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本編
包囲網(挿絵あり)
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公爵家の広い部屋を駆け抜けて外へ出る。
メイドが驚いた顔をしたが、知るか。
自分の服や剣は、逃げざまには見つけられず、すぐ回収できそうもないから諦めた。
後で回収できるはずだ。
庭へ出ると、公爵が先回りしていた。
「足腰立たないんじゃなかったのかな?」
「立たねえよ。冒険者なめんなよ。こんくらいで動けなきゃ、モンスターに殺されるわ。」
スイッチを切ったのと一緒だ。
自己暗示をかけて、一時的に痛覚をおかしくしている。
後はアドレナリンか。
「その格好で外に逃げるつもりか?」
「別に失って困る外聞もプライドもないんでね。邪魔したら大事になるぞ? なんせどう見ても俺は乱暴された体だ。手足は拘束された跡があるし、中にもまだ入ったままだ。」
困るのはそっちだ。
さあ、解放してもらおうか。
相手を見やれば、予想外の反応が返ってきた。
「やればいいさ。家庭内のこととして、処理されるだけだ。」
は?
家庭内?
戸惑う俺に、公爵は懐から一枚の紙を出した。
俺の父と公爵と、陛下のサインの入った婚姻が成立したことを示す書類。
「…は? ちょっと待て、いつの間に…」
「君が寝てる間に。君の家に連絡したら、すぐ飛んできたよ! 妻の実家に支援しますよ、って言ったら喜んでいた。君のお兄さんが1番喜んでいたよ!」
あいつら社交に関心ないが、金は欲しいからな。
兄貴は跡継ぎが確定して、嬉しかったろう。
くそっ! 俺、こいつに売られたのかよ…。
「なんで俺なんだよ。子どもだってつくれない。妻は、貴族の女から探せよ。」
「本当は一生結婚しないつもりだったんだ。父がやらかしてるからね。
色々めんどくさくて。」
公爵が近づいてくる。
「私は君を愛してしまった。誰にも渡したくないから、妻にするよ。
なに、貴族の結婚なんて、元々こんなものだろう? そのうちオトしてみせる。」
公爵は俺の左手をとって、指先に口づけをした。
取り出した指輪を俺の薬指にはめる。
「仕事の邪魔だ。」
「まあそう言わないで。奥さん。」
俺の指には、青いサファイア。
公爵の指には、同じデザインでアメジストが入っている。
仕事の早い奴め。
俺がどんなに逃げても、こいつに捕まえられる未来しか見えない。
ヘタすると、一生ベッドルームに拘束されそうだ。
ましてや、正式に婚姻が成立してしまったとなれば。
はあ。
大きなため息をつく。
「頑張って、惚れさせてみろよ。俺は異性愛者だけどな!」
そういうと公爵は、人懐っこく笑った。
少し可愛く思えたのは、教えてやらない。
まずは、初夜のやり直しを要求する!
初夜が監禁拘束レイプなんて、俺がかわいそうだろ!
初めてだったのに。
メイドが驚いた顔をしたが、知るか。
自分の服や剣は、逃げざまには見つけられず、すぐ回収できそうもないから諦めた。
後で回収できるはずだ。
庭へ出ると、公爵が先回りしていた。
「足腰立たないんじゃなかったのかな?」
「立たねえよ。冒険者なめんなよ。こんくらいで動けなきゃ、モンスターに殺されるわ。」
スイッチを切ったのと一緒だ。
自己暗示をかけて、一時的に痛覚をおかしくしている。
後はアドレナリンか。
「その格好で外に逃げるつもりか?」
「別に失って困る外聞もプライドもないんでね。邪魔したら大事になるぞ? なんせどう見ても俺は乱暴された体だ。手足は拘束された跡があるし、中にもまだ入ったままだ。」
困るのはそっちだ。
さあ、解放してもらおうか。
相手を見やれば、予想外の反応が返ってきた。
「やればいいさ。家庭内のこととして、処理されるだけだ。」
は?
家庭内?
戸惑う俺に、公爵は懐から一枚の紙を出した。
俺の父と公爵と、陛下のサインの入った婚姻が成立したことを示す書類。
「…は? ちょっと待て、いつの間に…」
「君が寝てる間に。君の家に連絡したら、すぐ飛んできたよ! 妻の実家に支援しますよ、って言ったら喜んでいた。君のお兄さんが1番喜んでいたよ!」
あいつら社交に関心ないが、金は欲しいからな。
兄貴は跡継ぎが確定して、嬉しかったろう。
くそっ! 俺、こいつに売られたのかよ…。
「なんで俺なんだよ。子どもだってつくれない。妻は、貴族の女から探せよ。」
「本当は一生結婚しないつもりだったんだ。父がやらかしてるからね。
色々めんどくさくて。」
公爵が近づいてくる。
「私は君を愛してしまった。誰にも渡したくないから、妻にするよ。
なに、貴族の結婚なんて、元々こんなものだろう? そのうちオトしてみせる。」
公爵は俺の左手をとって、指先に口づけをした。
取り出した指輪を俺の薬指にはめる。
「仕事の邪魔だ。」
「まあそう言わないで。奥さん。」
俺の指には、青いサファイア。
公爵の指には、同じデザインでアメジストが入っている。
仕事の早い奴め。
俺がどんなに逃げても、こいつに捕まえられる未来しか見えない。
ヘタすると、一生ベッドルームに拘束されそうだ。
ましてや、正式に婚姻が成立してしまったとなれば。
はあ。
大きなため息をつく。
「頑張って、惚れさせてみろよ。俺は異性愛者だけどな!」
そういうと公爵は、人懐っこく笑った。
少し可愛く思えたのは、教えてやらない。
まずは、初夜のやり直しを要求する!
初夜が監禁拘束レイプなんて、俺がかわいそうだろ!
初めてだったのに。
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