その玉座、返してもらいます!虐げられた末王子は嫁の愛で下剋上する~婿入り先の辺境の蛮族は真の王家でした~

竜鳴躍

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天空都市 エンジェリン

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目を白黒させていると、目の前に細長い馬車の車体だけのような黒光りするものが停まった。

「おやじのところに案内するよ、乗って?」

おそるおそる中に入る。う…うわぁ、座席がふかふかだ。


「おやじ?」

「おやじ、父親、父上、ともいうな。大統領………お前らが言う部族の長、かな?どっちかっていうと規模的には国王に近いと思うけど。俺、その息子なの。一応長男で後継者?後継者教育の一環で外の世界との交渉役と出入国管理役をやっているんだけどな。……ていうわけで改めまして。俺はミハイル=エンジェリン=アポカリプス。よろしくな、旦那様。」


「……えっ。結婚話は流れるのでは?それにあなたは男性で……。もしやほかに跡取りでも?」


「いないいない。俺は一人っ子だよ。そうだ、さっき『令嬢はいない』といったよね。窓の外を見てみなよ。気づいたことはない?」


そういわれて窓の外を見れば……。女性のように見える者も、よくよくみると骨太に見える。


「女性が……いない?」

「そう。」

「女性は外に出てはいけないというしきたりが?」

「いいや。」

「では……。」


「さぁ、どういうことでしょう。」


剣だこのある指が私の髪に触れた。


「ミハイルさま??」


「きれいな髪色だね。瞳の色も透き通るようだ。」


?なんでそんなに甘い視線なんだろうか。



「………私なんてそんな。味噌っかすレジデューですから。私よりよほどミハイル様のほうが神々しくも麗しい。」


「えっ、そ、そうかなぁ!?」

褒められて声を裏返して照れるなんて、可愛らしいところがある人なんだな。



「城ヘトウチャクデス。オツカレサマデシタ。ワスレモノニ御注意クダサイ」


「おっとついたようだ。降りるぞ。」

「馭者はマジックドールなのか…⁉随分と精巧な…。」


「ははは、驚きっぱなしだな。もっとびっくりするぞ⁉」


うわ!なんだこれ、地面が動いてる!

階段がひとりでに上へ?


どこよりも高い建物が長……大統領のいる場所だった。
中へ入ると、多くの人間があっちこっちへせわしなく働いている。

動く地面、動く階段…。


シャンデリアはないが、ものすごく明るい…。

部屋の中に太陽……⁉



「レジデュー、そっちじゃない。親父のところにいくのはこっち。」

呼ばれた先には重厚な扉。
なにやら丸い突起物を押すとその扉は開いた。

中は狭い。

物置にもならない狭さだ…。

やはり私は奴隷に……。
それとも、このような大国を侮り、誤った態度をとった我々を屈服させるために、私を人質にして攻めるのだろうか。
この国の力ならどう考えても簡単に我が国など堕とせるはず…。
というより、世界の覇権をとることだって…。

狭い箱に押し込められる自分を想像する。


「何を暗い顔をしているんだ。入るぞ。」

何故か二人で入ると浮遊感がある。


「これは『エレベーター』。さっき見た動く階段は『エスカレーター』ね。両方とも上の階に行くための…移動用機械?親父の部屋にはこれでしか行けないけどね。」

ちん、と音がして扉が開けば、目の前には大きな絵画。
立派な壺に生けられた植物や調度品が廊下に並んでいる。
大統領の執務室に向かって飾られているのだろう。

絵画には天使が人間に王位を授ける絵。


――――――――――パラダイス王国で聞いた神話の絵だ。


しかし、その次の絵は、天使が旅たち。


最後の絵は、天使は天使の国に住んで、地上を見守っている…。



「親父。入るぞ。」

ノックをして、扉が開けられる。


ああ…。


自分や祖国の運命に、深呼吸を浅く繰り返す。


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