【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

本編

他国の王族と会うんだって

「…っ。あ…っ。」


最初は無理やり寝ている間に奪ったし、妻にしてからも、かなり強引な結婚だったから。
しばらくは、義務で受け入れているのではないかという閨だったけれど。

体だけでなく心も通じた今では、心から私を求めて、溶けてくれていることがわかる。

自分の与えるすべてによって、色づき、花開いていくのが、うれしい。


「はぁっ…。」


終わって、ずるりと出ていくと、色っぽい吐息が出た。

やろうと思えば続けられるけど、負担がかかるから我慢しよう。
我慢ができるようになったんだ、えらいだろう。


「そういえば。」


ベッドの中で体を抱くようにくっついて、とろけているクリスに、今言うのはずるいかもしれないけど。
断られるのは嫌だから、今言っちゃおう。


「近々、他国の王族が会議のためにうちの国に来るのは知ってると思うんだけど。」

「…ああ、持ち回りで今年はうちなんだよな。近衛のやつらとかほかの部隊が忙しいって…。」

「私と君にも参加してほしいって。王族の一員として。」


ぴくっと、体が動いた。

ばっと飛び起きて、私を見下ろす。

「なんでっ！？　そんな、俺、そんなえらい人たちとなんて緊張する…っ！」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。王族だって人間なんだから。クリスはちゃんとマナー出来てるし問題ないよ。
私が男の嫁を貰ったって聞いて、それが、とっても素敵な人だったって伝わったものだから。みんなクリスに会いたいんだって。」


「えぇーえええーーーーーー…。」


真っ赤になってかわいいー。おそろいの衣装を誂えて準備しようねっ。


「だけど、ちょっと気を付けた方がいいことがあるかも。」


「…何？」


「クリスに関心を持ったものだから、実家の方もちょっと調べたみたい。クリスの家は男爵家だけど、おじいさまは伯爵で後継者もいないし、なにより鉱山があるだろう？それで、キリス君には婚約者もいない。」


「ちょっと、狙われてるかも。キリス君が。嫁ぎ先がまだ決まっていない王族の末端の娘さんも結構いるからね。」


「…そういえば、俺のことが明るみになってから、釣書が増えたってお兄様言ってたなぁ。あからさまで嫌だから無視してるって言ってたけど…。」





不安だなぁ。