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A Secret Affair with an Old Playmate
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金曜の夜。
都会の喧騒を遠ざけた隠れ家のような、カクテルバーの壁際の席。
彼らのお気に入りの席だ。
こじんまりとしたフロアの隅は、薄明るく柔らかなオレンジ色の照明が落ち、まるで個室にでも入ったような空間だ。
彼らはもう4時間近く、その席で酒とおしゃべりを楽しんでいる。
センスの良いメガネをかけた、知的で鋭利な眼差し。端正な顔立ちに、かっちりと整えた艶やかな髪。すらりとしなやかな細身に品の良いチャコールのスーツを着こなす男は、岡崎。
無造作でややスポーティな髪型に、凛々しく爽やかな顔立ち。涼しげな瞳。スポーツで鍛えたメリハリのある長身に深いネイビーのスーツが似合うもう一人は、吉野。
彼らは幼馴染。小学1年からの親友だ。その繋がりは、20年経った今もこうして続いている。
並んで街を歩けばこの上なくハイクラスなオーラを放つ彼ら二人は、道ゆく女子の群れから否応なく注目を浴びる。
が、彼らはそんな視線には全く無頓着だ。
それぞれに、一流企業の第一線で日々全力で働いている。疲れているのだ。残ったエネルギーを余計な所で使う気などない。
だが、時々週末に二人で気ままに飲み、楽しむひとときだけは、二人にとって手放せないものになっている。それは、ネクタイをほどくようにゆっくりと緊張を解き、子供の頃と変わらない自由な気分で過ごすことのできる貴重な時間だ。
そして何より、彼らが密かに楽しみにしているのは、とろりと酔いが回ったチェック間際のひとときだ。
——その時間が何より幸せであることは、お互い相手にはひた隠しにしているのだが。
✳︎
吉野は、甘党の岡崎のために、いつも決まってその店自慢のストロベリータルトをデザートにオーダーする。
「ここのタルト、美味いよな。普段は甘いものがっつくなんて恥ずかしくて隠してるけどさ。
……それにしても、お前毎回勝手にこれ頼むだろ?俺が太ったらどうするんだ」
そう言いつつ、岡崎は酔いで少し染まった頬を幸せそうに緩める。
普段の岡崎の冷たい鋭さは、ここで完全に脱ぎ捨てられるのだ。
「……美味そうだな」
「ん? 吉野は煙草ばっかでスウィーツなんて興味ないだろ」
ああ、その通りだ。そのスウィーツには、もちろん興味なんかない。
吉野は、脳内でそう呟く。
岡崎は、タルトの上で輝く艶やかで大きな苺を大事そうにそっとつまむと、口元に運ぶ。
柔らかな深紅の果肉に綺麗な歯を立てる。
それと同時に口元に溢れる、みずみずしく色鮮やかな果汁。薄く形の良い唇がその露で艶やかに潤い、今にも滴りそうだ。
甘い香りが弾けるように空中に広がる。
ああ……最高に美味だ。
スウィーツがじゃない。
それを味わう、お前がだ。
いかにも頭脳明晰そうな鋭い目つきや顔つきが、ストロベリータルトの前に変貌していく。
その顔が、たまらなくいいんだ。……お前は気づいてないだろう?
美しく輝く果実をじっくり堪能すると、次に岡崎はたっぷりと盛られたクリームにフォークを埋める。生クリームの下から、バニラビーンズ入りの黄色いカスタードが覗く。
銀のフォークにとろりとまとわりついたそのクリームを、ゆっくりと口に入れる。あっという間に舌で溶けるそのまろやかな旨味を、一瞬たりとも味わい損ねまいとするように。
「……うまっ」
とろけそうな笑みをこぼす。
普段は端麗な無表情を貫くこの男が、スウィーツを前にこれほど崩れるなんて、誰ひとり想像すらしないはずだ。
幼馴染の俺だから知っている、こいつの弱点。
この瞬間、理由の分からない優越感と独占欲が湧いてくるのだ。
「——ついてるぞ」
頬杖をついてその様子をじっくりと眺めた吉野は、岡崎の唇の端についた真っ白いクリームを素っ気なく指差す。
「ん?サンキュ」
それを拭き取った自分の親指までも悪戯っぽい眼をしてしゃぶりながら、岡崎は囁く。
「こんなことできるの、お前といる時だけだ。——誰にも言うなよ?」
あーー……すげえムズムズする。
もうギリギリだ。俺の変な場所をくすぐる、その仕草。
思わず横を向く。
「……ガキみてーだな全く」
「うるさい。美味いものは美味いんだ」
そうやって憎まれ口を叩いていつもの幼馴染に戻しておかないと、なんとなくヤバい気がする吉野である。
✳︎
スウィーツを堪能する岡崎だが、内心あることをずっと待っていた。
それは、吉野が胸ポケットから煙草を取り出す瞬間だ。
吉野はヘビースモーカーだ。
煙草を吸わない岡崎を気遣ってか、吉野は飲んでいる間ほとんど煙草を吸わない。だが、酔いが回り始め、そろそろチェックという頃になると、さすがに我慢が難しくなるようだ。
「……吸わないのか?」
少しじれったくなり、素っ気なく吉野に問う。
「ん、いいか?……じゃ。
煙草吸っていいって言ってくれるの、お前くらいだ。よく考えるとすげー貴重な存在だな」
吉野はそう笑いつつ、煙草とライターを取り出す。
慣れた手つきで、咥えた煙草に火をつけると、すうっと深く吸い込んだ。
肺に煙の入る快感というのがあるようだ。
一言も発しないのに、全身が「美味い」という感覚に浸っている——それが、手に取るように伝わってくる。人間がこうやって打ち震えるように味わうものは、煙草と酒くらいではないだろうか。
普段は爽やかで活発に思考を巡らす吉野の瞳が、酒の酔いも手伝い、この時だけはひたすら恍惚と宙を舞う。
——その顔。
誰にでも見せるわけじゃないだろう?
こんな風に、鎧も何も全て脱いだこいつを見られるのは——こうして側にいる、幼馴染の俺くらいだ。
身体を巡った煙を口から吐く瞬間。
吉野は、顔を少し背ける様に、ふうっと横へ勢いよく煙を吐き出す。
どこか苦味のあるその仕草が——たまらなくいい。
この上なく自然で何気ないのに、自分が気遣われていることがダイレクトに感情に響いてくる。
——興味のない人間に対しては、常に無関心で素っ気ないこの男が。
鍛えられて引き締まったその腕や肩に、さり気なく守られている——自分だけに向けられた温もりを味わえる、ほんの一瞬。
「——お前、なんで煙吐く時いつもそうするんだ?」
わかってるのに、吉野に尋ねる。
「ん? お前に煙行かないようにしてるに決まってんだろ」
「ふうん……それ、彼女といる時も?」
「彼女? あー、最近別れた。……なんか疲れてさ、そういうの」
そう言って頬杖をつき、吉野は軽く笑う。
「——だな」
短い言葉を返し、岡崎は満足そうに最後のクリームを口に運んだ。
✳︎
酔いの回った彼らの脳に、それぞれの好物を味わう仕草はたまらなく甘く、苦く。
——麗しい幼馴染の艶めく仕草を見て、密かに飲食以外の欲求を満たす。
誰にも言えない、禁断の美味だ。
都会の喧騒を遠ざけた隠れ家のような、カクテルバーの壁際の席。
彼らのお気に入りの席だ。
こじんまりとしたフロアの隅は、薄明るく柔らかなオレンジ色の照明が落ち、まるで個室にでも入ったような空間だ。
彼らはもう4時間近く、その席で酒とおしゃべりを楽しんでいる。
センスの良いメガネをかけた、知的で鋭利な眼差し。端正な顔立ちに、かっちりと整えた艶やかな髪。すらりとしなやかな細身に品の良いチャコールのスーツを着こなす男は、岡崎。
無造作でややスポーティな髪型に、凛々しく爽やかな顔立ち。涼しげな瞳。スポーツで鍛えたメリハリのある長身に深いネイビーのスーツが似合うもう一人は、吉野。
彼らは幼馴染。小学1年からの親友だ。その繋がりは、20年経った今もこうして続いている。
並んで街を歩けばこの上なくハイクラスなオーラを放つ彼ら二人は、道ゆく女子の群れから否応なく注目を浴びる。
が、彼らはそんな視線には全く無頓着だ。
それぞれに、一流企業の第一線で日々全力で働いている。疲れているのだ。残ったエネルギーを余計な所で使う気などない。
だが、時々週末に二人で気ままに飲み、楽しむひとときだけは、二人にとって手放せないものになっている。それは、ネクタイをほどくようにゆっくりと緊張を解き、子供の頃と変わらない自由な気分で過ごすことのできる貴重な時間だ。
そして何より、彼らが密かに楽しみにしているのは、とろりと酔いが回ったチェック間際のひとときだ。
——その時間が何より幸せであることは、お互い相手にはひた隠しにしているのだが。
✳︎
吉野は、甘党の岡崎のために、いつも決まってその店自慢のストロベリータルトをデザートにオーダーする。
「ここのタルト、美味いよな。普段は甘いものがっつくなんて恥ずかしくて隠してるけどさ。
……それにしても、お前毎回勝手にこれ頼むだろ?俺が太ったらどうするんだ」
そう言いつつ、岡崎は酔いで少し染まった頬を幸せそうに緩める。
普段の岡崎の冷たい鋭さは、ここで完全に脱ぎ捨てられるのだ。
「……美味そうだな」
「ん? 吉野は煙草ばっかでスウィーツなんて興味ないだろ」
ああ、その通りだ。そのスウィーツには、もちろん興味なんかない。
吉野は、脳内でそう呟く。
岡崎は、タルトの上で輝く艶やかで大きな苺を大事そうにそっとつまむと、口元に運ぶ。
柔らかな深紅の果肉に綺麗な歯を立てる。
それと同時に口元に溢れる、みずみずしく色鮮やかな果汁。薄く形の良い唇がその露で艶やかに潤い、今にも滴りそうだ。
甘い香りが弾けるように空中に広がる。
ああ……最高に美味だ。
スウィーツがじゃない。
それを味わう、お前がだ。
いかにも頭脳明晰そうな鋭い目つきや顔つきが、ストロベリータルトの前に変貌していく。
その顔が、たまらなくいいんだ。……お前は気づいてないだろう?
美しく輝く果実をじっくり堪能すると、次に岡崎はたっぷりと盛られたクリームにフォークを埋める。生クリームの下から、バニラビーンズ入りの黄色いカスタードが覗く。
銀のフォークにとろりとまとわりついたそのクリームを、ゆっくりと口に入れる。あっという間に舌で溶けるそのまろやかな旨味を、一瞬たりとも味わい損ねまいとするように。
「……うまっ」
とろけそうな笑みをこぼす。
普段は端麗な無表情を貫くこの男が、スウィーツを前にこれほど崩れるなんて、誰ひとり想像すらしないはずだ。
幼馴染の俺だから知っている、こいつの弱点。
この瞬間、理由の分からない優越感と独占欲が湧いてくるのだ。
「——ついてるぞ」
頬杖をついてその様子をじっくりと眺めた吉野は、岡崎の唇の端についた真っ白いクリームを素っ気なく指差す。
「ん?サンキュ」
それを拭き取った自分の親指までも悪戯っぽい眼をしてしゃぶりながら、岡崎は囁く。
「こんなことできるの、お前といる時だけだ。——誰にも言うなよ?」
あーー……すげえムズムズする。
もうギリギリだ。俺の変な場所をくすぐる、その仕草。
思わず横を向く。
「……ガキみてーだな全く」
「うるさい。美味いものは美味いんだ」
そうやって憎まれ口を叩いていつもの幼馴染に戻しておかないと、なんとなくヤバい気がする吉野である。
✳︎
スウィーツを堪能する岡崎だが、内心あることをずっと待っていた。
それは、吉野が胸ポケットから煙草を取り出す瞬間だ。
吉野はヘビースモーカーだ。
煙草を吸わない岡崎を気遣ってか、吉野は飲んでいる間ほとんど煙草を吸わない。だが、酔いが回り始め、そろそろチェックという頃になると、さすがに我慢が難しくなるようだ。
「……吸わないのか?」
少しじれったくなり、素っ気なく吉野に問う。
「ん、いいか?……じゃ。
煙草吸っていいって言ってくれるの、お前くらいだ。よく考えるとすげー貴重な存在だな」
吉野はそう笑いつつ、煙草とライターを取り出す。
慣れた手つきで、咥えた煙草に火をつけると、すうっと深く吸い込んだ。
肺に煙の入る快感というのがあるようだ。
一言も発しないのに、全身が「美味い」という感覚に浸っている——それが、手に取るように伝わってくる。人間がこうやって打ち震えるように味わうものは、煙草と酒くらいではないだろうか。
普段は爽やかで活発に思考を巡らす吉野の瞳が、酒の酔いも手伝い、この時だけはひたすら恍惚と宙を舞う。
——その顔。
誰にでも見せるわけじゃないだろう?
こんな風に、鎧も何も全て脱いだこいつを見られるのは——こうして側にいる、幼馴染の俺くらいだ。
身体を巡った煙を口から吐く瞬間。
吉野は、顔を少し背ける様に、ふうっと横へ勢いよく煙を吐き出す。
どこか苦味のあるその仕草が——たまらなくいい。
この上なく自然で何気ないのに、自分が気遣われていることがダイレクトに感情に響いてくる。
——興味のない人間に対しては、常に無関心で素っ気ないこの男が。
鍛えられて引き締まったその腕や肩に、さり気なく守られている——自分だけに向けられた温もりを味わえる、ほんの一瞬。
「——お前、なんで煙吐く時いつもそうするんだ?」
わかってるのに、吉野に尋ねる。
「ん? お前に煙行かないようにしてるに決まってんだろ」
「ふうん……それ、彼女といる時も?」
「彼女? あー、最近別れた。……なんか疲れてさ、そういうの」
そう言って頬杖をつき、吉野は軽く笑う。
「——だな」
短い言葉を返し、岡崎は満足そうに最後のクリームを口に運んだ。
✳︎
酔いの回った彼らの脳に、それぞれの好物を味わう仕草はたまらなく甘く、苦く。
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漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
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漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
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