ?立ち上がないほどの熱病を与えたはずじゃ」

 驚く祟り神は何度も、拳を振り上げる。しかし、僕達の頭に痛みはない。どうやら本当に熱病を与えることは出来なくなったようだ。
  
「嫉妬神様、フックさん、紳士さんそれに公平さん、大丈夫ですか?」

 神さんは落ち着いた口調で僕達の無事を確認する。こんな神さんは始めて見る。先ほどまでの祟り神に怯えた姿はない。
  
「フックさんこれって?」
「はい、これが神さんの本当の姿です。やっと記憶が戻ったようです」

 フックさんの頬には涙が流れている。よっぽど嬉しかったのだろう。
 神さんの真の姿を見て、僕身体は鳥肌が立っている。今までの神さんからは想像していない姿だ。
  
「クソ!クソ!どうしてじゃ!」

 越病の神は力の出ない自分に腹を立てている。
  
「もう止めてください。もうあなたは力を使えることは出来ません。あなたはわたしを怒らせました。これ以上、わたし達に危害を与えるなら記憶を忘れさせます」

 神さんの鋭い眼光に、疫病神は思わず後ずさりする。
  
「どうしてじゃ!お前だって人から陰口を言われるような生活にはうんざりだろ?俺と手を組んで、仕返しをしないか!」
「嫌です。あなたは間違っています。わたしは確かに人から陰口を言われているかもしれません。でも祟り神ではありません。それはここにいるフックさんと公平さんがいるからです。この二人が、わたしの力の暴走から皆を守っているからです。あなたはきっとそのような、心優しい方にお会いすることが出来なかったのでしょう。可哀想です。わたしがその嫌な思い出を忘れさせてあげましょう」
「忘れさせる?どういう意味じゃ?」

 疫病神は神さんの言葉に押され、後ずさりする。
  
「人生には忘れて良いものと、忘れてはいけないものがあります。あなたが人々から受けた酷い言動は忘れて良いものです。わたしがその手助けをしましょう」

 神さんはそう言って、疫病神に近づく。近づく神さんに恐れた疫病神は逃げようと試みるが、足が重い通りに動かない様子だ。
 神さんはそのまま疫病神の額に手を当てる。
  
「何をする気だ!」

 熱病が叫んだ瞬間、天井から糸が切れたように、地面に倒れ込んだ。
 僕は重い身体が動くのを確認して立ち上がる。そして神さんに近づく。
  
「公平さん、大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫です。それより疫病神は?」
「昔の酷い記憶を忘れさせました。そのせいか頭が混乱してしまい、気を失ってしまったようです」

 神さんは俯けに倒れた疫病神を仰向けにする。そして後頭部に自分の上着を置いて枕の変わりにする。何て優しい方なのだろうか。さっきまで自分を傷つけていた相手にできることではない。
  
「これが神さんの姿です。誰にも隔たりなく優しく接することのできるお方です」

 何時の間にか僕の肩に乗っていたフックさんが優しい目をしている。
 嫉妬神様も無事な様子で立ち上がり、嫉妬神様の紳士さんに歩み寄る。
  
「大丈夫?」
「何とか……」

 横たわっている、嫉妬神様の紳士さんは顔だけ向けて答える。
  
「骨には異常ないから大丈夫じゃ」

 そうは言っても頭から血が出ている。
 神さんは嫉妬神様の紳士さんに近寄り、頭を撫でる。すると苦痛で顔を歪ませていた嫉妬神様の紳士さんの顔が和らぐのが分かる。
  
「あれ、痛みが!」
「痛みを忘れさせただけです。痛みが無いだけで、怪我をしたという事実はありますので、気をつけてください」

 さすがは神さんだ。自分の力を思い通りに使いこなしている。こんな事が出来て、何故普段は力を使いこなすことが出来ないのだろうか。
  
「少しここで休むよ」

 嫉妬神様の紳士さんはそのまま目を閉じる。しかし、こんな洞窟の中にいるより、早く嫉妬神様の家に戻って治療をしなければいけない。
  
「大丈夫よ。ここは元々、紳士の住処。ここで休むことが一番よ」

 僕の心配に気づいたのか、嫉妬神様が教えてくれる。
  
「そういうことじゃから。俺に構うな」

 目を瞑ったまま、嫉妬神様の紳士さんが口を開く。しばらくして、その口から寝息が聞こえた。どうやら眠りについたようだ。それと同時に、疫病神が唸り声を上げて目を開ける。
  
「皆さん!一応距離を取ってください」

 フックさんの慌てた声に僕達は慌てて洞窟の入口まで足を運ぶ。しかし、神さんだけは疫病神から距離を取らない。
  
「大丈夫ですよ。彼はもう違います」

 神さんはそう言って、僕達を手招きする。
 神さんの言うとおり近づくと、疫病神は上半身だけ起こし、辺りを見回している。
  
「俺は一体何を?」

 状況を掴めていないのか、疫病神は僕達に問い掛ける。その目に先程までの殺気は無い。そんな疫病神に神さんは膝を着き、彼の手を取る。
  
「大丈夫ですよ。あなたは少し自分を失っていただけです。これからは人様のお役に立てるように頑張りましょう」
「は、はい?」

 疫病神は意味が分かっていない様子だが、神さんの優しい眼差しにしっかりと返事をした。
  
「これって疫病神は良い人になったんですか?」

 僕は神さんに聞こえないよう、肩に乗ったフックさんに尋ねる。
  
「はい、疫病神があんなにも怒っていたのは、多くの人々から恐れ抱かれ、酷い扱いをされたからです。神さんはそんな疫病神の酷くて、辛い過去の記憶を忘れさせたのです。なので、今の疫病神は嫌な記憶が無い、純粋な神様となったのです」
「なるほど、要は悲しい過去を忘れて、良い神様になったんですね」
「そういうことになります。これで一件落着です。後は疫病神を今後どうするかですね。きっと今まで人々から逃げるように日本各地を旅していたようですが、これからどうしましょう?疫病神は何処か帰るお家はありますか?」

 フックさんの問い掛けに疫病神は少し考えて首を横に振る。
  
「それなら家に来なよ」

 そう言ったのは嫉妬神様だった。嫉妬神様は疫病神に歩み寄り、手を差し出す。
  
「わたしも人から嫌われているから、あんたの気持ちは痛い程分かるわ。だから一緒に暮らしましょう。それに…」
「それに?」

 僕達が声を揃える。
  
「中々良い男じゃない!気に入ったわ!」

 嫉妬神様は微妙に口角を上げる。その表情を僕は見逃さない。口からは涎まで垂れている。きっと、そっちが本命なのかもしれない。
  
「よろしくお願いします」

 疫病神は嫉妬神様の差し出した手を握って満面の笑みになる。今までからは想像もしなかった笑顔だ。その笑顔を間近で見た、嫉妬神様は大きく身体が揺れる。
  
「前言撤回よ。あなた私と結婚しましょう」
「えっ!」

 僕は思いもしなかった言葉を聞いて心臓が口かから飛び出そうになる。
  
「…はい、よろしくお願いします」
「えっーーーー!」

 疫病神の返事に僕達は大声を上げる。それほど予想外の展開だった。
  
「嫉妬神様本気で言ってるんですか・さっきまで酷いことされてたじゃないですか」
「いいのよ、彼だってお願いしますって言ったんだから。もう決めたの。私は彼と結婚するわ」

 嫉妬神様は疫病神を彼と呼ぶ。こんなにも早いスピード結婚があって良いものだろうか。出会って一時間も経っていないだろう。
  
「良し!そうと決まれば帰って宴会よ。貴方達も私の結婚を祝いなさいよ。今日は寝かさないわよ!」

 寝かさないも何も、まだお昼も回っていない。一体どれだけ飲むつもりなのか。
  
「私と彼は先に帰って宴会の準備をするわ。貴方達は私達に何かお祝いの品でも準備してるのよ」

 嫉妬神様は疫病神の腕に捕まり、颯爽と洞窟を出て行った。
  
「まるで嵐のようでしたね。まさか結婚するなんて」

 嫉妬神様の姿が消えても、僕は驚きを隠せずにいた。
  
「でも結婚は良いことですよ。これで嫉妬神様も疫病神様も幸せになるのですから。でもわたしも流石に驚きましたけど」

 神さんはそう言って小さく笑う。神さんがそう言うのなら、そういう事なのだろう。
  
「とりあえず、わたし達もここを出ましょう。あまり五月蝿くいると、休んでいる嫉妬神様の紳士さんにも迷惑でしょう」

 フックさんに従い、僕達は静かに洞窟を出る。
  
「でも神さんの記憶が戻って嬉しいです。これでようやく、神さんに出会えた気がします」

 洞窟を出て、山道を歩きながら僕は嬉しくなる。今までの神さんは何かしらの記憶を失っていた。フックさんは常に神さんは心優しいお方と言っていたが、間違いではなかった。決してフックさんの言葉を信じていなかった訳ではないが、本当にビックリだ。
  
「これも全部公平さんとフックさんのおかげです。もし公平さんが助けに来なかったら、わたしは疫病神と一緒に祟り神にされていたかもしれません。勿論フックさんもですよ」
「神さん、そのような言葉、私には必要ありません」

 フックさんの円な瞳が再び潤っているのが分かる。僕も貰い泣きしてしまいそうだ。
  
「そんな泣く程のことじゃありませんよ。それより早く嫉妬神様達にプレゼントするお祝いの品を買いに行きましょう」

 神さんはそうして早足で僕達の前を歩き始める。その後ろ姿を見て、フックさんが耳元でボソッと呟く。
  
「これが神さんです。このようなお方だから私は神さんを祟り神にしたくないのです。公平さんも存分に分かりましたよね」
「勿論です!」

 僕ははっきりと答える。こんな偉大な神様を人々に怖がられていけない。僕はこの人の為にしっかりと仕事をこなそうと誓った。
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