【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

どういうことだ！？（挿絵あり）

どういうことだ！？

公爵夫人の正体があの、『神速』の称号持ちのクリス＝アッシュフォード？

そういえば、最近、スノーフォレストが公表していた。
たとえ同性同士でも子どもがつくれる技術があると。

その技術なら、何らかの障害で子が生まれにくい場合でも、子をもうけることが可能だからと。
キャサリンにお願いされたことがあった。
眉唾だと、一笑していたのだが。


「ふふ…。神速に、閃光。あの二人だけでも表の部隊はすぐに壊滅、か…。」




もう、私は終わりだろう。

だが、公爵の血筋を許せないと思っている者は、私の派閥だけではない。


貴族ではなくなっても、私には外に持ち出している資産がある。
結末を楽しみに、どこかへ身を隠そう。





屋敷の秘密通路を進む。

地下水路から、スライムが飛び跳ねている。

無害なモンスター。気にはしない。


出口のカギをあける。


「侯爵。」


その声は、アイス＝クレイソン。




「お前は逃がさない。」




青い目が冷ややかに見つめる。



どことなく、妖しい威圧感がある。

なんだ、この気配は…。



「なぜ！？」

なんでここに？なんで追いつく？
この路は私しか知らない、しかもだいぶ入り組んでいるのに。


「私はモンスターの父だからね。スライムに教えてもらったんだよ？」

ばっと、左手を開いて突き出して、公爵がスライムに指示をする。


「…なっ！？　…、う、ぐ…！」

スライムが、足元から纏わりつき、侯爵の全身を拘束していく。


かつん、かつん。


地下水路に音が響く。



「う、ああぁ。やめっ、」


「…殺しはしないよ。犯罪は犯したくないからね。」


公爵が懐から紫色に光る液体の入ったボトルを出す。


「一生、私の大切なものに手を出せないように。ほかの者への見せしめとして。」


廃人になってもらおうかな。

「う、ああああああああああ！」



スライムに口を開けられ、紫色の液体を体に流し込まれる。



魔王ーーーーーーーーーーーーー。


かつて、そう呼ばれた伝説の錬金術師の王。




ふと、頭によぎって。


『侯爵』は死んだ。



残ったのは、『侯爵』だった　発狂した生き物。