冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

竜鳴躍

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まだ秘密の婚約者♡

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「えっ あの部屋の住人は騎士団長自身だったのですか…??ジニアルと相思相愛…。即日婚約!!?」

「騎士団長は男性でも女性でもある……?え、えぇー…。」

オーレムお兄様とハロルドは陛下から説明を受けたが、かなり混乱していた。



あの可愛い部屋の主が冷徹茨と謳われた騎士団長だとは、どうしても脳が否定するようだ。




夕餉の席で、僕の婚約者として席に着くフォートは、プライベートでは自分らしくあっていいというお許しが出たこともあり、フリルがついたピンクのドレスシャツにアイボリーのスラックスを履いている。

照れくさそうにはにかんで。


「立派な王子妃になれるよう、頑張ります。ふつつかですがよろしくお願いいたします。」



かわいい、もうっ、可愛い。

真面目なフォートは騎士団長の勤めに差し障るからと断ったが、髪の長い武人だってこの世にはいるんだし、邪魔にならない程度なら髪を伸ばしてもいいんじゃないかと思う。

長くなれば編み込めばいいのだし、きっとリボンで髪を飾るのも好きだと思うから。



「お披露目はどうしましょうか?」

お母様が陛下に伺う。


「そうだな…。なにせフォートは騎士団長。雄々しい雄姿も周知のことだし、ジニアルの嫁として紹介してもびっくりするかもしれないからな。ジニアルは今後も王族として内政を中心に携わっていくのだし、フォートも騎士団長を継続するわけだから、やりにくくならないように考えなければな。もういっそ、対外的にジニアルが嫁でいくか?」


「僕は愛するフォートと結ばれれば何でもいいので、フォートが体のことで色眼鏡で見られないようになるのならそれでもいいのですが、もし今後、妊娠や出産となった場合に結局騎士団で混乱が起きてしまうので、やはりきちんと説明をした方がいいと思います。……それで、フォートは嫌がるかもしれないけれど、体のことを理解して守ってくれるような者をつけてあげたいと思います。」


「うーん。それで構わないかね?フォート。」


「はい。母が言っていました。今までは男として生きてもらうつもりだったので、月の物が来ないように食事に混ぜ物をしていたと。今度は逆に、出産のために女性の体に近づくような薬の処方を受けましたので、近いうちに初潮が始まるだろうとのことです。体格も若干変わるかもしれません。………少し、不安はありますけど。公表してください。」


「分かった。では、いろいろ準備もあるから、もろもろの発表、お披露目会は来月。式は半年後。」

「それまで秘密の婚約者ね。もう少し、頑張ってね。」



2人顔を見合わせて、赤くなった。









手を繋いで、寝室へ向かう。

フォートの寝室は僕の部屋の向かいにもあるけど、執務室の方を使っている。

もう、カムフラージュ用に男らしい寝室を作っておかなくてもいいのだから、向かいの方も可愛い部屋に変えておこう。


「ありがとう。今日から婚約者としてよろしく。」

チュッと軽いキスをする。



「……あの。結婚するまではそういうのどうかと思うので、式まではキスまでで……っ。」


真っ赤になって、扉が閉まり。

ドア越しにおやすみなさいと聞こえた。





そうだった。

フォートはものすごい真面目だった。
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