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母親失格?
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赤ちゃんが泣いていても、声で分からない。
ずっとずっと見ていないと気づかない。
音のない世界では赤ちゃんを見るのは辛くて。
あんなに小さな体で一生懸命教えてくれているのに、おむつのタイミングもおっぱいのタイミングも、全然分からないなんて。
僕は母親失格だ。
ふと気が付くと、夜中赤ちゃんをあやしてくれているのはサザエル。
おむつも、ミルクも。
僕が寝てしまっているとき、気づかないとき。
サザエルが全部やってくれている。
本当は僕がやらないといけないのに。
これはお母さんの仕事なのに。
ごめんなさい、ガブリエル。僕の大事な赤ちゃん。
ミカエルお父様とハデスお母さまが、クリスお母さまが遊びにいらしたよ、と僕を呼びに来た。
サザエルはお仕事に出かけているから、ベビーベッドのガブリエルを抱っこして、応接間に来た。
「ガブリエル、おばあさまですよ。」
クリスお母さまはニコニコしている。
ガブリエルはお母さまの挨拶を聞いて、ニコニコ笑った。
「もうやだ、クリスがおばあさまなんて似合わないわぁ。」
「何言ってるの、お互いもうすぐ還暦なんだよ?立派なおじいさま、おばあさまじゃない。」
「ガブリエルの髪の毛は銀髪なんだね。サザエルに似たのか。顔もどっちかって言ったらミカエルだね。」
「あらでも、この凛々しい眉毛はハデスだし、アメジスト色の瞳はクリスだわ。目の形はマナちゃんに似てる。」
「もうすっかり、お母さんだね。マナ。」
ううん、と僕は首を振った。
僕は出来損ないのお母さん。
「…クリス。今日クリスに来てもらったのはね。この件でもあったのよ。マナちゃん、頑張りすぎなの。育児は全部お母さんが一人でやらなきゃダメなんだ、完ぺきにやらなきゃ、ってそう思ってるみたいなのよ。」
「そっか…。」
クリスお母さまが僕の手を取った。
「完璧な親なんていないよ、マナ。育児は一人じゃできない。手伝ってもらっていいんだよ。」
「そうよ。私たちだって、だいぶ助けてもらったわ。」
おむつやおっぱいは最初は3時間おきくらいだと思ってたらいいとか。
赤ちゃんの要求するリズムや生活リズムが分かってくると、それを目安に行動できるかもしれないとか。
色々教えてもらった。
僕はできないことも多いけど、サザエルに助けてもらっていいんだね。
僕は出来損ないのお母さんじゃなかった。
ガブリエルを愛している、ガブリエルのお母さん。
お母さんはみんなそれぞれ。
ありがとう。僕たち、親1年生。
ずっとずっと見ていないと気づかない。
音のない世界では赤ちゃんを見るのは辛くて。
あんなに小さな体で一生懸命教えてくれているのに、おむつのタイミングもおっぱいのタイミングも、全然分からないなんて。
僕は母親失格だ。
ふと気が付くと、夜中赤ちゃんをあやしてくれているのはサザエル。
おむつも、ミルクも。
僕が寝てしまっているとき、気づかないとき。
サザエルが全部やってくれている。
本当は僕がやらないといけないのに。
これはお母さんの仕事なのに。
ごめんなさい、ガブリエル。僕の大事な赤ちゃん。
ミカエルお父様とハデスお母さまが、クリスお母さまが遊びにいらしたよ、と僕を呼びに来た。
サザエルはお仕事に出かけているから、ベビーベッドのガブリエルを抱っこして、応接間に来た。
「ガブリエル、おばあさまですよ。」
クリスお母さまはニコニコしている。
ガブリエルはお母さまの挨拶を聞いて、ニコニコ笑った。
「もうやだ、クリスがおばあさまなんて似合わないわぁ。」
「何言ってるの、お互いもうすぐ還暦なんだよ?立派なおじいさま、おばあさまじゃない。」
「ガブリエルの髪の毛は銀髪なんだね。サザエルに似たのか。顔もどっちかって言ったらミカエルだね。」
「あらでも、この凛々しい眉毛はハデスだし、アメジスト色の瞳はクリスだわ。目の形はマナちゃんに似てる。」
「もうすっかり、お母さんだね。マナ。」
ううん、と僕は首を振った。
僕は出来損ないのお母さん。
「…クリス。今日クリスに来てもらったのはね。この件でもあったのよ。マナちゃん、頑張りすぎなの。育児は全部お母さんが一人でやらなきゃダメなんだ、完ぺきにやらなきゃ、ってそう思ってるみたいなのよ。」
「そっか…。」
クリスお母さまが僕の手を取った。
「完璧な親なんていないよ、マナ。育児は一人じゃできない。手伝ってもらっていいんだよ。」
「そうよ。私たちだって、だいぶ助けてもらったわ。」
おむつやおっぱいは最初は3時間おきくらいだと思ってたらいいとか。
赤ちゃんの要求するリズムや生活リズムが分かってくると、それを目安に行動できるかもしれないとか。
色々教えてもらった。
僕はできないことも多いけど、サザエルに助けてもらっていいんだね。
僕は出来損ないのお母さんじゃなかった。
ガブリエルを愛している、ガブリエルのお母さん。
お母さんはみんなそれぞれ。
ありがとう。僕たち、親1年生。
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